【試合評】 2013年5月12日(日) ●楽天イーグルス4-5xロッテ。野球の神髄を、醍醐味を堪能したロッテ2連戦
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~~
今季最長4時間29分の激闘に、野球の神髄を垣間見た!!
一昨日は9回2死から今季初のサヨナラ勝利!! 指揮官も「楽天に来て初めて」と語るほど歓喜に湧いた夜になったが、今日は一転、9回2死からラストバッターとなるはずの打者が、まさかのサヨナラバッターに...
あとアウト1個で球団タイ記録3度目の7連勝だった。今季初のサヨナラ負けで連勝街道が止まってしまったことこそ、悔しいものは、ない。その一方、大変充実した感情に心が満ち足りているのも、これまた事実なのだ。
この2試合、応援する贔屓の球団を超えて、野球というスポーツの醍醐味を改めて堪能させてもらった思いがする。私の中の野球熱が再びグツグツグツと燃え上がるのを感じるのだ。
それだけに、残念だったことがある。
この試合を中継していたBS12ch TwellVの対応だ。3-3の同点、8回裏2死2,1塁、外野に抜ければロッテが勝ち越しという場面だった。代打・清田が左中間へ快飛球を放った。ところが、この瞬間、実況アナが無情の宣告をアナウンスする。
「申し訳ございません。テレビをご覧の皆様とはここでお別れします」。
あまりにも間が悪いシーンとなった。
パリーグTVで観戦していた私は難を逃れたが、BS12で視聴されていたファンは、あの後から起こったドラマの数々を知っているのだろうか?
清田の飛球は結局森山のグラブに収まった。楽天が9回に益田を打ち崩し1点勝ち越しに成功。しかし直後の裏、土壇場の2死満塁で、今江が追い込まれながらライトオーバーのサヨナラツーベース。ロッテが今季4度目のサヨナラ勝利を収めた劇的な結末を、BS12の視聴者は味わえなかったのだ。
両軍のスターティングラインアップ
楽天=1番・松井(遊)、2番・藤田(二)、3番・聖澤(中)、4番・ジョーンズ(指)、5番・マギー(一)、6番・高須(三)、7番・中島(左)、8番・嶋(捕)、9番・鉄平(右)、先発・永井(右投)
ロッテ=1番・根元(二)、2番・荻野貴(左)、3番・鈴木(遊)、4番・サブロー(指)、5番・今江(三)、6番・福浦(一)、7番・加藤(右)、8番・金澤(捕)、9番・岡田(中)、先発・成瀬(左投)
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終盤、3点差を良く追いつき、9回良く勝ち越した!!
良く知られている野球の法則に「先取点を取ったチームは勝率が高い」というセオリーがある。これと同時に統一球以降の近年で特に存在感を増すのは「6回終了時に勝っているチームの勝率が大変高い」というもの。
投手分業制が進んだ現在、7回以降は勝利の方程式が登場するシチュエーションだ。ビハインドのチームが容易に逆転できなくなっているのは、少し想像を巡らせれば、納得できるかと思う。ちなみに、試合前データで6回終了時に楽天が負けていたゲームの成績は1勝13敗。リードしたゲームは14勝1敗。楽天もその例に漏れず、ということになっていた。
この試合、6回終了時、楽天は3点を追う立場にいた。
3回、序盤の2回をあっさり片づけた先発・永井が、本日1軍昇格即先発出場の新人・加藤翔平に、初球高めに入った変化球を振り抜かれ、プロ初打席初球本塁打の先制ソロ・ショットを被弾(聞くところによると、新人野手の初打席初球本塁打はNPB史上初だという)。4回は2死からサブロー、今江、福浦の中核トリオに3連打を浴び1失点。5回はバッテリーミス等で得点圏に走者を進めてしまうと、高須が手痛いタイムリーエラー。3点を失っていた。
ロッテの先発は成瀬。目下4連勝中で防御率0.99。イヌワシ打線は毎回走者の出塁に成功するものの、要所を締める成瀬之前にホームが遠い。結局、6回を零封されてしまう。
しかし、7回。潮目が変わった。
107球を投げた成瀬を休ませ、ロッテは7回アタマから継投に入っていく。二番手には大嶺。先日3年ぶりの勝利を上げた未完の大器が、馴れない救援登板で四苦八苦しているところ、イヌワシ打線は攻め立てていく。
戦端を切り開いた先頭・嶋の左前安打と2四球で無死満塁。藤田が左のワンポイントリリーフ、服部からセンターへ犠牲フライを放つと、2死3,1塁でジョーンズがセンターへ抜けようかというセカンド内野安打。この間に三走が生還した。(楽2-3ロ)
7回に2点を返し、1点差に肉迫した楽天の同点劇は翌8回にやってきた。
