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逆風下耐えに耐えた岩隈久志粘りの90球~2016年4月5日レンジャーズ戦

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メジャー5年目の岩隈、開幕2戦目の敵地レンジャーズ戦に先発

今年4月12日で35歳を迎える岩隈のメジャー5年目の挑戦が始まった。

今年は新戦力に同期の青木宣親も加わった。所属チームに同胞が在籍していたのはイチロー、川崎と共に過ごしたメジャー1年目以来。NPBで4年間在籍し、片言の日本語なら意思疎通もできる李大浩も40人枠に残ったことも岩隈の励みになりそうだし、なによりもチームにすっかり溶け込んでいる。(4回にはカノが窮地に立たされた岩隈に声をかけにきてくれたシーンもあった)

オープン戦の防御率6.00。数字だけみれば心配になるが、怪我なく開幕を迎えることができたのが、なにより朗報。今季は200イニングを目標に掲げる岩隈が、開幕ローテに名を連ねることができたのは2013年、2015年に続く3度目になる。

その岩隈は開幕2戦目、敵地レンジャーズ3連戦の第2戦、気温27度のナイトゲームに今季初登板した。

(下記に続く)

両軍のスタメン

マリナーズ=1番・青木(左)、2番・マルテ(遊)、3番・カノ(二)、4番・クルーズ(指)、5番・シーガー(三)、6番・グティエレス(右)、7番・アイアネッタ(捕)、8番・李大浩(一)、9番・マーティン(中)、先発・岩隈(右投)

レンジャーズ=1番・デシールズ(中)、2番・秋信守(右)、3番・フィルダー(指)、
4番・ベルトレー(三)、5番・モアランド(一)、6番・デスモンド(左)、7番・オドール(二)、8番・アンドルース(遊)、9番・チリノス(捕)、先発・ペレス(左投)

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その後のチーム勝利の可能性を演出した粘りの90球

5回、打者24人、90球(1イニング18.00)、被安打6、被本塁打0、奪三振5、与四球2、与死球1、失点2、自責点2。

毎回走者の出塁を許し、2回以外は得点圏に走者を背負う粘投の90球になった。

初回、不安な立ち上がりになったが、岩隈らしさも目撃できる18球だった。

1番・デシールズを僅か2球で遊ゴに仕留めた後、好敵手の2番・秋信守との今季初対戦はすっぽ抜けの4シームが右足直撃。通算対戦打率.308と分が悪い3番・フィルダーにはボール先行後にフォアボールを与え、2,1塁と苦しい内容になる。しかし、ここからが岩隈の本領発揮。1死2,1塁で4番・ベルトレー、5番・モアランドと中軸を迎えたところで、いずれも内野ポップアウトで撃退した。ベルトレーには2球で、モアランドには3球で追い込んでいく岩隈。ピンチで逆にストライク先行できる所に、見どころを感じた。

女房役アイアネッタの先制打でマリナーズが1点を先制した直後の2回は、味方好守の支援を受け、ゼロに抑えている。

先頭の6番・デスモンドの当たりは三塁線、サード前方のボテボテ。この死んだ打球に対して軽快なチャージをみせ、流れるようなランニングスローで1塁送球アウトにした三塁手シーガー。そして、2死1塁で安打出塁したメジャー通算217盗塁の俊足アンドルースの二盗をアイアネッタが刺した。

先頭打者二塁打でピンチに立たされた3回は、なんとか後続を撃退した。中でも無死2塁で1番・デシールズから奪った今季初の三振(見三振)が素晴らしかった。インコースの良いところで打者に全く反応させずに3つ目のストライクを奪った。

4番・ベルトレーから始まる相手攻撃の4回、岩隈が崩れた。この表の回にクルーズの今季1号でリードが2点に広がった直後の2失点劇。ベルトレーこそ辛くも右直に退けたが、72マイルのカーブを弾き返した5番・モアランドの二塁打を起点に、1四球2安打。いずれも右打者の8番、9番の下位打線にシンカーを連続適時打にされた。(SEA2-2TEX)

5回は先頭の秋信守に四球。3番・フィルダーには徹底した低め変化球で空三振に退けたが、4番・ベルトレーには低めを上手くひろわれ左前へ運ばれ1死2,1塁。苦しい場面を迎えたが、5番・モアランドには本戦で恐らく最高の落ちを見せたスプリッターで空三振に退けると、6番・デズモンドとはフルカウント勝負を辛くも二飛に制し、危機脱出。5回を2失点にまとめる90球になった。

クオリティスタートを記録することできず、ビル・ジェームズ考案のGame Scoresでも49と低値。しかし、終盤に味方打線が元同僚のウィルヘルムセンを攻略し、終わってみれば10-2でマリナーズが大勝した。チームが勝利したことで、岩隈の粘りの90球も報われる形になっている。

本調子ではない中、一発回避の5回2失点

本調子ではなかった。

無駄な四死球を出さない岩隈が立ち上がり2死四球を含む3個を与えたこと。4シームの最速が88マイル(141.6km)に止まり、メジャー平均を約8kmほど下回る平均138.8kmしか出なかった点。元々、速球で空振りを多く奪うタイプではないとはいえ、速球33球を投げて空振りゼロに終わったこと。過去2年間は60%に迫る球数を低めに集めた岩隈が、本戦では当方計測52%と少なく、中段以高の球が目立ったこと等が挙げられる。

精彩を欠いた背景には、どんなにキャリアを積んだ選手であっても今季初出場は緊張をするという事実、開幕戦をキングで落としたため2戦目は負けることは許されないという重圧、敵地アーリントンが打者有利球場であること、それに加えてバッテリーを組むのが昨年岩隈を好リードしたスクレ(DL入り中)ではなく、新加入で捕手としての技能(特にフレーミング)に疑問符のつくアイアネッタだった点などが考えられる。(実際、4回以降にストライクゾーンぎりぎりの投球をボール判定されるシーンが多く観測され、また、試合中アイアネッタが2度マウンドに駆け寄るシーンも目撃された)

そんな逆風下であっても、一発回避しながら5回2失点とゲームをまとめることができた点は及第点の評価と言えそうだ。

スプリッターのシュート方向の変化量が大きかった

球種では4シームやシンカーといったスピードボールの制球が不安定だった。左打者の内角狙いが真中から外角へ、右打者の外角狙いも真中から内角へ。共にはずれていくケースが目立ち、その中の1球をアンドルースに適時打にされた。

スライダーでは3本の安打を浴びた。21球中15球を右打者に使用したが、打たれたヒット3本は全て右打者に浴びた。上手く打たれた場面もあったが、外角狙いが抜けるシーンも目立った。

そして、スプリッターだ。上記表では上々の機能を発揮しているように見えるが、実際は左打者のアウトコース、右打者のインコースに大きく逸れるケースが目立った。その結果は、fangraphsに掲載されているPITHCf/xの変化量でも確認できる。(下記図参照)

20160405岩隈Splitter

例年、岩隈のマネーピッチは赤線で囲った部分への変化量をプロットすることが多い。しかし、本戦では赤線枠内の左上にはずれるプロットが目立っている。普段よりもシュート回転での変化量が大きかったことを示している。

