日本シリーズ第7戦9回、楽天・星野仙一監督の田中将大起用について私が「汚点」と書いたその理由

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ここまでの当ブログ関連エントリー。

◎日本一の中に「汚点」を残した楽天イーグルス・星野仙一監督の9回田中将大起用

◎理解はできても、やっぱり共感できない楽天・星野仙一監督の9回田中将大起用

他ブログの関連エントリー

◎戦術的必然性も部下管理方針も感じられない星野監督の田中「特攻登板」起用 (豊浦彰太郎のMLBブログ“Baseball Spoken Here”)

◎昨日、楽天と田中将大が見せたもの|2013NPBペナントレース (野球の記録で話したい)

◎田中将大、救援登板の必然性について|2013NPBペナントレース (野球の記録で話したい)


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【お断り】本エントリー、コメントは一切受付けておりません。送って頂いても公開されませんので、予め御了承下さい。

しつこくてすみません。本来なら2度目のエントリーで本件を終わらせるはずだったのだが、facebookページでかなりやりとりしていたのをブログにまとめたくなったので、まとめたという次第である。そのため、言っていることはこれまでと変わらない。本件はこれで本当に最後にしたい。

あと、この件で、記録で語るブログなのに主観的で失望したとか云々と幾人かの読者から言われた。あのねえ、当ブログは元々私の主観、私が書きたいことを書くという趣旨で運営していますが今更ですが何か?! そういうことを言う人達って、メディアが品行方正で中立だと思っている人なんだろうねえ。逆に嬉しい励ましのお言葉を送ってくださった読者の方もいた(感涙)。


結局「160球連投」が議論を二分しているように感じる



もし「120球連投」だったら、ここまで議論を二分するようなことにもならなかったはずである。

「160球連投」否定派の中にも、私のように、第6戦7回終了時降板で第7戦9回登板の「120球連投」だったら、許容範囲というファンもかなりいるはずだからだ。また「160球」だけでも、ここまで話が大きくならなかったと思う。あの試合、最後の最後まで逆転を信じて勝ちにいくなら、田中続投しか選択肢はなかった。その意味で私も「あり」だと感じている。

コップに注がれた水をイメージして頂きたい。1試合160球は、あと1滴たらしたら溢れ出てしまうという、なみなみ注がれた状態だったのではないか。連投はまさにその1滴のイメージになるのだ。これがもし「120球連投」だったら、まだ水はコップの中に止まることができていたかもしれない。

「160球連投」の話を進める前に、まずは1試合160球投げたことがどれだけ異常だったか?改めて確認してみよう。


■2000年以降1試合160球投げた投手一覧
2000年以降1試合160球投げた投手一覧


この表は最初のエントリーにも掲げたものになる。2000年以降2万数千試合(カード数ではなく試合数)が開催された1軍公式戦で、1試合160球以上を投げた投手は、僅かに10人24例。24例は割合にして全体の0.001%にも満たない。

最多は西武・松坂大輔の6回で1試合171球投げたこともあったと言う。最少は今回の田中将大だ。

この顔ぶれを眺めてみると、奇しくも怪我や故障で苦しんでいる・苦しんでいた投手が大変多いことに気づく。松坂、新垣しかり、涌井しかり、一場、和田・・・ 巨人・木佐貫も同様だ。162球を投げたのは1年目の2003年7月6日、9回15奪三振の力投だったという。この年、10勝7敗で新人王を取った木佐貫は、しかし翌年から低迷。再び二桁を取るには実に4年の月日を要していた。

・・・というように、この表を眺めていると、一緒に名を連ねているダルビッシュ有や田中将大の行く末が、心配になってくる。

次の表を見て頂こう。


■日本シリーズ1試合最多投球数一覧
日本シリーズ1試合最多投球数一覧


この表は日本シリーズにおける1試合最多投球ランキングである。

1950年から始まった長い歴史で、シリーズ最多球数は1975年の広島・外木場義郎だった。田中将大の160球は、1992年のヤクルト・岡林洋一、1971年の巨人・堀内恒夫と並ぶ歴代11位タイの多さだった。

シリーズで1試合160球以上投げたのは、1994年のシリーズ第4戦10月27日巨人対西武戦で巨人・桑田真澄の9回167球3失点以来、実に19年ぶりとなった。

以上のように第6戦で160球投げたこと自体も、本当にありえない話だった訳だ。(丁寧に書いておくが、前述したように160球だけなら、田中の身体が心配にはなるものの、私は「あり」だと感じている)

