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〔記録で診る岩隈メジャー挑戦録〕三度目の正直。マリナーズ 岩隈久志、初のクオリティスタート!──2012年7/20TB戦

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アンケート募集!(7/31まで)
「星野楽天2012年。CS出場へ後半戦カギを握る打者、投手は?」

怪我人続出のシーズンとなりましたが、若手の台頭などもあり、7/6現在、35勝33敗3分で3位と望みを持つことができる好位置につけるイーグルス。後半戦を制して2009年以来3年ぶりのプレーオフ進出を強く願っています。そのためには、後半戦、象徴的な好活躍をみせる、キーマンというべき投手、打者の出現は、不可欠だと思います。そこで、あなたが考える「後半戦カギを握る投手、打者」を教えて下さい。

打者:現在125票⇒ http://baseball.blogmura.com/board/vot/voting15_55936_0.html
投手:現在103票⇒ http://baseball.blogmura.com/board/vot/voting15_55937_0.html


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■シカゴの代表曲「長い夜」



長い夜

になった。

(...と言っても終わったのは21時台)

現地時間7/20(金)16時10分プレイボールとなったシアトルマリナーズvsタンパベイレイズの1戦は、5時間を越える長丁場のゲームとなった。スコア3-3のまま延長戦に突入した両軍は14回までを戦った。

結果は14回裏レイズのサヨナラ勝利。レイズといえば松井秀喜だが、10回裏2死満塁で代打起用され、左飛。12回裏にまわってきた2打席目も得点圏だったが空振り三振。良いところなく、終わっている。

投手7人を注ぎ込んだマリナーズに残されたのは、ただただ、徒労感。この試合レイズ投手陣相手に僅か.104しか打てなかった打線は、チーム打率と選手各々の打率を下げるために戦ったようなゲームになってしまった。これが取り残されたチームと、ワイルドカード争いに望みをつないでいるチームとの差なのかもしれない。

見どころなく、収穫に乏しいマリナーズベンチだったが、この男だけは例外である。
この試合、最大の戦果をあげたのは、背番号18、岩隈久志である。


●シアトルマリナーズ3-4xタンパベイレイズ
※10回以降は割愛
20120721DATA6.jpg



初のクオリティスタート

前回7/15テキサスレンジャーズ戦から中4日となった。メジャー3試合目の先発は慣れ親しんだセーフコフィールドではなく、初めて足を踏み入れる敵地トロピカーナ・フィールドのマウンドとなった。

前回は先頭打者に出塁されることが目立ち、微妙な制球に悩まされることが多く苦しんだ岩隈。今日はどうなるかと固唾を飲んで戦況を見守っていたのだが、6回を乗りきり、ホッと一安心。

岩隈は今最も欲しかった「結果」を手中に収めることに成功した。

6回、打者24人に今季最多の93球(1イニング当たり15.50、1人当たり3.88)、被安打6(ニ塁打1含)、被本塁打1(アップトン)、奪三振7(空振り三振5、見逃し三振2)、与四球1(3-2から)、失点2、自責点2。対戦被打率.261。

先発三度目の正直で念願のクオリティスタートを記録。今後へ向けて来季を見据えて、この結果はなによりの朗報となった。

内容は、少なくとも先発3試合の中では一番安定していたといえそうだ。

奪三振とゴロでのアウト合計は12(併殺込み)。獲得アウト18個の約2/3を占める割合。ここまで2試合いずれも3個ずつ出していたフォボールも、今日は1個と抑えることに成功した。


■岩隈久志 登板日別 投手成績
20120721DATA3.jpg


1回表、味方打線が相手先発シールズの立ちあがりを攻め、電光石火の連打で1点を先制。

2番・イチローが右中間を割る悠々の一撃で三塁を陥れると、続く3番・ウェルズが右翼線に流し打ち。これが先制打となり、岩隈は1点をもらって1回裏のマウンドに向かった。

肝心要の1回裏だ。結局ゼロに抑えたものの、スムーズな立ち上がりとはいかなかった。

打者5人と対峙し27球を費やすことになったのだ。1番・アップトンには外中心の配球。苦しみながらも最後はアウトローいっぱいの速球で見逃し三振。だが、この後1死3,2塁のピンチを招いてしまう。2番・ペーニャには低めの投球が僅かにはずれて四球、3番・ゾブリストには中前へ弾き返され、得点圏への進出を早くも許すかたちとなったのだ。