1軍復帰後打率.213と低迷する銀次が先頭打者としてくらいついた。ロッテ五番手・伊藤の低めの投球を叩きつけた泥臭い当たりは高いバウンドに。これがショート内野安打になる。嶋が右打ちの進塁打でスコアリングポジションに走者を進めると、鉄平が右前に痛烈に弾き返し1死3,1塁。松井は左翼前方の浅い飛球に倒れたが、2試合連続ヒーローインタビューの藤田が魅せた。
2-2と追い込まれた状態だったが、藤田はなんのその。痛烈なピッチャー返しを弾き返していく。当たりはそのまま中前へ。3塁から代走・森山が同点のホームを踏んだ。(楽3-3ロ)
犬鷲の反攻はまだ終わらない。仕上げは9回だった。
同点の場面ながら登板した抑え・益田から2戦連続で得点を奪うことに成功。先頭・ジョーンズのセンター前、森山の足で稼いだ内野安打でスコアリングポジションに走者を進めると、2死2,1塁、バッターボックスは嶋。チーム2位の打点マシーンが9試合ぶりの打点を記録していく。初球打ちのバウンドが益田を越え、二遊間の守備網をかいくぐり、しぶとく中前へ抜けていく。2塁から走者がホームインし、ようやくこの試合、楽天がリードを奪った。
楽天は7回以降、よく4点を取ったと思う。
あとは9回裏、青山が終止符を打つだけである。
しかし、この青山が誤算となった。
1死後、根元に四球、1塁に走者を置いて荻野貴に左翼線二塁打。鈴木を敬遠にして塁を埋め1死満塁。サブローはアウトコース低めのスライダーで空振り三振に討ち取ったものの、続く今江に右打ちを浴びた。追い込んでから“局面打開のスライダー”を外角低めに投げ込み、空振りを誘いたかった投球が、高めに浮いた。これを右翼ポール際ウォーニングゾーンまで弾き返された。鉄平が必死に打球を追う。精いっぱいグラブを伸ばしたが及ばず。走者2名が悠々生還するサヨナラ打になってしまう。
楽天のサヨナラ負けは今季初。青山のセーブ失敗は今季2度目。これでチーム成績は35試合18勝17敗となった。
ロッテ戦は8試合3勝5敗(QVC1勝4敗)、ビジター戦績18試合9勝9敗、1点差試合5試合3勝2敗、相手先発左投手試合13試合5勝8敗、逆転試合14試合8勝6敗、先制されたゲーム18試合5勝13敗としている。
楽天は交流戦前のリーグ日程を勝ち越しで終えた。貯金1を持って明後日から交流戦だ。昨年も35試合17勝16敗2分の貯金1で交流戦に臨んでいた。今年も昨年と同じペースでここまできていると言えそうだ。
あと1本。決めて欲しかった場面が幾つかあった
得点圏で期待高まる打者に打席がまわるものの、あえなく凡退というシーンが幾つかあった。
0-0で迎えた3回2死2,1塁、バッターボックスは聖澤。10試合連続安打とバッティング好調の3番打者は、追い込まれてからファウルで4度粘るなど、成瀬に9球投げさせた。しかし、ラストの9球目をサードファウルフライを打ち上げてしまう。
3点を追う6回2死2,1塁は中島。(2005年以降)成瀬との通算対戦成績を27打数12安打の.444と相性が良さをみせていた左殺し。前回4/19でも成瀬から1本ヒットを記録していた。しかし、センターへ打ち上げてしまう。
7回は2死満塁、1点を追う状況だった。バッターボックスには高須。5回自らの1塁悪送球がタイムリーエラーとなっていただけに、必殺仕事人の面目躍如で取りかえしたいところだったが、あえなく詰まらされたピッチャーゴロ。
このいずれかで1本出ていたら、また違った歓喜のドラマが待っていたのだったが、いやはや、残念な結末になった。
藤田、追い込まれてから見せた本領発揮の一撃
1点を追う8回2死3,1塁、藤田が魅せた当たりは、白眉の同点打となった。藤田は追い込まれてこそ本領を発揮する。
少なくとも2010年以降の藤田は2ストライクを取られても、全く動じないのだ。2ストライク以降の打率は横浜在籍時2010年は.288。これはセリーグでトップの数字だったという。昨年は楽天移籍後に67打数22安打の.328。今年はこれで48打数13安打の.271。3年連続でハイアベレージを維持している。
■藤田一也 2013年 2ストライク以降の打撃詳細
※5/12終了時データ
※St=ストレート、Sh=シュート、Sl=スライダー、Cut=カットボール、Fo=フォーク、Ch=チェンジアップ、Cur=カーブ

■楽天 永井怜 球種別 投球詳細

「立ち上がりは良かったんですが…、粘れなかったのでチームに申し訳ないです」
4回1/3、打者20人、76球(1回当たり17.54、1人当たり3.80)、被安打6、被本塁打1、奪三振1、与四球1、失点3、自責点2。
