【試合評】 2013年5月22日(水) ○楽天イーグルス2-1巨人。今季初完投勝利の田中将大、横綱投球の113球
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田中将大、横綱投球の113球。今季初完投勝利
白鵬に似ていると思ったのだ。
田中将大の笑顔である。2-1の1点リードで迎えた8回表1死2,1塁。この試合、最後のピンチとなった場面で2番・石井を泳がせてサードゴロに討ち取ると、3番・坂本にはライトへのイージーフライ。危機を脱出してみせた田中将大は吠えるわけではなく、勝利を確信した笑みを湛えていた。もちろん、巨人の攻撃はあと1イニング残っていた。4番・阿部から始まる一発のリスクもある打順である。しかし、既にこのとき、試合はゲームセットしていたように感じる。
その笑みは、いたずら好きな子供がよく見せる表情とでもいうのだろうか。どことなく憎めない無邪気な笑みと表現すれば良いだろうか。
坂本には高めに浮いたスプリットを打たれたが、ライトへのフライに討ち取った。あの笑みの真相は坂本へ失投を投じたことによる苦笑だったのかもしれない。
しかし、私には湧き起こる圧倒的な自信を噛み締め、自制しているかのようにもみえる表情として映ったのだ。
そんなマウンド上の田中将大を見て、私は土俵上の白鵬がインタビュー等でみせる、あの人懐っこい笑顔を思い出していた。
つまり、何が言いたいか?というと
『横綱投球』
この四文字だったのだ。
球界の盟主、横綱球団の東京読売巨人軍を向こうにまわして、田中将大は横綱投球で応酬。澤村との同期対決を制し、1点差のロースコアを見事もぎ取る113球、今季初の完投勝利となった。
初回、1番・長野に人生初の初回先頭打者本塁打を被弾。僅か3球にして1点を失ったときはどうなるか?と思われた。特に立ち上がりは球が真中に集まるケースが目立ったが、今から考えれば、胸を貸してやったという「余裕の1失点」という見方もできる。
長野に一発をくらった後、2番・石井にも安打出塁を許した田中だったが、坂本をマギーの好守にも助けられ5-4-3のサード併殺打に討ち取ると、4番・阿部には内角を果敢に攻めて146キロ速球で空振り三振。
すると、直後の裏、味方が同点に追いつく1点を奪取する。1番・松井が目の覚めるような快打。右中間へのエンタイトルツーベースで切り込んでいくと、その後、制球定まらない澤村から聖澤がかすった死球、ジョーンズが1度もバットを振らずに四球。1死満塁からマギーがセンターへ打ち返す同点犠飛で、すぐさま試合を振り出しに戻した。
2回、田中は先頭ロペスに安打を打たれたが、後続を併殺網で一網打尽にしピンチの芽を摘み取る。
3回、1死後に松本哲の二塁打でスコアリングポジションへの進出を許したが、初回に打たれた1、2番コンビを今度は2者連続の三振劇でやり返す。長野にはベース上のスプリットで空振りさせて、石井にはアウトコース低めいっぱいにズバッと決まる149キロ速球で見逃し三振。
初の三者凡退劇はクリーンアップトリオから
4回、この試合、田中初の三者凡退劇は、坂本、阿部、ロペスという巨人のクリーンアップトリオから記録している。見逃し三振、セカンドゴロ、空振り三振。堂々の投球で相手を抑え込む。
田中の好投に応えたいイヌワシ打線が、本調子ではない澤村からようやく勝ち越し点をあげたのが5回のこと。
1死後、藤田、聖澤の連打などで作った1死満塁のチャンスで打席は再びマギー。スタンドまでいったか?と思われた当たりはフェンスぎりぎりでレフト・亀井のジャンピングキャッチに遭ったものの、三走の本塁タッチアップには十分すぎるほどの飛距離で、これが決勝犠飛となった。(楽2-1日)
勝ち越して貰った田中は、1番・長野から始まる巨人の攻撃を6回に迎えていたが、この試合2度目の三者凡退に退けると、あとは前述のとおり。8回の危機をしのぎ、9回は阿部、ロペス、亀井を3人で締め、113球の完投勝利、両リーグハーラートップの負けなし7勝を飾った。
久米島のイーフビーチで「今年の主役は俺たち楽天だ!」と絶叫した田中将大が、いよいよギアをさらに一段階上げてきた。試合後の星野監督も認める“エースの仕事”で、チームはこれで3連勝。例年苦手とする交流戦なだけに、この1勝がもたらす価値は大きいと言えそうだ。
なお、観客は今季初のチケット完売、大入りの21,354人の大聴衆となった。
これでチーム成績は42試合23勝19敗。貯金4は昨年5/28以来、今季最多。西武が負けたため、順位は2位に浮上。ゲーム差は1位・ロッテと2.0、3位・西武とゲーム差なし、6位・日本ハムと5.5。交流戦成績は7試合5勝2敗でオリックスと並んで1位タイとなっている。なお、各種戦績は下記のとおり。
5月月間成績・・・17試合12勝5敗。5月の勝ち越しが決定した。
直近10試合・・・7勝3敗
Kスタ戦績・・・20試合12勝8敗
カードの初戦・・・17試合13勝4敗。
1点差試合・・・8試合5勝3敗
両軍のスターティングラインアップ
巨人=1番・長野(右)、2番・石井(指)、3番・坂本(遊)、4番・阿部(捕)、5番・ロペス(一)、6番・亀井(左)、7番・村田(三)、8番・立岡(二)、9番・松本哲(中)、先発・澤村(右投)
楽天=1番・松井(遊)、2番・藤田(二)、3番・聖澤(中)、4番・ジョーンズ(指)、5番・マギー(三)、6番・銀次(一)、7番・島内(右)、8番・嶋(捕)、9番・森山(左)、先発・田中(右投)
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ザ・プロ野球!
