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ボストンの至宝との対決は2ラン含む2安打3打点。マリナーズ岩隈久志、今季最短5回途中KOの4敗目~2014年6月25日●SEA4-5BOS

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チーム6連勝をかけて臨んだ本拠地登板



マリナーズが絶好調だ。42勝36敗のアリーグ西地区3位。1位・アスレチックスを5.5、2位・エンゼルスを1.5で追いかける状況は変わらずだが、現在チームは5連勝。前回岩隈登板の6/20ロイヤルズ戦を起点に連勝街道が続いている。

投手陣が失点を防ぎ、活発な打線が一発攻勢を中心に点を取る。そんな試合が増えているのだ。

あのロイヤルズ3連戦。マリナーズがスイープしたことで、ロイヤルズはアリーグ中地区1位の座をタイガースに奪還され、現在2位陥落を余儀なくされている。ロイヤルズが地区優勝を僅差で逃した場合、あのシアトルでの3連敗が・・・ということになりそうだ。

今季、球宴前の前半戦、貯金生活で終えることができれば、実に2009年以来のことになるという。

これもカノ効果なのか?そのマリナーズが地元シアトルにレッドソックスを迎えての3連戦。1、2戦をマリナーズが取って、6連勝をかけたマウンドに岩隈が登っている。

対する昨年のワールドチャンピオン、レッドソックスは35勝43敗。アリーグ東地区4位。3位・ヤンキースとのゲーム差も5.0開いており、そろそろ秋風が吹き始めたのかな?という劣勢だ。ここ最近も西海岸遠征でアスレチックスに1勝3敗、シアトルに乗り込んで2連敗という状況である。

岩隈のレッドソックス戦登板は昨年の2試合、いずれも先発、本拠地、敵地で1試合ずつ投げた。いずれもQSをマークできず打ちこまれた苦しい内容。三度目の正直なるか?という点にも注目された。

レッドソックスは本カード2戦連続マルチ安打を放っていたナポリが足を痛めたとかでベンチスタート。過去、岩隈はナポリに被弾しているだけに、少しは楽になるのでは?と思っていたのだったが・・・

相手先発はバックホルツ。故障者リスト明けの復帰登板は甘い失投が多かった。その球をフルスイングで仕留めたマリナーズ打線だったが、大振りしたのが逆効果だったか、挙げた4点は全て本塁打によるもの。つないでタイムリーヒットで挙げる得点がなかった。

両軍のスタメン

レッドソックス=1番・ホルト(一)、2番・ナバ(右)、3番・ペドロイア(二)、4番・オルティス(指)、5番・ゴームズ(中)、6番・ピアジンスキー(捕)、7番・ボガーツ(三)、8番・ドルー(遊)、9番・ブラッドリー(中)、先発・バックホルツ(右投)

マリナーズ=1番・チャベス(指)、2番・ジョーンズ(中)、3番・カノ(二)、4番・シーガー(三)、5番・モリソン(一)、6番・ズニーノ(捕)、7番・アクリー(左)、8番・ミラー(遊)、9番・ロメロ(右)、先発・岩隈(右投)


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立ち上がり、オルティズに先制2ランをくらう



1回表、いきなり2点を失っている。初回失点は6/10ヤンキース戦に続く今季2度目のことだった。

抜け球、逆球が大変多かった。19球投げたが、そのうち半数近くはズニーノの要求した所とは“あらぬ方向”へ抜けていった。前回ロイヤルズ戦の初回三者凡退が、完璧な三者三振の1、2、3ピッチングだったことと比べれば、その出来は雲泥の差になった。

1番・ホルトに投じた本戦の初球からしてそうだった。外角低めに制御したいシンカー。狙いとは裏腹にアウトハイに抜ける完全なボール球。この後、8球費やすハメになり、ボール先行2-1経由フルカウント勝負は、なんとか平凡な遊ゴに討ち取る。岩隈の表情は笑顔。しかし、これは思うように投げることができていない自身に対しての自嘲気味の苦笑だったはずだ。

2番・ナバを中飛(に取った後、初回先制失点劇が幕を開けている。

3番・ペドロイアの当たりは遊撃前方ボテボテゴロ。初球真中に入った甘い失投を悠々見逃したペドロイアは2球目アウトローの難しい球をわざわざ打ちにいった。「これはゴロアウトだな、難しい球を打って御苦労なことです」と思われたその瞬間、遊撃ミラーが(NHK BS解説の与田剛氏によると)球を握り損ねて1塁送球できず。内野安打になってしまう。不運に見舞われた直後、4番・オルティズに2ランを被弾した。(SEA0-2BOS)

初球、アウトコース低めに逃げていく速球。誘いをかけたが、乗ってこず。ボールになる。ならば第2球は落としてどうか? スプリッターでモーションをかける。しかし、動かざること山のごとしのボストンの至宝。