降板後、永井は記者陣にそう漏らしたと言う。これで2試合連続クオリティスタート未達。交流戦の先発ローテからは恐らく外れることになるだろう。しかし、全く悪かったわけではないとみる。
立ち上がりの1、2回は素晴らしかった。2イニング連続の三者凡退。内野ゴロ4個、内野フライ1個、三振1個。6人の打者にいずれも自身の打撃を許さず、全てのアウトを内野で取ってみせた。
3回、先頭・加藤に投じたスライダー(加藤本人はチェンジアップというコメントを出しているが、永井はチェンジアップを投げない。スライダーかフォークだと思う)が高めへの失投となり、右翼席へ運ばれた。しかし、その後、崩れることなく、きっちり打者3人を完璧なゴロアウトに仕留めてみせた。
4回は2死から3連打で1点を失っている。サブロー、福浦に打たれた結果球(いずれもストレートだ)は甘く入ってしまったのが、悔やまれるところ。
この人の看板球カーブはこの試合でも上々。低め低めに良く球を集め、内野ゴロ5個、外野イージーフライ1個を、いずれも打者のタイミングをはずし、奪ってみせた。
走者の出塁を許してからもう一歩踏ん張ることができれば、クオリティスタート内のゲームメイクができたはずだ。
フォークを投げることができていない永井
ただ、気になる点が1つある。永井のもう1つの看板球、フォークのことである。
前回5/6オリックス戦では80球中フォークは3球だけ。球種割合にして僅か3.8%。そしてこの試合は76球のうち2球、2.6%に止まっている。
永井が華やかりし頃、2009年の球種割合を確認すると21%フォークを投げていた。2011年も16%を投げている。(『BT2010プロ野球プレイヤーズファイル』『BT2012プロ野球プレイヤーズファイル』より)
故障からの復活途上にある永井、フォークの精度はまだ実戦レベルに達していないという判断なのかもしれない。フォークが以前と同様に操ることができれば、ピッチングはもっと楽になり、相手打者の空振りも増えてくるはずだ。
■ロッテ 成瀬善久 球種別 投球詳細

AJの仕事ぶりが序盤、終盤の明暗を分けた
6回、打者25人、107球(1回当たり17.83、1人当たり4.28)、被安打7、奪三振7、与四球1、失点0、自責点0。
攻略できるチャンスがあるようにみえて、ホームが遠い。さすがに球界を代表する左腕先発投手だけのことはある。要所を締める投球をされてしまった。3回、6回の好機では、前述のとおり聖澤、中島が凡退に倒れた。
他に大きかったのは、2回、4回、いずれも先頭打者打席でまわってきたAJが成瀬から出塁できなかったのも、大きい。実際、成瀬降板後の7回、9回、AJはヒットを放ち、得点に絡んでいただけに、序盤に出塁できていれば、試合はまた違った景色を描いたはずだ。また、後続マギーが2本ヒットを放っているだけに、AJが出塁すればさらなるシナジー効果が見込むことができたはずである。今日のAJは成瀬のスライダーに全くタイミングが合っていなかったのだ。
【終】
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◎◎◎関連記事◎◎◎
《永井の前回登板試合》
・【試合評】 2013年5月6日(月・祝) ○楽天イーグルス10-3オリックス。GWホーム最終戦、白星は斎藤隆の手に。ジョーンズ&マギー砲に松井の球団17本目の満塁弾
《直近2試合の試合評》
・【試合評】 2013年5月9日(木) ○楽天イーグルス6-2日本ハム。理解できる中田四球アブレイユ勝負。吉川を追い詰めた2回無死満塁での4得点劇
・【試合評】 2013年5月10日(金) ○楽天イーグルス5-3ロッテ。9回2死から幕を開けた奇跡の逆転劇。連勝街道は6へ
《当ブログのコメントルール》御感想のある方は下記コメント欄でどうぞ。ただし、感情に流された御意見・誹謗・中傷・悪意の類、プロ野球や楽天と関係のないもの、名無しや通りすがりなどハンドルネームがいい加減と私が判断したものは、御遠慮申し上げております。頂いても削除の対象となります。
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あとアウト1個で球団タイ記録3度目の7連勝だった。今季初のサヨナラ負けで連勝街道が止まってしまったことこそ、悔しいものは、ない。その一方、大変充実した感情に心が満ち足りているのも、これまた事実なのだ。
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パリーグTVで観戦していた私は難を逃れたが、BS12で視聴されていたファンは、あの後から起こったドラマの数々を知っているのだろうか?