逆風下でのゲームメイクこそ、経験値のなせる業

阿吽の呼吸とはいかないアイアネッタとの共同作業だ。昨年スクレが多用していた高め釣り球も、本戦ではアイアネッタが高めにミットを構えたのは5回モアランドの2球目、同デズモンドの5球目、この2球のみだった。前述したようにアイアネッタのフレーミング技術の拙さか、ストライクゾーンギリギリの場所を攻めた投球もボール判定されるケースも目立った。(「フィールディングバイブル」によると、アイアネッタは2014年に54個のストライクをボールにしたという)

組み立ても思うようにはいかなかったと思うのだが、様々な逆風下で準クオリティスタートの内容にまとめ、チームも勝利した点は大きかったと思う。

次回は本拠地開幕カードのアスレチックス戦。因縁の相手に好投し、今季初勝利を手にしたい。【終】



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低めコントロールでゲームをもコントロール。トラウト&プホルスの強力3、4番コンビを封じ、岩隈8勝到達~2015年9月16日エンゼルス戦

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1勝1敗で迎えた本拠地エンゼルス3連戦。その第3戦である。

マリナーズは既に終戦モード。試合前、マクレンドン監督は番記者を相手に来季へ向けての若手起用やその構想の話に終始していたという。一方のアリーグ西地区3位のエンゼルスは、長らく1位を独走してきたアストロズの失速等により、ワイルドカードまでゲーム差3.5、ぎりぎり望みをつなぐ状況。

エンゼルスは岩隈のお得意様とはいえ、彼我の戦意、モチベーションの差は歴然と思われた。その中で、どう相手を御するのか?に注目していたが、いやはや、全くの杞憂だったようだ。

岩隈はセーフコフィールドのナイトゲームで6回を4安打1失点に抑える好投。全体の64%を低めに集めてみせ、奪三振9は今季最多を記録した。球数84と余力を残しながら、7回からマウンドをリリーフ陣に託す。ファークワー、Cスミス、ウィリヘルムセンが1イニングずつ零封リレーを完成させ、岩隈は今季8勝目を挙げている。

(下記へ続く)

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両軍のスタメン

エンゼルス=1番・マーフィー(左)、2番・カルホーン(右)、3番・トラウト(中)、4番・プホルス(指)、5番・クロン(一)、6番・アイバー(遊)、7番・フリース(三)、8番・ペレス(捕)、9番・ジャクソン(二)、先発・ウィーバー(右投)

マリナーズ=1番・中マルテ(遊)、2番・シーガー(三)、3番・クルーズ(指)、4番・カノ(二)、5番・スミス(右)、6番・トランボ(左)、7番・モンテロ(一)、8番・ミラー(中)、9番・スクレ(捕)、先発・岩隈(右投)

1回表、1番・好敵手のマーフィーを投ゴに退ける!!



立ち上がり、18球でゼロに抑えた。好敵手をあっさり退けたのが大きかった。

1番はマーフィーだった。レンジャーズ~インディアンスと渡り歩き、今季のフラッグシップディールで再びアリーグ西地区に戻ってきた左打者は、これまでシェアな打撃で岩隈から数多くのヒットを放っていた。その好敵手を僅か2球で退けた。アウトコースに逃げていくシンカー。バットの先に当たった打球は完全なるボテボテの投ゴだった。

その後、初安打を許す。2番・左打ちのカルホーン。追い込んでから決めにいったスプリッターがストライクゾーン内で甘く滞留したところをコンパクトに中前へ弾き返された。塁上に走者を置いた状態で、3番・トラウト、4番・プホルスの強力クリーンアップを迎えたが、つつがなく撃退することに成功している。

やはり、過去の対戦成績の成せる業なのか。トラウトにはボールが先行し2-0。やや肝を冷やしながら見ていたが、この後、2球続けての失投が、見逃しストライク、ファウルとなり、2-2。カウントを作ることに成功すると、ラスト5球目のスプリッターが鋭く落ち、トラウトを空三振に仕留めた。

4番・プホルスには落ちる球を2球使った。1度目は空振りを奪い、2度目は2-2からの投球。ストライクからボールゾーンへこれまた良く落ちたが、落ち際を片手1本で左翼後方ウォーニングゾーンまで飛ばされる飛球。しかし、打球に柵越えする勢いはなく、レフトのトラウトがグラブに収めて事なきを得ている。

2回は自らを波に乗せる三者凡退投球になった。

要した球数は僅かに8球。この回は相手が早打ちしてきたことも手伝って、大変小気味の良いピッチング。5番・クロン、6番・アイバー。いずれも結果球は真ん中に入るシンカーだ。一見、失投に見える投球である。特に岩隈は、左打者の真ん中低めをすくい上げで一閃くらうことがたびたびあるだけに、要注意の失投とも言えた。しかし、ここはいずれも二ゴ、中飛。詰まらせ、打ち上げさせ、打者に自身のバッティングを許さない。岩隈の球が良く動いている証拠なのだろう。7番・フリースには球を徹底して低めに集め、スプリッターでこの日2個目の三振を獲得している。

本戦初めてのピンチを抱えたのは3回のこと。拙守ともいえる連携ミスで三塁まで進出されたが、主導権を渡さず、相手を切り伏せた。

8番から始まる下位打線だったが、8番・右打ちペレスのひっぱりゴロ打球が三塁ベース真上を突破するツーベースとなり、無死2塁に。この後、バントで1死3塁となった。このバント、岩隈正面に転がった。3塁送球して完全タッチアウトのタイミングだったが、三塁手シーガーも前進してきており、ベースカバーがいない。止む無く1塁へ投げたが、嫌な形で1死3塁にしたというシーンだった。

ここで打順は1番に返り2順目に突入する。上位との対決になったが、ここもしっかり後続を打ち取っている。1番・マーフィーにはボール先行2-0後、アウトローに3球続けて集め、ひっかけさせてのイージーな二ゴに仕留めた。前進守備のカノの正面を突き、バックホーム。三走をホームで完全タッチアウトにし、2死1塁で1打席目にヒットを浴びていたカルホーンとの勝負。アウトコースの配球で追い込むと、ラストはこの日カルホーンに初めて使用した内角高めで三振を奪う。女房役スクレ自慢の高めリードが要所で見事に決まった。

味方拙攻で主導権を手放しかねない場面で圧巻の好投



3回裏、マリナーズの攻撃。ズッコケ珍場面が飛び出した。

目標を見失ったチームとはこういうものなのかというボーンヘッド。1死1塁で二盗を決めたマルテが捕手の2塁送球が外野に抜けている間に一気に3塁を陥れたシーン。実は2塁ベースに滑り込み、立ち上がって3塁に向かった時、2塁ベースを踏み忘れてまさかの憤死。普通なら0-0で来ていた試合の主導権が一気に相手に傾きかけてもおかしくないシーンになってしまった。

