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日本一の中に「汚点」を残した楽天イーグルス・星野仙一監督の9回田中将大起用

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日本一の余韻に水を差すようなエントリーですみません。でも、これだけは書いておかなければなりません





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ええ?!マジかよ?!

久しぶりに目を白黒させてしまった。

昨日の試合前、球団オフィシャルサイトでベンチ入りメンバーの投手の項目を見た時、我が目を疑った。

長谷部、金刃、レイ、斎藤、小山、福山に加えて、79球ロングリリーフから中2日の則本に加え、前夜160球という自己最多球数による魂の完投をみせた田中将大の名前がそこにあったからである。

第6戦の160球完投。一夜明けて第7戦の9回リリーフ登板。これら星野監督の起用に否定的・批判的に見る野球ファンは決して少なくない。

私もその1人だが、私の場合、ちょっと事情が違う。第6戦の160球完投は、心配な心地を感じつつも「あり」だと思う。今なおそう思っている。しかし、第7戦の9回登板は「なし」だ。絶対にありえない起用法だ。

第6戦、報道によると7回終了時、球数が120球を超えてきたこともあり首脳陣から降板の打診をしたという。しかし、田中本人の強い意向で続投、完投となった。

逆転されたとはいえ、追いかける点差は2点だった。自分が残りをゼロで抑えれば好機はやってくるかもしれない。そんな思いも田中自身の中にあっただろう。走者1人出せば、一発出ればたちまち同点という状況になる。優れた救援陣を擁する巨人相手でも、走者1人出れば重圧がかかってくる。可能性がある限りは、投げ抜きたい。そんな思いだったのかもしれない。

チーム的に見ても、劣勢をこれ以上の劣勢にさせず逆転を狙うためには、田中以外の投手の登板は考えづらかった。なにせ球界でNo.1投手が打たれたという最も雰囲気が悪い中だ。その中でゼロに抑えるリリーフ登板を要求されるのである。田中の他には、則本... とはいえ、その則本は中1日だったので使いにくい。その意味では、最後の最後まで勝利を狙いにいった試合で、田中に全てを託したことは、理解できる采配だったかと思う。実際、田中が9回まで投げて、その裏の最終回に嶋がサヨナラ打を打ったという試合もあった。(7/26ロッテ戦)

2000年以降の2万数千試合で160球投げたのは僅かに10人



しかし、考慮にいれなければならない問題があった。球数だ。自己最多の160球という球数は、尋常で異様だ。下記に2000年以降、1試合160球以上投げた投手の一覧を掲載してみた。

2000年以降22,000を超える1軍公式戦(プレーオフ含む)が行われた中で、1試合160球を投げた投手は僅かに10人24例。これだけ少ないのである。この点だけとっても、どれだけ異常事態だったか、理解できると思う。


■2000年以降1試合160球投げた投手一覧
2000年以降1試合160球投げた投手一覧


このことを考えると、WBCからフル回転。1度もローテをはずれることなくここまで投げてきた疲労と合わせて考えると、160球投げさせるべきではないという全うな意見に、大いにうなずくことができる。

ただ、第6戦の160球は、そんな異常起用に見合う「それ相応の要因」が担保されていたように私は考えている。

1つ目に、オーナー会議で正式参入が決定されてからちょうど丸9年目のメモリアルデーにあたっていたこと。この試合で日本一を決めることができれば「物語」として美しい。

2つ目に、チームの逆転の可能性を残すために、残りイニングを確実に零封するには、確率論として、田中しか選択肢がなかったであろうこと。

3つ目には「ファンの前で投げるのは今日で最後だと思ったのかな」という試合後の指揮官のコメントが象徴するように、数多くのファンがこれが田中将大の(遠い将来帰ってくることはあるにせよ一旦は)NPB最後の投球になると認識していたであろうこと。

その意味で、私は今後の田中のフィジカル面を心配しつつも、リスクを抱えながらの続投160球は「あり」だと思っていた。

昭和の浪花節のような続投判断だったけれども、私も昭和生まれである。そのような采配に琴線が緩んでしまうことも典型的な日本人だから、ままある。160球は本当に凄いなあと感じていた。

(下記へ続く)

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日本一の中に「汚点」を残した9回田中将大起用



しかしだ。一夜明けて第7戦の9回、マウンドに田中将大を送り出した星野監督の采配には、一転、正直ガッカリな気持ちである。

田中将大の投球そのものには感動を覚えたが、その起用を決めた指揮官の決断には全く共感できない。第7戦の最後に投げるのなら、なぜ第6戦160球投げさせたのか?という話になってしまう。

田中の登板が最後だろうと思ったからこそ、指揮官もファンも容認したのではなかったのか。

結論から言えば、9回田中起用は、日本一へ「汚点」を残したと思うし、今後の「アキレス腱」にもなりかねないと思っている。

報道によると、日本シリーズで160球後の連投は史上初だという。ということは長い球史の中でも今までなかったということなのだ。投手分業制が確立していなかった遥か昔、稲尾や杉浦らレジェンドが活躍していた時代でも、ありえなかった現象なのだ。