清田の飛球は結局森山のグラブに収まった。楽天が9回に益田を打ち崩し1点勝ち越しに成功。しかし直後の裏、土壇場の2死満塁で、今江が追い込まれながらライトオーバーのサヨナラツーベース。ロッテが今季4度目のサヨナラ勝利を収めた劇的な結末を、BS12の視聴者は味わえなかったのだ。
両軍のスターティングラインアップ
楽天=1番・松井(遊)、2番・藤田(二)、3番・聖澤(中)、4番・ジョーンズ(指)、5番・マギー(一)、6番・高須(三)、7番・中島(左)、8番・嶋(捕)、9番・鉄平(右)、先発・永井(右投)
ロッテ=1番・根元(二)、2番・荻野貴(左)、3番・鈴木(遊)、4番・サブロー(指)、5番・今江(三)、6番・福浦(一)、7番・加藤(右)、8番・金澤(捕)、9番・岡田(中)、先発・成瀬(左投)
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終盤、3点差を良く追いつき、9回良く勝ち越した!!
良く知られている野球の法則に「先取点を取ったチームは勝率が高い」というセオリーがある。これと同時に統一球以降の近年で特に存在感を増すのは「6回終了時に勝っているチームの勝率が大変高い」というもの。
投手分業制が進んだ現在、7回以降は勝利の方程式が登場するシチュエーションだ。ビハインドのチームが容易に逆転できなくなっているのは、少し想像を巡らせれば、納得できるかと思う。ちなみに、試合前データで6回終了時に楽天が負けていたゲームの成績は1勝13敗。リードしたゲームは14勝1敗。楽天もその例に漏れず、ということになっていた。
この試合、6回終了時、楽天は3点を追う立場にいた。
3回、序盤の2回をあっさり片づけた先発・永井が、本日1軍昇格即先発出場の新人・加藤翔平に、初球高めに入った変化球を振り抜かれ、プロ初打席初球本塁打の先制ソロ・ショットを被弾(聞くところによると、新人野手の初打席初球本塁打はNPB史上初だという)。4回は2死からサブロー、今江、福浦の中核トリオに3連打を浴び1失点。5回はバッテリーミス等で得点圏に走者を進めてしまうと、高須が手痛いタイムリーエラー。3点を失っていた。
ロッテの先発は成瀬。目下4連勝中で防御率0.99。イヌワシ打線は毎回走者の出塁に成功するものの、要所を締める成瀬之前にホームが遠い。結局、6回を零封されてしまう。
しかし、7回。潮目が変わった。
107球を投げた成瀬を休ませ、ロッテは7回アタマから継投に入っていく。二番手には大嶺。先日3年ぶりの勝利を上げた未完の大器が、馴れない救援登板で四苦八苦しているところ、イヌワシ打線は攻め立てていく。
戦端を切り開いた先頭・嶋の左前安打と2四球で無死満塁。藤田が左のワンポイントリリーフ、服部からセンターへ犠牲フライを放つと、2死3,1塁でジョーンズがセンターへ抜けようかというセカンド内野安打。この間に三走が生還した。(楽2-3ロ)
7回に2点を返し、1点差に肉迫した楽天の同点劇は翌8回にやってきた。
1軍復帰後打率.213と低迷する銀次が先頭打者としてくらいついた。ロッテ五番手・伊藤の低めの投球を叩きつけた泥臭い当たりは高いバウンドに。これがショート内野安打になる。嶋が右打ちの進塁打でスコアリングポジションに走者を進めると、鉄平が右前に痛烈に弾き返し1死3,1塁。松井は左翼前方の浅い飛球に倒れたが、2試合連続ヒーローインタビューの藤田が魅せた。
2-2と追い込まれた状態だったが、藤田はなんのその。痛烈なピッチャー返しを弾き返していく。当たりはそのまま中前へ。3塁から代走・森山が同点のホームを踏んだ。(楽3-3ロ)
犬鷲の反攻はまだ終わらない。仕上げは9回だった。
