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味方打線が1安打で4得点の逆転劇。マリナーズ岩隈久志、アストロズ戦で今季9勝目──7/20SEA4-2HOU

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両軍のスターティングラインアップ

マリナーズ=1番・ミラー(遊)、2番・フランクリン(二)、3番・イバニエス(左)、4番・モラレス(指)、5番・シーガー(三)、6番・スモーク(一)、7番・ベイ(右)、8番・ズニーノ(捕)、9番・ソーンダース(中)、先発・岩隈(右投)

アストロズ=1番・ペーニャ(指)、2番・アルトゥーベ(二)、3番・カストロ(捕)、4番・カーター(左)、5番・ウォラス(一)、6番・マックスウェル(右)、7番・バーンズ(中)、8番・ドミンゲス(三)、9番・エルモア(遊)、先発・ビダード(左投)


岩隈、後半戦最初の登板で幸先のよい白星

米現地時間7月20日の夕刻18時過ぎ。場所は敵地ミニッツメイドパーク。岩隈久志の2013年後半戦は、アストロズ戦での先発登板でスタートした。このカードへの先発は今季3度目、敵地では2度目にあたる。

相手先発ビダードも好投をみせ、中盤4回まではスコアボードにゼロが並ぶ投手戦となった。ビダードはここまで防御率4.61、3勝6敗の成績ながらも、この試合では球がキレていた。要所でのコントロールも素晴らしく、マリナーズの打者を苦しめた。味方打線のバットが空を切るシーンや、見逃し三振に倒れる光景が、いつにも増して多かったのかな?という印象を受ける。

そんな味方が綺麗に三者凡退に倒れた後の1回裏、岩隈はコントロールに苦労して立ち上がりをスタートさせている。

3-0までいったケースが2度。ボールが多く心配される場面だったものの、この症状はエンジンが温まるまでの立ち上がりに良く見られる一過性のものだった。

1番・ペーニャに3-1から今季2個目の初回先頭打者四球を与えてしまったものの、2番・アルトゥーベを6-4-3の併殺網にかけて一気に2アウト。3番・カストロには3-0からカウントを立て直して見逃し三振。フルカウントからのラスト6球目の速球が、アウトコース低めいっぱいにズバッと決まる、胸のすくようなアウトの取り方で、結果的に3人で抑えることに成功していた。3-0になったケースは今季これで11回目を数えるものの、そこから三振を奪ったケースは今季初の快挙となった。

2回以降は、制球に安定感が戻ってきて、いつもの岩隈久志となった。2回は三者凡退。4番カーターには低め縦のスライダーで空を切らせ追い込むと、一転、ズニーノの高め要求に応えた91マイル速球が、今季18本塁打を記録しているパワーヒッターから空振り三振を奪う。後続の2打者には連続して内野ゴロを打たせて、三者凡退。

3回以降6回まで4イニング連続でスコアリングポジションに走者を背負ったが、何度か押し寄せたピンチを2失点に止め、味方の逆転勝利の可能性を残すクオリティスタート範囲内のピッチングをみせていく。

最大のピンチは2度あった。いずれも無死3,2塁だ。最初は零封してみせたが、2度目に2点を失った。

まずは3回裏。下位打線に連打されて迎えた無死3,2塁、バッターボックスに9番打者を迎え、その後2回り目の1番に打順が返っていくシーンだった。

ここで本領発揮をみせるクマ。速球とスプリッターのコンビネーションによる低めの投球で2者連続空振り三振に抑えると、2番・アルトゥーベの打球は岩隈の正面を突くピッチャーライナー。結果球はアウトコースに厳しく決まったスライダーだったため、多少詰まり気味になったのが幸いした。クマも落ち着いて打球を処理し、先制点を奪われてもおかしくない局面をゼロで切り抜けてみせた。

打線が援護できず0-0で迎えた5回裏、2度目の無死3,2塁を迎える。

先頭の8番打者ドミンゲスにこの日2本目のヒットで出塁を許すと、前の打席3球三振に切って取った9番・エルモアに3塁線を突破されるツーベースを打たれてしまう。インコースを狙った速球をひっぱられた当たりは、通常ならサードゴロで5-4-3の併殺コースになっていたかもしれない打球。しかし、サードのシーガーがショート寄りに守備シフトを敷いており、3塁線がかなり空いた状況で抜かれてしまった“不運な長打”とも言えた。