直後の4回表である。エンゼルスは3番・トラウトからの中軸攻撃。岩隈、直前の味方ボーンヘッドの嫌な流れ完全に断ち切る13球になった。

3番・トラウト空三振、4番・プホルス投ゴ、5番・クロン空三振。13球中8球を低めに集めて、トラウト、クロンは低めに良く変化したスプリッターで三振に取った。1打席目に速球&落ちる球のコンビネーションで三振させられていた3番・トラウトは2打席目、速球と落ちる球に意識があったはずだ。その中、本戦で初めて使用したスライダーが外角に決まり、ファーストストライクを見逃しで取る。2球目はその初球よりさらに外角いっぱいに厳しく決まる速球でストライクを取り、0-2と追い込むともうトラウトは岩隈の手のひらの上である。4番・プホルスの投ゴはアウトローの球をひっかけさせた完全なボテボテ。メジャー通算555号を決めた強打者には、屈辱的な打ち取られ方になったはずだ。

岩隈が味方の拙攻で広がりかねなかった拙い雰囲気を快投で払拭すると、直後の4回裏、味方打線がそれに応え、相手先発ベテラン右腕・ウィーバーから3点を先制する。

4回裏、ヒット2本で2死2,1塁、打席には7番・一塁でスタメン起用されていた出戻りのモンテロ。過去ウィーバーとの通算対戦成績は10打数5安打4本塁打。1打席目は一ゴ凡退していたが相性は良かった。そのモンテロがマクレンドン監督の期待に応え、相手の失投ブレーキングボールを左翼席へ叩き込む3ランショット。終わってみれば、これが本戦の決勝点になった。(SEA3-0LAA)

5回無死2塁で3者連続三振!!



3点の援護をもらった岩隈。直後5回表のピッチングが素晴らしかった。先頭打者フェンス直撃二塁打で無死2塁という局面で攻めの投球を貫くピッチング。7番、8番、9番(代打)の下位打線を3者連続三振。圧巻の内容だった。

12球中10球を低めにコントロールし、試合を制御した。9番は代打の左打ちジョイス。初球、2球、3球と低めに集めて2度ファウルを打たせて1-2と追い込むと、一転、ラストは高め釣り球で空三振。相手の意識の裏を突く見事な配球も光っている。

6回、好敵手の1番・マーフィーにボール先行3-1からの逆球をバックスクリーンに運ばれたが、ソロ弾なら(1試合3、4本とかは困るものの1本ぐらいなら)打たれても想定内。被弾後も、後続を凡退。この日3度目の対戦になったトラウトを二ゴ(センター返しの強い当たりだったが、2塁べーすすぐ右に守備位置を取っていたカノの正面を突く)、プホルスを見三振に退けている。(プホルスとの対戦は見どころの1つになった。低めスプリッターを狙っていた強打者。1回の1打席目は片手1本で左翼後方に運び、この打席でも大フライファウルをかっ飛ばしていた)

前回被弾したスライダーをほとんど使わず8勝目



これで岩隈の今季成績は防御率3.90、8勝4敗、QS率52.9%となった。

残り20試合も満たない中、岩隈に与えられる登板数はどのくらいだろうか? 2度与えられたら御の字かもしれない。もし2度マウンドに登ることがあったら、二桁勝利、防御率3.50、QS率60%、これを目指して欲しいと思う。(後者2つは2戦達成させても届かないとは思うものの、限りなくそこに近づけて欲しい。

前回9/11ロッキーズ戦ではスライダー失投を一閃されて3ランに泣いた岩隈だった。このことを踏まえたのだろうか、本戦の岩隈は80マイル前半のスライダーを(途中MLB Gamedayがフリーズして球種・球速集計されない球が12球あったが)僅か2球に留まった。あえてスライダーを投げずという選択も、好投の1要因になったと言えるかもしれない。【終】


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雨中の敵地戦。2度の死地を潜り抜け、クマ粘投で今季6勝目~2015年8月29日ホワイトソックス戦

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岩隈、お得意ホワイトソックス戦に中4日で登板



1勝1敗で迎えた敵地ホワイトソックス4連戦。ホワイトソックスはアリーグ中地区4位で60勝67敗、マリナーズも同東地区4位で60勝69敗。似たような成績の両軍のの第3戦目に岩隈が先発した。

ホワイトソックス戦と言えば、岩隈にとって記念すべき相手である。メジャー1年目の2012年4/20本拠地戦で敗色濃厚の6回から三番手として登板。4イニングを投げて1安打1失点でメジャーデビューを飾った。このとき対戦した敵軍打者で本戦でスタメンに名を連ねているのは7番・遊撃のアレクセイ・ラミレスだけ。人材の流動が激しいMLBにおいては当たり前だけども、月日の流れる速さを感じずにはいられない。

2012年4/20本拠地4回1失点(自責1)、6/2敵地1回無失点、
2013年4/7敵地8回3失点(自責3、勝敗つかず)、6/5本拠地8回無失点(勝敗つかず)
2014年8/8本拠地7回1失点(自責1、白星)

過去、メジャーデビュー戦を皮切りにホワイトセックス戦には5試合登板し、1勝負けなし。対戦防御率1.61。悪くはない相手だった。

前回8/24アスレチックス戦は5回途中7失点。4回までゼロを並べながら5回1イニングで7点を奪われた。その影響が心配されたが、幾度の死地を潜り抜け、6回途中2失点の準クオリティスタートをマーク。今季6勝目を飾っている。

(下記に続く)

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両軍のスタメン

マリナーズ=1番・マルテ(遊)、2番・シーガー(三)、3番・クルーズ(右)、4番・カノ(二)、5番・スミス(左)、6番・トランボ(指)、7番・モリソン(一)、8番・ミラー(中)、9番・スクレ(捕)、先発・岩隈(右投)

ホワイトソックス=1番・イートン(中)、2番・サラディーノ(三)、3番・アブレイユ(指)、4番・カブレラ(左)、5番・ガルシア(右)、6番・ラローシュ(一)、7番・ラミレス(遊)、8番・サンチェス(二)、9番・フラワーズ(捕)、先発・サマージャ(右投)

序盤2イニングは上々の立ち上がり



1回表、味方打線がいきなり先取点を岩隈にプレゼントした。シーガーの20号2ラン、スミスの犠飛で3点を奪った。(SEA3-0CWS)

直後の1回裏、11球で上位3人を斬る。上々の立ち上がりになった。

1番・左打ちのイートンにいきなりのボール先行2-0。しかし、いずれもインコースを思うどおり攻めた結果で心配無用だった。5球勝負中4球で内を突いた。結果球もインハイにミットを構えたスクレの要求どおりに88マイル速球を投げ込む。詰まらせてイージーな中飛で最初のアウトを取った。続く右打ちの2番・サラディーノは3球三振。こちらも結果球は内角高め速球。こちらは89マイルの4シームで空を切らせている。3番・右のアブレイユも内角で打ち上げさせての右飛。初回3つのアウトは全て相手の懐を攻めての三者凡退投球になった。