この巨人2連戦の解説は、なんとなんと!アンバサダーの草野大輔氏が担当。あの草野節での解説を堪能することができた。昨年、嶋の盗塁阻止率が極端に悪かったのは、嶋が肩を怪我していたからだと明かし、今年は肩も万全だという。右手骨折の影響だろうと思っていたが、あわせて肩も痛めていたのだ。草野氏しか知り得ない事情の披歴もあった。
そんな草野氏の口から「ザ・プロ野球!」の名台詞が飛び出したのは、1-1で迎えた5回1死満塁、マギーの打席のこと。まるで阪神ファンのようなボリュームの、犬鷲ファンによる応援が凄まじかったことを覚えている。
2-0から甘い速球を完璧に捉えた当たりは、左翼深くを襲う快飛球(マギーいわく詰まったという)。フェンス直撃コースの当たりを、亀井が追いつき、ジャンピングキャッチ。飛球は無情にもグラブに収まり、走者一掃の一打とならなかった。この亀井のスーパープレーに対し「ザ・プロ野球ですね~」と草野氏。
この他にも両軍の好守が随所で見ることができた。
1点リードの6回2死2塁では低めに入るカーブを捉えた松井の三遊間への当たりを、サード・村田がダイビングキャッチ。
楽天では2度の併殺完成はマギー、藤田の好プレーによるものだった。1回無死1塁、坂本の放った3塁線への強襲をマギーがバックハンドで良く止めて5-4-3、2回無死1塁、亀井のヒットコースを襲ったピッチャー返しは、位置取りが奏功した藤田が待ち構えており4-6-3。藤田は4回にも阿部が放った一二塁間のかなり深いゾーンへの当たりにも追いついてみせ、セカンドゴロを完成させてみせている。
■楽天 田中将大 球種別 投球詳細

田中将大、同期対決10連勝
9回、打者33人、113球(1回当たり12.56、1人当たり3.42)、被安打7、被本塁打1、奪三振8、与四球1、失点1、自責点1。
初球の入り(33球)・・・ストレート8、ツーシーム8、スライダー15、スプリット1、カーブ1
2ストライク以降(26球)・・・ストレート9、ツーシーム1、スライダー1、スプリット14、カーブ1
田中将大は年下対決では2010年6/13Kスタでのヤクルト戦で由規に負けを喫しているが、同期対決ではここまで1度も負けたことがない。WBCで自他ともに認め合った澤村との初対決をしっかり制し、これで11試合10連勝を飾っている。(同期対決の成績表はこちらの過去エントリを参照)
ヒットは7本打たれている。単打4本に長打3本を許したが、この日は追い込んでからの投球が、いつにも増して圧巻の独擅場だった。決して三振を狙いにいく投球ではなかったものの、2ストライク以降の対決は17打数1安打8三振。特に勝負球スプリットがキレを見せた。
2ストライク以降に投じたスプリットは14球。そのうちボールカウントになったのは僅か1球である。恐らく見逃せばボール球であるこの球に、巨人打線は全く対応できず14球中13球で手を出してしまう。田中の思惑どおりの展開となった。そのうち4球で空振り三振を奪い、3球でファウルを、6球で凡打を打たせた(ゴロ5、フライ1)。
ストレートやツーシームといった速球、スライダーでカウントを組み立て、追い込んでからは主にスプリットで料理していく。このパターンがハマった。早いカウントでは両サイドに投げ分けたツーシームが機能。長野に一発を打たれたとはいえ、その後はゴロを量産している。
幼馴染の坂本を翻弄
そんな中、印象に残った対決があった。幼馴染の坂本勇人との対戦だ。ここまで公式戦では11打席、11打数4安打2三振、1ニ塁打。オールスターでは2打席、2打数1安打という結果が残っていた。
この試合、初対決は1回無死1塁、高めに入った甘い投球を弾き返されたが、サードのマギーの好守備で併殺打に討ち取ると、2打席目はアウトコース低めに速球が決まる見逃し三振だった。
印象に残ったのは6回の3打席目だ。ファウルを打たせ僅か2球で追い込んでみせた直後の第3球、アウトコースに縦割れの115キロカーブが決まる。前の球との緩急差は実に34キロを計測し、坂本は意表を突かれた格好となり、見逃し三振。実は2ストライク以降に勝負球としてカーブを使ったのは、この試合この1球だけで、ここまで対戦成績で分が悪かった幼馴染を、あっさり翻弄してみせている。
