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【書評】工藤公康 著『野球のプレーに、「偶然」はない ~テレビ中継・球場での観戦を楽しむ29の視点~』(KANZEN)

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■工藤公康 著『野球のプレーに、「偶然」はない ~テレビ中継・球場で観戦を楽しむ29の視点~』
(KANZEN) 定価:本体1,500円(税別) 221頁


2013年プロ野球開幕。
例年以上にNo Baseball, No Life.な野球好き、多いのでは?


2013年プロ野球。先日開幕したと思いきや、早いもので各チーム20~21試合を消化している。開幕ダッシュに成功したチームもあれば、予想外に出遅れているところもあって、悲喜交々。のっけから面白くなってきた。

セリーグでは巨人がすでに独走態勢に入ろうか?という状況だ。良くも悪くも巨人には毎年強いチームであって欲しい。DeNAが健闘をみせている。大型補強が奏功したのか、ここまで例年とは違った風景を楽しんでいる。ヤクルトと言えば、我が家では今年も燕の季節が到来、現在巣作りに励んでいるものの、野球のほうは?全く到来する兆しがない。現在最下位、そのうち監督交代論が噴き出すのではないか?

パリーグでは、中島の退団や中村の出遅れ等で厳しいと考えられていた西武が大方の予想を裏切り、只今首位。一方、これまた大方の予想を裏切り開幕直後もたちついてしまったのが優勝候補筆頭のソフトバンクである。だが、ここへきて持ち直してきた。私が応援している楽天は、アンドリュー・ジョーンズ、マギーの注目の外国人が期待どおりの打棒を披露しているものの、投手陣がまさかの焼け野原状態...

なかなか予想や期待どおりにはいかないドラマが展開されており、これだから野球って面白い。

今季は開幕前にWBCがあった。残念なことに三連覇は逃したが、侍ジャパンの活躍で冷えかけていた野球熱に再び火が灯ったファンや、それまで野球に関心がなかった人が興味を持ち始めてハマッてしまった、そんなビギナー層も多いはずだ。例年以上にNo Baseball No Life化している野球好きは間違いなく多いことだろうし、実際、4年前の私がそうであった。このブログを開設したのも、2009年のWBCに触発された結果と言えるからだ。

さて、そんな野球好きの中継・球場観戦をサポートする本が4月3日に上梓されている。

現役時代、西武ライオンズや福岡ダイエーホークス、巨人などで活躍。通算224勝をあげ、2011年48歳で現役引退したおなじみ、工藤公康氏による新刊だ。現在、テレビ朝日系『報道ステーション』のスポーツコーナーでプロ野球担当キャスターとして活躍。お茶の間にも分かりやすい解説を届けるということで評判なのは、皆さん御存じのとおりである。


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『報ステ』でもおなじみ、工藤公康氏が
野球観戦時に確認しておきたい29の「視点」を紹介します


本書は、副題「テレビ中継・球場で観戦を楽しむ29の視点」が示すとおり、観戦時における29のチェックポイントを紹介している。

例えば、サッカーで言えばボールの行方だけを目で追いかけても、あまり意味がない。もちろんそれでも楽しめる人はいるのかもしれないが、サッカーの本質を知ったことにはならないだろうし、より深く堪能したとは言えない。

同様のことは野球にも当てはまり、贔屓の選手が打った打たないだけで一喜一憂するだけに終始するのはもったいない。こういう所にもっと留意して観戦すると、よりいっそう野球を深く味わうことができるよ!という工藤氏からのアドバイスをまとめたものが本書なのだ。

もちろん、1つでも多くの試合を観戦すればするほど自然と目は肥えてくるようになるのだが、そこまで待てない!今すぐに知りたい!というビギナー層の野球ファンには、最適な虎の巻になっている。

本書では視点と呼んでいる29のチェックポイントが、投打別、ポジション別で簡潔にまとまっている。

詳しくは下記に掲げた目次を参照して頂きたいが、幾つか紹介すると、左打者は左投手が本当に苦手なのだろうか?左投手は左打者に投げやすいのだろうか?といった「左対左」の定説の真相について紹介していたり、アウトローが投手にとっての生命線と言われるその本当の理由について噛み砕いて解説したり、初球の入り方など配球に関する見どころについて記述したり、といったぐあいなのだ。

投手のページでは工藤氏本人の連続写真を用いたり、図説やイラストを随所に掲載するなど、草野球をやったことのない人達も簡単に理解できるように、「分かりやすさ」に重点を置いて書かれており、好印象だ。


▼本書43頁、クイックの技術より。第1章「観戦時における投手11の視点」では、工藤氏本人の連続写真で説明がなされているくだりが幾つか出てくる。
20130418DATA2.jpg

▼本書141頁、レフトのバックアップより。本書はこのようなイラストも多く挿入されていて、ビジュアル的にも読者が理解し易い作りになっている。
20130418DATA3.jpg


ただ、目が肥えている野球好きには、本書は少々物足りなさを感じるかもしれない。ブログ開設以来、特にここ数年はNPB、MLB等を合わせて年間最低144試合以上(さすがに200試合はいかないと思う)を観戦している私だが、私のようなファンには本書で紹介されている29の視点の多くは、野球をより深く楽しむための基本的なことがらで、既に知っていて当たり前な部分も多かった。へええ!そうだったのか!という新鮮な驚きを得ることは、どちらかというと少なかった。

そんな中でも「なるほどねえ」と思わせるくだりや、既に知っていたけどココで改めて振り返ることができた点も多いのは事実だ。

その中から幾つか紹介してみよう。


真夏の炎天下でも長袖アンダーシャツを着るのはなぜか?