2回裏、初安打を許したが、お得意技でゼロに抑えた。

初回に続き、先頭打者の4番・メルキー・カブレラに対しても、高め釣り球で三振を奪っている。全球数の約60%を低めに集めた昨年の投球が背景にあり、相手打者の目付は必然と低めに釘付けにされている。その中、岩隈と組んで花開いたスクレの高めリードが功を奏すかたちになった。1死後、5番・右打ちのカブレラに初安打を許した。外角狙いのスライダーが内角に入る初球失投を左前へひっぱられたが、後続にスプリッターで思惑どおりのゴロを打たせ、今季6本目の併殺打で一気にイニングを終わらせている。

2度の満塁ピンチを切り抜けた



3回表、味方が1点を追加。リードが4点に広がる。この回から厄介な雨が降り始めた。(SEA4-0CWS)

序盤2イニングは安全運転。しかし、3回以降、一変する。3、4回とピンチを招いた。いずれも2死満塁まで攻めこまれ、前回登板のこともあっただけに肝を冷やしたが、ここはコントロールアーティストの岩隈ならでは、試合の流れすらコントロールし、最少失点に留めるタフな投球で危機を切り抜けた。

特に3回裏は苦労した。1イニングで投げた球数としては本戦最多の25球を要した。表の攻撃回から降り始めた降雨の影響か、制球を乱す場面が多く、最後もヒヤッとさせられたが、野球の神様の救われている。

1死後、8番左打者に左中間へツーベースを運ばれた。続く9番・フラワーズの当たりもセンター深部。2塁走者がタッチアップで3塁に進む。打順が2周り目に突入し、1、2番に連続フォアボール。明らかなボール投球が増え、ボール先行となり、ストレートの四球とフルカウント四球を与えた。

塁上全て埋まって2死満塁、打席に3番・アブレイユを迎える。ホワイトソックスでチーム最多24本塁打。直近1週間でも29打数9安打2本の打率.310、OPS.931とバッティング好調の右打者に対し、スプリッター連投でボール先行2-1とした。そこからの第4球が甘かった。内角狙いのシンカーが真ん中に飛び込んでいく失投。アブレイユ一閃。嗚呼、逝ったか・・・と観念したが、相手の打ち損じか、岩隈の球が良く動いている証拠か、中堅後方で失速。ミラーのグラブに収まった。

翌4回裏は先頭打者から4、5、6番に3連打を浴びて1点を失った。7、8番を三振、一ゴに凡退させた後、9番打者にボール先行3-0後、3-1から四球を与えた。2死満塁で1番・左打ちイートン。初球インコース厳しい所で球審からストライクのジャッジをもらうと、2球目は落として空振り、その後、2-2からアウトローをひっかけさせて平凡な二ゴ。要所でのストライク先行が効果を発揮し、難局をまたしてもしのぐことに成功している。(SEA5-1CWS)

6回途中、107球で降板も二番手抑えて2失点



5回は2番から始まる相手の攻撃を三者凡退で退けた。15球中、実に12球が速球だった。

5-1の4点リードで迎えた6回、1死からピンチを招く。6番・左打ちのローシュにこの日4個目の四球を与えると、岩隈メジャー戦で対戦したアレクセイ・ラミレスに三遊間をしぶとく破られ2,1塁。後続を三振に取った後の2死、9番・フラワーズに外角変化球を巧打で左前に運ばれ、これがタイムリー。敵軍に2点目が入り、3点差となり、岩隈の球数が107球に達したところで、お役御免になっている。

二番手・ラスムセンが後続をゴロに取り、岩隈は6回途中2失点。マリナーズはその後、追加点を積み重ねて(追い上げられたけど)、7-6で勝利。岩隈、今季6勝目である。

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岩隈、珍しい雨中ゲームで今季6勝目



5回2/3、打者27人、107球、被安打7、被本塁打0、奪三振6、与四球4、失点2、自責点2。

これで岩隈の今季成績は6勝3敗、防御率4.22になった。雨の日登板は今季初では?と思う。ちなみに昨年は1度も降雨登板はなかった。

それにしても、終盤はハラハラさせられたが、この1勝は大きい。蓄積疲労もあるのだろう。決して万全とはいえない中、粘りの投球で6勝に到達したことで、今季二桁勝利もギリギリ狙えるのでは?そんな淡い期待が高まる白星になった。

投球回を上回る被安打を許し、ゴロ率はらしくない35.3%。それでも勝利を手中にできたのは味方大量援護に加えて、一発長打を許さなかった点にありそうだ。

今季の岩隈の被本塁打率は1.41と大変高い値になってしまっている。しかし、これも相性なのか、過去5戦に投げたホワイトソックス戦で岩隈はいまだに被本塁打を許していなかった。本戦でも外野後方に運ばれた一番大きな当たりと言えるのが、3回フラワーズに中堅後方に打ち返されてミラーが背走した中飛だったように思う。柵越えはおろか、ウォーニングゾーンへの到達も阻止した。一発長打を回避できたのは、相手打者の力量もあるだろうけど、スクレの配球が良かったように感じる。【終】



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5点リードの5回表、岩隈を襲った記録的短時間大雨豪雨~2015年8月24日アスレチックス戦



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5点リードの5回表、岩隈を襲った記録的短時間大雨豪雨~2015年8月24日アスレチックス戦

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岩隈5敗目。これも野球、これもベースボールなのか



前々回8/12本拠地オリオールズ戦では日本人投手3度目のノーヒットノーラン、前回8/18敵地レンジャーズ戦では日米通算150勝。8/7本拠地レンジャーズ戦から3連勝と波に乗った感の岩隈である。

150勝から中5日で迎えた本戦は、本拠地にアスレチックスを迎え撃つ3ゲームシリーズの初戦に当たった。

この日は先発2万人に快記録記念Tシャツが配布されるなど、セーフコフィールドには岩隈の好投目当てのファンも多かった中、4回終了時まではそんなファンの期待に応えるべく、投打かみ合う完璧な筋書きでゲームは進んでいた。

4回まで岩隈が許したヒットは打たせたゴロの飛んだコースに恵まれずの内野安打1本だけ。3回裏には味方打線に2発のホームランが飛び出すなど、4回終了時にマリナーズは5-0と5点リードした展開で中盤戦を迎えていた。

悲劇は5回裏に発生した。

誰もがこのままマリナーズ有利、岩隈4連勝を信じて疑わなかった中、マウンド上の岩隈が記録的短時間大雨に見舞われる。4連打含む長短6安打を集められ、1四球に拙守も絡み、この回だけで実に7失点。あれよあれよの間に5点を失い同点とされた岩隈は、2死1塁で相手4番打者に勝ち越し2ランを被弾したところで無念の降板。(SEA5-7OAK)

その後、出てきた投手陣も打ち込まれ、終わってみれば5-11の大敗を喫している。

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両軍のスタメン

アスレチックス=1番・バーンズ(中)、2番・カンハ(一)、3番・レディック(右)、4番・バレンシア(三)、5番・ボート(捕)、6番・ローリー(二)、7番・バトラー(指)、8番・クリスプ(左)、9番・ソガード(遊)、先発・ドゥブロン(左投)