しかし、ここからがお見事だった。

4番・ジョイズを速球とカーブの緩急で手玉にとり、最後は詰まらせレフトへの浅い飛球に討ち取る。続く5番・ケッピンジャーには2-0とボール先行になるも、そこから外でストライクを取ってカウントを立て直すことに成功。フルカウントから3塁側にひっかけ気味ファウルを打たせる内角球を2球みせた後、最後は外低めの150キロ近い速球。5番のバットが空を切って、空振り三振! 立ち上がりのヤマ場を切り抜けることに成功した。

以降、岩隈は、1点リードの緊迫した試合展開ながらも、5回まで落ち着いたピッチングをみせてくれた。

2回は先頭打者にサード方向にプッシュバント気味のバントヒットを決められ出塁を許すも(このとき中継映像の枠内にサードのシーガーがいなかった。どこへいったんだろう?)、後続を6-4-3の併殺網にかけるなど、しっかり討ち取っている。

打順が1まわりした3回から、岩隈のスプリッターが効果を発揮し始めた。

空振りを奪うことができるようになり、1個のゴロアウトと2個の奪三振で、三者凡退としている。4回も先頭打者がバントヒット攻勢で仕掛けてくるが、岩隈のスムーズなフィールディングで投バゴに。その後、安打出塁を許すが、後続を当てただけのセカンドポップフライ、低め変化球で上手く誘った空振り三振という具合に、ぴしゃり。

相手先発シールズも安定した制球で、マリナーズ打線を翻弄。2回3回4回と三者凡退で片付けられてしまい、追加点どころか走者の出塁もままならない。

そんな状況下で迎えた5回表・マリナーズの攻撃だった。2死から1番・アクリーが相手ショートの失策で出塁、その後、ニ盗を決め、バッターボックスは初回三塁打を放ち先制のホームを踏んでいるイチロー。そのバットにタイムリーの期待が高まった場面になったが、最後は3-2からアウトローの球に派手に泳がされ、ファウルチップの空振り三振。なかなか2点目が入らない。

5回裏を三者凡退で退けた岩隈は6回もマウンドに登る。メジャー初の6イニング目もゼロといきたかったが、そうはさせてもらえず。メジャーって厳しい... ここまで2打席三振に抑えてきた1番・アップトンのバットが火を噴いたのだった。高めの球を左翼席へ放りこまれ1-1の同点。(岩隈6試合連続被本塁打)

この一撃がレイズ反撃の狼煙になったのか、1死後、落ち切らないスプリッターを打たれ左中間二塁打でこの試合2度目の得点圏ピンチに。その後2死2塁から5番・ケッピンジャーの三遊間への当たりがしぶとく左前へ抜けていき、SEA1-2TBと逆転を許してしまう。

その後スコットを一ゴに討ち取り6回を終えた岩隈は93球。恐らく予めこの回までということだったはずだ。このままだと敗戦投手の権利を持ったまま降板となる。どうなるかな?と思っていた矢先だった。7回表、ペグエロに逆転2ランが飛び出し、試合は再びマリナーズ1点リードのSEA3-2TBに。

味方が勝ち越したため、一転、権利が勝利投手に変わった岩隈だったが、後を受けて7回表アタマから登板した二番手・デラバーが失点し、勝利投手の権利消滅。

その後は、かくかくしかじか以下省略、延長14回裏、レイズサヨナラ打でマリナーズ敗戦、という具合だった。


■岩隈久志 球種別投球詳細
20120721DATA2.jpg


できれば7回以降、救援陣に1点差を守りきってほしかったが、少々虫の良い話だったかもしれない。逆転を許した後にペグエロの2ランに救われた部分もあったのだから、この試合、勝敗つかずになったのは、許容すべき範囲だ。

ともあれ、ピンチを背負った6回を2失点止まりに踏ん張ってみせたのがカギだった。あの場面で粘りをみせたことが、クオリティスタートにつながった。


6回に打たれてしまったのはスタミナ切れ

その前5回から急激に制球が効かなくなっていた。ストライクゾーンの真中近辺に入る球が目立ち始め、8番・モリーナ、9番・ロドリゲスにその甘い球を打たれてしまった。

9番・ロドリゲスの当たりは打ち損じの平凡な左飛で助かったものの、8番・モリーナは会心の当たり。打たれた瞬間、嫌な予感に襲われた。が、ここは同僚の中堅・ウェルズの好守備に救われた。背走したウェルズがウォーニングゾーン内で追いつく好守備をみせてくれたのだ。