これで無死3,2塁、1番打者をファーストへのファウルフライに討ち取った1死後、2番・アルトゥーベに初球を逆方向へ運ばれてしまった。アウトコースを狙った速球がシュート回転気味に真中に入ったところを右翼後方ウォーニングゾーンまで飛ばされる大飛球。これが犠牲フライとなって1失点。二走もタッチアップで三進し、なおも2死3塁、3番・カストロの場面で、味方守備の拙さからさらに1点を失った。

スプリッターで空振りを奪い1-2と追い込んだラスト4球目。同じ球を同じコースに続けたバッテリーの思惑は決して間違いではなかったと思っている。空振り三振は奪えなかったものの、当たり損ねのボテボテゴロをショート前方へ打たせることに成功する。しかし、3アウト好守交代か?と思われた矢先、打球を処理した遊撃ミラーが、1塁送球時に球を握り損ねてしまい、よもやのセーフ。この間、三走にホームを踏まれ、2失点。伸び代のある新人を起用しているマリナーズである。こういったことは当然想定しなければならないため、この1点は未来への投資かな?という印象だ。(SEA0-2HOU)

2点を先に失った岩隈だが、直後の6回表に2得点、翌7回には勝ち越しの2得点と味方打線が合計4点を挙げ、逆転に成功。7回2失点のクマに勝利投手の権利が発生、8回9回をファーブッシュ、ウィルヘルムセンのブルペンリレーで逃げ切ったマリナーズは2-4で連日の逆転勝利。オールスターを挟んで連勝を5に伸ばし、岩隈は今季9勝目を手にしている。

なんと珍しいことに6回の2得点はヒットなしで奪った同点劇だった。

アストロズが2点を先取した直後、ここまで攻めていた相手先発ビダードの投球が一転、慎重になっていく。これがマリナーズに幸いした。合計3四球に、さらに捕手カストロの2度に渡るパスボール。1点目はフランクリンのセンター犠牲フライで得点を上げたマリナーズは、同点に追いつく2点目を相手のバッテリーエラーで奪うことに成功した。(SEA2-2HOU)

翌7回は2四球で貰ったチャンスの2死2,1塁、相手投手の代わりばなをソーンダースのバットが攻略。背走するセンターを超えて、あのヘンな形をしたセンター後方に着弾。走者2人を悠々ホームに迎え入れる2点二塁打が、この試合の決勝弾となり、この試合マリナーズがアストロズ投手陣から放った唯一のヒットだった(驚)

相手打線はヒット7本。かたや味方はヒット1本で4得点。4-2で逆転勝利したこんなケースの試合は、かつて見たことがあったか? 何度か記憶の奥底をひっくり返してみたものの、思い出せずにいる。クマの9勝目は、そういう意味で大変珍しい試合となった。

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■試合別 投手成績
※黄緑色の網掛け=セーフコフィールド


明暗分かれた両軍捕手、ズニーノとカストロ

この試合に大きな影響を与えたバッテリーエラー。アストロズの捕手カストロのパスボールは、この試合終了時MLBの公式サイトで確認すると9個になっており、この数字はアリーグで2番目に多い数である(ちなみにマリナーズのブランコも同数タイ)。どうやら今季は守備面での課題が指摘されているようで、その拙さがこの試合で出たということなのだろう。

一方、マリナーズのズニーノは岩隈のワンバウンド投球を良く止めてみせた。相手捕手がアレだっただけに、ひときわ際立つかたちとなった。

走者有りの場面で岩隈の投球がワンバウンドになったケースは4度あった。

3回無死3,2塁、9番・エルモア、0-2からの第3球、低めスプリッターがワンバウンドして空振り三振
3回1死3,2塁、1番・ペーニャ、1-2からの第4球、インコース低め縦のスライダーがワンバウンドしてボール
3回2死3,2塁、2番・アルトゥーベ、初球、アウトコース低め縦のスライダーがワンバウンド。少し弾いたものの大事なし
5回無死3,2塁、1番・ペーニャ、0-2からの第4球、低めスプリッターがワンバウンドでボール