同点の場面ながら登板した抑え・益田から2戦連続で得点を奪うことに成功。先頭・ジョーンズのセンター前、森山の足で稼いだ内野安打でスコアリングポジションに走者を進めると、2死2,1塁、バッターボックスは嶋。チーム2位の打点マシーンが9試合ぶりの打点を記録していく。初球打ちのバウンドが益田を越え、二遊間の守備網をかいくぐり、しぶとく中前へ抜けていく。2塁から走者がホームインし、ようやくこの試合、楽天がリードを奪った。
楽天は7回以降、よく4点を取ったと思う。
あとは9回裏、青山が終止符を打つだけである。
しかし、この青山が誤算となった。
1死後、根元に四球、1塁に走者を置いて荻野貴に左翼線二塁打。鈴木を敬遠にして塁を埋め1死満塁。サブローはアウトコース低めのスライダーで空振り三振に討ち取ったものの、続く今江に右打ちを浴びた。追い込んでから“局面打開のスライダー”を外角低めに投げ込み、空振りを誘いたかった投球が、高めに浮いた。これを右翼ポール際ウォーニングゾーンまで弾き返された。鉄平が必死に打球を追う。精いっぱいグラブを伸ばしたが及ばず。走者2名が悠々生還するサヨナラ打になってしまう。
楽天のサヨナラ負けは今季初。青山のセーブ失敗は今季2度目。これでチーム成績は35試合18勝17敗となった。
ロッテ戦は8試合3勝5敗(QVC1勝4敗)、ビジター戦績18試合9勝9敗、1点差試合5試合3勝2敗、相手先発左投手試合13試合5勝8敗、逆転試合14試合8勝6敗、先制されたゲーム18試合5勝13敗としている。
楽天は交流戦前のリーグ日程を勝ち越しで終えた。貯金1を持って明後日から交流戦だ。昨年も35試合17勝16敗2分の貯金1で交流戦に臨んでいた。今年も昨年と同じペースでここまできていると言えそうだ。
あと1本。決めて欲しかった場面が幾つかあった
得点圏で期待高まる打者に打席がまわるものの、あえなく凡退というシーンが幾つかあった。
0-0で迎えた3回2死2,1塁、バッターボックスは聖澤。10試合連続安打とバッティング好調の3番打者は、追い込まれてからファウルで4度粘るなど、成瀬に9球投げさせた。しかし、ラストの9球目をサードファウルフライを打ち上げてしまう。
3点を追う6回2死2,1塁は中島。(2005年以降)成瀬との通算対戦成績を27打数12安打の.444と相性が良さをみせていた左殺し。前回4/19でも成瀬から1本ヒットを記録していた。しかし、センターへ打ち上げてしまう。
7回は2死満塁、1点を追う状況だった。バッターボックスには高須。5回自らの1塁悪送球がタイムリーエラーとなっていただけに、必殺仕事人の面目躍如で取りかえしたいところだったが、あえなく詰まらされたピッチャーゴロ。
このいずれかで1本出ていたら、また違った歓喜のドラマが待っていたのだったが、いやはや、残念な結末になった。
藤田、追い込まれてから見せた本領発揮の一撃
1点を追う8回2死3,1塁、藤田が魅せた当たりは、白眉の同点打となった。藤田は追い込まれてこそ本領を発揮する。
少なくとも2010年以降の藤田は2ストライクを取られても、全く動じないのだ。2ストライク以降の打率は横浜在籍時2010年は.288。これはセリーグでトップの数字だったという。昨年は楽天移籍後に67打数22安打の.328。今年はこれで48打数13安打の.271。3年連続でハイアベレージを維持している。
■藤田一也 2013年 2ストライク以降の打撃詳細
※5/12終了時データ
※St=ストレート、Sh=シュート、Sl=スライダー、Cut=カットボール、Fo=フォーク、Ch=チェンジアップ、Cur=カーブ

■楽天 永井怜 球種別 投球詳細

「立ち上がりは良かったんですが…、粘れなかったのでチームに申し訳ないです」
4回1/3、打者20人、76球(1回当たり17.54、1人当たり3.80)、被安打6、被本塁打1、奪三振1、与四球1、失点3、自責点2。