この5回の傾向が6回も続いてしまった。アップトンに打たれたのも高めの甘い球だった。ケッピンジャーに左前へ運ばれた一打も球が高かった。

今季最多の93球を投げたのだ。疲労は当然あったとみるべきだ。握力もなくなってきていたはずだ。だが、そんな中でもどうにか踏みとどまったことが、大きかった。


走っていた4シーム、効果を発揮したスプリッター

この試合の女房役はモンテロ。先発にまわってから初のコンビとなった。6回のピンチでは2度もマウンドに足を運び、岩隈を鼓舞した。

球種割合をみると、速球はシンカーを1球投げただけで、大半が4シームになっている。平均球速は145.8キロ。初先発7/2に計測した146.4キロには及ばないものの、球速以上に4シームが走っていたと言えそうだ。

打たれたヒット6本のうちホームラン含む4本は4シームで浴びるかたちになったとはいえ、1本はバントヒット。2本はスタミナが切れかかっていた6回に高めに浮いてしまったところを打たれたもの。つまり、5回まで4シームを外野まで運ばれるヒットにされたのは、僅か1本だけだったのだ。

4シームが通用していた。だからこそ、モンテロはこの球種を軸に据えたのではないか。2ストライクと追い込んでからも4シームを多く使っていた。(33球のうち15球)。

また、4シームでファウルを打たせることにも成功していた。(ストライク寄与7、2ストライク以降3)

10回記録した4シームのファウルの内容を下記に書きだしてみたが、打者が差し込まれたり、芯やタイミングをはずされたファウルが多かったのだ。


■4シームで記録したファウルの詳細
◎1回、ペーニャの2球目、打ち上げてバックネット方向ポップフライファウル
◎2回、モリーナの3球目、甘い球ではあったが振り遅れ気味、バックネット方向フライファウル
◎2回、モリーナの4球目、エンドラン、低め4シーム。真下に叩きつけて切れたバウンドファウル
◎3回、ロドリゲスの2球目、真中気味の甘い球。詰まってキャッチャー後ろポップフライファウル。モンテロ捕れず。
◎3回、ロドリゲスの3球目、ファウルチップ
◎3回、アップトンの3球目、ひっぱりにいくも3塁線切れていくゴロファウル。
◎3回、ペーニャの4球目、膝元の球をファウル。
◎4回、ケッピンジャーの4球目、ひっぱりにいくが3塁側への緩いバウンドゴロファウル。
◎5回、ジェニングスの1球目、差し込まれてバックネット方向フライファウル。
◎5回、ジョイスの4球目、1塁側ライナーファウル


あとは、やっぱり、岩隈の切り札、スプリッターが機能した。前回は22球投げて全く空振りを奪うことができなかったが、今回は19球中5球で記録。スプリッターを振らせての奪三振も3個記録した。


■岩隈久志 カウント別 被打率
※7/20TB戦終了時データ
20120721DATA7.jpg
上記表をみると、0-0、1-0、2-0、0-1の4つのカウント時に分が悪くなっているのが確認できる。


カウント構築もまずまず成功したと言えそうだ。(この試合込みで)通算初球ストライク率は61.9%(194人中120人)を記録する岩隈だが、この試合では66.7%(24人中16人)、3球目での2ストライク率も68.8%(16人中11人)と、投手有利のカウントを作ることに成功した。

結果をみると、2ストライクカウントの打者13人に対しては12打数0安打、7三振1四球、1併殺。追い込んだ打者はしっかりアウトにすることができていた。

(この試合込みで)被打率.400。25打数10安打、2ニ塁打、4本塁打。鬼門と言える初球も、4打数1安打(バントヒット)に抑えてみせた。


中4日の登板間隔

さて、今後も先発ローテに入り続けることができるとすると、新たな課題も浮かびあがってくる。中4日の登板間隔だ。

決して強靭な肉体を持っているわけではない岩隈に、どういう影響を及ぼすのか?という点にも注目していきたい。


■降板後の岩隈のコメント
「本来のピッチングができて良かった。ある程度、ゲームを作れましたから」。
「立ち上がりは大事だった。強気な攻めもできたので自分なりに組み立てることができた。ズルズルいかずしっかり切れたのが大きかった」
「投げ急がず、しっかり(軸足に)立つことを集中して、ワインドアップでリズムをつくっていけた。(体の)上と下が合う感じだった」
「低めにボールが集まっていた。これを続けてやっていきたい」
「前回に比べて数段良くなった。ストライク先行で低めに投げられました」
(アップトンに本塁打を浴びたことに対して)「もったいない。あの1球を待っていたというスイングをされてしまった」


■岩隈久志 配球図



■岩隈久志 メジャー初クオリティスタート 93球の詳細
20120721DATA4.jpg
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