松井裕樹2年目の進化へ。田中将大秘伝のスプリット習得を応援する
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@eagleshibakawaです。
松井裕樹が2年目の飛躍へ向けて、新球の習得に励んでいる。
報道によると、松井結は年明け約2週間、則本、辛島と共にヤンキース田中将大の沖縄自主トレに参加。そこで田中の伝家の宝刀スプリットを伝授され、その練習に励んだという。
一般に様々な諸事情で、左投手はチェンジアップを持ち球にするものの、スプリット(フォーク)は投げない傾向が強い。現在、NPBの主要左投手でフォークを持ち球にし、それなりの球種割合投げているのは、阪神・能見篤史(12.5%)、巨人・内海哲也(5.6%)、西武・高橋智己(6.2%)、日本ハム・石井裕也(13.6%)、中日・高橋聡文(16.1%)など数少ない。(球種割合は2013年データ)
その中、松井裕はスプリットのマスターを選択した。私はこの挑戦を応援していきたいと思っている。
スプリット習得を決断したその理由を、松井裕は報道陣に「自分の三振を見ると、序盤に取るのがほとんど。2つの球種だと9回投げる上で厳しい。もう1つ球種があればバッターも絞りにくい」と語った。
昨年は高卒1年目で126個の三振を積み重ねた。126個の球種内訳をチェックしてみると、
ストレート・・・55 (右打者34、左打者21)
スライダー・・・24 (右打者10、左打者14)
チェンジアップ・・・47 (右打者42、左打者5)
となっており、ストレートとスライダーで奪った三振が全体の81.0%を記録していた。
下表は先発登板時の投手成績をイニング別にまとめたものになる。対戦打席に占める三振比率を表す三振率に注目したい。本人のコメントにあるように、立ち上がりの1、2回で高い三振率を誇るものの、打順が2まわり目に突入していく3回以降は、30.0%の6回を除いた全てのイニングでパーセンテージが下がっていることが分かる。5回以降は被OPS、被打率も悪化しており、四球も増加していた。
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■イニング別に診る先発・松井裕樹の投手成績

もちろん、高卒1年目で1年通して戦うスタミナや、1試合の中でも長いイニングを投げる体力が無く、そのことで試合中盤に差し掛かると球威、キレに陰りが生じていたのだろう。一方、本人が言うように、球種が少なく、打者が打席数を重ねるごとに球の軌道に慣れてきて対応されてしまったという側面もあったのだと考えている。序盤では空振りしていた球にも見逃されてボール。そんなことも多く、5回以降に四球が増えたのだろう。(四球率は4回まで12.0%、5回以降は18.5%だった)
スプリットが実戦配備されれば、序盤はスプリットを封印、打順が2まわり目に突入したところでスプリットを解禁していくといった、配球にバリエーションをもたせることができ、打者も狙い球が絞りにくくなるのだ。
バリエーションと言えば、スプリットがマスターできれば、球速にもバリエーションが生じるのだ。
現在、松井裕の持ち球の平均球速は下記のとおりである。
ストレート 142.1キロ
スライダー 126.1キロ
チェンジアップ 124.8キロ
カーブ 118.1キロ
ここに「130キロちょいくらいまでいければ」と語るスプリットが加われば、110キロ台、120キロ台、130キロ台、140キロ台と全ての球速帯を投げることが可能になり、緩急の組み合わせも増えることになり、打者の対応を難しくさせることができるのだ。(下記に続く)
また、本人が「僕は左打者の内角に強い、落ちるボールが課題だった」と語っているように、スプリットを左打者インコース攻めの切り札にする意図も持っているようだ。
一般にチェンジアップやフォークといった球種は、その球の軌道上、対戦打者の左右どちらかに多く使われ、どちらかでは投げづらくなる性質を持っている。田中と同じくスプリットを決め球にしている岩隈も同様で、2013年の球種割合は左打者に27.1%と約3球に1球程度多く使用しているものの、右打者には11.9%と少なくなっている。
しかし、田中のスプリットは対戦打者の左右を苦にしない。24勝無敗だった2013年の球種割合を確認してみると、右打者に18.1%、左打者に19.1%。左右均等、同じ比率で投げることができている。
岩隈のスプリットが左打者の外角へ斜めに落ちていくのに対し、田中のそれは左打者の真下にストンと落ちる軌道を描く。岩隈が右打者に投げづらくなっているのは右打者の身体の近くに迫りながら落ちるため、ともすれば打者側からみた絶好の半速球になるリスクを抱えているからだと思う。田中の場合、高速スプリットのためそのリスクが無い。


