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カウフマンスタジアムの天気は晴れのちゲリラ豪雨。岩隈久志、勝敗つかずもワーストタイ5失点~2014年6月20日〇SEA7-5KC

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好調ロイヤルズ戦に16回無失点の岩隈久志が登板



首の張りを懸命に治療して臨んだ父の日ピッチング。久しぶりにまどか夫人と子供達が観戦に訪れたセーフコフィールドでレンジャーズ相手に8回106球1失点の好投を演じ5勝目を手にした岩隈。あれから中4日の今日、今季2度目のロイヤルズ戦へ先発している。

只今マリナーズは37勝36敗。アリーグ西地区3位で1位・アスレチックスとは8.0、2位・エンゼルスとは2.0のゲーム差で追う展開。現在2連敗中である。対する青木擁するロイヤルズは39勝33敗。あのタイガースを僅かに0.5ゲーム差で抑えて現在アリーグ中地区1位。6/7ヤンキース戦から始まった破竹の10連勝が効くかたちになった。

岩隈は昨年の最終登板に今季5/8本拠地登板、ロイヤルズ打線を合計18イニング無失点に抑えてきたが、現在のロイヤルズは前述のとおり絶好調。今日も岩隈が抑えるのか?ロイヤルズの打線がリベンジしてくるのか?注目の一戦、敵地カウフマンスタジアムのマウンドに初めて登った。

前日のタイガース戦でマルチ安打を放った青木は本戦ベンチスタートとなっている。

内容は理想の展開、しかし、中盤5回を迎えたところで青天の霹靂。2本の一発をくらうなど5点差あったリードを追い着かれ、様相が一気に分からなくなってしまう展開になっている。もう少し詳しく中見を追ってみよう。

両軍のスタメン

マリナーズ=1番・チャベス(右)、2番・ジョーンズ(中)、3番・カノ(二)、4番・シーガー(指)、5番・モリソン(一)、6番・アクリー(左)、7番・ズニーノ(捕)、8番・ミラー(遊)、9番・ブルームクイスト(三)、先発・岩隈(右投)

ロイヤルズ=1番・ダイソン(中)、2番・インファンテ(二)、3番・ホズマー(一)、4番・バトラー(指)、5番・ゴードン(左)、6番・ペレス(捕)、7番・ケーン(右)、8番・ムスターカス(三)、9番・エスコバル(遊)、先発・シールズ(右投)


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初回カノの巧打で先制。岩隈、立ち上がり三者三振の三者凡退投球



1回表、マリナーズが幸先良く岩隈に1点の援護をプレゼントしている。3番・カノの巧打で先制した。相手先発シールズとフルカウント勝負になった1番・チャベスが詰まりながらも飛球を左中間へ運び好走塁で2塁を陥れると、2番がバントで送って1死3塁、カノがフルカウント勝負から外角低め厳しいツーシーム投球を巧く軽打して、三遊間を抜けていく左前安打。これが先制打になった。

岩隈が援護点を貰って1回のマウンドに向かったのは今シーズン初のこと。1回裏、安定した制球とストライク先行のピッチングで、ロイヤルズの上位3人を三者連続三振の三者凡退に抑えている。

1、2番はアウトコースの素晴らしい投球で悠々追い込むと、1番・ダイソンには外いっぱいのシンカー投球で見逃し三振、2番・インファンテには3球目のスプリッターで誘いをかけて空振り三振、3番・ホズマーには3球目に1本ファウルを打たせて1-2と追い込んだ後、インハイ釣り球で空振り三振。12球投げた中で唯一甘いかな?と思われたホズマーの2球目、真中寄りに入ったスライダーもゾーンは低めにコントロールされていて、本当に見事な12球スタートとなった。

メジャーに来てから岩隈が相手打線を初回三者三振で三者凡退に退けたのは初のこと。初回走者を出しながらも3アウト全てを三振で仕留めたのは昨年6/10アストロズ戦と8/27レンジャーズ戦の2試合あったが、三者三振の1、2、3ピッチングはメジャーで初の快挙になっている。

2回表、先頭打者にヒットを打たれて無死1塁。4番の右打者バトラーに膝元に入る速球をおっつけられ右前に打ち返されていた。これが岩隈がロイヤルズの右打者に今季16打席目にして初めて許したヒットになった。

しかし、一走の得点圏進出は許さない。後続の5番、6番をいずれも打ち上げさせての外野イージーフライに取ると。2死後、7番・ケーンとの対戦は1-1からの第3球カーブが完全にすっぽ抜けてしまうなど、ボール先行フルカウント勝負を余儀なくされたが、最後はスプリットをストライクゾーン内に投げ込んで、イメージどおりの平凡遊ゴ。ここまで24球。省エネも光った。

