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マリナーズ岩隈久志、レンジャーズ強打線を相手に8回2失点の好投。超ストライク先行の投球が冴えをみせる!!──5/26○SEA4x-3TEX

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8連敗は止まったか?!

マリナーズは5/17インディアンス戦で延長10回サヨナラ負けを喫して以来、実に8連敗の窮地に立たされていた。本拠地セーフコフィールドに西地区1位のレンジャーズを迎えた3ゲームシリーズでも1、2戦を落とす。2戦目の昨日はエースのヘルナンデスが5回11安打5失点と打ち込まれ、2-5で痛い敗戦となっていた。

今季のマリナーズが、どうにか勝率5割ラインにくらいついていられたのは、ヘルナンデスと岩隈の所で連敗をストップさせ、大型連敗を作らなかったことが大きい。ところが、この8連敗中、キングは2度負け、岩隈は負けこそつかなかったもののインディアンス相手に6回5失点と精彩を欠き、連敗を加速させてしまっていた。

あれよあれよという間に、今や20勝29敗の借金9なのだ。勝率.408はアリーグ全体を見渡してもブルージェイズと並んでワースト2位タイの成績である(ワーストはアストロズの.286)。イチローを放出し若手に機会を与え、オフにはフェンスを手前へ出す改修工事にも着手したマリナーズだったが、このままいけば今年もプレーオフの5文字(?)からは早々に縁遠い存在になってしまいかねないのだ。

レンジャース3連戦の最終戦。チームの連敗をなんとしても8で止めるべく、岩隈が先発のマウンドに登っている。

両軍のスターティングラインアップ

レンジャーズ=1番・プロファー(遊)、2番・マーフィー(左)、3番・バークマン(指)、4番・ベルトレー(三)、5番・クルーズ(右)、6番・モアランド(一)、7番・ソト(捕)、8番・マーティン(中)、9番・ガルシア(二)、先発・テペッシュ(右投)

マリナーズ=1番・チャベス(右)、2番・シーガー(三)、3番・イバニエス(左)、4番・モラレス(一)、5番・モース(指)、6番・ソーンダース(中)、7番・アクリー(二)、8番・スクレ(捕)、9番・ライアン(遊)、先発・岩隈(右投)


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■試合別 投手成績
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延長13回裏、ベイのサヨナラ打でマリナーズ連敗をストップ

時計の針は日本時間9時20分を指し示していた。

同時間の早朝5時10分から始まった長い長い試合に、ようやく終止符が打たれていた。

3-3の同点で迎えた延長13回裏2死3塁、代打で途中出場したジェイソン・ベイが左前へサヨナラの流し打ちヒット!

3塁から悠々走者がビクトリーのホームを踏み、マリナーズの連敗は8でストップ。約4時間10分の攻防の最後には、シアトルのファンを湧かせる歓喜のドラマが用意されていた。

8回まで投げた先発・岩隈には白星こそつかなかった。しかし、大型連敗を止めるサヨナラ勝利に寄与する十分の働きができたことに、まずは素直に喜びたい。

立ち上がりの1回、2回に1点ずつ、合計2点を失った。しかし3回以降は修正。見事に立ち直りをみせてゲームを作った点が、6回の同点劇、そしてジェイソン・ベイのサヨナラ打につながったと言えるのだ。

1回は1番プロファーにいきなり右翼へ被弾。2-2からの外を狙ったスライダーが、ストライクゾーンの真中へ、しかも棒球のような状態で入っていく失投となり、バット一閃でスタンドまで悠々持っていかれてしまう。この一撃は岩隈がメジャーに来てから通算3本目に当たる初回先頭打者本塁打となっていた。(SEA0-1TEX)

2回は短長打の連打で無死3,2塁のピンチ。7番・ソトを外いっぱいの(あのぅ・・・一応断りますけどダジャレじゃないよ)4シームで見逃し三振に討ち取ったものの、1死後、8番打者にセンターへ犠牲フライを打たれ、1失点。(SEA0-2TEX)

しかしだ。ピンチにカンカーン!とタイムリーヒットを簡単に打たれることなく、しっかりアウトと引き換えにしているところが、無死3,2塁のピンチを最少失点で切り抜けたコツと言え、ここで崩れることがなかったのが、この試合のポイントの1つと言える。