マリナーズ=1番・マルテ(遊)、2番・シーガー(三)、3番・クルーズ(右)、4番・カノ(二)、5番・グティエレス(指)、6番・ジャクソン(中)、7番・トランボ(左)、8番・モンテロ(一)、9番・ズニーノ(捕)、先発・岩隈(右投)

日米通算151勝目を目指して上々の立ち上がり



1回表、三者凡退の立ち上がりをみせた。僅か9球でオークランドの上位打線を撃退している。

左打ちの1番打者を初球二飛。外狙いが内に来る逆球だったが、85マイルの変化球で詰まらせ、カノが朝飯前とばかりに処理した。

2番・カンハは今季メジャーデビューを飾った新人右打者。8/17オリオールズ戦から打撃好調で24打数13安打の打率.542と当たっていた。しかし、格の違いを見せつけた。高め釣り球を交えながらの低め変化球による空三振。外角低めボールになるスライダーでバット2度空を切らせた。

3番はレディック。通算対戦成績15打数5安打の.333。岩隈にしてみればやや分が悪い。めっきり陣容が変わってしまったアスレチックスの中で古参メンバーと言える左打者を外野後方の右直に仕留める。

見る者を唸らせたインハイ速球の空三振



2回表、19球で零封する。

先頭は4番・バレンシア。見事な3球空三振になった。初球、2球と速球、スライダーと球種を変えながらも、アウトローいっぱいに決めてストライクを取ると、3球目は対角線上の攻め、ズニーノが構えたインハイめがけて速球を投げ込み、空振りを奪う。球速は87マイル(約140キロ)だったが、コマンドが絶妙だった。

1死後、5番・左打ちのボートのところで本戦初のボール先行2-0カウントを作ってしまう。懸念されたが、平行カウントに戻した後、インコース低めで詰まらせてのイージーな左飛。初安打を許したのは直後のローリーだった。0-2と追い込んだ後の2-2からの外角低め誘い球。ゴロで打たせるかたちができたが、ショート左の深部。飛んだコースに恵まれず内野安打としたが、後続をスプリッターで空三振に取り、事なきを得ている。

白眉の見三振劇



3回表は11球で三者凡退。8、9、1番を退けた。

見どころは9番・ソガードの見三振だ。コツコツ当ててくる嫌らしい眼鏡の左打者は岩隈との通算対戦成績を13打数4安打の.308と打っていたが、ここはクマに軍配が上がる。1-2から約30キロの緩急差で外角低めに速球で決めた投球は、やや低いかな?ストライクとボールどちらとも言えそうな低めゾーンだったが、球審のジャッジが響き渡る(MLB Gamedayではストライクゾーンを掠るボール球だった)。ここは低めボール球を球審にストライクと言わしめるズニーノのフレーミングの上手さによるものなのだろう。

岩隈が下位打線をあっさり屠ってベンチに帰ってくると、直後の3回裏、味方が5点を先制した。先発ドゥブロンが1回にカノの打球を右足に当てて負傷降板。代わったばかりの二番手投手に対して、カノが先制打、グティエレスが8号3ランをセンター右に、トランボも8号ソロと続いて、岩隈に頼もしき5点の援護点が入る。(SEA5-0OAK)

5点の大量援護をもらった直後の4回裏も、落ち着いていた。2番から始まる相手中軸打線を9球で切って取る1、2、3ピッチング。高め釣り球にも球威があり、打たれても外野後方で失速させると、シンカー、スライダーいずれも良く球が動いているように思える。特にオークランドの右打者は岩隈のスライダーに全くタイミングが合っていないように見えた。

1イニング7失点はプロ初?!



しかし、何も問題なかったように見えた5回表、一気に崩れた。

先頭・ボードのフラフラっとした飛球が三塁後方の左翼ライン際に着弾。レフトのトランボが懸命にチャージし、スライディングしながら取りにいくものの、その手前で弾み、打球を弾いている間に2塁を許してしまう。この無死2塁から一気に7失点した。

次打者を2塁走者そのままの平凡な遊ゴに仕留めたが、1死2塁で前の打席3球三振に取った7番・バトラーのところで制球乱れた。フルカウントからの6球目変化球がアウトコースにはずれ、この試合初めてのファボールを与えてしまう。

1死2,1塁でカモにしてきたクリスプを定位置の平凡左飛に取ったが、2死2,1塁で眼鏡の左打者ソガードの中安を皮切りに、二塁打2本、本塁打1本を含む5連打の猛攻を浴びた。

ソガードには初球外角のシンカーをコンパクトに振り抜かれ、中前へ運ばれた。2死満塁で1番・左打ちのバーンズ。初球だった。膝元のスライダーをひっぱられ、左翼線を襲うツーベース。これで走者2人が帰る。(SEA5-2OAK)

なおも2死3,2塁のピンチで2番・カンハ。1打席目は格の違いを見せつけた空三振、2打席目は高め釣り球で詰まらせての右飛に抑えていたルーキーに左翼線を突破された。1-0からの2球目をひっぱられ、一瞬ヒヤッとする左翼フライナーファウルを打たれた直後の第3球だった。似たような球を続けたのが甘く入り、そこをデジャヴのように引っ張られ、三塁線を突破される2点左翼二塁打になった。(SEA5-4OAK)

出戻りモンテロに足を引っ張られる...



まだ続く2死2塁のピンチ。3番・レディック。ここで味方拙守に足を引っ張られ、同点に追いつかれてしまう。打ち取った当たりのファーストへの緩いハイバウンドゴロ。一塁手は出戻りのモンテロが守備に就いていた。あの打球の緩さでは自ら1塁ベースに入ることは無理な状況。岩隈もそのことは分かっているので、1塁ベースカバーに入った。しかし、モンテロ、何を考えているのか岩隈にトスせず、自ら1塁に入ろうとして、その二足先に打者走者に1塁を駆け抜けられてしまう。この間、三走がホームイン。慌てたモンテロがバックホームするも、後の祭りで、記録上はファースト内野安打。岩隈ファンとしては全く納得いかない拙守で、試合は5-5の振り出しに戻った。

直後、4番バレンシアに2ランを被弾した。待ってましたとばかりに低めのスプリッターをすく上げの一閃。快音残して伸びていった打球は左翼フェンス最上段で弾んでそのまま柵の向こうに消えていった。ここで岩隈、無念の降板となった。

1試合7失点は昨年9/18エンゼルス戦(3回1/3)以来。1イニング7失点は楽天時代にも皆無だった。近鉄時代は未確認だが、おそらく岩隈のプロキャリアで初の悪夢ではないだろうか。

同じ月に快記録と日米通算150勝と1イニング(しかも2死から)7失点。天国と地獄が同じ船に乗り合わせたような2015年8月になったが、これもベースボールなのだろう。

これで岩隈の対アスレチックス戦成績は9試合4勝5敗、防御率4.78、WHIP1.06、被本塁打率1.71になっている。

■岩隈久志 アスレチックス戦 試合別 投手成績
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スクレとの違いが目立ったズニーノのリード



