【戦評】 雄星攻略を決定づけた4番・今江の虎視眈々7号ソロ~2018年7月20日○楽天イーグルス7-2西武
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◎コテコテの巨人ファンがナベツネ教を脱会し、東北楽天ゴールデンイーグルスに一目惚れしたその理由
菊池雄星への苦手意識を完璧に払拭する快勝で、今季2度目の4連勝を決めた。
13連勝を許したのは、もはや完全に過去の話になった。
今季は4/13を皮切りに、菊池から1試合5得点以上を挙げたゲームが本戦で4度を数えるのだ。
「攻略の糸口」は、107球を投げた菊池の50球目だった。
今季4度目になった塩見vs菊池の同15回戦は、4回終了時までスコアは0-0。
楽天は2回に6番・アマダーが、翌3回にも8番・ペゲーロが、いずれもゲッツー。
両外国人が拙攻を繰り返し、イヤな雰囲気になりかねないゲーム展開だった。
そのなか5回表、ゲームの主導権を手繰り寄せたのが、50球目を仕留めた4番・今江の大仕事だった。
一振りで仕留めた50球目は、2-1からの内角140キロスライダー撃ち。
左翼スタンド中段に運ぶ7号ソロのホームラン談話によると、渡辺直に打撃のアドバイスを受けて、それが実った大当たりだったという。
西武時代に菊池を間近で見てきたベテランの助言も確かに大きかった。
その金言に加えて、今季の今江は14打数4安打3打点、1二塁打、6三振、1四球の打率.286。
菊池を苦手にしていなかったことも、これまた大きいと思うのだ。
今江は良く分かっていた。
菊池の快投を支えているのが右打者スライダーだということを。
《参照》菊池雄星の躍進を支えた“バックフット・スライダー”(Baseball Gate)
下記表のとおり、今江は「菊池快投の源泉=右打者スライダー」を虎視眈々と狙ってきた。
ヒット4本中3本はスライダーを仕留めたもの。
この3本は楽天右打者による菊池スライダー撃ちヒットの最多にもなっている。
■2018年 今江年晶vs菊池雄星 対戦成績
※本戦の試合前データ

本戦7号ソロの結果球も、前述どおり2-1からの内角140キロスライダーだった。
じつは空三振に倒れた1打席目からの「伏線」があった。
その三振は、初球、2球と内角スライダーをファウルにして追い込まれた後、1球ボールを挟んで内角低めに決まるスライダーにバットが空を切ったものだった。
つまり、スライダーを3球仕留め切れなかった三振だった。
それだけに、ぼくは2打席目を注視した。
菊池攻略にはスライダー撃ちが必須と考える今江が、スライダーでヤラれた1打席目を踏まえた上で、リベンジのスライダー撃ちをみせるのでは?と感じたからだ。
一方、二匹目のドジョウとばかりに、2打席目でも今江に対し、西武バッテリーはスライダーを投げるのか?投げないのか?
そこにも注目していたが、初球真っすぐでボールから入った1-0後、スライダーを3球連続で投げてきた。
スライダーの球筋をしっかりインプットした今江は、1打席目から数えて6球目のスライダーを見事に仕留めたというワケなのだ。
西武バッテリーは、今江対策が十分ではなかったと言えそうだ。
今季ここまで今江が菊池からどの球種でヒットを弾き返してきたのかの情報共有がバッテリー間でおざなりになっていた。
今江のスライダー撃ち7号ソロは、その後、菊池のスライダーに変化をもたらしていた。
今江が本塁打を打つ直前までの同21球の結果は以下のとおり。
空振り 3球 (空三振3個含む)
見逃しストライク 7球
ストライク寄与ファウル 2球
2ストライク以降ファウル 3球
ボールカウント 6球
凡打 2球
21球中14球が菊池有利の結果になっていた。
今江の本塁打後は、その一発を含めた同18球の結果は、下記のとおりだ。
空振り 1球
ストライク寄与ファウル 1球
2ストライク以降ファウル 3球
ボールカウント 11球 (四球1個含む)
安打 2球
菊池有利の結果はわずか2球だけ。
一発を浴びたことで投球が慎重になり、腕を振ることができなくなった。
楽天打者の集中力が高まり、しっかりとした見きわめができたということだと思う。
今江の先制弾、ペゲーロのタイムリー二塁打で2点取った後、9番・嶋が粘りをみせて10球目に四球をもぎ取ったのも、膝元スライダーをみきわめての出塁になった。
翌6回、4点挙げた口火を担った先頭・茂木のヒットも、外角低めのスライダーにくらいついた結果だった。
今江の一発が、菊池攻略を導き、菊池の投球に変化を生じさせたといえるのだ。
4番の大仕事で勝利を飾った楽天は後半戦4連勝!
