〔試合評〕強い打球を打つ! この姿勢が決勝点を生みだした。日本ハム左腕・吉川の武器とは?──2012年4月30日(月)○楽天イーグルス2-1日本ハム
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○楽天イーグルス2-1北海道日本ハムファイターズ

■ハイライト映像
先攻・日本ハムの先発メンバー・・・1番・田中賢(ニ)、2番・小谷野(三)、3番・糸井(右)、4番・中田(左)、5番・稲葉(一)、6番・陽(中)、7番・スレッジ(指)、8番・金子誠(遊)、9番・鶴岡(捕)、先発・吉川(左投)。
後攻・楽天のスタメン・・・1番・聖澤(中)、2番・高須(三)、3番・松井稼(遊)、4番・フェルナンデス(一)、5番・牧田(右)、6番・ガルシア(指)、7番・中島(左)、8番・嶋(捕)、9番・内村(ニ)、先発・塩見(左投)。
楽天は打順を組み替えてきた。4番を任されてきたガルシアが6番に下がり、ここまで6番だった松井稼が3番に上がる。3番のホセが4番に座り、7番・左翼では中島が先発起用された。


塩見vs吉川による実力伯仲の投手戦に
ゴールデンウィーク9連戦、本拠地最後のゲームは、緊迫した試合運びになった。
楽天の塩見、日本ハムの吉川。24歳の同年齢左腕による実力伯仲の投手戦。球場に足を運ばれたファンにとってみれば打ち合いの試合のほうがエキサイトするのだろうけど、中継観戦の立ち場では、このような展開も良し。ゾーンの両サイドいっぱいに決まる絶妙な制球力に1球1球惚れ惚れし、緩急をつけて打者を翻弄していく両投手の好投に、舌鼓をうつ。いやはや、見ごたえがありました。
一歩も譲らない両先発によってスコアボードはゼロの均衡が保たれる。このままいくのか?と思われたが、6回表・日本ハムの攻撃だった。この人のバットによって、遂に均衡が破られた。日本ハムは得点圏で、このカード初戦で2000本安打を達成した稲葉のバットから適時打が生まれ、イーグルスは1点を先制されてしまう。
先頭打者・小谷野を3-1から四球で歩かせ、その後、得点圏に進まれ2死2塁としたところで、5番・稲葉というシーンだった。1-1からの3球目、嶋は外角いっぱいにミットを構える。しかし、塩見の低め速球は意に反しゾーンの中に入っていく。この甘い球がレフトの左に着弾するタイムリーツーベースとなった。(楽0-1日)
この瞬間、「この3連戦、結局、稲葉で始まり、稲葉で終わるのか・・・」と、なんとも嫌な思いに襲われた。
ガルシアの花火から始まった逆転劇
しかし、その暗雲を払拭してみせたのが、この日6番に下がったガルシアのバット。
7回、先頭で打席がまわってきた3打席目、ここまで思うような活躍ができていないそのうっぷんをまとめて晴らすかのような、完璧な一撃が飛び出したのだ。初球高めに浮く吉川のカーブを芯で捉えたショットは、 逆風を押しのけ、左中間スタンド最前列に着弾! 今季2号ソロはチームを救う同点弾となった。
この一発が景気づけの花火になったのか、それまで吉川の好投に抑えこまれていたイヌワシ打線が息を吹き返していく。悩める鉄平が足で稼いだ内野安打で出塁すると、続く嶋が中前へクリーンヒット、つなぎの人、9番・内村が初球で送りバントを決めて──
──1死3,2塁、バッターボックスは、背番号23を迎えていた。
この試合、最も胸熱な瞬間だった。得点圏打率は22打数11安打の.500。4/14日本ハム戦を皮切りに11試合連続安打中で、この試合の1打席目に内野安打でHのランプを灯し、12試合連続としたばかりだった。
試合前、羽村亜美さんに「去年より自分が納得できる打席が多い。練習中の120%スイングが、試合の中でも、できる回数が増えている。結果がどうあれ、自分のスイングができえいることが大きい」と語った聖澤の打撃から、勝ち越しの2点目が生まれた。
強い打球を打つ。キャンプから続けてきたアーリーワークの果実といってよい。3-2から弾き返したその当たりは、前進守備を敷くサード・小谷野を強襲、ファンブルを誘う。ポロリとしている間、3走・鉄平が生還、タイムリーエラーが決勝点となった。
これを当てにいくような打撃、バットを合わせただけのバッティングなら、平凡なサードゴロに討ち取られていたはずだ。強い打球を打つ。これができていたからこそ、小谷野のエラーが生まれた、そう言えそうだ。
今季、結果が安打か?凡打か?に関わらず、芯で捉えた当たりはどのくらいあるのか?ウェルヒット率を自分なりに調べている。この試合終了時点で、私の調べだと、聖澤の全打球に占める「良い当たり」は打率.340を上まわる.421となっている。(犠打を除く)
1点リードで8回は青山、9回はラズナーがそれぞれ三者凡退に抑え、4月良いかたちで終えることができた。僅差のロースコアな試合になったけど、5月につながっていければ!と願わずにはいられない、勝利試合になった。
これでチーム成績は23試合9勝12敗2分、先日、西武に並ばれ4位タイとなったものの、本日西武が負けたため再び単独4位をキープ。日本ハム戦では6試合2勝3敗1分、Kスタ戦績は12試合5勝6敗1分、1点差試合5勝4敗、先制されたゲームは15試合5勝9敗1分となっている。
楽天は明日から西武ドームに場所を移し、4位争いとなるライオンズとの3連戦。その初戦、2010年開幕当初、川岸とKKコンビと呼ばれ、勝ちパターンのセットアッパーを担っていたあの辛島が1軍初の先発マウンドに立つ。2軍では先発ローテに入り、好投を続けているから、楽しみだ。塩見に続けとばかりに若き左腕の躍動に期待したい。
■楽天・塩見貴洋 球種別投球詳細
vs右打者64球=St34、Sl9、Fo12、Cur8、Ch1
vs左打者53球=St34、Sl10、Fo5、Cur4

