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〔書評〕『プロ野球選手ホントの実力』(オークラ出版)~知ってるようで知らない野球の指標、教えます!

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プロ野球選手ホントの実力』(オークラ出版)

(2012年11/8発売、定価1,365円、本体1,300円、タテ21cmXヨコ14.8cm)




セイバーの入り口に立ったばかりの初心者にお薦めできる
セイバーメトリクスを紹介する理想の入門書
2012年データ使用


上記の本、一巡目読了しましたので、感想文を書いてみたいと思います。

オフになり2012年を総括する野球本が書店の店頭に並ぶ季節となってきましたが、その中で、2012年の成績を用いてセイバーメトリクスを紹介している一冊が本書です。

昨年秋に映画『マネーボール』が公開され、今年に入ってから各分野でビッグデータの活用術が叫ばれる昨今です。プロ野球ファンの中でも、野球統計学のセイバーメトリクスに興味を抱き、気になってしかたがない!もっと詳しく知りたい!という方、増えているのかもしれませんよね。

セイバーメトリクス本は当ブログでも幾つか御紹介してきました。『日本ハムに学ぶ勝てる組織づくりの教科書』『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1』『セイバーメトリクス・マガジン1』といった、元データスタジアム~現デルタの岡田友輔氏を中心とするグループによる一連の書籍です。

これら3冊は、セイバーメトリクスの森に足を踏み入れた野球好きが「もう一歩」奥を探求していきたいという時にオススメの本だと思います。中級編といえるかもしれません。

一方、その入り口でどうしようか?と逡巡しているビギナー層の野球好きに向けて、セイバーメトリクスの概念を易しく紹介する「入門編」の書籍は入手困難となっていました。

昔は、07年成績を用いた『野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス』(宝島社)、09年成績を使った『プロ野球本当の実力がわかる本』(日刊スポーツ)の2冊が「入門編」として発売されていましたが、どうやら久しく絶版のようです。また、概念はともかく、使用データが古いため、現在のビギナー層は手が伸ばしにくいのも実情でした。

そのギャップ、不満を解消してくれそうなのが、本書なのであります。




サイズはA5判。176頁の白黒刷り。ぺらぺらめくると、活字が大きいのが特徴的です。文章は縦書き。

5つの章だてで構成されています。


Chapter1「セイバーメトリクス解説 野手編」11頁
Chapter2「セイバーメトリクス解説 投手編」55頁
Chapter3「野球の基礎指標解説」87頁
Chapter4「セイバーメトリクスで見る伝説の選手の実力」105頁
Chapter5「2012プロ野球DATA」125頁

Column
18 なぜイチローは評価されないのか?
86 ドラフト1位、甲子園のスターをセイバーメトリクスで分析 藤浪晋太郎
104 オフの大型補強、結局得をしたのはどっちの球団? 2012村田修一 FA移籍



まず、最初の5ページでセイバーメトリクスのあらましや考え方について、ざっくりですがポイントをおさえて触れています。


◎セイバーメトリクスの歴史
◎セイバーメトリクスが考える既存の評価基準の矛盾点



▼「記録員の『主観』が影響するエラーの問題点」「攻撃で最重要視すべきは“アウトにならない”こと」「投手にはまず与四球と被本塁打を防ぐ事を求める」。3つの文章構成で、セイバーの基本的な考え方が簡潔に記されている。本書8~9頁より。
20121125DATA6.jpg


その後、Chapter1「セイバーメトリクス解説 野手編」Chapter2「セイバーメトリクス解説 投手編」で、下記に記したセイバーメトリクスの各指標について説明がされています。

上記の中から主な指標については、2012年セパ別で当該指標のランキングが掲載されており、さらに、象徴的な選手を1、2名ピックアップし、それぞれ1頁の紙幅を割いて解説をしています。

本書に好感持てるところは、幾つかの指標で設けられている「注意点」という囲い込みコラムでしょう。野球の新たな見方を提供するセイバーメトリクスの各指標ですが、決して万能ではなく、それぞれの抱えている欠点や評価から漏れ落ちてしまっている部分もあるのです。その点を丁寧に指摘、鵜のみすることのないよう注意喚起を与えています。