これで公式戦での対戦成績は15打席、15打数4安打4三振、1二塁打となっている。
■田中将大 巨人戦 投手成績

■巨人 澤村拓一 球種別 投球詳細

澤村拓一、田中に完敗
5回1/3、打者26人、103球(1回当たり19.31、1人当たり3.96)、被安打6、奪三振4、与四死球4(四3死1)、失点2、自責点2。
「ストライクからボール(にする球)とか、(投げる球を)意図できるところが将大と僕の差なのかな、と思いました」。
両人とも意識して臨んだ初対決は、田中将大に軍配が上がった。
田中が9回を投げ抜いた一方、澤村は6回途中嶋にヒットを浴びた後、走者を残して降板している。試合後、澤村は記者陣に田中との違いをそう語ったという。
田中の71.7%に対し、澤村は56.3%。ストライク率の差異が明暗を分けた。その差は初球ストライク率、3球目2ストライク率でもくっきり表れている。
この日はKスタとのマウンドの相性なのだろうか、スライダーを始め、フォークやカーブなど変化球の精度が悪く、速球中心の苦しい組み立てに。
四苦八苦する澤村から、イヌワシ打線は合計10回の得点圏打席をつかんだが、タイムリー出ず。マギーの快飛球がいずれも巨人外野陣のグラブに収まるなど相手好守もあって打ち崩すことはできなかったが、好投をみせた田中には2点あれば十分という試合になった。【終】
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《田中の前回登板試合》
・【試合評】 2013年5月14日(火) ○楽天イーグルス7-3横浜DeNA AJ、ハマの番長が投じた唯一の失投を仕留める!!
《直近2試合の試合評》
・【試合評】 2013年5月19日(日) ○楽天イーグルス1-0ヤクルト。9回表「生みの苦しみ」を乗り越え、今シーズン初の零封勝利
・【試合評】 2013年5月20日(月) ○楽天イーグルス3-1ヤクルト。戸村健次、プロ4年目にして最高の8回1失点
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田中将大、横綱投球の113球。今季初完投勝利
白鵬に似ていると思ったのだ。
田中将大の笑顔である。2-1の1点リードで迎えた8回表1死2,1塁。この試合、最後のピンチとなった場面で2番・石井を泳がせてサードゴロに討ち取ると、3番・坂本にはライトへのイージーフライ。危機を脱出してみせた田中将大は吠えるわけではなく、勝利を確信した笑みを湛えていた。もちろん、巨人の攻撃はあと1イニング残っていた。4番・阿部から始まる一発のリスクもある打順である。しかし、既にこのとき、試合はゲームセットしていたように感じる。
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しかし、私には湧き起こる圧倒的な自信を噛み締め、自制しているかのようにもみえる表情として映ったのだ。
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球界の盟主、横綱球団の東京読売巨人軍を向こうにまわして、田中将大は横綱投球で応酬。澤村との同期対決を制し、1点差のロースコアを見事もぎ取る113球、今季初の完投勝利となった。
初回、1番・長野に人生初の初回先頭打者本塁打を被弾。僅か3球にして1点を失ったときはどうなるか?と思われた。特に立ち上がりは球が真中に集まるケースが目立ったが、今から考えれば、胸を貸してやったという「余裕の1失点」という見方もできる。
長野に一発をくらった後、2番・石井にも安打出塁を許した田中だったが、坂本をマギーの好守にも助けられ5-4-3のサード併殺打に討ち取ると、4番・阿部には内角を果敢に攻めて146キロ速球で空振り三振。
すると、直後の裏、味方が同点に追いつく1点を奪取する。1番・松井が目の覚めるような快打。右中間へのエンタイトルツーベースで切り込んでいくと、その後、制球定まらない澤村から聖澤がかすった死球、ジョーンズが1度もバットを振らずに四球。1死満塁からマギーがセンターへ打ち返す同点犠飛で、すぐさま試合を振り出しに戻した。