平石新体制では最多の貯金4、12勝8敗とした。
7月成績も6勝5敗と1つ勝ち越し、今季初の月間勝ち越しの希望が出てきた。
チーム成績は6位、83試合33勝49敗1分の勝率.402、借金を6/7以来の16へ。
ゲーム差は1位・西武と14.5、2位・日本ハムと13.0、3位タイのソフトバンク、オリックスと9.0、5位・ロッテも勝利したため8.0は変わらずとなっている。
(下記へつづく)
両軍のスタメン
楽天=1番・田中(中)、2番・茂木(遊)、3番・島内(左)、4番・今江(三)、5番・銀次(一)、6番・アマダー(指)、7番・渡辺直(指)、8番・ペゲーロ(右)、9番・嶋(捕)、先発・塩見(左投)
西武=1番・秋山(中)、2番・源田(遊)、3番・浅村(二)、4番・山川(一)、5番・外崎(三)、6番・中村(指)、7番・木村(右)、8番・金子侑(左)、9番・炭谷(捕)、先発・菊池(左投)
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2018年7月20日という日は、楽天復帰後の渡辺直を語るのに欠かせない「絶好のショーケース」になった。
今江の7号ソロを生み出した金言もさることながら、自身も7番・二塁で先発し躍動。
守備では3回1死後、藤田の十八番を奪う好プレーが飛び出している。
1番・秋山の打球は、中前行きのヒットコース。
2塁の右横、セカンド左を射抜こうかというゴロ打球だった。
これを球際で追いつき、逆シングルからの1塁ジャンピングスロー。
間一髪のプレーは1度はセーフ判定になったが、すかさずベンチを飛び出した平石代行のリクエスト要求で検証後に判定が覆る見事なアウト獲得劇になった。
打撃では、四球、四球、右中三、見三振、3出塁3打点だ。
今江と同じく渡辺直もスライダーの見きわめがカギと分かっていた。
2個の四球は菊池が繰り出すスライダーを始めとした内角誘い球をしっかり見きわめたもの。
解説・橋本武広さんも「ベテランらしい配球を読んだ出塁」と称えた。
6回はチームが今季初めて作った無死満塁のチャンスで6番・アマダーが3球三振に倒れた直後の仕事になった。
149キロ速球を力強く弾き返した当たりは、菊池にトドメを指す走者一掃のスリーベースになっている。
これで渡辺直は2安打を放った6/29西武戦(○E15-1L)を起点に、14打数6安打5打点、1二塁打、1三塁打、3三振、4四球、1死球、1犠打。
6/22には.194だった打率も本戦終了で.260まで一気に上昇、ベテランが存在感を発揮している。

9回、打者34人、104球、被安打7、被本塁打0、奪三振7、与四死球0、失点2、自責点2。
ルーキーイヤーの2011年7/16オリックス戦以来、7年ぶりの完投勝利を飾った。
楽天先発投手の今季完投は、岸の2回、則本の2回に続く3人目5度目だ。
これで今季成績は6登板38回を投げて防御率3.32、2勝1敗、被打率.229、WHIP0.92、QS率50.0%になった。
過去最高の8.05を記録する奪三振率もさることながら、特筆すべきは38回、打者144人と対戦して四球わずか2個にとどめていることだろう。
四球1個出す間に何個の三振を奪ったかという投手のプリミティブな能力を表すK/BBでは、異次元の17.00を記録する。
この値、どれだけ凄いかというと、今季パリーグで30イニング以上投げた53人中ダントツの1位。
2位が岸の6.44だから、頭4~5個ぶん飛びぬけた完全独走状態といってよい。
もっと言うなら、強力打線の西武を相手に29回を投げながら四球わずか1個のみ。
ボールを出さない制球力の凄さは、75.0%を記録した本戦のストライク率をみても分かる。
試合後、敵軍の辻監督は塩見のストライク率が90%だったと語っていたが、おそらく肌感覚では90%に感じたのだろう。
近年は140キロに届かなかったストレートが今季は140キロ超えが増え、本戦平均は141.3キロ。
力強さを取り戻した真っすぐに加え、ここまでほとんど投げてこなかったシュートを今季は多用する。
さらにスライダー、フォーク、カーブといった複数変化球も機能し、緩急にストライクゾーン内外高低を活用した組み立てができている。