このことは、指揮官も勝利監督インタビューで「本当考えられないような継投」と認めている。端的に言ってしまえば、してはならない「禁じ手」だったのだ。

今季、私は指揮官の選手起用法に変化が見受けられたのを好印象でとらえていた。

前年と比べると選手のコンディションに「ある程度は」配慮する起用がうかがえたからだ。これは昨年の8月がそうだったように主力選手が揃って同時期に不振に陥るといったことが無かったことでも分かる。今季は調子を上げてきた選手が、不振選手の穴をカバーし、チーム全体としてスランプに陥らないような好循環が生まれていた。

エース田中への運用も同様だった。

昔の星野監督なら開幕戦はWBCがあろうとも田中だったはずだ。そこを則本に任せ、田中のWBC疲れや調整不足に配慮して、開幕2カード目のアタマに田中を配置した。これがズバリ的中した。完投も5月後半になるまで、させなかった。交流戦明けでは相性の悪い西武戦を避けてソフトバンク戦で起用するプランもあったというが、本人の意向を尊重して登板間隔をしっかり設けて疲れを取った後の中8日ライオンズ戦となったという。9/17~9/19本拠地ソフトバンク戦でも同様だ。中5日で9/19ソフトバンク戦への先発を進言した佐藤コーチに対し、無理をさせる必要ないという指揮官の判断で中7日で9/21日本ハム戦への登板になったと報じられていた。

このようにシーズン通しての田中のコンディションに配慮した運用も田中の快記録を後押しした。日本シリーズでも同様だった。中4日で第5戦先発もありえた所、DH制の有無等も絡んだのだろうが無理をさせず中5日Kスタでの第6戦起用になった。

ここまでは非常に良い印象を抱いていたのだが、最後の最後へきて、方針を変えてしまったように私の目には映り、ガッカリなのである。

あの場面、3点リードで5番・村田から始まる攻撃だった。一発を持つ打者が続くとはいえ打順は下位に下がっていく場面だった。なにも田中将大でなければ勝利をもぎ取ることはできない、というようなタフな展開ではなかった。セーブシチュエーションだが3点差だ。走者1人出して一発打たれてもまだリードしているという状況だ。比較的余裕のある状況だったはずだ。私は経験豊富な地元出身ベテラン右腕、斎藤隆で十分だったと思う。斎藤ならしっかり試合を締め括ることができたはずだと思っている。第6戦は田中続投でなければ勝利の可能性は生まれなかった。しかし第7戦は田中以外でも日本一をつかみ取ることはできたはずだ。

WBCから数えて3500球以上投げてきた今季(ちなみに1シーズン3500球以上投げた例は少なくとも2007年以降は田中ただ1人になる可能性が非常に高い)、そんな中での今まで誰もやってこなかったシリーズ160球翌日の連投。今後のフィジカル面に悪影響を及ぼしても良い影響に作用することは絶対にないハイリスク(=いつ爆発するか分からない時限爆弾と言い換えても良いかもしれない)を抱えながら、田中を送り込む必要が、どこにあったのか?

シーズン通して貫きとおした田中へのコンディションに配慮した運用を、この土壇場にきて変える必要性が、どこにあったのか?

明大・島岡御大のもとでシゴかれてきた本来の星野監督好みの前近代的な采配がムクムクムクっと頭をもたげてしまったということなのか?

「本当は考えられないような継投なんだけれども、どうしたって田中が『行く!』と」と語った後、指揮官はこのように続けた。

「彼がいたからこそ、この日本シリーズに出られた訳ですから、最後はやはり、あいつが相応しいだとろうということで、彼に託しました!」

大変残念な言葉だった。

最後はやはり、田中を多大な重圧から「解放」させてあげてほしかった!

田中は気合い十分で160球投げたとは思えないほど充実していたという。しかし、それは何も不思議な話ではないのだ。

私も若い頃オールナイトで遊びまくった記憶が多々あるが、遊びに没頭している時、興奮している時はアドレナリンが大量に出て、疲れを知らないものである。しかし、一夜明けて家路に着いて、玄関へ入ったと途端、どっと疲れが押し寄せ、当然その日の大学の講義は欠席だった・・・ということがよくあった。

昨夜の田中の身体はそれと同じ状況だったのでは?と思うのだ。

今後、どっとシーズンの疲れが押し寄せてきて、メジャー挑戦決まった途端にトミージョン手術・・・なんてことにならないよう、ただただ祈るばかりなのだ。本当、これだけは避けてほしいので、田中にはゆっくり身体のケアをしてほしいと思っている。

もし怪我が発生してしまったら、ポスティングを前に田中の商品価値がグッと下がることを意味する。それはひいては、球団側に入ってくるであろう莫大な入札金が、田中の故障で減ってしまうことにもつながってくる。あの前近代的な星野采配が球団に多額な損失を与えたと言われかねないことにもなり、野球をスポーツビジネスとしてみたとき、ありえない現場の判断だったということになる。