3回裏、8番から始まる相手下位打線を11球で退けている。

8番・ムスタカスには追い込んでからスプリッターで三飛に仕留めると、9番・エスコバルが外角ボール球の投球にバントヒット狙いのセーフティバント攻撃を強引に仕掛け、これが捕バ飛に。2死後に1番・ダイソンにしぶとい中前安打を許したものの、今度は2塁を狙ったダイソンを岩隈─ズニーノのバッテリーが完全に察知、ウエストしてのズニーノ2塁送球でタッチアウト。走者を出しても幾重にも防護柵を設け、容易には次塁へ進ませない内容が光る3回までのピッチングだった。

3回までゼロを並べた岩隈をさらに援護すべく、4回表、女房役ズニーノがシールズの真中高め失投を左翼席へ。8号ソロでリードを2点とする。

2点目の援護を貰った直後4回裏、2番インファンテから始まる相手上位打線との対決になっている。

先頭インファンテにファウルを打たせ1-2と追い込んだ後、外角投球が2球連続してインハイにすっぽ抜けていく。ボール、ファウル。フルカウントにもつれた勝負はラスト外角低め誘い球で空振り三振。岩隈に軍配が上がっている。この2球続けて抜けた投球。ここまではズニーノのミットが外角にあったため、制御しきれなかったという見方をしていたものの、読者の皆さんの御見識と、ラストは対角線のアウトローに投げ切って仕留めたことから、狙って投げ込んでいたと言えるのかもしれない。

1死後、ホズマーにヒットを許したが、後続の4番打者をどん詰まりの1-6-3併殺コースに御案内。

今季5度目の4回零封投球で費やした球数は僅かに45球。4回終了時の球数としては今季最少を記録する省エネピッチングは、5回表に3点が追加されたことから、中盤以降の好投をさらに期待させるものだった。

3点を追加した5回表、1死後、本戦2本目ヒットで出塁したジョーンズが2塁ヘッドスライディングで盗塁を決めると、カノがボール先行2-0から右中間を真っ二つにするタイムリーツーベース。その後、モリソンにも2ランショットが飛び出し、たちまち3得点。リードが5点へ広がっていく。今日のシールズは制球が甘いようだ。



5回裏1死後、青天の霹靂...



しかし、落とし穴はリードが5点差に広がった直後の5回裏に待ち受けていた。まさに青天の霹靂になった。

先頭の5番・ゴードンを低め投球で2度空振りさせて三振、1死を取ったところまでは全く問題なかったように思う。違和感が報じられていた首も、1,2度首をまわしたり気にする仕草はあったのかもしれないが、色々チェックしながら観戦している私には気付かないものだった。

惨劇は6番・ペレスから始まった。前の打席、アウトコース際どい初球スライダーを打ち上げさせて右飛に仕留めた相手。前回5/8の対戦では3打席全て低めの球を打たせてゴロアウトに抑えた右打者だった。ここも低めの投球でストライク、ゴロファウロと2球で追い込んで岩隈有利のはずだった。

しかし低めに投げ込んだ3球目のスプリッターをすくいあげの一撃をくらってしまう。

左翼席へ飛び込むソロ弾は岩隈が今季スプリッターをスタンドまで運ばれた初めての被弾。確かにストライクからボールゾーンに落ちる変化ではなく、ストライクゾーン内に止まった変化だったかもしれない。それよりも、アウトコース低めを狙った投球が膝元に入ってしまったのが、いけなかったのかもしれない。ペレスの今季右投手ゾーン打率を確認すると、ストライクゾーン内角低めで.400を記録していた。

■ESPNのサイトに掲載されているペレスのゾーン打率。御覧のように右投手対戦時、ストライクゾーン外角低め、真中低めは弱点になっている一方、身体に近い内角低めはホットゾーンになっている。


8番・ムスタカスにも2ランを被弾。5点リード守れず



自慢の勝負球を左翼席へ放り込まれた直後、7番・ケーンには初球シンカーを右翼線へ弾き返されて二塁打、8番・左打ちのムスタカスにはボール先行2-1から膝元へ投じたスライダーをこれまたすくいあげられ、右翼席へ... あっという間に3点を失ってしまう。

走者がいなくなった後、なおも1安打1四球でピンチを招いた岩隈は2死2,1塁でバッターボックスは3番・ホズマー。前の打席ヒットを打たれて通算対戦成績7打数4安打の“岩隈キラー”を、初球インハイ、2球目アウトローの厳しい対角線攻めで平凡な二人ゴに取り、危機脱出。恐らく一番嫌な相手をピンチで討ち取り、これで山場を超えたかな?と思われたが、翌6回、4番5番に連打を許し、無死2,1塁。バッターボックスに一発を放ったペレスを迎えたところで、球数76球ながらも無念の降板となっている。

試合はその後、火消しに出てきた救援陣が岩隈が出した走者2人を本塁に帰してしまったことから、振り出しに。岩隈の自責点も5に広がっている。終盤9回、マリナーズがミラーのソロ弾などで2点を入れ、7-5で辛勝というゲームになっている。

