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ゴロックマの本領発揮、強打のエンジェルス打線からメジャー3勝目!──2012年8/11LAA戦〔記録で診る岩隈メジャー挑戦録〕

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○シアトルマリナーズ7-4ロサンゼルスエンジェルス
20120813DATA2.jpg

個人的にエンジェルスというと打線が手強いというイメージを持っている。同じ西地区ではレンジャーズ(TEX)に匹敵するほどの恐さを感じてしまう。

売り出し中の1番・トラウトはもとより、開幕直後の不振はどこへやらで最近調子を一気に上げているプホルスを始め、他にも好打者が揃っている。

強打のTEX、NYYと対峙した際の岩隈は球数が異様に多くなる傾向があった。1イニング当たりでも1人当たりでも、多くなっていた。

この試合終了時で先発登板での1イニング当たり平均球数は15.61、1人当たりは3.72となっているが、7/15TEX戦では17.00、3.70、7/25NYY戦では19.00、4.32、8/5NYY戦では20.20、3.88。いずれも多いことが確認できる。

クオリティスタートを目指すには球数が多すぎる傾向があり、これが課題の1つになっていた。好打のLAA打線に対し、TEX戦やNYY戦の二の舞にならず、いかに球数少なくゲームメイクできるか? この1戦、私の関心・心配の多くはこの1点にあった。

しかし、フタを開けてみれば、7回3失点、球数86の好投だ。

追い込む前の浅めのカウントから、打者を打たせてとることできる理想のピッチングを展開。序盤から味方打線による強力援護にも恵まれ、投打がガッチリ噛み合ってのメジャー3勝目を挙げている。

■岩隈久志 登板日別 投手成績


先発を任された試合では1回に失点するケースが最多の岩隈だが、この試合の立ち上がりは上々だった。速球中心でLAA打線の上位3人を僅か10球であっさり料理。早いカウントから打たせたゴロ2つと外野フライ。プホルスには追い込まれてから中堅にライナー性の良い当たりを飛ばされるものの、ソーンダースの正面を突いた。

2回も三者凡退に退けている。一転、3人ともしっかり追いこんでから料理した。内訳はスプリッターでの空振り三振2個にひっかけたファーストゴロだ。

序盤の2イニング、パーフェクトに抑えると、それに呼応するかのように味方打線が強力援護した。2回に3点、3回に1点、4回にも3点を上げ、相手先発ハレンを4回途中で早々にマウンドに沈める猛攻。とにかく、序盤の7得点、岩隈にとってあまりにも大きい7得点となった。

2回は1死からスモークがフルカウントからよく歩いた。その後、女房役オリボの右翼線沿いポテンヒットでつなぎ2死3,1塁、続くロビンソンが右前に先制打。マリナーズが1点を先制した。なおも攻撃は続く。ライアンがクサい球をみきわめて四球で歩くと、2死満塁、1番・アクリーがセカンド左を破る右前安打。これで走者2人がホームに帰って、2回の先制パンチは3点先制劇としている。

3回にはジェイソに7号ソロが飛び出す。4回は悪送球や暴投など相手のミスもからみ、3本の安打を集めての3点追加劇。

7点の援護を受けて3回裏のイニングに登板した岩隈は、1死から8番・ウェルズにピッチャー返しの初安打を浴びるものの、後続を4-6-3の併殺ゴロに討ち取り、ゼロに。

初の得点圏ピンチは4回だった。1死から安打出塁されると、プホルスとの対決。ファウルで粘られるものの、再三内角を攻めて最後は低めスプリッターをひっかけさせてのサードゴロ。これが進塁打となり、2死2塁が初のスコアリングポジションに走者を背負う場面となった。しかし、後続のモラレスを4シームでファウルを打たせ、4シームで膝元いっぱいに決めて追い込むと、カーブで緩急を挟み、最後は落差ある低めスプリッターで空振りを誘い、三振。この回もゼロに抑えた。

イニング先頭打者の出塁を初めて許してしまったのが、5回である。先頭を四球で歩かせると、その後2死2塁でウェルズにセカンドオーバーの中前安打を浴び、これがタイムリーに。1点を失ったが、失点を1点だけに抑えることに成功した。無死1塁から、安打、四死球でつながれることを許さず、2者連続でゴロアウトを獲得できた点が大きい。