■楽天・塩見貴洋 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球

塩見3勝目、Kスタでは24イニング1自責点、防御率0.38に
7回、打者28人に117球(1人当たり4.18、1イニング当たり16.7)、被安打4(ニ塁打1本含む)、6奪三振、与四球3、1失点、1自責点。クオリティスタートの内容となった。
ストレートの四球が1個、3-1からの四球が2個と突如制球を乱して打者を歩かせてしまったり、日本ハムの打者に粘られ(1回小谷野8球、糸井11球、5回スレッジ9球、6回陽8球。いずれも3-2からの勝負を余儀なくされたが、ここはしっかりアウトにしている)、球数がかさむ投球となったが、トータルではしっかり投げてゲームメイクしたといえる素晴らしい内容。
好投した試合は全て速球が速球が走っており、この日も同様で平均球速は141.1キロをマーク。前回の140.7キロを上まわり、今季最速を更新した。
その速球に加え、この試合はカーブが特に良く、最速148キロの速球に加え、最遅102キロのカーブが生み出す緩急が、日本ハムのバッターを苦しめた。この試合のカーブの球種割合は今季初めて二桁を記録、プロデビュー以来、ここまで自己主張しなかったこの球種が主役になった初の試合、とも言えそうだ。
■塩見のカーブ球種割合
4/3ソフトバンク戦・・・3.7%
4/10西武戦・・・9.1%
4/18ロッテ戦・・・4.5%
4/24オリックス戦・・・7.2%
4/30日本ハム戦・・・10.3%
これで白星3個全てKスタで記録、Kスタでは24イニング1失点(1自責点)で、防御率0.38と「圧倒的な強さ」をみせている。
田中が帰ってくるまで塩見の試合は負けられない。恐らく首脳陣もファンの多くもそう期待しているはずで、その両肩にかかるプレッシャーはますます重くなっていきそうだが、ここは踏ん張って好投を続けてほしいと思う。
■日本ハム・吉川光夫 球種別投球詳細
vs右打者87球=St49、Sl29、Cur9
vs左打者20球=St7、Sl11、Cur2

右打者にとって脅威の、吉川の最速150キロ速球
7回、打者29人に107球(1人当たり3.69、1イニング当たり15.29)、被安打6、被本塁打1(ガルシア9、4奪三振、与四球1、2失点、1自責点。
敵軍ながら先発・吉川も素晴らしい投球をしたと思う。配球図でみると、吉川も速球、スライダーに加え、カーブを積極的に織り交ぜ、緩急で楽天の打者を手玉に取った。そのカーブをガルシアに狙われたかたちとなったが、7回1自責点は、栗山監督の期待度も高いのでは?と感じる。
下記配球図をみると、吉川は楽天の右打者に対し「ストライクゾーンの高め~中段」に球が集まっているのが、確認できる。特にストレートは49球のうち49.0%に当たる24球がこのゾーンに集中していた。一般に打ちごろのコースである。しかし、解説の鈴木健さんによると、左投手の最速150キロ速球は、左打者よりも右打者のほうが「より速い」体感速度を感じるのだという。さらに「高めゾーン」はバッターにとって、打ちごろである一方、最も速度が速く感じられるコースなのだという。
■日本ハム・吉川光夫 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球