ボール先行2-0になった直後の第3球だった。外角低めを狙った本戦最速タイの92マイル(約148.1キロ)。これが甘くなった。力んでしまったのか、オルティズにとってすくいあげて放り込むには打ってつけのストライクゾーン真中低め。驚異のスイングスピードで一閃された一撃は、右翼へ突き刺さる問答無用の18号2ランになった。

このシーン、まるでデジャヴを見ているかのようだった。

私は、昨年7/9セーフコフィールドの2回表、岩隈vsオルティズの初顔合わせを思い出していた。

このときも初球は外角低め速球で入り、ボール。2球目はスプリッターで落として見逃されボール。ボール先行2-0からその後3-1として、ラストはアウトロー狙いの90マイル速球。これが真中低め寄りに甘く入ってしまい、右翼席へ一直線のホームランをくらっている。このときの記録、試合前に見返していた私にとって、同じような配球に同じようなカウント状況、全く同じ結果に絶句してしまったのだった。

2点を奪われた岩隈だったが、翌2回表、修正してきたようにみえた。

6番から始まるボストン打線を二ゴ、投ゴ、二ゴ。平凡な3本の内野ゴロで三者凡退投球に取る。11球を投げたが、逆球や抜け球はほとんどなし。8番・ドルーに投じた第4球スプリッターがアウトハイに抜けてしまった1球だけだったのでは?と思う。

先頭の6番・ピアジンスキーは二ゴ。「野球の記録で話したい」の広尾氏に言わせれば「カノがごみでも拾うようにすくい上げて一塁へ。ほれぼれする」処理だった。7番・ボガーツには低めでタイミングを面白いようにはずし、完全なボテボテ。見ていて爽快だった。解けた催眠術がここへきて再び効いてきたかのような内容だった。

3回、味方逆転直後、再度ひっくり返されてしまう



初回に失点しとは言え、6/10ヤンキース戦のようにその後はスコアボードにゼロを並べるのでは?そんな期待感が高まった2回三者凡退ゴロアウト投球。しかし翌3回、その期待感は無残にも弾け飛んでいってしまう。

3回表は味方打線が3点を取って逆転に成功した直後のイニング。それだけにしっかり締めていきたい場面になっていた。2回裏、前日2安打4打点の槍働きでチームを勝利に導いた4番・シーガーが右翼席へ反撃の狼煙になる12号ソロ。その後、女房役のバットからも2ランが飛び出し、一気に3点で逆転に成功した。ズニーノの一撃はライナーで左翼席に掲げられたスコアボードに直撃するホームラン。ここ5試合で4本目のホームランになっている。(SEA3-2BOS)

味方のホームラン攻勢で1点リードの援護点を貰った岩隈だったが、9番の左打ちブラッドリーJr.に外角低め投球を踏みこまれて右中間好走塁二塁打を許す。1番・ホルツにも追い込んでおきながら低め投球を打ち返され、狭い1,2塁間を破られ右前へ。今季初の無死3,1塁、2番・ナバにも1-2から外角低めスプリッターを今度は中前へライナーでセンター返しされ、同点。3連打で試合は振り出しに戻っている。(SEA3-3BOS)

なおも無死2,1塁(今季初)。ピンチは続いた。3番・ペドロイアを浅い右飛に仕留めたものの、1死後、4番・オルティズ。この試合2度目の対決を迎えていた。

同点に追い着かれ、思い出したようにインコースを使い始めたバッテリー。しかし、そこに投げ切ることが出来ず、ボール先行3-0、カウントを不利にしていた。その後、フルカウントに持ち直したものの、インコースを狙ったラスト6球目の投球が甘くなった。バット一閃。

痛烈なラインドライヴは右翼手ロメロの正面。ウォーニングゾーンの手前で半身で背走したロメロの捕球体勢は、追い着きそうな予感を想像させるのに十分だった。しかし、外野手にとって正念場となる真っ正面のライナーへの対応の難しさが、ここで露呈。目測を誤って慌てて伸ばしたグラブの上を越されてしまう。この当たりで二走がホームに帰ってきて、岩隈のクオリティスタートがなくなり、ボストンが逆転した。(SEA3-4BOS)

さらに続く1死2,1塁の危機、後続5番、6番を思い出したような高低攻めで2者三振に取った岩隈。しかし、3回だけで28球、3イニング投げて58球。序盤3回の球数としては今季最多を更新していた。

最後まで精彩を書いた岩隈



4回表は7番下位打線との対決。本戦2度目の三者凡退ピッチング。11球で3者を退けている。これで乗ってくるのか?と思われたのだが、今日のクマは最後まで修正が効かなかった。翌5回表、相手打線が1番から始まるこのイニング、1アウトすら取れずに無念の降板となっている。

1、2番コンビの連打攻勢を浴びて無死2,1塁としたところで、ウェイツ投手コーチたまらずマウンドへ。その後、3番・ペドロイアにボール先行3-0。マウンド上で独り言をつぶやき、球に闘志を込めた岩隈だったが、結局、フルカウントの末、アウトコースのスライダーがはずれてフォアボール。