6回も先頭打者に安打され出塁を許した。しかし、後続の2番・ハンターは6-4-3の併殺網。2-1とボール先行となった4球目。オリボのサインに首を1度振って投げ込んだ4シームは真中気味に入るものの、網をはって手ぐすねひく遊撃ライアンのほぼ正面に転がり、6-4-3と転送されてのゲッツー。岩隈らしさを象徴する場面だったかと思う。

7回、この試合3度目の三者凡退とすると、8回のマウンドにも登板した。7回を終えて球数は僅か82球。このままいけば完投も考えられうる良いペースだったのだが、無死1塁で8番・ウェルズ、最後の最後に「恒例行事」が待っていた。1-0からアウトコースを狙った速球が不用意にインハイに抜けていった所を完璧の一打。左翼席に吸い込まれていく2ランを浴び、ここで岩隈はマウンドを降りることとなった。

8回はプライヤーが片づけてくれ、9回は抑えのウィリヘルムセンがソロ弾をくらうも試合にピリオドを打つ。岩隈は7/30TOR戦に続く先発2勝目、メジャー3勝目となった。


■岩隈久志 球種別 投球詳細
vs右打者56球=4Seam26、Sinker6、Slider12、Splitter12
vs左打者30球=4Seam8、Siner9、Curveball3、Slider1、Splitter9
20120813DATA4.jpg

7回0/3、打者26人に86球(1イニング当たり12.29、1人当たり3.31)、被安打7、被本塁打1、奪三振4、与四球1、失点3、自責点3。

クオリティスタートを記録し3勝目。岩隈にとって最低でも白星かQSのどちらかが欲しい切実なこの時期に、両方とも手中にすることができたことは、なにより大きい。

これでQS率は7試合のうち3試合で42.9%。一般に60%以上が合格ラインとされる中でこの数字は低い印象を受けてしまうが、記録できていない試合でもそれに準じた成績になっているのだ。岩隈の特徴の1つに、先発を任されたここまでの7試合、チームの勝利の可能性が無くなるほど大崩れをしたことが、まだ1試合もない点が挙げられる。これは特筆すべきことのように感じる。

獲得アウト21個の内訳は下記のとおりである。

◎奪三振4 (全て空振り三振、いずれもSplitter)
◎ゴロアウト12 (2併殺含む)
◎内野フライアウト1
◎内野ライナーアウト1
◎外野フライアウト3

獲得アウトの大半が、奪三振、ゴロになっているのは、岩隈の本領だ。試合後、本人も「これが自分のスタイル」とコメントしたように、目指すべきピッチングを実現できていた。持ち球ではどの球種も状態は上々、中でも軸となる4シーム、対を成すスプリッターがしっかり機能していたように感じる。

対峙した打者26人のストライクカウント別は

◎0、1ストライク・・・18人、17打数5安打1本塁打、1四球
◎2ストライク・・・8人、8打数1安打4三振

0、1ストライク時の対戦被打率は.294になっているものの、そのうち2本は8回に入って打たれたヒット。7回終了時まででは15打数3安打の被打率.200と、浅いカウントで打たせてとることがしっかりできていたのだ。

一方、カウント構築には失敗した。岩隈本人は「しっかり下半身を使って投げることができた。ストライク先行で打たせて取る、僕の投球ができた」と語っているが、初球ストライク率、3球目で2ストライク率は、あの7/30TOR戦のそれと比べると、低すぎた。

◎全体のストライク率・・・《この試合》67.4%、《7/30TOR戦》70.6%
◎初球ストライク率・・・《この試合》50.0%、《7/30TOR戦》77.4%
◎3球目で2ストライク率・・・《この試合》46.7%、《7/30TOR戦》81.8%

個人的に最も重要視しているのが3球目で追い込んでいるか?どうか?である。この試合のそれは46.7%と低すぎたが、対戦26人中、2球目以内で打席結果が出たのが11人(11打数2安打)だったのが、つまり、2球目以内で10個のアウトを獲得できたのが、低すぎた3球目で2ストライク率が問題にならなかった1つの要因かもしれない。

ともあれ、強打のLAA打線相手に、実りある3勝目となった。楽天の試合では左団扇の観戦ができない近頃、クマの試合で心穏やかに観戦することができ、個人的にも満足のいく1戦だった。

■岩隈久志 配球図
20120813DATA3.jpg


■岩隈久志 8/11LAA戦 86球の詳細
20120813DATA5.jpg
20120813DATA6.jpg


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