「160球連投」はシリーズ史上初のことだったという。

本当にありえない現象が2度続いてしまったというイメージになるのだ。

神様・仏様・稲尾様の稲尾和久も、126球67球連投や108球110球連投はあったが、160球以上の連投はなかった。

ここが、私が、星野監督が一線を超えてしまう「禁じ手」を使ったと感じる、大きな理由なのだ。

しかも、単なる160球連投ではなかったから、なおさらだ。

このことを160球連投容認派・賛成派は忘れがちのような気がする。

今シーズン、田中は1度もローテを飛ばすことなく投げ抜いてきた。クライマックスシリーズ、日本シリーズを合わせると実に3419球を嶋のミットに投げ込んできた。今季は開幕前にWBCもあったためWBC本番97球を入れると、合計3516球に及ぶ。この球数は2007年以降で2010年時にロッテ・成瀬善久が記録した3781球(シーズン3238球+プレーオフ543球)に次ぐ2番目の多さなのだ。

つまり、WBCからズバ抜けて多くの球数を投げてきたシーズンの最後の最後になって「160球連投」が行われたのだった。

こう書くと、田中の身体的負担がかなりのものだったことが容易に推測することができるはずだ。

中には、こう書いても、開幕24連勝という前人未到の記録を打ちた立てて遂に神になった田中なら、160球連投は大丈夫なのでは?と安易に考えてしまう容認派・賛成派もいるかもしれない。

しかし、田中も普通に赤い血が流れている人の子である。記録は神の領域といえる不滅のレコードになったけれども、その身体は普通の生身の人間である。このことを忘れがちな容認派・賛成派が多いような気がする。

今季の田中はオフには入念な身体作りを行い、シーズン中はできるだけ疲労を逃す努力を行ってきた。WBCがあったため例年より1カ月ほど早く始動し、体幹やインナーマッスルを入念に鍛えてきた成果がシーズンに入って実を結んだことは、先日上梓された山村宏樹氏の著書『楽天イーグルス優勝への3251日』に詳しい。また、シーズン中は、開幕2カード目、交流戦明けのリーグ戦再開時、日本シリーズなど、できるだけ登板間隔を空けて無理をしない起用になっていた。

その努力の甲斐があって、目立った故障をせずにローテを堅守し、快記録につなげたというわけで、決して超人だからスーパーマンだから神の子だからという理由ではないのだ。(当たり前な話だが)

次に下記表を見て頂こう。

(下記へ続く)

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■2013年パリーグ規定投球回到達投手PAP
013年パリーグ規定投球回到達投手PAP


神の領域に突入したのは記録のみ。身体は不死身ではないのだ



PAP(pitcher abuse point)とはセイバーメトリクスの投手指標の1つである。米国の野球データ解析会社「Baseball Prospectus」によって生み出された、先発投手の酷使を表すスタッツ、投手酷使点とされている。

詳しくは下記、MLB評論家として名高い李啓充さんのブログエントリーを御参照頂きたい。


◎投手酷使点(Pitcher Abuse Point)(李啓充 MLBコラム)


当然、この数字が大きければ大きいほど酷使されているということになる。

どうやら向こうではこの指標が10万、20万を超えると相当程度のリスクがあると考えられているようだ。しかし、ここは日本なのだ。中4日が基本で先発投手が100球前後で交代になるMLBで生まれた指標を用いて中6日のNPBを判断するのは、そぐわない。しかしそれでも、ざっくりとした目安を見る程度にはそれなりに有効なのでは?と思う。

ということを踏まえてみると、今季の田中のPAPは458349。

これはオリックス金子千尋の470666に迫るリーグ2位の多さとなった。この200イニング超えの両者は3位・攝津以下とはダブルスコアの差をつけており、突出している。PHPで見れば、今季の田中と金子は文字通りめいっぱいのフル回転だったと言えそうなのだ。

次に田中の年度別PHPを確認してみよう。


■楽天・田中将大 年度別PAP
楽天・田中将大 年度別PAP


PHPが多いシーズンは2007~2009年、2011年、2013年。少ないシーズンは2010年、2012年となった。

近年は「多い→少ない→多い→少ない」の交互を繰り返している。ということは来年は・・・という心配がどうしても脳裏をよぎってしまう。

少なかったシーズンの2010年は6/29オリックス戦を最後に太ももの肉離れで約1カ月間離脱した。9月以降は右大胸筋部分断裂で再度離脱。そのままこの年を終えている。2012年は記憶にも新しいように腰痛などで前半戦に2度ローテをはずれていた。

