〔試合評〕塩見、再び鷹を相手にメモリアルな1勝! プロ初勝利の相手から初完封勝利!──2012年4月3日(火)○楽天イーグルス5-0ソフトバンク
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待ちに待った今シーズン初勝利!
投打が噛み合い、スコア5-0。
暴風雨波浪警報が発令されている悪天候の風雨の中、フィールド内ではすかっと快勝!
やはり、勝利の美酒は、格別だ。ヽ(´ー`)ノ
先発・塩見投手が、1年前プロ初勝利を挙げたソフトバンク相手に、今度はプロ初完封勝利を成し遂げた本ゲームを振り返ってみたいと思う。
○楽天イーグルス5-0福岡ソフトバンクホークス

■ハイライト映像
先攻・楽天の先発オーダーは、
1番・聖澤(中)、2番・銀次(ニ)、3番・牧田(右)、4番・テレーロ(指)、5番・フェルナンデス(一)、6番・高須(三)、7番・鉄平(左)、8番・嶋(捕)、9番・枡田(遊)、先発・塩見。
後攻・ソフトバンクのスタメンは、
1番・本多(ニ)、2番・明石(遊)、3番・内川(右)、4番・松中(左)、5番・小久保(一)、6番・松田(三)、7番・ペーニャ(指)、8番・長谷川(中)、9番・細川(捕)、先発・山田。
4番ガルシアがメキシコに帰国
開幕から4番を務めてきたガルシアが夫人の第2子出産のためメキシコへ一時帰国(1軍再登録は4/12以降)、代役の4番に抜擢されたのはテレーロだった。このオーダーの基本線は3/25中日とのオープン戦でのオーダーである。あのときは2番が内村だったが、本試合では銀次を、ショートは枡田を先発起用するラインアップとなった。
初回の悪夢、4たび?!
この日も楽天は初回早々にピンチを迎えていた。1回表だ。出してはならないバッターを出してしまった。開幕カードのロッテ3連戦、いずれも初回に先制失点を許し、試合の主導権を相手に持って行かれた悪夢が僕の脳裏によみがえっていた。
1番・本多に対して1-2と追い込んでからの6球目だった。女房役の嶋は外角低めの要求も、ストレートが外角高めに上ずり、すっと入ってしまう。そこを狙われ、打球は中前に抜けていく。無死1塁から2番・明石は送りバント、3番・内川は右中間へのフライに討ち取ったが本多はタッチアップ3進、選球眼の良い4番・松中に対しては、フルカウントからみきわめられてしまい四球。2死3,1塁のピンチで、バッターボックスには小久保を迎えていた──。
小久保といえば昨年の塩見との対戦成績は12打数4安打の打率.333、2本塁打。分が悪いのだ。特に昨年の6/28、東京ドームのマウンドに塩見を沈めたのは、他ならぬ2ホーマー4打点を記録したこのベテラン打者の活躍だった。
あのときの悪いイメージがフラッシュバックしなければいいが・・・というこちらの心配は杞憂に終わる。
ここで塩見がしっかり踏ん張ってみせたのだ。 4番・松中まで球が全体的に高いのが気になっていたのだが、一転、小久保に対しては、速球、フォークを低めに集める丁寧なピッチング。追いこんでからアウトローに理想的なフォークをベース盤上に落とし、好敵手のバットに空を切らせて難関を切り抜けてみせた。
イーグルスがようやく先制点を奪取!
初回危機を突破したことが楽天に流れを呼び込んだのか、2回に待望の先制点がイーグルスに入る。
風雨という悪天候も影響したのだろう、制球難に苦しんでいた相手先発・山田の失投を、山崎の穴を埋めるべく戻ってきたあのホセ・フェルナンデスが一振りで仕留めてみせた。
内角を突いてあわよくばファウルでカウントを稼ごうという思惑のスライダーだったかと思う。これが失投となり、5番のバットが容赦なく火を噴いた。完璧に捉えた強烈な打球は、左中間スタンド最前列に飛びこむ先制弾。自身の第1号はチーム第1号となり、開幕カードでイーグルスに足らなかったものを、チームにもたらしてくれた。(楽1-0ソ)
この人のバットからも快音が聞かれました!
1点を先取した楽天は、その直後の3回、4回、塩見がホークス打線を三者凡退に片づけ、しっかり試合を締める上々の展開。すると、4回裏、5回裏、楽天はそれぞれ1点、2点と追加点を奪うことに成功する。
4回裏は相手先発・山田の制球が乱れた。ストライクとボールの差がはっきり。頂いた2四球に嶋の右打ちヒットも絡んで2死満塁を迎えると、1番・聖澤がフルカウントからアウトコースに流れた球をしっかり選んで、押し出し四球。(楽2-0ソ)。
5回裏は2死から相手が崩れた所を、鉄平が久々に会心の一撃をみせ、2得点(楽4-0ソ)。明石のエラー、山田のこの試合5個目となる四球で2,1塁の好機を作ると、今季初めて先発起用となった鉄平のバットが久々に「らしさ」を発揮、場内に快音を響かせた。
1-0から真中に甘く入った“おあつらえ向きの“ストレートを、芯を食う当たりで右中間を真っ二つ。ワンバウンドで悠々フェンスに到達した当たりは、走者2人を本塁に迎え入れるタイムリースリーベースとなり、好投する塩見を力強く援護する。
楽天は8回にも2死からヒットで出塁した西村が、相手三番手・神内の2度にわたるワイルドピッチでホームに生還。
結局、相手の相次ぐエラーやミスに乗じて、スコア5-0で、今シーズンの初白星を飾った。これで、楽天の成績は1勝3敗となっている。