岩隈は勝敗つかず。5失点はワーストタイ。5回途中の降板、その後2点を奪われたことは仕方がないだろう。

20140621DATA02.jpg

ワーストタイ5失点で防御率3点台へ



5回0/3、打者23人、76球(1回当たり15.20)、被安打9、被本塁打2、奪三振5、与四球1、失点4、自責点4。

初球24球・・・4Seam5、Sinker6、Slider8、Splitter3、Pitchout1、球種不明1
2ストライク以降21球・・・4Seam6、Sinker4、Slider1、Splitter8、球種不明2

岩隈のコメント「ボールは全部よかったと思うんですけど、相手の打線の勢いに飲まれてしまったのかな、という感じ。チームが勝ったので、しっかり切り替えて、次の登板に向けて調整したいと思います」(日刊スポーツ)

地元シアトル・タイムス電子版「イワクマでも、やっぱり人間だった」

これで今季成績は5勝3敗変わらず、防御率3.04、QS率60.0%、WHIP1.01としている。

華氏88度、気温31.1度、30度超えでの登板は今季初。2戦連続中4日の登板間隔に加えて、首の違和感も引きずったままだっただろう、難しい条件が重なったマウンドになったが、序盤4回まではそれを感じさせない、いつもどおりの彼らしい素晴らしいピッチングだったと断言できる。(追記:報道によると監督岩隈両人とも首の影響を否定している)

5回に浴びた2本のホームラン。ペレスにはホットゾーンに入った投球を良く打たれたと言うことだろう。スプリッターは低めに制球されており、空振りも5個奪い、ゴロアウトも併殺含む5個を獲得していた。トータルでは機能していたということだと思う。

ムスタカスの2ランは偶発事故だと信じたい(狙って打ったものではないと思う)。ほぼ完璧に抑えられていた中でああいう2発が飛び出すところに、ロイヤルズの好調があるのだろう。

5/30タイガース戦に浴びた2本の一発がその後の投球に悪影響を及ぼさなかったのと同様、今回もそうであることを期待したい。

5点差を守り切ることができずに追いつかれてしまったのはメジャーでは初。昨年7/9レッドソックス戦で序盤4-0のリードを逆転されてしまったのを更新するバッドゲームになってしまった。

緩急機能せず



それにしても、今から思えばもっと緩急を意識させることはできなかったのか? よくあることは打たれた直後、緩急を取り入れて、相手のリズムを崩していく手法がある。しかし、本戦ではそれが採用できなかったと見ている。

というのは、カーブが機能しないとバッテリーが判断したのだろう。2回ケーンの第3球に投じたカーブ、3回ダイソンの2球目に使用したカーブ、いずれも右打者のインハイに完全に抜けていく失投になっていた。恐らく試合前のブルペンでも悪かったのかもしれない。この2球で早々に見切りをつけたということなのかもしれない。

結果論で後出しジャンケンになってしまうが、ペレス被弾直後、7番・ケーンの初球、シンカーで入ったのは間違いだったのかもしれない。本戦、ここまでは打者の初球、速球もしくはスライダーで入っていたシアトルバッテリーだった。個人的にはスライダーで入って欲しかった場面。というのは本戦でケーンにはまだスライダーを投げていなかったし、前回5/8対戦時には外角のスライダーで2度空振りを奪ってもいたのである。

■配球図
20140621DATA03.jpg

注目して観戦したエリック・ホズマーとの対戦



本戦、注目していたのは、ここまで良く抑えてきたロイヤルズの中にあって1人だけ岩隈を打ってきた3番・ホズマーとの対戦である。昨年打率.302、14本塁打だったホズマーは今季.256、4本と精彩を欠いているように見えるものの、岩隈にとって要注意人物、昨年は3打数1安打、前回は3打数2安打、合計6打数3安打、いずれも打たれていたのは低めシンカーだった。

下記ゾーン打率が示すとおり、右打者が投じるストライクゾーン低めは彼のホットゾーン、一転、高めは苦手としていて典型的なローボールヒッターである。『Slugger』誌2014年1月号の「2013-14MLB打者白書」をみると、シンカー打率が.556もあったことが確認できる。本戦では低めシンカーが厳禁と言えた。

それを分かってか、1回2死走者なしの第1打席では追い込んだ後、ズニーノはインハイに要求。ホズマーのウィークポイントで空振り三振を奪う見事なリードだった。一転、4回1死走者なしの2打席目では内角要求のシンカーを中前に打ち返させている。5回2死2,1塁のピンチ出迎えた3打席目は、前述どおり、インハイ速球釣り球の後、対角線アウトロースプリッターで誘い、イージーな二ゴに取った。

ヒット1本打たれたとはいえ、今後の対戦に向けてホズマー攻略の糸口が垣間見えた対戦だったかと思う。

■ホズマーのゾーン打率(ESPNより)
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