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【犬鷲戦士達のWBC戦記録】 聖澤諒、田中将大、松井稼頭央のWBC2013まとめ

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少し時間が空いてしまったが、シーズンに突入する前のこのタイミングで、犬鷲戦士によるWBCのまとめを行っておきたい。

(ジョーンズは済みなので、候補になった聖澤含めて3人)

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■聖澤諒

33人の候補選手に選出された聖澤は、紅白戦で右翼線二塁打、左前安打と2本のヒットでアピールしたものの、惜しくも最終メンバーの選から漏れるかたちとなった。

「持っているものは出せた。悔いのない1週間だった。一番は経験であり一流選手と一緒に過ごしたことが大きなこと。チームに戻って、日本一目指して開幕に向けてしっかりと準備をしていきたい」と報道陣に語った聖澤だが、内心は心中複雑な気分だったかもしれない。

同じくセ盗塁王の中日・大島も漏れたこと、選ばれた足のスペシャリスト、ソフトバンク・本多がほとんど起用されなかったこと等を合わせて考えると、足の専門家よるスモールベースボールは、山本ジャパンの構想外だったことが確認できる。

台湾戦での鳥谷やプエルトリコ戦での井端、内川によるダブルスチールなど、積極的(というかバクチというか)に盗塁を仕掛けており、大会中の盗塁数7は出場国中最多を記録した。一方、盗塁刺4も最多となっており、ここにもどかしさを感じてしまう。

山本氏は現役時代231個の盗塁を決めており、決して「足」を軽視したわけではないと思う。ただ、その出自がアダとなった可能性はあるのかな?と思っている。山本氏が現役18年一筋で活躍した広島は、どの選手にも盗塁させてくる走塁意識の高いチームだった。1球団でできたことが日本代表レベルの選手にできないはずはないという思いがあったのではないだろうか。このことが、最終メンバーを選ぶ際、1つの評価基準になってしまったのでは?と推測している。

話が逸れた。

久米島初日、WBC打撃コーチ・立浪氏の「打率.330ぐらいで首位打者を狙える選手だと思う。スタンスが大きくて縦の軸がぶれている」との指摘を受け、聖澤いわく「縦の軸がぶれないように右足を上げる高さを低くして、踏み出す幅も少し狭くしている」という打撃フォームの修正に取りかかった。バッターボックスの前方にバットを1本置き、これ以上踏み出してはいけないというラインを作ったり、iPadでフォームの映像を確認したりと、打撃練習に汗を流していたことを覚えている。

代表合宿帰り直後は、オープン戦、練習試合で7試合連続安打。「打撃に関して代表合宿でつかんだものがあって、いい結果も残せた」「合宿でつかんだものを継続して出せた」「代表合宿で培った打撃が生きている。いい形で結果に表れている」と手応えを口にしていたが、終盤、快音が聞かれなくなり、結局、対外戦打率.246、オープン戦打率.241で終えている。

早めの調整で身体を仕上げてきたが、シーズンを前にしたこの時期にちょうど疲れが出たと言えるのかもしれない。なお、聖澤のオープン戦打撃成績については、別途、エントリーを設ける予定


■田中将大 WBC2013 試合別 投手成績



まさかのWBCになった。

春季キャンプ初日、視察に訪れた山本監督から直々に第1ラウンド初戦3/2ブラジル戦の先発を言い渡された田中。WBC代表合宿が始まる前まで、マエケンと共に侍ジャパンの盤石な二枚看板を形成する予定だった。ところが、まさかのWBCになってしまった。

確かに久米島の紅白戦、ベンチで田中の球種を見抜いたジョーンズの助言を受け、バッターボックスのマギーが田中の速球を叩きスタンドまで運ぶというアクシデントはあったが、当時はそれでも照準を合わせてくれるだろうという思いのほうが強かった。今から考えれば、この一撃がその後の田中を暗示する符丁になったのだろうし、「滑るボールを滑らなくしてしまっては意味がない」という田中のWBC球への考えが、考えてみれば結果的にピッチングを苦しくさせてしまったのかな?と思う。

サムライブルーに袖を通しての初の実戦マウンドは、2/17広島との強化試合だった。先発した田中は1回2死から3連打で2失点。いずれも甘く入った速球をライナー性の弾道で外野へ弾き返されてしまうもので、二塁打も1本浴びている。

2/23オーストラリアとの壮行試合、我々は本番を前にして不安が大きくなってしまう光景を目撃することになる。

先発した田中が投じたその初球(今、記録を見返したら2番打者の初球かもしれない)だった。高めに大きくはずれた球は立ちあがった阿部も捕球できないほどの高さに抜けていき、後方のバックネットに直接当たる大暴投。その後、2四球1安打で1死満塁のピンチから、信じられない押し出しデッドボールで先制を許す。結局、3回4安打3四死球2失点という、田中のピッチングメカニズムに明らかな狂いが生じていることを内外につきつけたかたちの数字となった。