塩見、134球の好投、プロ初完封勝利!
2012年初勝利の立役者は、やはり、この人、先発の塩見だろう。
9回、打者33人に134球を投げ、許したヒットは散発の4安打、7奪三振、3与四球、0失点。1年前の5/5にプロ初先発初登板で初勝利をあげたホークス相手に、今度はプロ初完封勝利というメモリアルな1勝になった。そういえば、偶然にも昨年も今年も3連敗でマウンドにあがっての快挙となった。
序盤から走っていたストレート
ストレートが威力を発揮していた。全134球のうち57.5%占めた77球のストレートの平均球速は140.4キロを計測。しかし、闘将も「腕が振れていたね」と認めていたように、球速以上に打者の手元で伸びている、そんな印象を受けた。
1回の本多にはこの速球をヒットされてしまったが、これは高めにストレートを続けてしまう中で、本多のタイミングが合ってきたことによるもの。これを除くと、この日、塩見のストレートはホークス打線を苦しめたといえそうだ。
■楽天・塩見貴洋 球種別投球詳細
※St=ストレート、Sl=スライダー、Sin=シンカー、Fo=フォーク、Cur=カーブ、Ch=チェンジアップ

全27個のアウトのうち、ストレートで獲得したものは実に19個にのぼった。
内訳は下記のとおりだ。
奪三振3
ゴロアウト6(1併殺含む)
フライアウト8(内野3、外野5)
ライナーアウト2
犠打1
昨年苦い思いをしたあの小久保に対して1打席目はフォークで空振り三振を奪ったが、2打席、3打席目はストライクゾーンの両サイドに投げ分けたストレートでそれぞれ空振り三振を獲得している。
試合にピリオドを打ったのも、ストレートだった。松田にストレートを打たせてショートへの6-4-3となる併殺ゴロ。
8個を記録したフライアウトをみると、最も良い当たりを打たれたといえるのが1回内川の中飛。他は高々と打ち上げて外野の浅いゾーンへ落下する平凡な飛球であったり、内野へのポップフライだった。打者の手元で伸びていたがために、打球が詰まり、ホークスの打者は軒並み打ち上げてしまうかたちになっていた。
■楽天・塩見貴洋 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球