そのことを良く表すのが、2ストライク目の攻防だ。
ぼくはかねがね、最も重要なストライクは2ストライク目だと思っている。
もちろん初球ストライクも大切だが、それ以上に2ストライク目に注目している。
というのは、打者の打率が大幅に下がるのは1ストライクから2ストライクになったときだからだ。
当然、打者もそのことをわかっているので、2ストライク目は必死にアプローチしようとする。
実際、本戦でも追い込む前の結果は、27打数7安打、1二塁打の被打率.259。
一方、2ストライク以降では15打数ノーヒット7三振の被打率.000だった。
本戦はその2ストライク目の取り方が秀逸だった。
打者15人から奪った2ストライク15球の内訳は以下のとおり。
空振り 4球
見逃しストライク 4球
ストライク寄与ファウル 7球
打者がバットを振ってくる場面も多かったが、空振りやファウルを打たせて打球を前に飛ばさせずに追い込むことに成功している。
塩見の制球や球威、投球術が良好であることを良く示すデータだと思う。
それにしても、ぼくは今年30歳を迎える塩見にこれだけの力が残っていたことに驚きだ。
近年は腰痛に繰り返し悩まされ、昨年は登板間隔に配慮を受けながらマウンドに登っていた。
今年も2月に腰痛を再発、キャンプでは別メニュー調整を余儀なくされ、今季初登板も5月に入ってからだった。
思わぬ塩見のエース級の好活躍、今後も楽しみになる完投勝利だった。
...というような試合評やデータをもとにした分析コラムを、今季も主に「まぐまぐメルマガ」「note」で情報発信しています。
みなさんも僕たちとともに後半戦の平石楽天を注視していきましょう!
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菊池雄星への苦手意識を完璧に払拭する快勝で、今季2度目の4連勝を決めた。
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「攻略の糸口」は、107球を投げた菊池の50球目だった。
今季4度目になった塩見vs菊池の同15回戦は、4回終了時までスコアは0-0。
楽天は2回に6番・アマダーが、翌3回にも8番・ペゲーロが、いずれもゲッツー。
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一振りで仕留めた50球目は、2-1からの内角140キロスライダー撃ち。
左翼スタンド中段に運ぶ7号ソロのホームラン談話によると、渡辺直に打撃のアドバイスを受けて、それが実った大当たりだったという。
西武時代に菊池を間近で見てきたベテランの助言も確かに大きかった。
その金言に加えて、今季の今江は14打数4安打3打点、1二塁打、6三振、1四球の打率.286。
菊池を苦手にしていなかったことも、これまた大きいと思うのだ。
今江は良く分かっていた。
菊池の快投を支えているのが右打者スライダーだということを。
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下記表のとおり、今江は「菊池快投の源泉=右打者スライダー」を虎視眈々と狙ってきた。
ヒット4本中3本はスライダーを仕留めたもの。
この3本は楽天右打者による菊池スライダー撃ちヒットの最多にもなっている。
■2018年 今江年晶vs菊池雄星 対戦成績
※本戦の試合前データ

本戦7号ソロの結果球も、前述どおり2-1からの内角140キロスライダーだった。
じつは空三振に倒れた1打席目からの「伏線」があった。
その三振は、初球、2球と内角スライダーをファウルにして追い込まれた後、1球ボールを挟んで内角低めに決まるスライダーにバットが空を切ったものだった。
つまり、スライダーを3球仕留め切れなかった三振だった。
それだけに、ぼくは2打席目を注視した。
菊池攻略にはスライダー撃ちが必須と考える今江が、スライダーでヤラれた1打席目を踏まえた上で、リベンジのスライダー撃ちをみせるのでは?と感じたからだ。
一方、二匹目のドジョウとばかりに、2打席目でも今江に対し、西武バッテリーはスライダーを投げるのか?投げないのか?