楽天・小山は春先の肌寒いときでも年中半袖のアンダーシャツでいるところから半袖魔神とも呼ばれていたりする。一方、真夏の炎天下でも長袖アンダーシャツの投手も存在する。その代表例が本書の著者・工藤氏なのだが、どうしてなのだろうか? その理由が紹介されているのだ。

それはクセ防止のためだという。

サイン交換後、投手はグラブの中で握りを変えて投球動作に入っていく。このとき、半袖だとグラブで握り変えているときの前腕筋肉の動きが打者に丸見えになってしまうという。つまり、筋肉の動きからこれから投げようとする球種がバレてしまう恐れがあるのだ。工藤氏はそれを嫌って、長袖アンダーシャツを着用していたと明かす。18.44mから筋肉の微細な動きが分かるのか?という疑問には、投手からも打者の目の動きがよく分かるので、向こうもよく見えるはずだと結んでいる。なるほどな、と唸らされた。

投手を軸回転で二分する!

投手のタイプを縦軸か?横軸か?に二分して、見どころを紹介するくだりも印象に残った。例えば、楽天の高堀だ。昨年終盤1軍で好投し、今年さらなる期待が待ち望まれている右投の26歳だ。183cmという長身を活かした勢いある速球が武器で、右足1本足で立った姿など岩隈を彷彿とさせる。しかし、長身から投げ込まれる速球がなかなか低めに決まらない。総じて球が高めなのだ。このことに歯がゆく感じている楽天ファンは多いはずである。

どうしてなのだろう?と思っていた矢先に本書を読んだから、目からウロコ。軸回転で投手は縦軸と横軸に分けられるのだという。

縦軸タイプは上背があって上から投げおろす投手。どちらかというと左右の制球には長けるが、高低のコントロールはアバウトになりやすい傾向にあるという。他球団では巨人・ホールトン、広島・永川、ソフトバンク・武田が該当すると説く。楽天・高堀はこのタイプなのだ。横軸タイプは平均的な身長の投手に多く、高低の制球を得意とするものの、左右のコントロールはつきにくいタイプなのだという。巨人・杉内やソフトバンク・攝津が代表例だという。このことを本書は図版入りで説明している。

イチローのレーザービームは、ありえない?!

外野のバックホームはワンバウンドが基本だという。イチローのレーザービームを拝んできた世代にしてみれば、少々意外な「視点」だった。確かに言われてみればワンバウンド返球は多い。ただそれは日本の外野手の肩がメジャーのように強肩ではないことに起因するのでは?と考えていた。本当はノーバウンドで投げたいところが、そこまでの送球能力がないためワンバウンドにならざるをえないのでしょ?と思っていたのだ。また、ワンバウンドだと捕手が送球を逸らす危険性もあるのでは?と思っていた。

ところが、そうではないと本書は教えてくれる。

ホームに届きそうな場面で、なぜノーバウンドではいけないのだろうか? 

これにはふたつの理由がある。ひとつはキャッチャー側の視点だ。キャッチャーは送球を見ると同時に、ホームに突っ込んでくるランナーの動きも感じなければならない。確実にワンバウンドで捕れると判断できれば、ランナーをブロックする準備ができる。

高い送球やワンバウンドするかどうかの微妙な送球だと、ボールを捕ることに意識を向けなくてはならない。こういうときに、ランナーと衝突してケガをしてしまったりするのだ。キャッチャーをケガから防ぐためにも、外野手にはワンバウンドスローが求められる。(本書135~136頁より引用)


投手の好調は2カ月、打者は1カ月~1カ月半

打者や投手の好不調のバイオリズムについても本書は教えてくれる。

先発投手の場合、イケイケの好調時は長いときで約2カ月は続くという。その中でも頭と身体両方が冴え渡っているのは年間でも数える程度。そのどちらかが冴えていて、どちらかが不調だったりするケースがほとんどだという。身体の調子がいまひとつでも、頭の冴えで好投する。のらりくらりと試合を作る投手にベテランが多いのは、調子が悪いなりにも抑えた経験を持っているためだからだと説く。

打者では調子の良いときは1カ月から1カ月半程度なのだという。そういえば、2009年に楽天・草野が打率3割を打った時、月間打率で3割越えをしたのは、3・4月の.525、5月の.348、10月の.324だけで6月から9月は3割を下まわっていたことを思い出す。