配球図をみると、高めに球が集まっているのが確認できる。特に左打者は顕著だ。左打者に投げた全76球のうち68.4%に当たる球が「高め~中段」のゾーンに集まっていた。高めストレートだけで27球も数える。一見すると、リスキーのようにみえるかもしれないが、前述したとおり、ストレートが走っていたこと、風雨で打者もいつものパフォーマンスが発揮できなかったことも手伝い、のべ15人の左打者を、初回本多に許したセンター前ヒット1本のみに抑えることに成功している。
そういえば、ゲーム中に届けられた羽村亜美さんによる塩見のベンチリポートが印象的だった。春季キャンプからオープン戦にかけて新球種シンカーの習得に励んだが、まだまだ制球するのにばらつきがある。シンカーを投げることで、ストレートの状態も悪くなてしまい、打たれるケースが多かった。もう1度ストレートに磨きをかけたい、こういう趣旨のことを塩見が語っていたとのことで、この日の好投は、まさしく原点を見つめ直した好結果といえるかもしれない。
打線は4安打。もう1点、あと1点欲しい時に何をなすべきか?
指揮官も試合後の会見で指摘していたように、ここで点を取っていれば、もっと有利に試合運びができたのでは?と思わせる、惜しい場面があった。
ホセに一発が飛び出した直後の2回裏だ。ホセの先制弾の歓喜が冷めやらない中、打席に入った高須が、同じような失投をした山田の甘いスライダーを完璧にバットに乗せてひっぱり、レフト左を2バウンドでフェンス到達となる二塁打で出塁した。
これを機に作った無死3,2塁の格好のチャンスで、嶋がサードゴロ、枡田が空振り三振、聖澤がファースト正面へのゴロと相次いで凡退、点が入らないというシーンがあった。ここでどう1点を取っていくのか?どのようなバッティングをしていくのか?が、今シーズン、イーグルスが成長できるか否かのカギだと思う。こういうシチュエーションでこそ、アーリーワークの成果が問われているのだと思う。
(解説の杉山賢人氏がスクイズについてちらっと言及していたけど、スクイズが年間通して数度あるか?ないか?の作戦だ。そのカードをここで切っていくべきなのか?は、また別問題でよくよく考えなければならないと思う)
ところで、それとは別に、4安打5得点で効率良い得点の入れ方だなあと思われる方がいるかもしれないが、さにあらず。楽天が獲得した塁打は11、貰った四球は6、相手の冒頭や失策が4、この合計が26だった。これを獲塁数とするなら、4獲塁で1得点とするなら、5点とって当たり前ということになってくる。
2番銀次、鉄平の先発起用について
この日はセカンドで先発起用された銀次は、4/1ロッテ戦に続き打順2番で起用された。これは首脳陣の高い期待の表れだと思う。今季の楽天、首脳陣は当初2番鉄平構想を抱いていた。2番だからといって特別なことはせず、いつもどおりの打撃をしてほしいと首脳陣から告げられていた。ところが、鉄平の打撃の調子が一向にあがらないため、頓挫となった。その2番鉄平で実現したかった“打線のかたち”を銀次に求めているように思う。つまり、打ってつなげていくということ。『プロ野球のセオリー』での仁志敏久氏の言葉を借りれば「“折れ線グラフ“ではない、打線の起伏のない、切れめのない打線」ということなのでは?と想像している。
外野のアキレス腱になりそうな鉄平
次に、鉄平だ。久々に鉄平らしさが宿った完璧な当たりをみせてくれた。しかし、この一撃をもって復調の兆しと捉えるのは、まだ時期尚早だと思う。そのように期待したけど幾度か不発に終わった過去もある。
また、あの打席、あの球はストライクゾーンの真中寄りに入った“かなり甘い球”なのだ。このくらいのレベルの球なら、スランプ中の鉄平選手といえど、打つことはできる。事実、BT名鑑で確認すると、昨年も真中で.346、真中高めで.360の数字を残している。それよりも、4回の第2打席のような、アウトコースを中心に攻められたときの打席で好結果が欲しいのだ。
この一撃で恐らく鉄平は明日の試合でも左翼先発起用となるのかもしれない。ガルシアが帰ってくるまでテレーロをDHで起用し、空いた外野の1枠を鉄平で埋めていくのかもしれない。しかし、この判断はどうだろうか?
鉄平の打撃がいきなり明日から2009年、2010年のそれに戻るとは到底思えない。もちろん、今すぐにでも復活を遂げてほしいと強く願っている。願っているのだが、現実は、当分の間は苦悩の日々が続くのだと思う。
それよりも、相手投手の左右で中村や中島を上手く使い分けていくほうがベターなのでは?と思うのだ。
もっと言ってしまえば、安定した打撃を継続してできるようになるまでファームで鍛え直すべきでは?とも思ってしまう。鉄平をスタメンで起用し続けた場合、他球団に対してそれが「弱み」となりはしまいか? 外野のアキレス腱になってしまうのではないか?、そういう気がしてならない。
【終】
■ソフトバンク・山田大樹 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球