降板後、永井は記者陣にそう漏らしたと言う。これで2試合連続クオリティスタート未達。交流戦の先発ローテからは恐らく外れることになるだろう。しかし、全く悪かったわけではないとみる。
立ち上がりの1、2回は素晴らしかった。2イニング連続の三者凡退。内野ゴロ4個、内野フライ1個、三振1個。6人の打者にいずれも自身の打撃を許さず、全てのアウトを内野で取ってみせた。
3回、先頭・加藤に投じたスライダー(加藤本人はチェンジアップというコメントを出しているが、永井はチェンジアップを投げない。スライダーかフォークだと思う)が高めへの失投となり、右翼席へ運ばれた。しかし、その後、崩れることなく、きっちり打者3人を完璧なゴロアウトに仕留めてみせた。
4回は2死から3連打で1点を失っている。サブロー、福浦に打たれた結果球(いずれもストレートだ)は甘く入ってしまったのが、悔やまれるところ。
この人の看板球カーブはこの試合でも上々。低め低めに良く球を集め、内野ゴロ5個、外野イージーフライ1個を、いずれも打者のタイミングをはずし、奪ってみせた。
走者の出塁を許してからもう一歩踏ん張ることができれば、クオリティスタート内のゲームメイクができたはずだ。
フォークを投げることができていない永井
ただ、気になる点が1つある。永井のもう1つの看板球、フォークのことである。
前回5/6オリックス戦では80球中フォークは3球だけ。球種割合にして僅か3.8%。そしてこの試合は76球のうち2球、2.6%に止まっている。
永井が華やかりし頃、2009年の球種割合を確認すると21%フォークを投げていた。2011年も16%を投げている。(『BT2010プロ野球プレイヤーズファイル』『BT2012プロ野球プレイヤーズファイル』より)
故障からの復活途上にある永井、フォークの精度はまだ実戦レベルに達していないという判断なのかもしれない。フォークが以前と同様に操ることができれば、ピッチングはもっと楽になり、相手打者の空振りも増えてくるはずだ。
■ロッテ 成瀬善久 球種別 投球詳細

AJの仕事ぶりが序盤、終盤の明暗を分けた
6回、打者25人、107球(1回当たり17.83、1人当たり4.28)、被安打7、奪三振7、与四球1、失点0、自責点0。
攻略できるチャンスがあるようにみえて、ホームが遠い。さすがに球界を代表する左腕先発投手だけのことはある。要所を締める投球をされてしまった。3回、6回の好機では、前述のとおり聖澤、中島が凡退に倒れた。
他に大きかったのは、2回、4回、いずれも先頭打者打席でまわってきたAJが成瀬から出塁できなかったのも、大きい。実際、成瀬降板後の7回、9回、AJはヒットを放ち、得点に絡んでいただけに、序盤に出塁できていれば、試合はまた違った景色を描いたはずだ。また、後続マギーが2本ヒットを放っているだけに、AJが出塁すればさらなるシナジー効果が見込むことができたはずである。今日のAJは成瀬のスライダーに全くタイミングが合っていなかったのだ。
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《永井の前回登板試合》
・【試合評】 2013年5月6日(月・祝) ○楽天イーグルス10-3オリックス。GWホーム最終戦、白星は斎藤隆の手に。ジョーンズ&マギー砲に松井の球団17本目の満塁弾
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・【試合評】 2013年5月9日(木) ○楽天イーグルス6-2日本ハム。理解できる中田四球アブレイユ勝負。吉川を追い詰めた2回無死満塁での4得点劇
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