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〔試合評〕塩見に無理をさせるな!──2012年5月12日(土)○楽天イーグルス2-1オリックス

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○楽天イーグルス2-1オリックスバファローズ
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■ハイライト映像


先攻・楽天のスタメン・・・1番・聖澤(中)、2番・銀次(三)、3番・松井稼(遊)、4番・フェルナンデス(一)、5番・ガルシア(指)、6番・小斉(左)、7番・牧田(右)、8番・嶋(捕)、9番・内村(ニ)、先発・塩見(左投)。

後攻・オリックスの先発メンバー・・・1番・坂口(中)、2番・大引(遊)、3番・後藤(ニ)、4番・李大浩(一)、5番・荒金(左)、6番・バルディリス(指)、7番・川端(右)、8番・齋藤(捕)、9番・山崎浩(三)、先発・西(右投)。


5月12日は“仙一デー”に!

いやはや、終盤まで手に汗握る展開となった。1点差を争うのはこれで5戦連続。1つずつ積み重ねて連勝を3まで伸ばした星野楽天は、この7回戦、塩見の好投や野手陣の好守備等で、今季初の4連勝とし、悲願の勝率5割復帰をはたしている。仙一監督の通算勝利数は「1001」となった。

試合は両軍先発の投げ合いとなった。楽天は中5日で塩見、オリックスは昨年イーグルスから初勝利を挙げている西。今季楽天戦での登板は初。

楽天打線は、この西を打ち崩すことができない。初の得点圏となった2回1死2,1塁では嶋、内村がゴロを打たされるかっこうとなり、得点入らず。3番から始まった3回には、松井稼、フェルナンデスが低めのスライダーで連続三振に、ガルシアは差し込まれるかたちのファーストファウルフライに倒れて、三者凡退。8番・嶋から始まり上位へ良い流れを作りたかった6回は嶋、内村、聖澤が3者連続の三振劇としてしまう。回を重ねるごとに尻上がりで調子をあげていく西は7イニングを投げ切り、楽天打線をヒット4本に抑える。楽天が走者をスコアリングポジションに送ることができたのは、前述の2回、そして先頭のガルシアが二塁打で出塁した7回無死2塁の2度だけだった。

打線が点を取れない中、楽天の先発・塩見は、よく踏ん張った。不慣れな環境で登板し、8回途中まで投げて1失点。終盤はスタミナ切れが顕在するも、5回までスコアボードに「零」を書き入れていく。6回に内野ゴロで1点を失うも、最少失点で救援陣にバトンを渡すことができた。


好守が塩見を盛りたてる!

塩見は味方の攻守にも助けられるかたちとなった。1回2死2塁の危機は、銀次が救った。この試合、高須に代わり三塁先発出場した若鷲は、李大浩の3塁線強襲の当たりを果敢なダイビングで止めにいく。抜けていれば長打、確実に失点していたであろう場面、銀次の好守備で難を切り抜けた。

6回は聖澤、牧田、嶋が魅せた。連打で招いた1死3,1塁、荒金の内野ゴロの間に3塁走者の生還を許し同点とされてしまい、その後なおも2死2,1塁という状況。川端の当たりは1,2塁間を破り右前へ抜けていくヒットも、これを牧田が本塁ストライクのワンバウンド送球で、3塁を蹴って本塁を突入してきた2塁走者・後藤を完全に刺す強肩を発動。激突してきた後藤に対し、全くひるまず本塁を死守した嶋の好ブロックも印象的だった。その前、連打で無死2,1塁、李大浩のセンターへの大飛球、聖澤がしっかり追いついた点も見逃せない。打たれた瞬間ヤバいな・・・と感じた伸びていった飛球を、ウォーニングゾーン手前で背走聖澤が半身で追いつく。2塁走者にタッチアップで3進され1死3,1塁となったが、あの場面、抜けていれば逆転の危機もあっただけに、ここでフライアウトに仕留めることができたのは、大きかった。

7回は、最も出塁させたくない先頭打者を内村の好守備で討ち取った。鈴木のふらふらっと上がった飛球は、ファースト後方、右翼前方、ライン沿いのエアポケットゾーン。このテキサスヒット性の飛球を、背走スライディングキャッチで捕ってみせた。


小斉祐輔、ここにあり!

スコアボードにゼロが並びつつある中、先取点は楽天が獲得した。先日1軍に昇格してきたばかりで、この試合、6番・左翼で初のスタメン出場となった小斉が、4回、その一振りで先取点を奪ってみせた。小斉といえば、キャンプの紅白戦などでひっぱていく左翼方向の長打が印象に残っている。ところが、各打者が差し込まれたりして打ちあぐねていた西の速球を、左翼席へ運んでみせた。リストの強さをみせつける逆方向の一撃は、小斉ここにあり!と指揮官にアピールするには絶好の先制弾となった。

1-1の同点の均衡を破ったのは、楽天だった。平野が出てきた8回表、先頭の内村が球威負けすることなく144キロ速球を右前へ弾き返して出塁に成功する。送って得点圏、2死2塁、松井稼の左翼への巧打が突っ込んでくる荒金の直前に着弾するタイムリーフライヒットとなり、スコア楽2-1オ。

勝ち越しに成功した楽天は8回裏、塩見が2死満塁のピンチを作るも、後を託された小山がしっかり後続を討ち取り、オリックスに得点を許さない。9回は青山。1死から松井稼がエラーで坂口の出塁を許し、進塁打で2進、2死2塁で打席に後藤を迎える。0-1からの2球目、フォークがワンバウンドの暴投となり、この隙に坂口に3進されてしまう。後藤に対し3-2までもつれるも、最後はワンバウンドを恐れることなく膝元に絶好のフォークを落とし、ピリオドを打った。青山は4セーブ目。