そこで、右打者のストライクゾーン高め~中段、下記図のピンクの網掛け部分に記録された、吉川のストレート24球の内訳を確認してみたい。

安打・・・1 (5回嶋の中前安打)
犠打・・・2 (3回、7回、内村のいずれも三犠)
外野フライアウト・・・2 (1回フェルナンデスの右飛、7回高須の左飛)
ゴロアウト・・・2 (1回高須の一ゴ、3回高須のニゴ)
ライナーアウト・・・1 (5回中島の遊ラ)
空振り・・・1 (2回中島)
見逃しストライク・・・3 (2回中島、5回嶋、6回松井稼)
ストライク寄与ファウル・・・8 (2回牧田2、3回内村、3回高須、4回フェルナンデス、5回内村、6回高須、6回松井稼)
2ストライク以降ファウル・・・3 (2回中島2、3回嶋2)
全24球、楽天の打者がアウトになったのは(犠打含めて)6個、2イニングぶんである。(中島のショートライナーは当たりは鋭いものだったが)。ヒットにできたのは5回無死1塁での嶋の中前クリーンヒットのみ。2ストライク以降ファウルも粘ったファウルというより、振り遅れで捉えきれずにファウルになったという印象で、一般に打ちごろなのでは?と思われる「ストライクゾーンの高め~中段」に、吉川に積極的にストレートを投げ込まれ、楽天打線は対応できずに終わってしまった、そう言えそうなのだ。
同点弾を放った右打者のガルシアも、スタンドに運んだのはストレートではなく、高めに浮いたカーブを打った。
これは、このままだと次回対戦時も吉川の速球に右打者は苦しめられるのは必至だ。次までに、なんとか対策を練ってもらわないと!と、そのように思う。【終】
◎◎◎関連記事◎◎◎
塩見貴洋登板試合
・〔試合評〕塩見、再び鷹を相手にメモリアルな1勝! プロ初勝利の相手から初完封勝利!──2012年4月3日(火)○楽天イーグルス5-0ソフトバンク
・〔試合評〕背番号11vs背番号11、軍配上がったのはカーブの使い手に...──2012年4月10日(火)●楽天イーグルス0-4西武ライオンズ・〔試合評〕ドラ1投手に異常あり!──2012年4月18日(水)●楽天イーグルス3-7千葉ロッテ
・〔試合評〕速球に勢いが宿っていた塩見、今季2勝目!──2012年4月24日(火)○楽天イーグルス4-0オリックス
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■ハイライト映像
先攻・日本ハムの先発メンバー・・・1番・田中賢(ニ)、2番・小谷野(三)、3番・糸井(右)、4番・中田(左)、5番・稲葉(一)、6番・陽(中)、7番・スレッジ(指)、8番・金子誠(遊)、9番・鶴岡(捕)、先発・吉川(左投)。
後攻・楽天のスタメン・・・1番・聖澤(中)、2番・高須(三)、3番・松井稼(遊)、4番・フェルナンデス(一)、5番・牧田(右)、6番・ガルシア(指)、7番・中島(左)、8番・嶋(捕)、9番・内村(ニ)、先発・塩見(左投)。
楽天は打順を組み替えてきた。4番を任されてきたガルシアが6番に下がり、ここまで6番だった松井稼が3番に上がる。3番のホセが4番に座り、7番・左翼では中島が先発起用された。