例えば、BABIPでは守備力の高いチーム、球威のない投手、俊足打者はこの数値が高めに出る傾向があると述べられており、IsoPでは単純に長打の割合のみを算出するため、長打も打てるアベレージヒッターより三振かホームランか?というタイプの打者のほうが数値が高く出る傾向もあると指摘されています。


野手
OPS、GRA、BABIP、IsoP、IsoD、BB/K、RC/RC27、TA、AB/HR、PA/K、NOI、wOBA、wRAA、wRC、Spd、SecA、RF、ZR、UZR、DRS、その他の指標~野手~

投手
WHIP、DIPS、QS/QS率、K/BB、被OPS、BB/9、HR/9、PR、RSAA、LOB%、援護率、被長打率、被出塁率、その他の指標~投手~



▼本書30~31頁より。IsoDについて記述されているくだり。
20121125DATA7.jpg


▼本書48~48頁より。SecA、RFの箇所。
20121125DATA8.jpg


▼本書68~69頁。「K/BBこの選手が凄い!!」として、NPBからは楽天の田中将大を、MLBでは上原浩治をピックアップ。いかにこの二人が傑出しているか?を1ページの紙幅を割いて記述されている。
20121125DATA9.jpg


セイバー指標の説明がなされた後、2012年のセパベストナインをセイバーメトリクスの観点から選出しています。
出塁率・BB/K重視型とOPS・長打率重視型の2バージョンを掲載。下記に選考基準についてコメントもつけられています。


▼本書84~85頁。2012年パリーグセイバーメトリクス的ベストナイン
20121125DATA11.jpg

今さら他人には聞けない打率や防御率など基礎指標の解説も

セイバーの解説がひととおり終了した後、Chapter3「野球の基礎指標解説」。87頁から104頁にかけて、恥ずかしくて今さら他人に聞けない指標や数値の算出方法や何を評価しているのかを、念には念をいれた丁寧な語り口で述べられています。


打率、出塁率、長打率、防御率、奪三振率、得点圏打率、盗塁成功率、守備率、盗塁阻止率


往年の名選手をセイバーで斬る!

105頁から始まるChapter4「セイバーメトリクスで見る伝説の選手の実力」では、球史に名を刻む下記の往年の名選手についてセイバー指標を用いてその魅力に迫っています。


王貞治・・・セイバーメトリクスでもあきらかな凄過ぎる記録
長嶋茂雄・・・豪快な空振りも絵になる男の記録をあえて振り返る
野村克也・・・メジャーの一流は破格だが日本の超一流も負けてない!
張本勲・・・イチローとの比較で浮き彫りになる張本の凄さ

金田正一・・・突出したデータはないが各項目で高水準を記録
稲尾和久・・・鉄腕はちぎれるほど腕振りセイバーメトリクスも超級
江夏豊・・・セイバーメトリクス的には際立つ凄みは感じられない?

スタルヒン・・・K/BBは低めだが、WHIP値は剛腕級の実力
杉浦忠・・・セイバーメトリクスでわかった杉浦の本当の“悲運”
沢村栄治・・・データは少ないが、剛腕の荒れ球投手だったと推測



「神様、仏様、稲尾様」と呼ばれた稲尾和久がセイバーメトリクスでの類を見ない傑出した数字を叩き出している点や、南海で活躍、日本シリーズ4連投4連勝で知られる杉浦忠については、セイバーメトリクスでわかった杉浦の本当の“悲運”について触れられています。いわく、登板過多による酷使で、晩年は血行障害に苦しんで思うようなパフォーマンスができなかったというのは、画一的な見方なのでは?と指摘。

どういうことか?と言いますと、杉浦の通算成績を先発(58~64年)と救援(65~70年)に分け、それぞれのWHIP、K/BBを求めると下記のようになります。

WHIP=《先発》0.98、《救援》1.05
K/BB=《先発》5.00、《救援》4.35

本書はこのように述べています。

数値自体、そこまで大きく低下しているわけではない。むしろ、先発時代の数値が飛び抜けているだけであって、リリーフ転向後も十分に超一流レベルと呼べる記録である。

これを見ると、杉浦の晩年は決して成績を低下させてしまったのではなく『リリーフに転向して活躍した』という見方もできるのではないだろうか。

杉浦の本当の“悲運”は、登板過多でも血行障害でもなく、彼がプレーした“時代”にまだリリーフ投手への評価が確立されておらず、投手には先発完投、長い投球回が求められていた事にあったのかもしれない。