このように、田中の記録は神の領域だけれど、田中の身体は決して神ではないのだ。細かい故障を何度も繰り返しながらも、その都度、懸命に身体作りをおこなってきた延長線上に、今の田中がいるのだ。

・・・ということを考えると、第7戦の9回裏、田中をマウンドに送るリスクの大きさが分かってもらえるかと思う。その意味がどれだけあったのか?ということになる。

第6戦後すぐに寝たから大丈夫だとコメント欄に書いてきた読者もいた。

前述したように田中の身体は人の子の身体である。どれだけ身体づくりを行っても、切れた毛細血管が一晩にして再生し、炎症がすーっとひいていくなんてことはありえないのだ。

初の日本一へ。9回裏、田中である戦術的必然性はゼロだった



同夜、テレビ朝日系「Get Sports」で指揮官が名言していたように、あの場面、楽天ベンチは比較的余裕のある状況と捉えていた。1点差なら則本続投と監督は明言した。1点差で田中は前夜の疲れ等で打たれる可能性もあってとても任せることはできないという判断がそこにはあった。3点差があったから大丈夫だろうという根拠で田中を送り出したというのだ。

つまり、奇しくも指揮官の発言が証明するとおり、第7戦の9回裏、戦術的視点では田中でなければならない必要性は、どこにもなかった。

最後まで2点差からの逆転勝利を狙った第6戦は田中以外には考えられなかった。第6戦は戦術的必然性がそこにはあったと言えるが、第7戦はなかったのだ。日本一を掴むだけなら、そのまま則本続投(もどうかと思うが・・・)または斎藤隆登場で十分だったわけだ。百歩譲って2死からの登板でも良かったはずだ。

にも関わらず、田中で日本一を取ることを選択してしまった。

危ない橋を渡らなければならない状況ではなかったのに、あえて田中に極度のリスクを背負わせて、いつ落ちてもおかしくはない危ない橋を渡らせてしまった。2007年以降2番目に多い球数を投げてきた中での前夜自己最多160球にさらなる連投だ。前例のない状況で前例を作ってしまった。

それでも、この件を「美談」で終わらせてしまってよいと言うのだろうか? 指揮官が採ったこの判断を「勇断」の二文字だけで綺麗にまとめあげてしまって良いと言うのだろうか? 私には解せない。

田中にNPBのキャリアを最後は勝って終わらせてたかったのでは?そういう星野監督の親心があったのでは?という人がいる。

しかし、それは指揮官のエゴイズムだろう。真に田中の今後を考えるなら、ここで前例のないハイリスクを選択する必要性はどこにもなかったはずだ。首脳陣が念には念を押しても田中本人が行くという。だったら、その田中の決意に乗っかってしまえば「楽」だと考えたのではないか。シーズン中の田中に対する起用法もそのコンディションに配慮した・・・というよりは田中の意向をただ丸飲みしていただけだったのではないかとすら思えてしまう。そのほうが「楽」であるし、例えば、田中という逸材があの場面を最後に砕け散ってしまったとしても、9回裏の刹那にみせる神々しい投球姿を目撃したかっただけなのではないか。その意味で、豊浦彰太郎氏が今回のことを「特攻」という一見すると強烈にみえるフレーズを使って評したのはまさに言い得て妙だと思うし、私は理解できる。

田中のメンタル面を指摘する人がいる。

負けたままNPBのキャリアを終えてしまったらMLBのスタートにも影響するのでは?と言うのだ。ケジメをつけたかったと言うのだ。しかしだ。このことを言いだす賛成派・容認派の人もうすうす分かっているように、高校時代から数々の大舞台を踏んできた田中将大のメンタルはそんなヤワなものではない。この悔しさをきっと新天地への武器に作り変えて、新たな挑戦へのスタートを切ってくれたはずだ。もし1点差なら指揮官が則本続投というように、田中にそのチャンスは与えられなかったのだから、恐らく田中は上手く自己解決をはかっただろう。