田中は、これまでの野球人生より、今後の野球人生のほうが遥かに長いのだ。NPBで積み重ねた勝利数よりMLBでの勝利数のほうが上まわるポテンシャルを持っているのだ。本当にゆっくり養生して新たな挑戦へスタートを切ってもらいたいと思っている。

則本も同様だ。1シーズン3186球も投げた新人投手なんて、最近では本当に珍しいはずだ。1年目活躍した塩見、釜田が2年目いずれも不振だったように、則本も同じわだちにハマらないよう、本当に身体のケアには注意してもらいたい。

ブルペン場にリリーフ陣を押し込め、隠し通すことで掴んだ日本一



さて、話を田中からブルペン陣に移そう。

このシリーズ、楽天投手陣が投げた投球回は全63イニング。そのうち、田中・則本以外の救援陣が投げたのは僅か14.8%に当たる9回1/3だけだった。

巨人と比べると力量が落ちる楽天救援陣。ボロが出ないように必死にブルペン場に救援陣を隔離し、鍵をかけ、隠し通した星野監督。そこまでして掴んだ「必死の日本一」という、やや意地の悪い見方も普通にできてしまう。田中、則本に必要以上に頼りすぎて、ブルペン陣に活躍の場を与えず、端的に言えば「干した」。

これではリリーフ陣のモチベーションもダダ下がってしまう。出番なんて全くないのに、シリーズ通して何度も肩を作ってきた投手もいたはずだ。そういった彼らの苦労はなんだったのか・・・肩は消耗品という点に立つなら、やみくもに肩をブルペンで傷めつけていただけ、ということにもなり、ひいては来季へのプレーにも影響を及ぼしかねない。チーム全体のことや、彼らの今後のことを考えると、こういった方法、はたして良かったのかどうか、大いに疑問が湧いてしまう。

このことは星野監督も痛いほど承知で、だからこそ「短期決戦で王者ジャイアンツをかろうじて、1勝の差で勝ったと。ですが、まだまだ我々はジャイアンツより力が落ちる」という発言につながったのだろうと思っている。

リーグ制覇は全員野球で掴み取ったという要素が強いけれど、日本シリーズはそんなわけで、残念ながら、とても全員野球、総力戦でもぎ取ったとは言えそうもないのだ

確かに短期決戦、不調選手の見きわめは大切だ。しかし、ブルペン陣をそのような状況にさせてしまったのも、そのような状況に追い込んだのも、「そもそもの原因」は星野監督・佐藤コーチの身から出た錆にあるのではないか。

リリーフ育成に失敗した3年間



結局、まともなリリーフ投手を「育成」することができなかった3年間だったのだ。

他球団を見渡せば入団1、2年目で主戦級のリリーフ投手として勝ちパターンで活躍する例が本当に多い。今年のロッテ松永やオリックス佐藤などその代表例だ。しかし、楽天の場合、そういった例がまるで見当たらない。

ラズナーは素晴らしい活躍をした。先発で精彩を欠いた青い目の右腕をそれまで経験の無かった救援に転向させることで主力戦力に仕立て直した。まさに星野監督の判断は慧眼で評価できるところだ。しかし、ラズナーは既存戦力の配置転換での成功例であって、「育成」ではない。

結局、ブラウン政権下で整備されたスリーマウンテンズを食いつぶすかっこうとなったのだ。

片山は序盤の首脳陣のムチャぶりに調子を落として以来、1軍2軍を行ったり来たり。小山はここまでの勤続疲労が祟ったのか、後半戦に入り不調続き。ラズナーは故障で来季は絶望。一足遅れて青山も派手に打ちこまれるようになり、本シリーズではベンチに入らない試合のほうが多かったのではないか。

結局、終盤3イニングを則本、田中で無理やりしのいだところにこそ、星野楽天が抱える「アキレス腱」がハッキリ浮き彫りになったといえる。

来季、再びリーグ制覇~日本一を狙うなら、ブルペン陣をマジ本気で整備していくことが急務となる。ブルペン陣をブルペン場に押しこめるなんていう芸当は、田中、則本という傑出した右腕がいたからこそできたウルトラCである。田中不在の来年、その手は使えなくなる。

星野監督、佐藤コーチにはマジ本気でブルペン陣の立て直し、まともなリリーフ投手の育成に本腰入れてほしいと願っている。

最後に、私の思いは下記エントリーが良く代弁してくれているので、参考までにどうぞ。


◎昨日、楽天と田中将大が見せたもの|2013NPBペナントレース (野球の記録で話したい)

◎戦術的必然性も部下管理方針も感じられない星野監督の田中「特攻登板」起用 (豊浦彰太郎のMLBブログ“Baseball Spoken Here”)

本エントリーの続編はこちら....

◎理解はできても、やっぱり共感できない楽天・星野仙一監督の9回田中将大起用

◎日本シリーズ第7戦9回、楽天・星野仙一監督の田中将大起用について私が「汚点」と書いたその理由

◎日本シリーズにおける田中将大と藤田一也の決定的な違いとは?!



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