そこにも注目していたが、初球真っすぐでボールから入った1-0後、スライダーを3球連続で投げてきた。
スライダーの球筋をしっかりインプットした今江は、1打席目から数えて6球目のスライダーを見事に仕留めたというワケなのだ。
西武バッテリーは、今江対策が十分ではなかったと言えそうだ。
今季ここまで今江が菊池からどの球種でヒットを弾き返してきたのかの情報共有がバッテリー間でおざなりになっていた。
今江のスライダー撃ち7号ソロは、その後、菊池のスライダーに変化をもたらしていた。
今江が本塁打を打つ直前までの同21球の結果は以下のとおり。
空振り 3球 (空三振3個含む)
見逃しストライク 7球
ストライク寄与ファウル 2球
2ストライク以降ファウル 3球
ボールカウント 6球
凡打 2球
21球中14球が菊池有利の結果になっていた。
今江の本塁打後は、その一発を含めた同18球の結果は、下記のとおりだ。
空振り 1球
ストライク寄与ファウル 1球
2ストライク以降ファウル 3球
ボールカウント 11球 (四球1個含む)
安打 2球
菊池有利の結果はわずか2球だけ。
一発を浴びたことで投球が慎重になり、腕を振ることができなくなった。
楽天打者の集中力が高まり、しっかりとした見きわめができたということだと思う。
今江の先制弾、ペゲーロのタイムリー二塁打で2点取った後、9番・嶋が粘りをみせて10球目に四球をもぎ取ったのも、膝元スライダーをみきわめての出塁になった。
翌6回、4点挙げた口火を担った先頭・茂木のヒットも、外角低めのスライダーにくらいついた結果だった。
今江の一発が、菊池攻略を導き、菊池の投球に変化を生じさせたといえるのだ。
4番の大仕事で勝利を飾った楽天は後半戦4連勝!
平石新体制では最多の貯金4、12勝8敗とした。
7月成績も6勝5敗と1つ勝ち越し、今季初の月間勝ち越しの希望が出てきた。
チーム成績は6位、83試合33勝49敗1分の勝率.402、借金を6/7以来の16へ。
ゲーム差は1位・西武と14.5、2位・日本ハムと13.0、3位タイのソフトバンク、オリックスと9.0、5位・ロッテも勝利したため8.0は変わらずとなっている。
(下記へつづく)
両軍のスタメン
楽天=1番・田中(中)、2番・茂木(遊)、3番・島内(左)、4番・今江(三)、5番・銀次(一)、6番・アマダー(指)、7番・渡辺直(指)、8番・ペゲーロ(右)、9番・嶋(捕)、先発・塩見(左投)
西武=1番・秋山(中)、2番・源田(遊)、3番・浅村(二)、4番・山川(一)、5番・外崎(三)、6番・中村(指)、7番・木村(右)、8番・金子侑(左)、9番・炭谷(捕)、先発・菊池(左投)
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渡辺直人のショーケース
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守備では3回1死後、藤田の十八番を奪う好プレーが飛び出している。
1番・秋山の打球は、中前行きのヒットコース。
2塁の右横、セカンド左を射抜こうかというゴロ打球だった。
これを球際で追いつき、逆シングルからの1塁ジャンピングスロー。
間一髪のプレーは1度はセーフ判定になったが、すかさずベンチを飛び出した平石代行のリクエスト要求で検証後に判定が覆る見事なアウト獲得劇になった。
打撃では、四球、四球、右中三、見三振、3出塁3打点だ。
今江と同じく渡辺直もスライダーの見きわめがカギと分かっていた。
2個の四球は菊池が繰り出すスライダーを始めとした内角誘い球をしっかり見きわめたもの。
解説・橋本武広さんも「ベテランらしい配球を読んだ出塁」と称えた。