結果的に怪我しなかったから良いではないか?という人がいた。

11月6日現在、そのような悪い報せはないのでここまで私も本当にホッとしている。しかし、近い将来あるかもしれない。来季かもしれないし、数年先に影響を与えるものなのかもしれない。それに、もし故障が無かったというホッとした結果になっても、故障しなかったから160球連投をしても良かったという理由には全くならない。それはあまりにも短絡的な後出しジャンケンによる結果論に過ぎない。故障しなかったかどうかではなく、そのリスクがそこにあったことにもっと思いを馳せなければならない。それとも、来年はMLBだから田中の身体なんて知ったこっちゃないということなのだろうか... 残念ながらマジそう思っている読者がいるなら、とても良い関係を築くことはできないと思うので、今すぐにお帰り下さい。

田中の強い意向があった。本人が行くと言うのだからいいじゃないか、という人がいる。

これは最もおかしい論理だ。部下の判断がそのまま上司の判断になってしまって良いと言っているのだろうか?  最終的な判断は現場を預かる星野監督の権限である。田中の意向がどこにあろうと、チームが組織として機能している以上、判断は吟味を尽くした上で指揮官がくだすのだ。私は、指揮官がどうしても吟味を尽くしていた上での決断だったようには思えないので、「汚点」だったと問題にしているのだ。

東北の大衆、我々ファンの潜在的意向が表れた9回裏の連投劇



確かに田中の強い意向はあっただろう。しかし、そのような強い決意にさせてしまった原因は、我々ファンにこそあるということを忘れてはならない。

甲子園スターが東北の球団に入団しルーキーイヤーから新人賞の大活躍。ノムさんのボヤき効果もあって、田中は楽天の中で最も知名度のある全国区のスターとなった。そこへきて3.11。その年チームは力及ばずの結果に終わったが、田中は初の澤村賞を受賞した。ダルビッシュと岩隈が活躍の場をMLBに移した翌年、名実ともに被災地球団のエースになり、球界No.1投手へ。2013年は御存じのとおりの永遠不滅のレコードを打ち立てた。

この過程において、東北や被災地の大衆や我々ファンは田中に過剰ともいえる「想い」を託し続けてしまったのではなかったか。3.11前と後にまたがって活躍した田中を復興のシンボルに過剰なまでに祭り上げてしまったことが、遠因のように感じる。特に今季、連勝記録が続き、初のリーグ制覇が現実味を帯びてくるに比例して、東北の人々の我々ファンの「想い」は、さらに増幅、時には歪んだかたちで膨れ上がってていったのではなかったか。

甲子園から常に周囲の目に晒されてきた田中は、非常にクレバーで責任感の強い人間だ。東北の人々が、我々ファンが暗に何を望んでいるか、何をすれば喜んでくれるか、強く自覚せずとも無意識のうちに敏感に感じ取ることができる・できてしまう人間である。それはお立ち台などでのインタビューで発せられる言葉でもうかがうことはできる。自分よりも、ファンのため、チームのためなのだ。

「被災地球団で投げる田中将大伝説」の最終章を、どのようなかたちで終えることが最も理想なのか?常々無意識の閾の下で考えてきたはずだ。だから、田中は周囲の要請に応えようとして、第7戦の連投を首脳陣に訴えた。そういうことだったように感じる。

つまり、我々ファンが田中に過剰な「想い」を押しつけなければ、田中に過度に甘えなければ、第7戦、田中を「解放」することができたはずなのだ。田中は我々ファン、東北の大衆の心を写す鏡として第7戦の9回、機能していたという見方もできるのだ。

その意味で、勝利監督インタビューで指揮官が口にした「彼がいたからこそ、この日本シリーズに出られた訳ですから、最後はやはり、あいつが相応しいだとろうということで、彼に託しました!」 は大変残念な言葉だった。

最後はやはり、田中を多大な重圧から「解放」させてあげてほしかった!!

最後の最後ぐらい、田中に肩の荷をおろしてもらいたかった。我々は最後の最後ぐらい田中から自立しなければならなかった。

前人未到の24連勝負けなし記録でチームを日本シリーズまで導き、第6戦打たれてなおも最後の160球を渾身の152キロで高橋由伸を三振に打ち取ったこの一連の大偉業をもってしても、我々ファンまたは東北の人々は、「被災地球団で投げる田中将大伝説」の「完結」を許さなかったということになる。

「仙台でプロ野球選手となり、東北で育てられた田中将大にとって、それはやらないといけないことだったんです。震災以後、自分の人生を方向転換させ、安定していた仕事をなげうって、被災地に向かった人を何人も知っています。田中将大の心情は彼らと同じだと思います。自分を育ててくれた方に対してやらなければならない運命だったんでしょう」という御意見をいただいた。