松井裕が左打者に対してチェンジアップを4%しか用いなかったのは、岩隈と同じ事情によるものだと思う。今回習得に励んでいるスプリットはその不安を打ち消してくれる。
ストレートとの球速差がチェンジアップより小さくなるため、打者はストレートだと思ってバットを振りにいったら、そこからストンと落ち、空振りを奪取することができる。もし内角に失投するようなことがあっても、チェンジアップよりスピードが速いため、甘い半速球になる危険性も少なくなるということなのだろう。
また、ゴロ率を増やすという観点でも、スプリットの導入は期待できそうだ。
松井裕のゴロ率は41.4%だった。2012~2013年のリーグ平均が45.8%~46.2%のため、恐らく2014年も同値付近だと推測すると、41.4%というゴロ率はリーグ平均を下回る値だった。ゴロはアウトになりやすく長打を防ぐ。フライ・ライナーはゴロと比べてヒットになりやすく長打のリスクが生じる。その意味で、今年はゴロ率を増やしていきたいところである。
その意味で、2013年に69.6%という極めて高いゴロ率を記録した田中のスプリットがマスターできれば、全体のゴロ率も増えていくことが予想されるのだ。スプリットでゴロを打たされまいと打者が意識すればするほど、そこへ真っすぐが来た時には空振りやポップフライが増えていくだろうし、その逆もしかりだからだ。
独特の回転軸・回転数を持つストレートとの相性も良いと思う。則本が高低を意識させた配球で打者を圧倒できた以上の相乗効果が期待される。
ただし、物事の多くはトレードオフの関係にあると思うので、スプリットをマスターすることで既存の球種の精度が下がるといった副作用が生じるリスクもありそうだ。例えば、ここ2年ほどソフトバンクの攝津が精彩を欠いているのは、カットボールやシュートを投げ始めたことと無縁ではないように思われる。
そういったリスクはあるのかもしれないが、私はそれ以上に習得できた時に生じるメリットのほうが大きいと思うで、この挑戦を応援したいと思っている。
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松井裕樹のスプリット習得を応援する
@eagleshibakawaです。
松井裕樹が2年目の飛躍へ向けて、新球の習得に励んでいる。
報道によると、松井結は年明け約2週間、則本、辛島と共にヤンキース田中将大の沖縄自主トレに参加。そこで田中の伝家の宝刀スプリットを伝授され、その練習に励んだという。
一般に様々な諸事情で、左投手はチェンジアップを持ち球にするものの、スプリット(フォーク)は投げない傾向が強い。現在、NPBの主要左投手でフォークを持ち球にし、それなりの球種割合投げているのは、阪神・能見篤史(12.5%)、巨人・内海哲也(5.6%)、西武・高橋智己(6.2%)、日本ハム・石井裕也(13.6%)、中日・高橋聡文(16.1%)など数少ない。(球種割合は2013年データ)
その中、松井裕はスプリットのマスターを選択した。私はこの挑戦を応援していきたいと思っている。
スプリット習得を決断したその理由を、松井裕は報道陣に「自分の三振を見ると、序盤に取るのがほとんど。2つの球種だと9回投げる上で厳しい。もう1つ球種があればバッターも絞りにくい」と語った。
昨年は高卒1年目で126個の三振を積み重ねた。126個の球種内訳をチェックしてみると、
ストレート・・・55 (右打者34、左打者21)
スライダー・・・24 (右打者10、左打者14)
チェンジアップ・・・47 (右打者42、左打者5)
となっており、ストレートとスライダーで奪った三振が全体の81.0%を記録していた。
下表は先発登板時の投手成績をイニング別にまとめたものになる。対戦打席に占める三振比率を表す三振率に注目したい。本人のコメントにあるように、立ち上がりの1、2回で高い三振率を誇るものの、打順が2まわり目に突入していく3回以降は、30.0%の6回を除いた全てのイニングでパーセンテージが下がっていることが分かる。5回以降は被OPS、被打率も悪化しており、四球も増加していた。
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■イニング別に診る先発・松井裕樹の投手成績

三振率、序盤2回は上々も3回以降に低下していた