塩見vs吉川による実力伯仲の投手戦に
ゴールデンウィーク9連戦、本拠地最後のゲームは、緊迫した試合運びになった。
楽天の塩見、日本ハムの吉川。24歳の同年齢左腕による実力伯仲の投手戦。球場に足を運ばれたファンにとってみれば打ち合いの試合のほうがエキサイトするのだろうけど、中継観戦の立ち場では、このような展開も良し。ゾーンの両サイドいっぱいに決まる絶妙な制球力に1球1球惚れ惚れし、緩急をつけて打者を翻弄していく両投手の好投に、舌鼓をうつ。いやはや、見ごたえがありました。
一歩も譲らない両先発によってスコアボードはゼロの均衡が保たれる。このままいくのか?と思われたが、6回表・日本ハムの攻撃だった。この人のバットによって、遂に均衡が破られた。日本ハムは得点圏で、このカード初戦で2000本安打を達成した稲葉のバットから適時打が生まれ、イーグルスは1点を先制されてしまう。
先頭打者・小谷野を3-1から四球で歩かせ、その後、得点圏に進まれ2死2塁としたところで、5番・稲葉というシーンだった。1-1からの3球目、嶋は外角いっぱいにミットを構える。しかし、塩見の低め速球は意に反しゾーンの中に入っていく。この甘い球がレフトの左に着弾するタイムリーツーベースとなった。(楽0-1日)
この瞬間、「この3連戦、結局、稲葉で始まり、稲葉で終わるのか・・・」と、なんとも嫌な思いに襲われた。
ガルシアの花火から始まった逆転劇
しかし、その暗雲を払拭してみせたのが、この日6番に下がったガルシアのバット。
7回、先頭で打席がまわってきた3打席目、ここまで思うような活躍ができていないそのうっぷんをまとめて晴らすかのような、完璧な一撃が飛び出したのだ。初球高めに浮く吉川のカーブを芯で捉えたショットは、 逆風を押しのけ、左中間スタンド最前列に着弾! 今季2号ソロはチームを救う同点弾となった。
この一発が景気づけの花火になったのか、それまで吉川の好投に抑えこまれていたイヌワシ打線が息を吹き返していく。悩める鉄平が足で稼いだ内野安打で出塁すると、続く嶋が中前へクリーンヒット、つなぎの人、9番・内村が初球で送りバントを決めて──
──1死3,2塁、バッターボックスは、背番号23を迎えていた。
この試合、最も胸熱な瞬間だった。得点圏打率は22打数11安打の.500。4/14日本ハム戦を皮切りに11試合連続安打中で、この試合の1打席目に内野安打でHのランプを灯し、12試合連続としたばかりだった。
試合前、羽村亜美さんに「去年より自分が納得できる打席が多い。練習中の120%スイングが、試合の中でも、できる回数が増えている。結果がどうあれ、自分のスイングができえいることが大きい」と語った聖澤の打撃から、勝ち越しの2点目が生まれた。
強い打球を打つ。キャンプから続けてきたアーリーワークの果実といってよい。3-2から弾き返したその当たりは、前進守備を敷くサード・小谷野を強襲、ファンブルを誘う。ポロリとしている間、3走・鉄平が生還、タイムリーエラーが決勝点となった。
これを当てにいくような打撃、バットを合わせただけのバッティングなら、平凡なサードゴロに討ち取られていたはずだ。強い打球を打つ。これができていたからこそ、小谷野のエラーが生まれた、そう言えそうだ。
今季、結果が安打か?凡打か?に関わらず、芯で捉えた当たりはどのくらいあるのか?ウェルヒット率を自分なりに調べている。この試合終了時点で、私の調べだと、聖澤の全打球に占める「良い当たり」は打率.340を上まわる.421となっている。(犠打を除く)
1点リードで8回は青山、9回はラズナーがそれぞれ三者凡退に抑え、4月良いかたちで終えることができた。僅差のロースコアな試合になったけど、5月につながっていければ!と願わずにはいられない、勝利試合になった。
これでチーム成績は23試合9勝12敗2分、先日、西武に並ばれ4位タイとなったものの、本日西武が負けたため再び単独4位をキープ。日本ハム戦では6試合2勝3敗1分、Kスタ戦績は12試合5勝6敗1分、1点差試合5勝4敗、先制されたゲームは15試合5勝9敗1分となっている。
楽天は明日から西武ドームに場所を移し、4位争いとなるライオンズとの3連戦。その初戦、2010年開幕当初、川岸とKKコンビと呼ばれ、勝ちパターンのセットアッパーを担っていたあの辛島が1軍初の先発マウンドに立つ。2軍では先発ローテに入り、好投を続けているから、楽しみだ。塩見に続けとばかりに若き左腕の躍動に期待したい。
■楽天・塩見貴洋 球種別投球詳細
vs右打者64球=St34、Sl9、Fo12、Cur8、Ch1
vs左打者53球=St34、Sl10、Fo5、Cur4