味方打線は相手先発テペッシュの前にタイミングが合わず3回までパーフェクト投球を許す苦しい内容だった。こりゃ、ダメかなと思われたが、打順が2回り目にに入った4回以降、4回2死2,1塁、5回2死2,1塁と2死から得点圏に進出、テペッシュを苦しめていく。

立ち直りをみせた岩隈は味方の反撃を待ちながら、3回以降は零封投球が続いていた。そんな状況で迎えた2点を追う6回の攻撃、先頭のシーガーが二塁打でチャンスを作ると、1死後、4番・モラレスのバットが火を噴く。打った瞬間、目の覚めるような強烈な一撃は、右翼席へ吸い込まれていく2ランショット。試合は振り出しに戻る。(SEA2-2TEX)

8回まで投げた岩隈は3回以降、走者の出塁を許したのは4回と7回の2イニングのみという好内容。他4イニングは三者凡退で、ヒットを打たれた回でも好運と相手拙攻でピンチを切り抜けてみせている。

4回は1死後、クルーズにセンターオーバーのフェンス直撃の長打を浴びた。中堅手ソーンダースがクッションボールの処理に少しもたついている。これを見た打者走者が2塁を蹴って一気に3塁を狙う。もたついたボールはその後が素晴らしかった。中継のライアンを経由して3塁へ好返球がやってきて、打者走者タッチアウト。この場面、味方守備のちょっとした綻びが結果オーライになる、岩隈にとって恵まれた僥倖となった。

7回は先頭ベルトレーにレフト左を襲う二塁打を許し、無死2塁。しかし、この後、相手に走塁ミスが出ている。バッターボックスのクルーズのバットを2-2から低めの投球で空振り三振に切ってとると、このとき二走ベルトレーが二三間に大きく飛び出しており、捕手スクレが冷静な判断で追いこみ、二三塁間に挟んでタッチアウト。得点圏のピンチを一気に摘み取ることに成功している。

7回を88球で終えた岩隈は8回も続投。7番ソトから始まるレンジャーズ下位打線を僅か8球で三者凡退させ、96球で本日のお仕事終了。2-2の同点で迎えた9回アタマから救援陣にバトンを託している。

試合はその後、延長戦に突入。11回両軍が1点ずつ取り合って(イバニエスの同点ソロも大きかった)、3-3で迎えた延長13回裏、同点2ランを放った4番モラレスの二塁打がその後のサヨナラ劇をお膳立てした。


■球種別 投球詳細


初めて組んだ新人捕手とのバッテリーで今季最高のストライク率

8回、打者27人、96球(1回当たり12.00、1人当たり3.56)、被安打5、被本塁打1、奪三振8、与四死球0、失点2、自責点2。

4シームのPFX平均値8.7 (前回9.6)

《奪三振の内訳》
見逃し1(4Seam1)、空振り7(4Seam5、Slider1、Splitter1)

《初球の入り27球》
4Seam12、Sinker8、Slider3、Curveball4

《2ストライク以降の34球》
4Seam13、Sinker3、Slider6、Splitter11、Curveball1


これでクオリティスタート率は80.0%から81.8%に上昇している。

実は数日前の23日、マリナーズは捕手モンテロを打撃不振などを理由に3Aへ降格させる人事を発表。代わりにタコマから打撃で結果を残していた若手捕手(とはいってもモンテロより2歳年上なのだが)スクレをメジャー初昇格させていた。

この日、岩隈がバッテリーを組んだのはメジャー2試合目の出場となったそのスクレだった。岩隈とスクレの初の共同作業はどうなのかな?ぎこちなさが出るのかな?と心配な面持ちで観戦に入ったものの、終わってみれば心配ご無用といえそうだ。

1、2回の2失点をぎこちなさが出たと表現することもできるかもしれない。しかし、トータルでみれば、験に乏しい新人捕手に代わったことで振りまわされることなく、クマはクマのピッチングを貫いたと言えそうだ。また、スクレも岩隈の意向やこの日の状態を汲んだ組み立てをしていたかな?と、好印象を持っている。

ということは、ストライク率の高さが証明している。

全体のストライク率は77.1%。今季最高の数字を叩き出していた。もちろん、ストライクが多ければ多いほど良いというものではないのだが、今季の岩隈は少なくともここまで70%を越えてきた試合は、いずれも好投をみせている。


71.7%=4/28エンジェルス戦、勝敗つかずも6回3安打1失点、自責無しの好投
71.6%=5/10アスレチックス戦、7回4安打2失点で勝利投手
70.0%=4/18タイガース戦、6回3安打無失点で勝利投手