4回2/3、打者22人、球数77、被安打7、被本塁打1、奪三振4、与四球1、与死球0、失点7、自責点7。

今季投手成績は5勝3敗、防御率4.29になった。

本戦がズニーノが岩隈と組んだラストゲームになるのではないか。

NHK BS解説の小早川毅彦氏が再三指摘していたが、この日、ズニーノは左打者のインコースをほとんど攻めなかった。

当方記録によると、インコースにプロットされた球は僅かに4球だけ。この4球はいずれもアウトコース狙いがコマンド狂ってインコースに入ったもので、インコースを狙って内角を投げた球ではない。ズニーノがインコースにミットを構えたのは3回ソガードの3球目この1球だけで、この球も岩隈は投げ切れずアウトハイに到達した投球だった。

ちなみにスクレがリードした前回レンジャーズ戦では左打者54球中、スクレが内角にミットを構えたのはちょうど半数の27球。54球中、岩隈の球が(逆球含む)内角に到達したのは37.0%に当たる20球と、本戦とは雲泥の差だったことを付記したい。

高め釣り球の使用率も低かった。前回スクレは99球中18球で高めにミットを構えたのに対し、本戦のズニーノは77球中7球だけ。うち左打者に2球、右打者に5球という内訳だった。

理由を推測してみるに、恐らく岩隈の速球のスピードが出ていなかったことが大きいのだろう。本戦の4シーム平均球速は142.5キロ。ノーヒットノーランのときは145.4キロだったことを考えると3キロほど遅い。この球速だとMLBでは平凡以下の球速になってしまい、ズニーノにしてみれば高めで多投するにはリスクのある球種という判断になったのかもしれない。しかし、実は前回レンジャーズ戦では本戦より遅い140.3キロだった。にも関わらず、スクレは99球中22球を岩隈に投げさせていたのである。

先の日曜夜9時からNHK BSで放送された「球辞苑」。ゲストで出演していた元ロッテの里崎智也氏は現役時代、スコアボードの球速表示を全く見なかったという。スピードガンの数字に振り回されるのを嫌ったためと氏は説明していたが、スクレは己の感性を信じ、ズニーノは真っ正直に球速表示を信じてしまうタイプなのかもしれない。

左打者への高め釣り球が僅か2球しかなかったのは、左打者のほうが右打者よりも右投手の球にコンタクトしやすいので、岩隈の球にコンタクトされたくないという心理が働いたことによるものなのかもしれない。

それにしても、思ったのは、陣容がガラリと変わっていたアスレチックスだけど、落ちる球を武器にする日本人投手の攻略法はチームの財産として受け継がれ、新しく入ってきたメンバーにも共有されているんだなあということ。そして、ワシントン監督はいつのまにやらアスレチックスの3塁ベースコーチになっていたこと。この2つである。【終】

■配球図
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メジャー最多球数を投げたレンジャーズ戦から中3.5日の登板で快記録



1勝1敗で迎えた本拠地オリオールズ3連戦の第3戦である。

7/23タイガーズ戦から5登板連続の中4日、メジャー最多球数118球を投じた前回8/7レンジャーズ戦から中3.5日、疲労が心配されたが、そんな懸念も見事に雲散霧消。胸のすく快投で快記録達成を見せてくれた。

9回、打者29人、球数116、被安打0、奪三振7、与四球3、失点0。

1人の打者にもHのランプが灯るのを許さず、野茂英雄に続く日本人投手3度目のメジャーでのノーヒットノーランを達成した。

今から思えばだ。予兆はあった。今季は右広背筋の故障で4月下旬にDL入りしたが、復帰した7月以降は所々炎上はありつつも、確実に好投を繰り返してきた。

7/11エンゼルス戦では8回3安打無失点、7/6にヤラれたタイガース相手に7/23の再戦ではリベンジの7回6安打2失点、前々回8/2ツインズ戦ではあと一歩でメジャー初完封勝利を逃す9回途中3安打1失点、前回は後半戦打撃好調で田中将大を沈めたレンジャーズ打線を相手に7回6安打3失点とゲームを作ってきた。7/11エンゼルス戦以降の6試合では防御率3.00。岩隈は新たな投球モデルを試しながら、復調~完全復活の道のりを歩いていた。

そして迎えた本拠地オリオールズ戦のデーゲーム。予兆あったとはいえ、アリーグで打率5位、本塁打4位、打点4位、得点6位を誇るオリオールズ打線を向こうにまわしての球史に名を刻む大記録になったわけだ。

(下記に続く)

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両軍のスタメン

オリオールズ=1番・マチャド(三)、2番・パーラ(右)、3番・ジョーンズ(中)、4番・デービス(一)、5番・パレデス(指)、6番・スクープ(二)、7番・フラハーティ(遊)、8番・ジョセフ(捕)、9番・ロウ(左)、先発・ゴーズマン(右投)

マリナーズ=1番・マルテ(遊)、2番・シーガー(三)、3番・グティエレス(指)、4番・カノ(二)、5番・スミス(右)、6番・ジャクソン(中)、7番・トランボ(一)、8番・ミラー(左)、9番・スクレ(捕)、先発・岩隈(右投)

序盤3回はパーフェクトピッチング



1回表、立ち上がり僅か11球での三者凡退投球になった。

1番・マチャド。終わってみればここでアウトを取ることができたのが大きかった。左打ちのデービスと並んでオリオールズの双砲を担う右打者にスライダーを左中間に打ち返された。本戦レフトを守るのは本職ではないミラー。そのミラーが背走しながら最後はジャンピングキャッチでグラブに収めるライナーアウト。もしここで慣れない守備で目測を誤り頭上を越されていたなら、その後の快記録はなかったし、無失点投球もできたかどうかは怪しくなってしまう。ここでミラーがぎこちなさをみせながらも頑張って白球をもぎとったことに拍手を送りたい。

その後、2番・パーラにはボール先行2-0、2-1から打者が振りたくなる真中低めに誘い球を投げ込み、思惑どおりの一ゴに取る。3番・ジョーンズは3球三振。通算対戦成績8打数ノーヒットの相性もあっただろうが、三振を奪ったアウトハイ92マイル(148.1キロ)の4シームには伸びがあった。

2回表はさらに球数少なく9球で3者を料理した。

アリーグ本塁打ランキング3位の31本、同打点1位。後半戦だけで12本塁打、打棒爆発の.315/.406/.750、OPS1.156、現在9試合連続ヒット中。当たりに当たっている4番クリス・デービスを先頭打者で迎えたが、高々打ち上げさせての左飛に仕留めた。2-1からの高めスライダーだったが、ストライクゾーンに甘く入る完全失投ではない。インハイ寄りのボール球だった。それに初球投じた膝元ボール球のスライダーにも全くタイミング合わずのファウルになっていたので、スライダーに合っていなかったのだ。

5番・左打ちのパレデスには本戦初めて投じたカーブでイージーな三ゴ、続く6番・右打者のスクープには1-1から一直を打たれたが、外角低め投球をバットの先で合わせただけの勢いに欠ける打球だったため、トランボが軽々処理している。