もちろん、高卒1年目で1年通して戦うスタミナや、1試合の中でも長いイニングを投げる体力が無く、そのことで試合中盤に差し掛かると球威、キレに陰りが生じていたのだろう。一方、本人が言うように、球種が少なく、打者が打席数を重ねるごとに球の軌道に慣れてきて対応されてしまったという側面もあったのだと考えている。序盤では空振りしていた球にも見逃されてボール。そんなことも多く、5回以降に四球が増えたのだろう。(四球率は4回まで12.0%、5回以降は18.5%だった)
スプリットが実戦配備されれば、序盤はスプリットを封印、打順が2まわり目に突入したところでスプリットを解禁していくといった、配球にバリエーションをもたせることができ、打者も狙い球が絞りにくくなるのだ。
スプリット習得で全ての球速帯の投げ分けが可能に
バリエーションと言えば、スプリットがマスターできれば、球速にもバリエーションが生じるのだ。
現在、松井裕の持ち球の平均球速は下記のとおりである。
ストレート 142.1キロ
スライダー 126.1キロ
チェンジアップ 124.8キロ
カーブ 118.1キロ
ここに「130キロちょいくらいまでいければ」と語るスプリットが加われば、110キロ台、120キロ台、130キロ台、140キロ台と全ての球速帯を投げることが可能になり、緩急の組み合わせも増えることになり、打者の対応を難しくさせることができるのだ。(下記に続く)
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マースプリットは対戦打者の左右を苦にしない
また、本人が「僕は左打者の内角に強い、落ちるボールが課題だった」と語っているように、スプリットを左打者インコース攻めの切り札にする意図も持っているようだ。
一般にチェンジアップやフォークといった球種は、その球の軌道上、対戦打者の左右どちらかに多く使われ、どちらかでは投げづらくなる性質を持っている。田中と同じくスプリットを決め球にしている岩隈も同様で、2013年の球種割合は左打者に27.1%と約3球に1球程度多く使用しているものの、右打者には11.9%と少なくなっている。
しかし、田中のスプリットは対戦打者の左右を苦にしない。24勝無敗だった2013年の球種割合を確認してみると、右打者に18.1%、左打者に19.1%。左右均等、同じ比率で投げることができている。
岩隈のスプリットが左打者の外角へ斜めに落ちていくのに対し、田中のそれは左打者の真下にストンと落ちる軌道を描く。岩隈が右打者に投げづらくなっているのは右打者の身体の近くに迫りながら落ちるため、ともすれば打者側からみた絶好の半速球になるリスクを抱えているからだと思う。田中の場合、高速スプリットのためそのリスクが無い。


松井裕が左打者に対してチェンジアップを4%しか用いなかったのは、岩隈と同じ事情によるものだと思う。今回習得に励んでいるスプリットはその不安を打ち消してくれる。
ストレートとの球速差がチェンジアップより小さくなるため、打者はストレートだと思ってバットを振りにいったら、そこからストンと落ち、空振りを奪取することができる。もし内角に失投するようなことがあっても、チェンジアップよりスピードが速いため、甘い半速球になる危険性も少なくなるということなのだろう。
スプリット導入でゴロ率増の期待大
また、ゴロ率を増やすという観点でも、スプリットの導入は期待できそうだ。
松井裕のゴロ率は41.4%だった。2012~2013年のリーグ平均が45.8%~46.2%のため、恐らく2014年も同値付近だと推測すると、41.4%というゴロ率はリーグ平均を下回る値だった。ゴロはアウトになりやすく長打を防ぐ。フライ・ライナーはゴロと比べてヒットになりやすく長打のリスクが生じる。その意味で、今年はゴロ率を増やしていきたいところである。
その意味で、2013年に69.6%という極めて高いゴロ率を記録した田中のスプリットがマスターできれば、全体のゴロ率も増えていくことが予想されるのだ。スプリットでゴロを打たされまいと打者が意識すればするほど、そこへ真っすぐが来た時には空振りやポップフライが増えていくだろうし、その逆もしかりだからだ。
独特の回転軸・回転数を持つストレートとの相性も良いと思う。則本が高低を意識させた配球で打者を圧倒できた以上の相乗効果が期待される。
ただし、物事の多くはトレードオフの関係にあると思うので、スプリットをマスターすることで既存の球種の精度が下がるといった副作用が生じるリスクもありそうだ。例えば、ここ2年ほどソフトバンクの攝津が精彩を欠いているのは、カットボールやシュートを投げ始めたことと無縁ではないように思われる。
そういったリスクはあるのかもしれないが、私はそれ以上に習得できた時に生じるメリットのほうが大きいと思うで、この挑戦を応援したいと思っている。
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