初球ストライク率も66.7%と高値を示したが、特に白眉だったのは3球目2ストライク率である。

当ブログを定期的に閲覧してくださっている読者は、当ブログが初球のストライクよりも3球目をより重視していることは、分かって頂けているかと思うのだ。「マネーボール」にも、こんなくだりが出てくる。

たとえば、第1球がストライクだと、バッターの打率は約7分5厘下がる。ボールだと逆に同程度アップする。しかしなにより注目に値するのが3球めだ。

「1-2になるか2-1になるかで、結果の予想が大きく変わります。ワンストライク・ツーボールなら、メジャーリーグの平均的打者がオールスター級の打者に変身する。ツーストライク・ワンボールなら、貧打者に成り下がるんです。世間では初球のストライクが肝心だ、と言いますね。でもじつは初球なんて、3球のうちの1球にすぎません」(同書227頁より)


この試合、岩隈は打者3球目のカウント構築に大戦果を収めていた。最下記の96球詳細表の打者球数3球目をご覧頂きたい。19人中2ストライク以上は実に16人。3球目で2-1のボール先行になったケースは僅か3人のみという、ストライク先行の投球が光った。

甘い球がほとんどなく両サイドや低めに完璧に投げることができた、というわけでもない。それなりに甘い球はあったものの、多くの打者が捉えることができず、逆に岩隈にファウルでストライクカウントを稼がせていた。

やはり、ストライクゾーンの両サイドのみならず、高低と、途中から緩急を組みこんだリードの妙。それに、狙い球を絞らせず打者のタイミングやバットの芯を上手く外した岩隈のストライク先行の投球術が、打者にプレッシャーを与えているのだろう。

球種で言えば、4シームが素晴らしかった。

平均球速144.1キロ。これはここ最近の数試合では最速のスピードになる。球の伸びを示すというPFXでは8.7と平凡な数字になったものの、前述の投球術や球種のコンビネーション等もあって、レンジャーズ打線はクマの4シームに全く対応できていなかったと言えるのだ。

追い込むまでは見逃しストライクやファウルを打たせ、カウントを稼ぐ軸球として機能。追い込んでからも勝負球として威力を発揮、空振り三振5個、見逃し三振1個の合計6個のストライクアウトに、フライアウトが3本(うち内野2本)と上々だった。

特に1回3番バークマンを高め釣り球で三振に討ち取った場面など、クマとスクレの事前コミュニケーションが問題なかったことを伺わせるシーンとなった。

一方、いまひとつだったかな?と感じるのが勝負球のスプリッターだ。

岩隈のスプリッターは空振りを奪うことと同時にゴロを量産させるのも重要な役割を担っている。その意味で言えば3本のイージーゴロを生み出していたのだったが、空振りはこの日投げた18球のスプリッターうち、実に15球目、6回2死バークマンの空振り三振の結果球まで待たなければならなかった。

特に2回3回にはホームベースのかなり手前でワンバウンドする、岩隈にしてみればかなり珍しい投球が2度目撃されている。スプリッターを思うように操るには時間を要したが、終盤どうにか修正できたと言えそうだ。

というわけでスプリッターで奪った三振は僅か1個止まりだったものの、4シームで記録することが多く、トータルでは8個。これも(4シームの走りが良くなった今季は、しばしばあるのだが)珍しい傾向と言えるかもしれない。

前回登板5/20インディアンス戦は先発転向後、自己ワーストとも言える苦しいピッチングだっただけに、強力打線を誇るレンジャーズを迎えたこの試合、どうなるかな?と試金石のマウンドだったかと思う。

そんな中、見事に高いレベルでクオリティスタートを達成してみせたのは、さすがだなと唸らされるのだ。

これで岩隈は11試合を投げ終えた。自身の勝敗こそ5勝1敗だが、チームは9勝2敗。例え自身に白星がつかないときでも、岩隈の投球が味方勝利に大きく貢献していることを如実に示す数字と言えそうだ。

次回は中4日なら敵地ツインズ戦だろうか。ターゲットフィールドとはマウンドとの相性で少し苦しんだ記憶があるが、そこは岩隈だ。問題ない好投をみせてくれるだろうと信じている。【終】


■配球図
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■5/26レンジャーズ戦の96球詳細
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