単純な「左対左」には否定的な工藤氏

先に紹介した「左対左」については、工藤氏は左投手というだけでは左打者を抑えるのは難しいと感じている1人である。オーバースローの投手がサイド気味にフォームを変更、左打者に角度をつけるピッチングで左のワンポイントとして生き残りを図るケースがしばしばあるものの、それにも懐疑的だ。「角度」をつけただけでは、やはり左打者を抑えるのは至難の業と説く。「角度」+「武器」が必要なのだと言う。

ワンポイントで活躍する絶対条件には、「特徴」を持っているかだ。サイドスローの場合は、オーバースローにはない「角度」が生まれる。左バッターからしたら背中のほうからボールがくる感覚になるだろう。ただ、これだけではいつか攻略される。大事なのは角度のほかに、どんな武器があるかだ。(本書28~29頁より引用)

この後、その武器を持つ左投手として、シュートを得意とするソフトバンクの森福、ストレートの球威がある日本ハム・宮西、左打者のインコースをツーシームで突く巨人・内海が成功例として紹介されている。また、球種が制限されることで左打者に投げづらさを感じる左投手も多いのだと言う。何を隠そう、工藤氏もそんな投手の1人だったと本音を明かしている。

左ピッチャーだから左バッターが有利とは決して言えない。有利になるのは、「特徴」を持った左ピッチャーのときだけである。(本書34頁より引用)


私が解説者・工藤公康氏の著書を読むのは今回が初めてだ。そのため、既発の著書と内容が重複するかどうか?の判断はできないことをお断りしておく。


本書を読んでいると、報道ステーションで解説をされているときの姿が目に浮かんでくるかのようである。

分かりやすい語り口で、野球の面白さ、魅力を伝えていく水先案内人としての工藤公康の視点が詰まっている。

野球をより深く堪能するための視点や見どころ、チェックポイントはそれこそ29には収まりきらないほどあるだろう。その中から29に絞り込んだ作業に工藤氏の視点を見る思いがする。なるほど、解説者・工藤公康はこういうところを特に留意して見ているんだなあ、その点を確認できるだけでも興味深いものがあった。

タイムマシンがあるなら、できれば野球に興味を持ち始めた過去の少年時代の自分に、本書をプレゼントしにいきたい。そんな1冊である。

例えば、もしこれをお読みのあなたにお子さんがいて、野球に興味を持ち始めて熱中している小中学生のお子さんがいらっしゃったら、本書をプレゼントしてみてはいかがだろう?  きっと、良きパパとしてお子さんの目に映るはずだ。

【終】


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■目次

006 はじめに

第1章 観戦時における投手11の視点

012 1 プロで活躍するピッチャーの見抜き方
018 2 調子が悪いなりに抑えられるピッチャーの見抜き方
024 3 「ピッチャーはアウトローが生命線」の本当の意味
028 4 「左ピッチャーは左バッターに強い」の真偽
036 5 キャッチャーのサインに首を振る意図
042 6 プロでけん制死が少ない理由
050 7 クセを盗まれないためのプロの技
054 8 ボールのキレとは何か?
061 9 緩急をつけるとはどういう意味か?
065 10 ピッチャーが考えるピッチングの組み立て方
069 11 先発向き? 抑え向き? タイプの見分け方

第2章 観戦時における捕手3の視点

074 1 「キャッチング」の見方
081 2 「配球」を知るためのポイント
092 3 キャッチャーの「配球」の考え方

第3章 観戦時における野手5の視点

100 1 ファーストのココを見ると、観戦がより楽しくなる
110 2 セカンドのココを見ると、観戦がより楽しくなる
117 3 サードのココを見ると、観戦がより楽しくなる
124 4 ショートのココを見ると、観戦がより楽しくなる
129 5 外野手のココを見ると、観戦がより楽しくなる

第4章 観戦時における打者5の視点

144 1 バッターボックス内の打者を見て、分かること
152 2 「3割」打てるバッターと打てないバッターの違い
158 3 代打で成功する選手の条件
162 4 打順から見えてくること
169 5 テレビ解説に出てくる曖昧な野球用語の本当の意味

第5章 観戦時におけるベンチ5の視点

180 1 投手交代を考える
187 2 勝てるチームの野球とは
192 3 監督とコーチの役割の違いとは
198 4 野球に「流れ」はあるのか?
202 5 監督の采配から見えること

特別編 観戦時に知っておきたい2の視点

208 1 サインの仕組み
214 2 ピッチャーの調整法

220 おわりに



◎◎◎最近書いた読書感想文◎◎◎
【書評】『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート2』(水曜社) 岡田友輔/道作/三宅博人/morithy/蛭川皓平/高多薪吾/Student/水島仁・著
【書評】 広尾晃 著『プロ野球なんでもランキング──「記録」と「数字」で野球を読み解く』(イーストプレス知的発見!BOOKS)
【書評】『スポーツアルバムNo.42 釜田佳直』(ベースボール・マガジン社)

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