■ソフトバンク・山田大樹 球種別投球詳細
※St=ストレート、Sl=スライダー、Sin=シンカー、Fo=フォーク、Cur=カーブ、Ch=チェンジアップ

山田は6四球と制球難に苦しんだ。投げた119球のうち実に47.9%に当たる57球がボールカウントになっていた。
◎◎◎最近記事◎◎◎
・〔書評〕鳥越規央&仁志敏久『プロ野球のセオリー~「データ」は「経験」を越えるのか』(ベスト新書)
・〔試合評〕“刺身のつま”となってしまった楽天打線──2012年4月1日(日)●楽天イーグルス2-4千葉ロッテ
・〔試合評〕残り142試合の、未来への投資と捉えたい敗戦──2012年3月31日(土)●楽天イーグルス3-5千葉ロッテ
・〔試合評〕2012年3月30日(金)●楽天イーグルス3-5千葉ロッテ〔開幕戦〕田中将大、3年7カ月ぶりのらしくないピッチング
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当ブログ推薦の選手名鑑、セイバーメトリクス本
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○楽天イーグルス5-0福岡ソフトバンクホークス

■ハイライト映像
先攻・楽天の先発オーダーは、
1番・聖澤(中)、2番・銀次(ニ)、3番・牧田(右)、4番・テレーロ(指)、5番・フェルナンデス(一)、6番・高須(三)、7番・鉄平(左)、8番・嶋(捕)、9番・枡田(遊)、先発・塩見。
後攻・ソフトバンクのスタメンは、
1番・本多(ニ)、2番・明石(遊)、3番・内川(右)、4番・松中(左)、5番・小久保(一)、6番・松田(三)、7番・ペーニャ(指)、8番・長谷川(中)、9番・細川(捕)、先発・山田。
4番ガルシアがメキシコに帰国
開幕から4番を務めてきたガルシアが夫人の第2子出産のためメキシコへ一時帰国(1軍再登録は4/12以降)、代役の4番に抜擢されたのはテレーロだった。このオーダーの基本線は3/25中日とのオープン戦でのオーダーである。あのときは2番が内村だったが、本試合では銀次を、ショートは枡田を先発起用するラインアップとなった。
初回の悪夢、4たび?!
この日も楽天は初回早々にピンチを迎えていた。1回表だ。出してはならないバッターを出してしまった。開幕カードのロッテ3連戦、いずれも初回に先制失点を許し、試合の主導権を相手に持って行かれた悪夢が僕の脳裏によみがえっていた。
1番・本多に対して1-2と追い込んでからの6球目だった。女房役の嶋は外角低めの要求も、ストレートが外角高めに上ずり、すっと入ってしまう。そこを狙われ、打球は中前に抜けていく。無死1塁から2番・明石は送りバント、3番・内川は右中間へのフライに討ち取ったが本多はタッチアップ3進、選球眼の良い4番・松中に対しては、フルカウントからみきわめられてしまい四球。2死3,1塁のピンチで、バッターボックスには小久保を迎えていた──。
小久保といえば昨年の塩見との対戦成績は12打数4安打の打率.333、2本塁打。分が悪いのだ。特に昨年の6/28、東京ドームのマウンドに塩見を沈めたのは、他ならぬ2ホーマー4打点を記録したこのベテラン打者の活躍だった。
あのときの悪いイメージがフラッシュバックしなければいいが・・・というこちらの心配は杞憂に終わる。
ここで塩見がしっかり踏ん張ってみせたのだ。 4番・松中まで球が全体的に高いのが気になっていたのだが、一転、小久保に対しては、速球、フォークを低めに集める丁寧なピッチング。追いこんでからアウトローに理想的なフォークをベース盤上に落とし、好敵手のバットに空を切らせて難関を切り抜けてみせた。
イーグルスがようやく先制点を奪取!
初回危機を突破したことが楽天に流れを呼び込んだのか、2回に待望の先制点がイーグルスに入る。
風雨という悪天候も影響したのだろう、制球難に苦しんでいた相手先発・山田の失投を、山崎の穴を埋めるべく戻ってきたあのホセ・フェルナンデスが一振りで仕留めてみせた。
内角を突いてあわよくばファウルでカウントを稼ごうという思惑のスライダーだったかと思う。これが失投となり、5番のバットが容赦なく火を噴いた。完璧に捉えた強烈な打球は、左中間スタンド最前列に飛びこむ先制弾。自身の第1号はチーム第1号となり、開幕カードでイーグルスに足らなかったものを、チームにもたらしてくれた。(楽1-0ソ)
この人のバットからも快音が聞かれました!
1点を先取した楽天は、その直後の3回、4回、塩見がホークス打線を三者凡退に片づけ、しっかり試合を締める上々の展開。すると、4回裏、5回裏、楽天はそれぞれ1点、2点と追加点を奪うことに成功する。
4回裏は相手先発・山田の制球が乱れた。ストライクとボールの差がはっきり。頂いた2四球に嶋の右打ちヒットも絡んで2死満塁を迎えると、1番・聖澤がフルカウントからアウトコースに流れた球をしっかり選んで、押し出し四球。(楽2-0ソ)。
5回裏は2死から相手が崩れた所を、鉄平が久々に会心の一撃をみせ、2得点(楽4-0ソ)。明石のエラー、山田のこの試合5個目となる四球で2,1塁の好機を作ると、今季初めて先発起用となった鉄平のバットが久々に「らしさ」を発揮、場内に快音を響かせた。
1-0から真中に甘く入った“おあつらえ向きの“ストレートを、芯を食う当たりで右中間を真っ二つ。ワンバウンドで悠々フェンスに到達した当たりは、走者2人を本塁に迎え入れるタイムリースリーベースとなり、好投する塩見を力強く援護する。
楽天は8回にも2死からヒットで出塁した西村が、相手三番手・神内の2度にわたるワイルドピッチでホームに生還。
結局、相手の相次ぐエラーやミスに乗じて、スコア5-0で、今シーズンの初白星を飾った。これで、楽天の成績は1勝3敗となっている。