3回表も9球による1、2、3ピッチング。下位打線を僅か3分23秒で片付けた。

先頭・左打ちのフラハーティ。打者7人目にして初球で初めて変化球を使用。スライダーで入り見逃しストライクを取った。その後、高め釣り球でファウル、ボールと追い込んだ後、1-2から高低攻め。低めに決めたいスプリッターだったが、高めに抜ける失投になる。しかし、相手が対応できず、三遊間深めの平凡な遊ゴに討ち取っている。その後、8番、9番を右飛、三ゴに退けた。9番打者にはボール先行2-0からアウトコースのシンカー。打ち頃の高さに見えたが、平凡な三ゴ。それだけ本戦で球が動き、キレていたのだろう。

序盤3回、岩隈がパーフェクトピッチングを見せ、強打のオリオールズ打線を封じると、その直後の3回裏味方の攻撃で味方が2点を先制した。1死後、1番・マルテが選んだ四球を起点に暴投で二進、首痛でスタメンを外れたクルーズの代役3番・グティエレスと、
4番・カノの中軸に長短連打が生まれ、2点を奪った。(SEA2-0BAL)

4回表、2四球で招いた本戦唯一のピンチ



2点の援護を貰った岩隈。その直後、4回表で本戦で唯一のピンチを招いた。自ら与えた2四球で1死2塁~2死2,1塁のピンチを背負った。

ちょうど2順目に入ったオリオールズの攻撃。先頭の1番・マチャドに四球を与えてしまう。この四球は0-2経由だったのでもったいなかった。今季の盗塁数は15個。走られるケースは滅多にない岩隈だが、1塁走者を気にしての投球は、できれば避けたいところだった。無死1塁で2番の左打者パーラ。0-1から外角狙いの速球がインコースに抜けた逆球を引っ張られた。詰まり気味のバウンドが1,2塁間深めをしぶとく襲う。これが外野に抜けていれば一気に無死3,1塁のピンチになったところ、カノが球際を追い付き、1塁送球して二ゴとする。

この後、3番・ジョーンズには高低攻めで三振に取り、通算対戦成績を10の0とし、2死2塁でデービスに四球。一発長打を警戒し、慎重になりすぎたあまり制球も正確さを欠いた。しかし、ここは歩かせて正解だったと思う。一閃でたちまち同点というシーンだったからだ。その後の5番打者、ファウルを打たせて2-2、この後、岩隈がマウンド上で苦しげな表情を浮かべたのが印象的だった。本当にこの要所は苦しかったのだろうし、だからこそこのピンチを看板球スプリッターでの三振で切り抜けたのは大きかった。

岩隈がピンチで相手打席を切り伏せて帰ってきた直後、味方が1点を追加する。女房役のスクレのバットからタイムリーツーベースが飛び出した。(SEA3-0BAL)

点差が3点に広がった責任投球回5回表、ヒヤッとさせられる失投があった。

僅か5球で2死を取る。いずれもスクレの要求したミットどおりに投げ込み、2本のゴロアウトを奪って2死。しかし、8番・右打ちのジョセフ。2-2から投じたスライダーが真中に入る失投。一瞬ヒヤッとさせられたが、左中間ウォーニングゾーンの手前で失速するフライアウトになる。今季ホームラン10本を打っている右打者には格好のホームランボールだったが、相手の打ち損じに助けられた。

6回表、打者を寄せ付けない高め4シーム



6回表も三者凡退だ。打順が3順目に入ったが、上位の1、2番を連続三振に取った。

力強い高めの4シームが打者を寄せ付けなかった。マチャド、パーラともに低め変化球を意識させて追い込むと、ラストは相手の裏を鮮やかに突いた高め勝負。球速は90マイル(144.8キロ)と平凡だが、球速表示以上の伸びが感じられ、低め変化球が脳裏にある打者の振り遅れ空振りを見事に誘った。

7回表、5回から続く三者凡退が3イニング目に突入した。

先頭は岩隈にとってのお得意様ジョーンズ。外角高め92マイルを中堅後方ウォーニングゾーン付近まで飛ばされたが、合わせただけの打撃だったため大事ないイージーフライ。4番・ジョーンズには高めを意識させた上での低めスプリッターが絶妙に決まり、本戦6個目の空三振。5番打者にはストライクゾーン内で球を動かしての二ゴ。いよいよ快記録が近づいてきた。まるでヒットを打たれる気がしない7回の投球だった。

8回表、場内のボルテージ一気に上昇



8回表、この回からセーフコフィールドの雰囲気がガラリと変わっていく。それまで試合はそっちのけで後ろを向いてビールを煽って歓談を楽しんでいたような観客も、岩隈の快投の行く末に目を凝らすようになっていく。1球1球歓声が湧く。NHK BSの中継、この回から画面の右上に「岩隈ノーヒットピッチング」の表示。

先頭打者四球になった6番・スクープへの投球時、岩隈がスクレのサインに首を振る。恐らく本戦で首を振ったのは初めてではないか。マクレンドン監督はマウンド上の岩隈を凝視、かたやウェイツ投手コーチはベンチに座りながらヒマワリの種をフツーにモグモグしている。通訳の鈴木氏の表情はどこちなく落ち着きを欠いたような佇まい。

試合後の岩隈のコメント、意識したのは最終回からだと言うが、先程首を振ったシーンといい、1死1塁で8番・ジョセフへ投じた0-1からの2球、3球、アウトローの四隅いっぱいを狙った際どい投球に、岩隈もこの回一段とギアを上げてきたように感じた。この後、ジョセフを注文どおりの6-4-3併殺ゴロに討ち取り、一気に3アウト。物語の結末はいよいよ最終回へと入った。

9回表、静寂に包まれるセーフコフィールド



そして迎えた9回表、僅か9球の三者凡退ピッチ。9番、1番、2番を討ち取って、名誉ある栄光を手にした。

先頭打者は9番のロウ。セーフコフィールドに集まった野球ファンが心憎い演出をする。あれだけ湧いていた場内が水を打ったように一気に静寂に包まれた。いつでもどこでも鳴り物応援のNPBでは全く考えられない光景だった。ロウを92マイルで差し込ませて三塁側へファウルポップフライを打たせる。サードのシーガーがフィールド席のフェンスぎりぎりでポケットキャッチで1アウトを取る。

3球勝負で三ゴになった1番・マチャドには2球真中への甘い投球があった。しかし、場内の異様な雰囲気にたじろいだのかマチャドが対応できない。ラストバッターは2番・パーラ。初球。女房役スクレが構えたのは高め釣り球。本戦で何度も有効手を奪ってきた高め攻めをラストにも要求した。スクレのミットより低めに入る投球だったが、気持ちで投げた92マイルは最後まで球威を失わず、センター左に打ち上げさせてのフライアウト。

日本人では野茂英雄氏以来2人目3度目となる快記録、マリナーズの球団史では5度目のノーヒッターになった。

(下記に続く)