2回、田中は先頭ロペスに安打を打たれたが、後続を併殺網で一網打尽にしピンチの芽を摘み取る。
3回、1死後に松本哲の二塁打でスコアリングポジションへの進出を許したが、初回に打たれた1、2番コンビを今度は2者連続の三振劇でやり返す。長野にはベース上のスプリットで空振りさせて、石井にはアウトコース低めいっぱいにズバッと決まる149キロ速球で見逃し三振。
初の三者凡退劇はクリーンアップトリオから
4回、この試合、田中初の三者凡退劇は、坂本、阿部、ロペスという巨人のクリーンアップトリオから記録している。見逃し三振、セカンドゴロ、空振り三振。堂々の投球で相手を抑え込む。
田中の好投に応えたいイヌワシ打線が、本調子ではない澤村からようやく勝ち越し点をあげたのが5回のこと。
1死後、藤田、聖澤の連打などで作った1死満塁のチャンスで打席は再びマギー。スタンドまでいったか?と思われた当たりはフェンスぎりぎりでレフト・亀井のジャンピングキャッチに遭ったものの、三走の本塁タッチアップには十分すぎるほどの飛距離で、これが決勝犠飛となった。(楽2-1日)
勝ち越して貰った田中は、1番・長野から始まる巨人の攻撃を6回に迎えていたが、この試合2度目の三者凡退に退けると、あとは前述のとおり。8回の危機をしのぎ、9回は阿部、ロペス、亀井を3人で締め、113球の完投勝利、両リーグハーラートップの負けなし7勝を飾った。
久米島のイーフビーチで「今年の主役は俺たち楽天だ!」と絶叫した田中将大が、いよいよギアをさらに一段階上げてきた。試合後の星野監督も認める“エースの仕事”で、チームはこれで3連勝。例年苦手とする交流戦なだけに、この1勝がもたらす価値は大きいと言えそうだ。
なお、観客は今季初のチケット完売、大入りの21,354人の大聴衆となった。
これでチーム成績は42試合23勝19敗。貯金4は昨年5/28以来、今季最多。西武が負けたため、順位は2位に浮上。ゲーム差は1位・ロッテと2.0、3位・西武とゲーム差なし、6位・日本ハムと5.5。交流戦成績は7試合5勝2敗でオリックスと並んで1位タイとなっている。なお、各種戦績は下記のとおり。
5月月間成績・・・17試合12勝5敗。5月の勝ち越しが決定した。
直近10試合・・・7勝3敗
Kスタ戦績・・・20試合12勝8敗
カードの初戦・・・17試合13勝4敗。
1点差試合・・・8試合5勝3敗
両軍のスターティングラインアップ
巨人=1番・長野(右)、2番・石井(指)、3番・坂本(遊)、4番・阿部(捕)、5番・ロペス(一)、6番・亀井(左)、7番・村田(三)、8番・立岡(二)、9番・松本哲(中)、先発・澤村(右投)
楽天=1番・松井(遊)、2番・藤田(二)、3番・聖澤(中)、4番・ジョーンズ(指)、5番・マギー(三)、6番・銀次(一)、7番・島内(右)、8番・嶋(捕)、9番・森山(左)、先発・田中(右投)
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そんな草野氏の口から「ザ・プロ野球!」の名台詞が飛び出したのは、1-1で迎えた5回1死満塁、マギーの打席のこと。まるで阪神ファンのようなボリュームの、犬鷲ファンによる応援が凄まじかったことを覚えている。
2-0から甘い速球を完璧に捉えた当たりは、左翼深くを襲う快飛球(マギーいわく詰まったという)。フェンス直撃コースの当たりを、亀井が追いつき、ジャンピングキャッチ。飛球は無情にもグラブに収まり、走者一掃の一打とならなかった。この亀井のスーパープレーに対し「ザ・プロ野球ですね~」と草野氏。
この他にも両軍の好守が随所で見ることができた。
1点リードの6回2死2塁では低めに入るカーブを捉えた松井の三遊間への当たりを、サード・村田がダイビングキャッチ。
楽天では2度の併殺完成はマギー、藤田の好プレーによるものだった。1回無死1塁、坂本の放った3塁線への強襲をマギーがバックハンドで良く止めて5-4-3、2回無死1塁、亀井のヒットコースを襲ったピッチャー返しは、位置取りが奏功した藤田が待ち構えており4-6-3。藤田は4回にも阿部が放った一二塁間のかなり深いゾーンへの当たりにも追いついてみせ、セカンドゴロを完成させてみせている。