WBC本番。第1ラウンド初戦、3/2ブラジル戦でも修正されず僅か7球で失点。結局、2回4安打1失点だった。3回には田中の姿はもはやマウンド上に見つけることはできず、という異常事態。田中が2回でマウンドを退いたのは、ここまでのプロ人生、2012年7/29西武戦(2回5安打5失点)の1試合があるだけである。この時にはもう、昨年夏に勝てない時期が続いた悪い時の田中そのものだった。

ようやく復調の気配が感じられるようになったのが、第1ラウンド突破を既に決め、1位2位の順位決定戦となった3/6キューバ戦からだ。

ビハインドの状況で救援登板し2回3安打1失点。マウンド上での東尾コーチの訓示が奏功したのか、点を失ってからようやく生気を取り戻したようにみえた。久米島キャンプで「封印」したカーブを解いた。

このカーブについて、3/12オランダ戦の解説を務めた桑田真澄氏のコメントが印象に残っている。

「カーブは上体が突っ込んでしまうと投げることができない球種なんですよ」。

力みまくり、ばらついたフォームを落ち着かせるためにも、カーブを投げ始めたのが奏功した。緩急を意識させて追いこみ、打者5人を連続空振り三振劇。この時の“ほろ苦の奪三振ショー”が、幻となったWBC決勝戦の先発投手へとつながっていく。

立ち直りのきっかけを得たかにみえた田中は、第2ラウンドの台湾戦、まさかの晴天の霹靂に遭う。

6回裏、2点を追う展開で三番手で登板した田中は、侍ジャパンに「流れ」を呼び込む力投。2イニングを4個の奪三振含む三者凡退に退けると、直後の攻撃回、味方打線が2点を奪取。追いつくことに成功する。しかし、3イニング目となった8回、追いこむ前の球を狙われ、まさかの3連打で致命的な1点を失っていた。その後、鳥谷、井端の活躍がなければ、田中の心はポッキリ折れていたかもしれない・・・

悩み、苦しみ抜いた2回目のWBCとなった。

予想外の結末で、ファンとしても正直残念な思いはあるものの、近い将来メジャーでプレーする田中の近未来を見据えた時に、かえって、ここで「異文化の洗礼」を浴びたのは良かったのかもしれないとも思う。

メジャーの舞台は様々な国から選手が集まる「異文化の見本市」だ。個性のある球場も多く、気候も寒冷の差が激しい。そういった意味で、今大会は田中にとって良い教訓となったはずだ。

「速い球を投げる投手はたくさんいるし、それだけでは抑えられないのがよく分かった」と田中は語る。報道によると大会期間中、カーブの球を抜く感覚を覚えたという。戻って来てからの最初で最後のオープン戦、3/23巨人戦ではカーブを積極的に用い、3回で5奪三振無失点。

「手応えを感じています。以前のカーブより良い。(6回は)ピンチでカーブで三振なんて今までなかった。相当、勇気がいること。僕のイメージにカーブはない。意識させれば他の球も有効になる」と、新たな投球術に手応えを感じるコメントとなった。

メジャー挑戦を前にして、ここまで積極的に用いてこなかった「緩急」が加わる2013年の田中将大。スタートはホーム開幕戦か予定されているが、今までとは違う姿を見せてくれるはずだ。


■松井稼頭央 WBC2013 試合別 打撃成績
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今大会の侍ジャパンで唯一メジャー経験を持つのが松井だった。

二塁を守る鳥谷や本多に対し、相手走者が激しく突っ込んでくるスライディングの交わし方をレクチャーしたり、米国に渡ってからはミニキャンプを張ったアリゾナで天然芝対策を鳥谷らに伝授するなど、侍ジャパンを支え続けた。

本番を前にした紅白戦、オーストラリアとの壮行試合、巨人との境界試合では合計8打数4安打の.500。二塁打、三塁打が1本ずつと元気の良さをみせていた松井だが、前後して腰に軽い張りを訴え、何日か大事を取ることに。その後をみるに中国戦やキューバ戦などスタメン出場していること等から、決して重度ではなかったと言えるものの、腰の張りをきっかけに調子に狂いが生じていったことは確かだろう。

ラインアップが徐々に固まり出したこともあり、第2ラウンド以降はスタメンをはずれることが多かった。レギュラークラス、主軸ではないだけに、思うように打撃練習に精を出すこともできなかったはずだ。腰の影響とあいまって、本番に入ってから1本もヒットが出なかったという成績は、そういった所に起因しているはずだ。

松井のバットからようやく快音が飛び出したのは、帰国後オープン戦6打席目、3/24巨人戦でのことだった。最後にヒットを打った2/28巨人との強化試合以来、実に約1カ月、22打席ぶりのヒットとなった。

開幕直後、松井での打撃での本調子ではない様子は続くのかもしれない。開幕投手、田中の疲労を考慮して則本を指名した星野監督。同様のことは松井に対しても言えることで、シーズンに入ってから松井をどのように起用していくか?その運用にも注目していきたいと思う。


※以上で、シリーズ「犬鷲戦士達のWBC戦記録」を終わりにします。



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