▼本書122~123頁。杉浦忠のページ。往年の名選手はそれぞれ年度別の通算成績表も掲載されている。
20121125DATA10.jpg

初心者に終始優しい丁寧な語り口。
読者を置いてけぼりにしない最適なセイバー入門書


Chapter5「2012プロ野球DATA」では2012年のセパ球団別、選手別のデータを搭載しています。

一読しての印象は、セイバーメトリクスをこれから知っていきたいという初心者向けに、ものすごく丁寧で平易な語り口で説明がされている点です。簡潔に書かれているのですが、抑えなければならない要所はしっかり抑えています。その難解さで読者に“置いてけぼり感“を味わわせることは、まず、ないのでは?と思えるほどで、入門編としては合格点以上だと思われます。

個人的な感想

最後に、個人的な感想を幾つか記しましょう。

上記で紹介した中級編の書籍を複数読んでいらっしゃる私のような野球好きにからすれば、物足りなさを抱いてしまうのは、正直、否めません。

個人的にはレンジファクターの項目を期待していました。Amazonの商品説明欄に「“守備率が高い=守備が巧い"はウソ?」とあり、RFも出てくるのだなと確信。パリーグは自ら苦労して調べあげましたが、セリーグが知りたかったため、数値も掲載されているだろうなと期待していました。ところが、その掲載はありませんでした。

紹介されているセイバー指標の中で、ランキングで数値の紹介があるのは主な指標に止まりました。言い換えれば、幾つかの無料記録サイト(「プロ野球ヌルデータ置き場」さんとか)で公開されている指標です。

私達が少し手間をかければ自分でも算出できる数値に止まり、データスタジアムさんなどスポーツデータ解析会社の力を借りなければ分からない指標(RF、ZR、UZR、wOBA、wRAA、wRC等)の掲載はなかったのです。ここは個人的に強く期待してきたところだっただけに、少々ガックリしました。

紹介されていた盗塁阻止率の計算式も厳密に言えば正しくありませんでした。本書には「盗塁刺殺÷相手チームの盗塁企図数」とありましたが、より正確を期すなら、正しくはありません。

ダブルスチールの場合には盗塁企図が2個記録されますが、盗塁阻止率で扱う時は1つと見なしてカウントします。また、投手の牽制で誘い出されて塁間で挟死したケースが盗塁刺として記録されていることがあります。これも盗塁阻止率の時にはカウントしなかったはずです。

Chapter5「2012プロ野球DATA」も、データが少ない印象を受けました。センバーでは投手はWHIP、QS率、K/BB、被OPS、野手はOPS、IsoP、BB/Kに止まり、本書で紹介のあったその他のセイバー指標は記載がなく、前述した『野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス』『プロ野球本当の実力がわかる本』と比べても、物足りなさを抱いてしまうのです。

幾つか不満点を記してきました。しかし、そう感じてしまうのは私だからというのもあるでしょう。

セイバーの魅力にこれからどっぷり浸かっていきたいとするビギナー層にとっては、最適の、理想の入門書であることは、言うまでもありません。


◎◎◎関連記事◎◎◎
〔書評〕岡田友輔=編集・発行。道作、蛭川皓平、森嶋俊行・・・著『セイバーメトリクス・マガジン1』(デルタクリエイティブ)
〔書評〕赤坂英一『2番打者論』(PHP研究所) 「2番」を打とうと野球を始める人は少ない。だが、野球を知れ知るほど「2番」ほどおもしろい役割はない
〔書評〕鳥越規央&仁志敏久『プロ野球のセオリー~「データ」は「経験」を越えるのか』(ベスト新書)

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読書感想文を書きました>『セイバーメトリクス・マガジン1』
“考える野球好き”は今オフ必読の1冊です。コチラで読書感想文を紹介しております
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