これでチーム成績は借金完済で今季初の4連勝、34試合16勝16敗1分に。5月月間成績は7勝4敗、オリックス戦は5勝2敗1分、ビジター戦績は9勝8敗1分、デーゲーム戦績は6勝9敗1分、1点差試合は10勝6敗、先制ゲーム戦績は11勝6敗1分、となっている。


HANREI.jpg

■楽天・塩見貴洋 球種別投球詳細
St=ストレート、Slスライダー、Fo=フォーク、Cur=カーブ、Ch=チェンジアップ
vs右打者98球=St49、Sl10、Sh4、Fo25、Cur9、Ch1
vs左打者33球=St13、Sl13、Sh1、Fo1、Cur5
20120512DATA4.jpg


球数131球を投げた塩見

7回2/3、打者34人に131球(1人当たり3.85、1イニング当たり17.09)、被安打6(全て単打)、奪三振5、与四球5(1敬遠含む)、1失点、1自責点。これで今季のQS率は、7試合中5試合、71.4%に上昇している。

味方打線が僅か1点リードという最少点差の援護しかできず、四球も5個と多く、苦しい状況となった今日のピッチングだった。オリックス打線を6安打に止め、本試合の対戦被打率は.207。しかし、良い当たりは多く、安打凡打は問わず良い当たりをされた率でみると.333を記録していた。


■楽天・塩見貴洋 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球
20120512DATA3.jpg


その中でも「らしさ」はみせた。この日、右打者に対し49球の速球を投げたが、そのうち47.0%に当たる23球はインコースを果敢に攻めるものだった。その象徴が0-0で迎えた序盤3回、2死2,1塁のピンチだ。4番・李大浩を追いこんでからインコース低め、膝元の速球で空振りを奪ってみせ、塩見は咆哮した。


不慣れな環境が、塩見の足をひっぱっている?!

今季の塩見、開幕前から田中との「二本柱」の活躍が期待されていた。右の田中に対し、左のエースとしての役割だ。シーズン始まって、田中が腰痛で戦線離脱となると、プロ2年目の両肩に「一本柱」の重圧──それは精神的にも、肉体的にも、だ──がかかってきてしまった。そのような投手陣の台所事情や、天候も相まって、今季は「不慣れな環境下」での投球となっている。それが、不安定な投手成績につながっているフシがある。

幾つか例を挙げると、初登板の4/3ソフトバンク戦(Kスタ)では暴風雨波浪警報発令下の風雨という悪天候で134球を投げて初完封勝利。3登板目は4/17ロッテ戦が予定されていたが雨天中止となり、翌4/18ロッテ戦にスライド登板、3回途中4失点の涙のKO劇となった。その次の4/24オリックス戦からは中5日での起用となり、そして、この試合、球数は134球を数えた。

中でも懸念するのは、球数過多だ。1試合130球以上投げた時と、次の登板。投手成績に明らかな差異があるのでは?ということは、先日のエントリ「〔検証〕過度な球数が、1流投手を蝕んでいく・・・2010年118試合データ。130球以上投げた試合と次登板、その成績比較」で指摘したとおりだ。

あのエントリは2010年のデータを使ったが、今回は、2012年ここまでをみてみよう。

今季ここまで(5/12現在)、1試合130球以上なげた先発投手は、のべ16人を数えている。下記表がその一覧だ。130球以上投げた試合は左端にNo.を割り振ってある。その次の登板もあわせて掲載した。

130球以上投げた試合、次の登板、その投手成績を出してみた。DIPSは〔(与四死球X3)+(被本塁打X13)-(奪三振X2)〕÷投球回+3.12を用いている。被安打率、被本塁打率、奪三振率、与四死球率はいずれも9イニング当たりの発生頻度だ。

なお、5/8に130球以上を投げた牧田和久と、5/12の塩見、次の登板がないため、ここでは比較の対象外とした。


20120512DATA8.jpg


すると、防御率は1.00から3.55に、DIPSは3.00から3.70に・・・という具合でほとんどの指標で数値が悪化している。数字が改善しているのは唯一、与四死球率だけである。しかし、これは、次の登板時のほうが球数もイニング数も少なく、それに伴い与四死球の数も減っていると考えられる。

ちなみに、5/11現在のNPBの先発投手平均値は、防御率2.69、DIPS3.31、被安打率8.04、被本塁打率0.37、奪三振率5.93、与四死球率2.91、だ。こちらの平均値と次の登板の数字を比較しても、唯一良いのは与四死球だけとなっている。

(球数をどこで区切るか?どこから影響が顕在化するのか?はこれからの課題ながらも)130球以上投げると、次の登板のパフォーマンスに、その多寡はあれども、なんらかの影響を及ぼす可能性はあるのでは?と思う。

田中の腰痛が長引き、永井も2軍でなかなか結果が出せない今、塩見にもし万一のことがあったら・・・とは、考えたくない。このチーム事情ではなかなか難しい注文かもしれないが、そのためにも、首脳陣には塩見が力を発揮できる環境を整えて欲しいと思う。塩見に130球以上投げさせなくても安心して任せることができるよう、ブルペン陣には奮起を求めたいし、もっと楽に投げられるよう打線には多くの援護点を要求したい。【終】


■今季130球以上なげた先発投手一覧
2012年5/12現在
20120512DATA7.jpg


■オリックス・西勇輝 球種別投球詳細
vs右打者43球=St17、Sl19、Fo5、Ch2
vs左打者60球=St27、Sl12、Fo4、Cur5、Ch12
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■オリックス・西勇輝
※各コースの上段は直球、下段は変化球
20120512DATA5.jpg



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