無死満塁、バッターボックスに本戦2安打3打点、岩隈との通算対戦成績を7打数4安打2三振1二塁打2本塁打としたオルティズを迎えたところで、今度はマクレンドン監督がベンチを飛び出していった。

結局、岩隈は80球を投げ終えた5回無死満塁で無念の降板。火消しに出てきた二番手・ウィリヘルムセンがオルティズを併殺打に討ち取っている間に三走に5点目のホームを踏まれ、岩隈は今季最短4回0/3で今季ワーストタイ5失点。その後、ミラーのソロ弾で1点差まで肉迫したものの、上原に9回を締められ4-5で負けたことで岩隈は今季4敗目としている。



岩隈、レッドソックス戦、三度目の正直ならず



4回0/3、打者21人、80球(1回当たり20.00)、被安打8、被本塁打1、奪三振3、与四球1、失点5、自責点5

初球21球・・・4Seam8、Sinker7、Slider3、Splitter3
2ストライク以降18球・・・4Sean7、Sinker2、Slider3、Splitter6

岩隈のコメント「(初回オルティスの本塁打)痛いミス。そこから狂っていったのかなと。一つ一つの球自体はすごくよかったので、その中でボールをコントロールをできなかった、ゲーム自体をコントロールできなかったのが、すごく悔しいところ」(日刊スポーツ)

マクレンドン監督「今日はクマの夜ではなかった。タフな夜だったが、気分を切り替えて、次の先発に向けて準備してくれるはずだ。彼は負けず嫌いな男だし、主力投手だ。彼を信じているし、必ず調子を戻してくれる」

■レッドソックス戦の投手成績


首の張り。その影響は本当に全くなかったのか?!



これで今季成績は防御率3.48、5勝4敗、QS率54.5%、WHIP1.08としている。

岩隈のコメントは、なんだか強がりのように聞こえてしまう。投球回の倍に当たるヒットを浴びてしまうと、「一つ一つの球自体はすごくよかった」のかもしれないけど、額面通りに受け取ることが難しくなってしまう。

レンジャーズ戦の前に痛めたという首。本戦後も岩隈「痛みはまだ少しあるが、ピッチングには影響はなかった」、監督「まったく問題ない。投球には関係なかった」、両人ともその影響を揃って否定。しかし、2戦連続でこのような結果になってしまうと、全く影響がないとは言えないのでは?と外部からは見えてしまう。首の影響を感じさせなかった6/15レンジャーズ戦の好投は久しぶりの家族観戦で気持ちで乗り切ったということになるのだろう。

その証拠に、本戦も前回ロイヤルズ戦に続いて、ブルペンでの投球練習を回避、ノースロー調整で臨んだと報道されている。ノースロー調整といえば昨年オリックスの金子が完全に自身のものとして好結果を出したが、岩隈はどうか? その点も留意して観戦に臨んだ1戦だったが、球のばらつき等をみると、実際は上手いこと調整できていなかったのかもしれない。

低めに狙いを定めたしたたかなボストン打線



一方、相手のしたたかさも指摘しなければならない。低めの投球が身上の岩隈。左打者に外角低めを3本もヒットにされたり、オルティズに低めを完璧に料理されたり、ボストン勢はその低めに目付けをし、しっかり球筋を見定めていたように感じる。

オルティズの見逃し方がそれを良く物語っているように思うし、1回3番ペドロイアの外角低め難しい球を打ってのボテボテ内野安打、これも低めに意識があったがうえでのことなのだろう。これが他のチームだったら、こんな惨劇は訪れていなかったかもしれない。

ただ、それも遅きに逸したが、NHK BS解説・与田氏の指摘のとおり、始めからインコースや高低を意識して織り交ぜるピッチングができれば、結果はまた違ったものになっていた可能性は高い。ただ、立ち上がりから高めや内角を用いるのは、ブルペン練習回避で臨んだことが影響しているとも言える。序盤は外角中心配球で無難に、リズムが掴めてきたら内角や高めを織り交ぜたい。そんな意図がバッテリーにあったのかもしれない。いずれにせよ、使用するのが遅かった。

■配球図
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ボール先行2-0経由の被打率.429へ



本戦、気になったのはボール先行2-0の場面だ。1回オルティズ右本、2回ドルー遊ゴ、3回オルティズ左越安、5回ペドロイア四球、本戦では4打席で発生していた。

一般にどんなに優れた投手であっても、0-0から3-2まで12通りあるカウントの呪縛から逃れることはできない。岩隈も御多分に漏れず、今季、ボール先行2-0経由した対戦成績では、21打数9安打、2三振、3四球、1二塁打、3本塁打、.429/.500/.905の被OPS1.405としている。今後も要注意のカウントになっている。

■岩隈久志 2014年 ボール先行2-0経由の対戦成績
※2014年6/25終了時現在
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