■楽天 田中将大 球種別 投球詳細

田中将大、同期対決10連勝
9回、打者33人、113球(1回当たり12.56、1人当たり3.42)、被安打7、被本塁打1、奪三振8、与四球1、失点1、自責点1。
初球の入り(33球)・・・ストレート8、ツーシーム8、スライダー15、スプリット1、カーブ1
2ストライク以降(26球)・・・ストレート9、ツーシーム1、スライダー1、スプリット14、カーブ1
田中将大は年下対決では2010年6/13Kスタでのヤクルト戦で由規に負けを喫しているが、同期対決ではここまで1度も負けたことがない。WBCで自他ともに認め合った澤村との初対決をしっかり制し、これで11試合10連勝を飾っている。(同期対決の成績表はこちらの過去エントリを参照)
ヒットは7本打たれている。単打4本に長打3本を許したが、この日は追い込んでからの投球が、いつにも増して圧巻の独擅場だった。決して三振を狙いにいく投球ではなかったものの、2ストライク以降の対決は17打数1安打8三振。特に勝負球スプリットがキレを見せた。
2ストライク以降に投じたスプリットは14球。そのうちボールカウントになったのは僅か1球である。恐らく見逃せばボール球であるこの球に、巨人打線は全く対応できず14球中13球で手を出してしまう。田中の思惑どおりの展開となった。そのうち4球で空振り三振を奪い、3球でファウルを、6球で凡打を打たせた(ゴロ5、フライ1)。
ストレートやツーシームといった速球、スライダーでカウントを組み立て、追い込んでからは主にスプリットで料理していく。このパターンがハマった。早いカウントでは両サイドに投げ分けたツーシームが機能。長野に一発を打たれたとはいえ、その後はゴロを量産している。
幼馴染の坂本を翻弄
そんな中、印象に残った対決があった。幼馴染の坂本勇人との対戦だ。ここまで公式戦では11打席、11打数4安打2三振、1ニ塁打。オールスターでは2打席、2打数1安打という結果が残っていた。
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印象に残ったのは6回の3打席目だ。ファウルを打たせ僅か2球で追い込んでみせた直後の第3球、アウトコースに縦割れの115キロカーブが決まる。前の球との緩急差は実に34キロを計測し、坂本は意表を突かれた格好となり、見逃し三振。実は2ストライク以降に勝負球としてカーブを使ったのは、この試合この1球だけで、ここまで対戦成績で分が悪かった幼馴染を、あっさり翻弄してみせている。
これで公式戦での対戦成績は15打席、15打数4安打4三振、1二塁打となっている。
■田中将大 巨人戦 投手成績

■巨人 澤村拓一 球種別 投球詳細

澤村拓一、田中に完敗
5回1/3、打者26人、103球(1回当たり19.31、1人当たり3.96)、被安打6、奪三振4、与四死球4(四3死1)、失点2、自責点2。
「ストライクからボール(にする球)とか、(投げる球を)意図できるところが将大と僕の差なのかな、と思いました」。
両人とも意識して臨んだ初対決は、田中将大に軍配が上がった。
田中が9回を投げ抜いた一方、澤村は6回途中嶋にヒットを浴びた後、走者を残して降板している。試合後、澤村は記者陣に田中との違いをそう語ったという。
田中の71.7%に対し、澤村は56.3%。ストライク率の差異が明暗を分けた。その差は初球ストライク率、3球目2ストライク率でもくっきり表れている。
この日はKスタとのマウンドの相性なのだろうか、スライダーを始め、フォークやカーブなど変化球の精度が悪く、速球中心の苦しい組み立てに。
四苦八苦する澤村から、イヌワシ打線は合計10回の得点圏打席をつかんだが、タイムリー出ず。マギーの快飛球がいずれも巨人外野陣のグラブに収まるなど相手好守もあって打ち崩すことはできなかったが、好投をみせた田中には2点あれば十分という試合になった。【終】
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