塩見、134球の好投、プロ初完封勝利!
2012年初勝利の立役者は、やはり、この人、先発の塩見だろう。
9回、打者33人に134球を投げ、許したヒットは散発の4安打、7奪三振、3与四球、0失点。1年前の5/5にプロ初先発初登板で初勝利をあげたホークス相手に、今度はプロ初完封勝利というメモリアルな1勝になった。そういえば、偶然にも昨年も今年も3連敗でマウンドにあがっての快挙となった。
序盤から走っていたストレート
ストレートが威力を発揮していた。全134球のうち57.5%占めた77球のストレートの平均球速は140.4キロを計測。しかし、闘将も「腕が振れていたね」と認めていたように、球速以上に打者の手元で伸びている、そんな印象を受けた。
1回の本多にはこの速球をヒットされてしまったが、これは高めにストレートを続けてしまう中で、本多のタイミングが合ってきたことによるもの。これを除くと、この日、塩見のストレートはホークス打線を苦しめたといえそうだ。
■楽天・塩見貴洋 球種別投球詳細
※St=ストレート、Sl=スライダー、Sin=シンカー、Fo=フォーク、Cur=カーブ、Ch=チェンジアップ

全27個のアウトのうち、ストレートで獲得したものは実に19個にのぼった。
内訳は下記のとおりだ。
奪三振3
ゴロアウト6(1併殺含む)
フライアウト8(内野3、外野5)
ライナーアウト2
犠打1
昨年苦い思いをしたあの小久保に対して1打席目はフォークで空振り三振を奪ったが、2打席、3打席目はストライクゾーンの両サイドに投げ分けたストレートでそれぞれ空振り三振を獲得している。
試合にピリオドを打ったのも、ストレートだった。松田にストレートを打たせてショートへの6-4-3となる併殺ゴロ。
8個を記録したフライアウトをみると、最も良い当たりを打たれたといえるのが1回内川の中飛。他は高々と打ち上げて外野の浅いゾーンへ落下する平凡な飛球であったり、内野へのポップフライだった。打者の手元で伸びていたがために、打球が詰まり、ホークスの打者は軒並み打ち上げてしまうかたちになっていた。
■楽天・塩見貴洋 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球