このいずれかでも大きく弾いてワイルドピッチになってしまっていたら、最低1失点は覚悟しなければならない場面だっただけに、ズニーノとカストロ、明暗分かれるかたちとなった。

■球種別 投球詳細
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7回、打者29人、87球(1回当たり12.43、1人当たり3.00)、被安打7、奪三振7、与四球2、失点2、自責点2。

《初球29球》
右打者19球=4Seam11、Slider7、Splitter1
左打者10球=4Seam5、Slider3、Splitter2

《2ストライク以降19球》
右打者8球=4Seam4、Slider1、Splitter3
左打者11球=4Seam5、Slider2、Splitter4

3点台に突入していた防御率を再び2点台へと戻す9勝目になっている。

とにかくコントロールが素晴らしかった。立ち上がりは不安定をみせたものの、2回以降は白眉。

確かに打たれたヒットの幾つかは甘い逆球や、右打者のアウトコースを狙ったスライダーが抜けてインコースに入ったところを痛打されるかたちにはなった。しかしヒット7本中ゴロヒットが実に5本と、前半戦の終盤からホームランが激増しているクマにとって、原点回帰のゴロを打たせていきたい立場から言えば、打球管理には成功していたと言えそうだ。そのうちの幾つかは、極端な守備シフトの影響によるヒットや、味方守備の拙さが出た内野安打、あともう少しで岩隈のグラブに収まったかもしれないピッチャー返しなど、不運な面もあった。

コントロールの良さは、この日、岩隈が奪った17個の空振りにも表れている。針の穴を通すような速球の精度も素晴らしかったが(1つ例に挙げるとすれば3回アルトゥーベの3球目など)、変化球、特にスプリッターは低め低めにしっかり制球されており、万が一にも大怪我につながるような失投はなかった。

岩隈の談話「4回連続ピンチ続いて、しんどい部分もありましたけど、粘り強く何とか投げて、先発投手としての役割も果たしたというふうに思います。(1安打での勝利に)チームに勢いをつける1勝じゃないかなと思います」

■配球図
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■スプリッター配球図


■スプリッター被OPS、被打率
※2013年7/20本試合終了時


クマのスプリッターは攻略されているのか?!

今季、岩隈のスプリッターが相手打線にマークされているという。アスレチックス戦では確かにスプリッターをスタンドインされるケースが多かったし、前半戦最後のエンゼルス戦では相手がスプリッターを警戒しているという判断から、スプリッターを少なく、スライダーを多投げしたと報じられている。

だが、昨年と比べて、スプリッターの威力は目に見えて減ったのか?と問われれば、否、という結論になってくる。

上記に昨年と今年のスプリッター被OPS、被打率の表を掲載した。確かにホームランが1本から4本へ増えたため、被OPSでは.446から.581と悪化しているものの、ここからアスレチックス戦を除くと被OPSは.500に、被打率は.210になるのだ。

アスレチックス以外の対戦チームには、依然として有効であることが確認できる。

次ぎに、昨年と今年のスプリッター空振り率を確認してみよう。

《スプリッター全体》
2012年=18.6% (473球放って空振り88球)
2013年=18.7% (374球放って空振り70球)

《2ストライク以降のスプリッター》
2012年=20.5% (249球投げて空振り51球)
2013年=21.5% (186球投げて空振り40球)

このようになっており、昨年とほとんど変わらない推移となっている。

バッテリーは低めの投球に目つけをしている相手打線の裏をかき、2ストライク以降に投げるスプリッターの割合を、昨年の46.1%から34.5%まで減らして、対応している。追い込んでもスプリッターに頼らない配球で立ち向かっているのが今季のクマだが、いざともなれば、やはり頼りになるのは、本人も認める生命線のスプリッターなのだ。【終】

■7/20アストロズ戦の87球詳細
コースNo.は下記図のとおり。球速はマイル表示

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