女房役スクレと共に掴んだ栄光のノーヒッター



9回、打者29人、球数116、被安打0、奪三振7、与四球3、失点0。

「凄い声援が後押ししてくれた。(意識したのは)最終回のマウンドに上がってから。とにかく一人一人でいこうと思っていました」

「気持ちで投げました。自分らしいピッチングを出そうと、全力で投げました」

「家族がきょうも見に来てくれていて心強かったし、きょうはスタンドのたくさんの応援のおかげでできた。感謝の気持ちでいっぱいです」

快記録は、投手の状態が万全であっても、運や守備陣に恵まれなけば成し遂げることはできないし、18.44m先の打者も絶好調の場合は難しくなる。逆に、投手の状態がそこまで万全ではなくても、他の諸要因がピタリ重なったら、達成への道も開けてくる。例えば、岩隈自身の状態で言えば、本戦より良い岩隈は過去3年間幾つかあったと思う。しかし、その時は他の諸要素が欠けていた。

運、投手の状態、捕手のリードやキャッチング、相手打者の力量とその状態、球審との相性、守備陣の力量、風向きや気温などその日の環境条件やパークファクター、味方打線の得点力etc... 本戦で言えば、家族の応援の有無も入るだろう。複数の要素が絶妙な黄金比率で噛み合った時、道が開けるのだ。

本戦の岩隈、116球が全て思い通りのゾーン&コースに操ることができたわけではなかった。典型的なのは右打者に投じたスライダーだ。その11球は全てアウトコース狙いだったが、高めに抜けたり、インコースに入ったりするケースが7球もあった。その中の2球はストライクゾーン真中に入るヒヤッとする失投。しかし、1つは外野後方の中飛、1つはバックネット裏へのフライファウルになった。

しかし、そういった幾つかあった甘いゾーンへの失投を目立たなくさせ「隠す」ことに成功し、相手打者が仕留めることができずに終わったのは、岩隈の球に球威やキレがあった証拠であると共に、マスクを被った女房役ヘスス・スクレの貢献度も大きかったのでは?と思う。

正捕手ズニーノとスクレ。岩隈と組んだ時の防御率に決定的な差が生じていた。(本戦試合前データ)

ズニーノ・・・今季5.29、通算3.93
スクレ・・・今季1.72、通算1.57

もしマスクを被ったのがズニーノだったら、完封勝利はあったとしてもだ。ヒット数本は打たれていたのでは?と思わざるをえない。スクレなくして岩隈の快記録は語ることができず、過去2年間メジャー僅か29試合の出場に止まる二番手捕手にとっても、今後のキャリアが開けていく大切な一戦になった。(コチラの写真、めっちゃ感動します)

4シームやシンカー等の速球、それも高めの速球が力強かった。スクレが高めにミットを構えたのは合計22球。そのうち高めに投げ切れず中段ゾーンに入る球も幾つかあったが、そんな球も含めた22球の内訳は、下記のとおり、岩隈有利に働いた。

見逃しストライク1
空振り3
ストライク寄与ファウル5
2ストライク以降ファウル4
凡打2 (5回フラハーティの二ゴ、9回パーラの中直)
ボールカウント7

高めを見せた直後の低め投球、これも絶妙な効果を発揮した。合計14球あったが、その内訳は下記のとおりだ。

見逃しストライク1
空振り4 (三振2含む)
2ストライク以降ファウル1
凡打2 (1回パーラの一ゴ、9回マチャドの三ゴ)
ボールカウント5 (四球1含む)

逆に低めを見せた直後の高め勝負、これも上々だった。合計13球の内訳は下記のとおり。

空振り1 (三振1含む)
ストライク寄与ファウル5
2ストライク以降ファウル1
凡打3 (1回マチャド左直、2回デービス左飛、9回ロウ三邪飛)
ボールカウント3

高低を駆使してストライクゾーンを大きく使ったスクレのリードと、それに応じる岩隈の熱のこもった投球が光った。だからこそ、スプリッターがいつも以上に映えたのだろう。

この日はここ最近、球種割合が増えていたカーブが少なく、僅か4球、3.4%に止まった。これはカーブで緩急をつけずとも、本戦の速球の体感速度が十分に速かったからだと考えることができる。だからこそ、スクレも積極的に高め速球を要求したのだろうし、岩隈も恐れずに速球を投げ込んだのだろう。

岩隈のピッチング事態も本当に素晴らしかったのだが、ゲームセット後、マウンド上に出来た歓喜の輪を見ると、チームスポーツの良さをも感じさせてくれる116球だった。

メジャー102試合目での快記録になった。ここでメジャー先発88試合目と書かなかったのは、1年目の前半戦リリーフにまわっていた時も、今ここに到達した岩隈を支え、血肉となった歴史の一部分だからだ。恐らく岩隈の認識も同様だと思う。ファンの中には最初から先発で使っていれば・・・といまだに嘆くむきもあるが、自著を読めば分かるとおり、岩隈はそうは考えていない。改めて適応力、順応度の高さ、柔らかさはズバ抜けている。中には父親危篤の中、短い登板間隔の中、一旦帰国しトンボ帰りして好投した試合もあった。周囲の環境に溶け込もうとする姿勢は、田中やダルすらしのぐのでは?と思う。

中4日が続いたが、次回登板は中5日で敵地レンジャーズ戦が濃厚だ。中5日で一息つけるとはいえ、直近2試合でメジャー最多116球以上を投げているので、その疲労度が唯一の気がかりだ。ナイトゲームとはいえ舞台はアーリントン。田中将大が投げた時は37.2度を計測した。暑さ対策も抜かりなく、残り試合1つ1つ白星を積み重ねていって欲しい。

出るか?! 張さんのアッパレ



岩隈と言えば、思い起こすのが2010年5月である。江川紹子さん降板事件を思い出す。

TBS「サンデーモーニング」。同年5/22巨人戦で岩隈が8回途中3失点と好投しながらも93球で降板したことが番組内で物議を醸していた。御意見番の張本勲氏は「7回で降りちゃだめよ。3対3、同点ですよ? まだ100球も投げてないんだから」。張さんはエースらしくないと苦言を呈した。これに意義を唱えたのが岩隈ファンのジャーナリスト・江川紹子さんだった。江川さんは「体調が悪かったのでは?」と感想を述べたが、これが張さんの心証を悪くした。番組内には一気に気まずい雰囲気が流れた。

その翌週から江川紹子さんは番組から姿を消した。

きっこのブログによると、どうやら張さんの逆鱗に触れ、TBSが降板に追い込んだらしい。(下記URL参照)

あれから5年、張さんは私が観ている限りでは岩隈がどれだけ好投しようが「あっぱれ」を出すことはなかった。しかし、それも年貢の収めどきがやってきた。日曜の放送が楽しみである!!

◎続・言論を弾圧したTBS報道局 (きっこのブログ)

◎◎◎関連記事◎◎◎
マリナーズ岩隈久志。メジャー3年目の好成績を支えた原動力の正体とは?!

岩隈メジャー通算40勝到達。白眉のAロッド斬り。高低、緩急、内角攻めを駆使したゴロ率70.6%の好投~2015年7月19日ヤンキース戦




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