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〔雑感〕ノーアウト2塁でのバント作戦の是非。

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最近書いたエントリ記事

〔分析〕楽天イーグルスのあまりにも低すぎる出塁率についての一考。
フルカウント打席割合&打撃成績、四球数ほか。

http://tan5277.blog104.fc2.com/blog-entry-638.html


一昨日(7/29)の千葉ロッテマリーンズ10回戦で、こんな場面があった。

1回表・楽天の攻撃だ。
先頭の1番・聖澤がロッテ先発・マーフィーの制球難から「貰った」四球で出塁する。
ノーアウト1塁。続く2番・内村の初球前、マーフィーの2度目の1塁牽制球を一塁手カスティーヨが捕れずに後逸させてしまう(エラー)。この間、1塁走者・聖澤は2塁へ到達。楽天は相次ぐ相手のミスで、労せずしてノーアウト2塁の好機を得ることになった。

ここから星野楽天の執った作戦はバント作戦である。

内村は三塁線に絶妙なセーフティバント気味のゴロを転がし、捕手・里崎が素早く処理し送球。際どいタイミングで1塁でアウトにする。1アウト3塁で、迎えるのは3番・松井稼、4番・山崎のクリーンアップだ。しかし、この3番、4番が相次いで凡退したため、この美味しい展開を得点に結びつけることはできず、気まずい雰囲気が残った。

この場面、内村にバントをさせる意味はあったのだろうか?と首をかしげたファンも多いはずだ。

というのも、2塁走者は聖澤である。なにもアウト1個献上して3塁に送らずとも外野へのヒットが出ればほぼ確実に3塁を蹴ってホームを踏む可能性が高い俊足選手だ。『ベースボールタイムズ5月増刊号』の49頁に「2塁走者が外野への単打でホームに生還したケース」として2010年の本塁生還率ランキングが掲載されているが、聖澤のそれは80.8%、機会数26、生還数21を記録しており、ここでは3位につけていた。これが、並み以下の足の選手が2塁走者ならば、ヒット1本でホームに帰ってこれない可能性も高まるため、バント作戦もありえる。しかし、聖澤だ。なんのための韋駄天か?

さて、ここで7/29終了時データで
楽天イーグルスのノーアウト2塁の得点期待値と得点確率を確認しておきたい。

ノーアウト2塁はここまで35回。

意外に少ないと思われるかもしれない。ぼくもそう感じた。しかし、ノーアウト2塁になる状況って意外に無いのだ。先頭打者が二塁打を放つか?もしくは単打や四死球で出塁してニ盗成功させるか?一昨日のように1塁出塁した後に守備側の不備で2塁進出する等が考えられる。楽天はそもそも二塁打がパリーグ最少のため、先頭打者が二塁打を打つケースも少ないはず。またここまで94の盗塁企図がある楽天だがノーアウト1塁からのニ盗は僅か11にとどまっている。そのため、ノーアウト2塁は、あまり発生しない塁状況だと言える。

さて、35回のうち21回で得点が入り、その得点合計は24点だった。そのため、下記のようになる。

◎得点期待値・・・0.686点
◎得点確率・・・60.0%


次に、バント作戦と、それ以外の強攻作戦に分けてそれぞれ数値を出してみる。

◎ノーアウト2塁でバント作戦・・・22回のうち12回で15得点。
(※バント作戦は下記表の網掛部分。犠打の他に、バント安打、バントゴロ、バント飛球を含む)
得点期待値・・・0.682点、得点確率・・・54.5%


◎ノーアウト2塁で強攻作戦・・・13回のうち9回で9得点。
得点期待値・・・0.692点、得点確率・・・69.2%


これでみると、得点期待値は両作戦ともほぼ同値と言えるものの、得点確率では強攻作戦のほうが約15%ほど高く、明らかな差異が出ている。

バント作戦の中にはセーフティバントでバント安打になったケースも含まれている。バント作戦で生み出した15得点のうち実は6得点はアウトを失わずバントヒットになったケースなのだ。打者が自分も生きようというバントを試みたりする場面で、よく解説者が「これはいけませんねぇ、決める時はしっかり決めて自らは犠牲にならないと流れが悪くなります」とコメントすることがある。この場合のバント作戦では、解説氏の中ではバント安打はあまり歓迎されないものなのだ。

だとすると、バント安打になったケースを覗いたバント作戦の数値を計算しなおすと、得点期待値0.500点、得点確率50.0%となり、上記の数値からさらに下落して、強攻作戦との差はますます広がってしまう。

■楽天イーグルス 2011年 ノーアウト2塁履歴
※2011年7/29終了時データ
※網掛行はバント作戦
※表中の得点はノーアウト2塁から3アウトになるまでに入った得点の合計
※表中の点差の「同」は同点の意味。0-0ではなく1-1や2-2、3-3等のとき。


今年の春、野球統計学の第一人者、鳥越規央氏が『9回裏無死1塁でバントはするな──野球解説は“ウソ”だらけ』という著書を出された。本ブログでも読書感想文を書いたので、御存じの方、既読の方もいるかもしれない。