配球図をみると、高めに球が集まっているのが確認できる。特に左打者は顕著だ。左打者に投げた全76球のうち68.4%に当たる球が「高め~中段」のゾーンに集まっていた。高めストレートだけで27球も数える。一見すると、リスキーのようにみえるかもしれないが、前述したとおり、ストレートが走っていたこと、風雨で打者もいつものパフォーマンスが発揮できなかったことも手伝い、のべ15人の左打者を、初回本多に許したセンター前ヒット1本のみに抑えることに成功している。
そういえば、ゲーム中に届けられた羽村亜美さんによる塩見のベンチリポートが印象的だった。春季キャンプからオープン戦にかけて新球種シンカーの習得に励んだが、まだまだ制球するのにばらつきがある。シンカーを投げることで、ストレートの状態も悪くなてしまい、打たれるケースが多かった。もう1度ストレートに磨きをかけたい、こういう趣旨のことを塩見が語っていたとのことで、この日の好投は、まさしく原点を見つめ直した好結果といえるかもしれない。
打線は4安打。もう1点、あと1点欲しい時に何をなすべきか?
指揮官も試合後の会見で指摘していたように、ここで点を取っていれば、もっと有利に試合運びができたのでは?と思わせる、惜しい場面があった。
ホセに一発が飛び出した直後の2回裏だ。ホセの先制弾の歓喜が冷めやらない中、打席に入った高須が、同じような失投をした山田の甘いスライダーを完璧にバットに乗せてひっぱり、レフト左を2バウンドでフェンス到達となる二塁打で出塁した。
これを機に作った無死3,2塁の格好のチャンスで、嶋がサードゴロ、枡田が空振り三振、聖澤がファースト正面へのゴロと相次いで凡退、点が入らないというシーンがあった。ここでどう1点を取っていくのか?どのようなバッティングをしていくのか?が、今シーズン、イーグルスが成長できるか否かのカギだと思う。こういうシチュエーションでこそ、アーリーワークの成果が問われているのだと思う。
(解説の杉山賢人氏がスクイズについてちらっと言及していたけど、スクイズが年間通して数度あるか?ないか?の作戦だ。そのカードをここで切っていくべきなのか?は、また別問題でよくよく考えなければならないと思う)
ところで、それとは別に、4安打5得点で効率良い得点の入れ方だなあと思われる方がいるかもしれないが、さにあらず。楽天が獲得した塁打は11、貰った四球は6、相手の冒頭や失策が4、この合計が26だった。これを獲塁数とするなら、4獲塁で1得点とするなら、5点とって当たり前ということになってくる。
2番銀次、鉄平の先発起用について
この日はセカンドで先発起用された銀次は、4/1ロッテ戦に続き打順2番で起用された。これは首脳陣の高い期待の表れだと思う。今季の楽天、首脳陣は当初2番鉄平構想を抱いていた。2番だからといって特別なことはせず、いつもどおりの打撃をしてほしいと首脳陣から告げられていた。ところが、鉄平の打撃の調子が一向にあがらないため、頓挫となった。その2番鉄平で実現したかった“打線のかたち”を銀次に求めているように思う。つまり、打ってつなげていくということ。『プロ野球のセオリー』での仁志敏久氏の言葉を借りれば「“折れ線グラフ“ではない、打線の起伏のない、切れめのない打線」ということなのでは?と想像している。
外野のアキレス腱になりそうな鉄平
次に、鉄平だ。久々に鉄平らしさが宿った完璧な当たりをみせてくれた。しかし、この一撃をもって復調の兆しと捉えるのは、まだ時期尚早だと思う。そのように期待したけど幾度か不発に終わった過去もある。
また、あの打席、あの球はストライクゾーンの真中寄りに入った“かなり甘い球”なのだ。このくらいのレベルの球なら、スランプ中の鉄平選手といえど、打つことはできる。事実、BT名鑑で確認すると、昨年も真中で.346、真中高めで.360の数字を残している。それよりも、4回の第2打席のような、アウトコースを中心に攻められたときの打席で好結果が欲しいのだ。
この一撃で恐らく鉄平は明日の試合でも左翼先発起用となるのかもしれない。ガルシアが帰ってくるまでテレーロをDHで起用し、空いた外野の1枠を鉄平で埋めていくのかもしれない。しかし、この判断はどうだろうか?
鉄平の打撃がいきなり明日から2009年、2010年のそれに戻るとは到底思えない。もちろん、今すぐにでも復活を遂げてほしいと強く願っている。願っているのだが、現実は、当分の間は苦悩の日々が続くのだと思う。
それよりも、相手投手の左右で中村や中島を上手く使い分けていくほうがベターなのでは?と思うのだ。
もっと言ってしまえば、安定した打撃を継続してできるようになるまでファームで鍛え直すべきでは?とも思ってしまう。鉄平をスタメンで起用し続けた場合、他球団に対してそれが「弱み」となりはしまいか? 外野のアキレス腱になってしまうのではないか?、そういう気がしてならない。
【終】
■ソフトバンク・山田大樹 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球

■ソフトバンク・山田大樹 球種別投球詳細
※St=ストレート、Sl=スライダー、Sin=シンカー、Fo=フォーク、Cur=カーブ、Ch=チェンジアップ

山田は6四球と制球難に苦しんだ。投げた119球のうち実に47.9%に当たる57球がボールカウントになっていた。
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