もっともだと思う。被災地球団のエースとして投げる以上、その責務はあったと私も認めている。しかし、その責務は繰り返すようだけれど、前人未到の24連勝負けなし記録でチームを日本シリーズまで導き、第6戦打たれてなおも最後の160球を渾身の152キロで高橋由伸を三振に打ち取ったこの一連の大偉業をもってしても、果たされることはなかったのか。これで十分すぎるほどの恩返しではないだろうか。

もしそれでもダメだと言うなら、「自分を育ててくれた方に対してやらなければならない運命」とはあまりにも非常で冷酷のように感じてしまう。(運命ってそんなもんでしょ!!とわかりきったような事を言う人が目に浮かぶけれど、当方、そんな人の相手はしませんので・・・)

田中の身体がきしみをあげて選手生命に影響するようなリスクを抱えても、第7戦マウンドに向かうことを我々が暗に要求していたということになってしまう。

だとすると、人間って本当に罪深くて自分勝手な生き物なんだなあと思わざるを得ない... (当たり前!!と言う人もいるのだろうけど、それってあまりにも寂しい...)

被災地のシンボルとして9回は田中でなければ絶対にならなかったという人がいる。

この意見はある程度は理解できる。私も9回2死からだったら許容範囲だった。しかし「絶対に」という点はひっかかりを感じてしまう。前述したように田中は十分に被災地のシンボルとして活躍したではないか。数々の大記録をもってしてもなおも足りなかったというのだろうか。それに、被災地の復興は特定の誰か(=田中のような存在)が頑張っただけでは成し遂げられないはず。それこそ総力戦で臨むことが今まさに求められているときに、総力戦で勝ち取った日本一というかたちをつくるためにも、9回裏は地元仙台出身の斎藤隆で十分だったのでは?と思うのだ。中年の星が新聞の一面だと被災地の人々は力を貰えない、癒やされないのだろうか?そんなことはないはずだ。

(また強烈なフレーズを使ってしまうので、いらぬ誤解を呼ぶのかもしれないけれども) 今回の件は、まるで祭礼の生贄のように、特定の1人を特別な存在に仕立てて、背負わせる必要もない選手生命を脅かすハイリスクを背負わせてまで成し遂げた日本一だったように感じる。指揮官が感じているように、そんなことをせずとも日本一を取ることができたはずなのに、あえてそういった道を選んでしまった日本一だったと言える。

誤解されるといけないので丁寧に書いておくと、もちろん、第7戦の田中の投球、私もファンだもの、本当に感動した。しかし、それと同等もしくはそれ以上に、田中へ申し訳なさと謝罪の気持ちのほうが強かったのだ。

今回の件は決して「美談」だけで綺麗に編集されてしまって良いできごとではなかったように感じるのだ。

※番外編:日本シリーズにおける田中将大と藤田一也の決定的な違いとは?!

投手酷使について興味のある方にお薦めの一冊



最後に。参考文献を紹介したいと思います。

本エントリーに出てくる「2000年以降1試合160球投げた投手一覧」「日本シリーズ1試合最多投球数一覧」は元となる表があって、その表を若干当方で加工したものでした。私が参考にしたのは『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1』に所収されている高多薪吾氏の「日本シリーズ“投手酷使”史」でした。

大舞台で行われてきた投手の酷使の歴史について図や表などを随所に用いながら23頁を割いてまとめた秀逸なテキストです。非常に考えさせられ、この文章に触発され、後日こんなエントリーを作ったりもしました。

◎〔検証〕過度な球数が、1流投手を蝕んでいく・・・2010年118試合データ。130球以上投げた試合と次登板、その成績比較

「投手を酷使すること、その結果生じた故障がもたらす戦力的損失に対する考え方は、1990年代以降大きく変わってきた。しかし、今もなお日本シリーズやプレーオフ、クライマックスシリーズといった短期間での戦いでは、酷使が許容される空気が存在する。時が経てばそのゲームの結果や、采配をふるった監督らの実績のみが語られることが多い短期決戦での投手マネジメントの評価が必要ではないか」

この前文で始まる23頁渾身のテキストは大変読み応えがあります。もしあなたがこのトピックに関して関心のある場合は、ぜひ一読をお薦めしたいと思います。

▼高多薪吾氏の「日本シリーズ“投手酷使”史」が所収されている『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1』。読書感想文はコチラをクリック。




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