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【書評】 この本の感想文>鳥越規央 著『9回裏無死1塁でバントはするな──野球解説は“ウソ”だらけ』(祥伝社新書)

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僕のような、野球をもっといろいろ考えて楽しんでいきたいファン、野球観戦の視点をより複眼的にしていきたいファン、セイバーメトリクスに少なからず興味があるファンにとって、最適な1冊が発売された。

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■鳥越規央 著『9回裏無死1塁でバントはするな──野球解説は“ウソ”だらけ』(祥伝社新書)

日本の野球統計学、セイバーメトリクスの第一人者として知られる東海大学理学部准教授・鳥越氏の新刊。3月1日に発売された。氏は昨年暮れデータスタジアムの岡田友輔氏らが立ちあげたサイト「SMRベースボールLab」の強力執筆陣のお一人でもある。

9回裏無死1塁でバントはするな。

なんとも過激的な文字列が本のタイトルに。まずはその勇気に最敬礼したい(笑)

バント作戦の是非については、このブログでもたびたび考えてきた。しばしば、弱小チームが得点力を上げるために1点を取りにいく野球の徹底を標榜、その際にバント作戦がその象徴としてクローズアップされることがある。最近では1点を取る緻密な野球ができず優勝を逃した(と言われている)巨人が、春季キャンプ中バント練習に多くの時間を割いたことが報じられたばかりだ。

これについての現在の僕の立ち位置は、甚だ懐疑的な立場にいる。バント作戦の多用で1点をコツコツ取りにいくその裏側には、失った膨大なアウト数が死屍累々としているのではないか? 野球を27個のアウトを取られないゲームだと考えるならば、このことに何故か思いを馳せることが少ない現在の野球評論には、胡散臭さを感じてしまう。

しかし、そう思う一方で、どうしても1点を欲しい時にはバント作戦は有効だとも思っている(いや、信じている、のほうが適切かもしれない)。例えば、試合の流れを大きく左右する先制点の攻防、そして1点リードされて試合終盤を迎え、どうしても追いつきたい時などだ。

このタイトルを目にした時、真っ先に思い出したのが昨年のイーグルスの開幕戦(vsオリックス)だった。

1点ビハインドで迎えた9回表・楽天の攻撃だ。ノーアウト1塁で聖澤を迎える。ここで多くのファンはバント作戦だと確信したはずだ。聖澤にきっちり送らせて1死2塁の得点圏の状況を作り、後続の鉄平らに勝負を託したかった。1打出れば同点である。ここはどうみても送りバントだろう.....。ところが、よもやの強攻作戦、しかも結果は最悪の併殺打...試合後、ファンの間からは何故送らなかったのか?という疑問が噴出したことは、1年前のことだが、まだ記憶に新しい。(後日、送りバントのサインを聖澤が見逃していたということが報じられた)

ところが、本書では、似たような状況、9回裏無死1塁でのバントを「するな」と断言しているのだ。まず、冒頭、鮮やかな先制ジャプを読者に向けて繰り出してくれる、そんな1冊になっている。

鳥越氏といえば、横浜ベイスターズの速報サイトで試合の流れを統計学の観点から診るWPAという折れ線グラフを作成していたことでも個人的には知っている。過去の膨大なデータを用いて、1つ1つのプレーがどれだけチーム勝利に貢献しているのか?という観点から各々のプレーの価値(ここでは勝利確率)を弾き出し、WPAという折れ線グラフにし、試合の流れの可視化に努力されていた。BTウィークリー紙でも頻繁に見かけたあれだ。(ちなみに本書ではこれに基づいて「江夏の21球」など幾つかの球史に残る名場面の解説がある)

本書では、その勝利確率に基づいて、俗に言われる定説の検証を試みている。前述のバント作戦、ほとんどの状況で味方の勝利確率を下げてしまっている(自ら勝利を手離している)のだが、唯一有効と思われるのが、同点時・9回無死2塁のシチュエーションだそうだ。(バント作戦について考える時、しばしば高校野球ではバント作戦は非常に有効なのではないか?と言われるが(このブログでもそのようなご指摘を頂いたことがある)、その点についてもよもやの展開で触れられている)

他には、

「左打者には左投手」は本当に有効か?
「バッティングカウント」はあるか?
たたきつけるバッティングはヒットを生みやすいか?
先頭打者に四死球はヒットより悪いか?
2ストライク・ノーボールで本当に1球外すべきか?
エースにエースをぶつけるのは得策か?
敬遠して次のバッターと勝負は良い作戦といえるか?


など、世間で良く言われている俗説、定石を俎上にあげて、統計学の観点から、数学に弱い僕のような読者にも簡潔に説明してくれる。この点は好印象だ。

ところで、このような俗説を統計学の視点から検証してみせた類書がある。
2008年に加藤英明・山崎尚志の両氏が出した『野球人の錯覚』(東京経済新報社)だ。

興味深いことに、両書では幾つかの同じ俗説を取り挙げている。ノースリーの場面は打って出るのか?1球待つのか?や、前述した左対左、バント作戦、ヒットエンドラン、先頭打者の四球出塁などである。

鳥越氏が勝利確率をベースに診断しているのに対し、『野球人の錯覚』では得点確率・得点期待値をベースにその是非を判断している。その違いはあれど、同じ統計学であるから、ほとんどの場面で結論は同じところに落ち着く。しかし、幾つかで結論が異なってくるところは、読んでいて興味深い。

本書は、セイバーメトリクスの代表的な指標、OPS、RC、XR、DIPS、K/BB、WHIPなどについても、その指標が誕生した背景や計算式を判り易く紹介してくれる。

個人的に大いに参考になったのはRF。「守備範囲が広くアウトを稼ぐ能力が高い選手」を診断する守備指標だが、これでみると、2010年の二塁手で最も評価されているのは失策15個の横浜のカスティーヨである。三塁手ではなんと草野大輔がトップ。名手と言われてきた中村紀洋は下位に大きく沈むかたちとなっていて、まさに目からウロコだった。

僕のような、野球をもっと考えて楽しんでいきたいファン、野球観戦の視点を複眼的にしていきたい方、数学は苦手だけどセイバーメトリクスには興味がある野球好きには、『9回無死1塁でバントはするな』は最適な水先案内役となるはずだ。

※なお、数学に強く、統計学にも詳しく、前述したSMRベースボールLabに遅れずについていけるようなセイバーメトリクス好きには、本書は、あまりにもあっさりとし過ぎており、物足りなさを感じるかもしれないことも、付記しておく。(本書の役目はこの考え方の裾野を広げるための新書であるから、このスタイルで良いと個人的には思っている)



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