6回はチームが今季初めて作った無死満塁のチャンスで6番・アマダーが3球三振に倒れた直後の仕事になった。
149キロ速球を力強く弾き返した当たりは、菊池にトドメを指す走者一掃のスリーベースになっている。
これで渡辺直は2安打を放った6/29西武戦(○E15-1L)を起点に、14打数6安打5打点、1二塁打、1三塁打、3三振、4四球、1死球、1犠打。
6/22には.194だった打率も本戦終了で.260まで一気に上昇、ベテランが存在感を発揮している。

9回、打者34人、104球、被安打7、被本塁打0、奪三振7、与四死球0、失点2、自責点2。
異次元のK/BB
ルーキーイヤーの2011年7/16オリックス戦以来、7年ぶりの完投勝利を飾った。
楽天先発投手の今季完投は、岸の2回、則本の2回に続く3人目5度目だ。
これで今季成績は6登板38回を投げて防御率3.32、2勝1敗、被打率.229、WHIP0.92、QS率50.0%になった。
過去最高の8.05を記録する奪三振率もさることながら、特筆すべきは38回、打者144人と対戦して四球わずか2個にとどめていることだろう。
四球1個出す間に何個の三振を奪ったかという投手のプリミティブな能力を表すK/BBでは、異次元の17.00を記録する。
この値、どれだけ凄いかというと、今季パリーグで30イニング以上投げた53人中ダントツの1位。
2位が岸の6.44だから、頭4~5個ぶん飛びぬけた完全独走状態といってよい。
もっと言うなら、強力打線の西武を相手に29回を投げながら四球わずか1個のみ。
ボールを出さない制球力の凄さは、75.0%を記録した本戦のストライク率をみても分かる。
試合後、敵軍の辻監督は塩見のストライク率が90%だったと語っていたが、おそらく肌感覚では90%に感じたのだろう。
近年は140キロに届かなかったストレートが今季は140キロ超えが増え、本戦平均は141.3キロ。
力強さを取り戻した真っすぐに加え、ここまでほとんど投げてこなかったシュートを今季は多用する。
さらにスライダー、フォーク、カーブといった複数変化球も機能し、緩急にストライクゾーン内外高低を活用した組み立てができている。
制した2ストライクの攻防劇
そのことを良く表すのが、2ストライク目の攻防だ。
ぼくはかねがね、最も重要なストライクは2ストライク目だと思っている。
もちろん初球ストライクも大切だが、それ以上に2ストライク目に注目している。
というのは、打者の打率が大幅に下がるのは1ストライクから2ストライクになったときだからだ。
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実際、本戦でも追い込む前の結果は、27打数7安打、1二塁打の被打率.259。
一方、2ストライク以降では15打数ノーヒット7三振の被打率.000だった。
本戦はその2ストライク目の取り方が秀逸だった。
打者15人から奪った2ストライク15球の内訳は以下のとおり。
空振り 4球
見逃しストライク 4球
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打者がバットを振ってくる場面も多かったが、空振りやファウルを打たせて打球を前に飛ばさせずに追い込むことに成功している。
塩見の制球や球威、投球術が良好であることを良く示すデータだと思う。
それにしても、ぼくは今年30歳を迎える塩見にこれだけの力が残っていたことに驚きだ。
近年は腰痛に繰り返し悩まされ、昨年は登板間隔に配慮を受けながらマウンドに登っていた。
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