■楽天・塩見貴洋 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球

塩見3勝目、Kスタでは24イニング1自責点、防御率0.38に
7回、打者28人に117球(1人当たり4.18、1イニング当たり16.7)、被安打4(ニ塁打1本含む)、6奪三振、与四球3、1失点、1自責点。クオリティスタートの内容となった。
ストレートの四球が1個、3-1からの四球が2個と突如制球を乱して打者を歩かせてしまったり、日本ハムの打者に粘られ(1回小谷野8球、糸井11球、5回スレッジ9球、6回陽8球。いずれも3-2からの勝負を余儀なくされたが、ここはしっかりアウトにしている)、球数がかさむ投球となったが、トータルではしっかり投げてゲームメイクしたといえる素晴らしい内容。
好投した試合は全て速球が速球が走っており、この日も同様で平均球速は141.1キロをマーク。前回の140.7キロを上まわり、今季最速を更新した。
その速球に加え、この試合はカーブが特に良く、最速148キロの速球に加え、最遅102キロのカーブが生み出す緩急が、日本ハムのバッターを苦しめた。この試合のカーブの球種割合は今季初めて二桁を記録、プロデビュー以来、ここまで自己主張しなかったこの球種が主役になった初の試合、とも言えそうだ。
■塩見のカーブ球種割合
4/3ソフトバンク戦・・・3.7%
4/10西武戦・・・9.1%
4/18ロッテ戦・・・4.5%
4/24オリックス戦・・・7.2%
4/30日本ハム戦・・・10.3%
これで白星3個全てKスタで記録、Kスタでは24イニング1失点(1自責点)で、防御率0.38と「圧倒的な強さ」をみせている。
田中が帰ってくるまで塩見の試合は負けられない。恐らく首脳陣もファンの多くもそう期待しているはずで、その両肩にかかるプレッシャーはますます重くなっていきそうだが、ここは踏ん張って好投を続けてほしいと思う。
■日本ハム・吉川光夫 球種別投球詳細
vs右打者87球=St49、Sl29、Cur9
vs左打者20球=St7、Sl11、Cur2

右打者にとって脅威の、吉川の最速150キロ速球
7回、打者29人に107球(1人当たり3.69、1イニング当たり15.29)、被安打6、被本塁打1(ガルシア9、4奪三振、与四球1、2失点、1自責点。
敵軍ながら先発・吉川も素晴らしい投球をしたと思う。配球図でみると、吉川も速球、スライダーに加え、カーブを積極的に織り交ぜ、緩急で楽天の打者を手玉に取った。そのカーブをガルシアに狙われたかたちとなったが、7回1自責点は、栗山監督の期待度も高いのでは?と感じる。
下記配球図をみると、吉川は楽天の右打者に対し「ストライクゾーンの高め~中段」に球が集まっているのが、確認できる。特にストレートは49球のうち49.0%に当たる24球がこのゾーンに集中していた。一般に打ちごろのコースである。しかし、解説の鈴木健さんによると、左投手の最速150キロ速球は、左打者よりも右打者のほうが「より速い」体感速度を感じるのだという。さらに「高めゾーン」はバッターにとって、打ちごろである一方、最も速度が速く感じられるコースなのだという。
■日本ハム・吉川光夫 配球図
※各コースの上段は直球、下段は変化球

そこで、右打者のストライクゾーン高め~中段、下記図のピンクの網掛け部分に記録された、吉川のストレート24球の内訳を確認してみたい。

安打・・・1 (5回嶋の中前安打)
犠打・・・2 (3回、7回、内村のいずれも三犠)
外野フライアウト・・・2 (1回フェルナンデスの右飛、7回高須の左飛)
ゴロアウト・・・2 (1回高須の一ゴ、3回高須のニゴ)
ライナーアウト・・・1 (5回中島の遊ラ)
空振り・・・1 (2回中島)
見逃しストライク・・・3 (2回中島、5回嶋、6回松井稼)
ストライク寄与ファウル・・・8 (2回牧田2、3回内村、3回高須、4回フェルナンデス、5回内村、6回高須、6回松井稼)
2ストライク以降ファウル・・・3 (2回中島2、3回嶋2)
全24球、楽天の打者がアウトになったのは(犠打含めて)6個、2イニングぶんである。(中島のショートライナーは当たりは鋭いものだったが)。ヒットにできたのは5回無死1塁での嶋の中前クリーンヒットのみ。2ストライク以降ファウルも粘ったファウルというより、振り遅れで捉えきれずにファウルになったという印象で、一般に打ちごろなのでは?と思われる「ストライクゾーンの高め~中段」に、吉川に積極的にストレートを投げ込まれ、楽天打線は対応できずに終わってしまった、そう言えそうなのだ。
同点弾を放った右打者のガルシアも、スタンドに運んだのはストレートではなく、高めに浮いたカーブを打った。
これは、このままだと次回対戦時も吉川の速球に右打者は苦しめられるのは必至だ。次までに、なんとか対策を練ってもらわないと!と、そのように思う。【終】
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・〔試合評〕塩見、再び鷹を相手にメモリアルな1勝! プロ初勝利の相手から初完封勝利!──2012年4月3日(火)○楽天イーグルス5-0ソフトバンク
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・〔試合評〕速球に勢いが宿っていた塩見、今季2勝目!──2012年4月24日(火)○楽天イーグルス4-0オリックス
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