そこでは後攻チームのバント作戦の是非について触れられている。そのバントは味方の勝利に近づくのか?それとも遠ざかるのか?を勝利確率という物差しで診ているのだけれど、後攻チームのバント作戦で唯一勝利確率が上がるのは同点で9回裏・無死2塁のときのみだそうである。

一昨日のロッテ10回戦で楽天は先攻チームだったけれど、鳥越氏に確認したところ、先攻の場合でも勝利確率はバントをすることで下がってしまうとのこと。つまり、野球統計学の視点では、内村のバントは楽天の勝利を遠ざける結果になっていた。

ここでぼくのバント作戦に対するスタンスを明らかにしておこう。

出塁したら馬鹿の一つ覚えのようにバントばかりを繰り返す采配には否定的だ。バントを決めた裏側には死屍累々と積み重なったアウトの山がある。例えば年間102犠打をチームで記録したとすると、102÷3アウト=34イニング=約4試合分をみすみす捨てていることになる。このことに思いを馳せないバント作戦には懐疑的である。また、たまあに耳にする犠打数が多ければ多いほど得点が入る等という暴論は随分前から全く支持していない。

昨年、ブラウン楽天の得点力不足を指摘する中で特に目立ったのが、犠打数が少ないから得点が入らないのだという主張である。あれは真っ赤なデタラメで見当違いも甚だしかった。実際は、昨年の楽天はバント作戦では全く点が入らなかった。無死1塁で2番打者にバントさせるよりも強攻させた時のほうがダブルスコアの差で得点が入っていた。ブラウン楽天の得点力不足を批判するなら、バント作戦をするな!と指摘するべきであった。このことは下記の一連の過去エントリで検証済みだ。

【記録】楽天イーグルス2010年 無死1塁でのバント作戦、強攻作戦の結果
http://tan5277.blog104.fc2.com/blog-entry-408.html
※(1)~(5)まであります。

とはいえ、局面・状況に応じてはバント作戦は有効的であるとも考えている。

例えば試合の流れに大きく左右する先制点攻防時や前述の9回裏・無死1塁の時などである。

僕らが見てきた日本の野球では9回裏・無死1塁ではほとんどがバント作戦だったはずだ。強攻させるのは主軸のときぐらいではないだろうか? そのため、ぼくらは野球好きになって以来、バント作戦の結果しか体験していない。バント作戦で得点が入れば成功体験として記憶にしっかり刻まれる。また、得点が入らなくても得点圏に走者を進めたという事実が目で見えるかたちで広がる。一方、バント作戦で失ったアウト1個は視覚的ではない。それこそスコアボードを確認しないと一見わからないが、走者は目でみれば2塁にいるから、わかりやすい。(人は見えるものの存在は評価するが、見えないものの存在を同様に評価することは、あまりない)

そういう訳で、野球統計学では9回裏はバント作戦はNGという結論なんだとアタマでは理解はできても、ココロでは共感できないというのが本音だ。もし、セイバーメトリクスに徹底的に基づいたチームが日本でも誕生し、9回裏・無死1塁で強攻作戦を何度も何度も繰り返して、目の前で成功体験が積み重なれば、ぼくの心にも親近感が芽生えると思うのだ。

話を戻して。

一昨日の試合、1回表ノーアウト2塁、バント作戦はありえたか?強攻作戦にすべきだったか?である。

ぼくの当面の答えは、どちらにもそれなりの理由・根拠があるため、どちらの作戦もアリである、というもの。

強攻作戦の主な理由は下記が考えられる。

◎今季の楽天、実際バント作戦より強攻作戦のほうが得点確率が15%ほど良いということ。
◎2塁走者は俊足の聖澤のため、3塁に送らずとも外野単打が出れば、ほぼ本塁生還できること。
◎この作戦では、2番、3番、4番のいずれかで外野単打が出ることを期待している。
◎チャンスを広げていくにはアウトを失わずに攻めていくことなので、その挑戦ができること。

バント作戦の主な根拠は下記が考えられる。

◎先発・マーフィーの制球がばらついてたため、3塁に進めておけばワイルドピッチで1得点もありえるかもしれない。
◎1死3塁ではヒットはもちろん、犠牲フライでも内野ゴロでも得点の可能性が出てくること。
◎内村の打力を考えれば、内野安打はあっても外野へのヒットは期待できそうもないこと。内野安打では2塁から本塁生還はほとんど困難になる。(7/29終了時、内村は22本の安打を記録しているが、そのうち24.1%にあたる7本が内野安打で、外野への安打は15本にとどまっている)
◎あの内村のバントはバントヒットを狙った三塁線への絶妙なバントだった。里崎の処理が少しでも遅ければ1塁セーフになるようなものだった。つまり、最初からアウト1個を相手に約束するようなバントではなかった。ノーアウトで攻めていくことを意識したものだった。

星野楽天のバント作戦については、今後も折をみて触れていきたいと思う。

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