逆風下耐えに耐えた岩隈久志粘りの90球~2016年4月5日レンジャーズ戦
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メジャー5年目の岩隈、開幕2戦目の敵地レンジャーズ戦に先発
今年4月12日で35歳を迎える岩隈のメジャー5年目の挑戦が始まった。
今年は新戦力に同期の青木宣親も加わった。所属チームに同胞が在籍していたのはイチロー、川崎と共に過ごしたメジャー1年目以来。NPBで4年間在籍し、片言の日本語なら意思疎通もできる李大浩も40人枠に残ったことも岩隈の励みになりそうだし、なによりもチームにすっかり溶け込んでいる。(4回にはカノが窮地に立たされた岩隈に声をかけにきてくれたシーンもあった)
オープン戦の防御率6.00。数字だけみれば心配になるが、怪我なく開幕を迎えることができたのが、なにより朗報。今季は200イニングを目標に掲げる岩隈が、開幕ローテに名を連ねることができたのは2013年、2015年に続く3度目になる。
その岩隈は開幕2戦目、敵地レンジャーズ3連戦の第2戦、気温27度のナイトゲームに今季初登板した。
(下記に続く)
両軍のスタメン
マリナーズ=1番・青木(左)、2番・マルテ(遊)、3番・カノ(二)、4番・クルーズ(指)、5番・シーガー(三)、6番・グティエレス(右)、7番・アイアネッタ(捕)、8番・李大浩(一)、9番・マーティン(中)、先発・岩隈(右投)
レンジャーズ=1番・デシールズ(中)、2番・秋信守(右)、3番・フィルダー(指)、
4番・ベルトレー(三)、5番・モアランド(一)、6番・デスモンド(左)、7番・オドール(二)、8番・アンドルース(遊)、9番・チリノス(捕)、先発・ペレス(左投)
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その後のチーム勝利の可能性を演出した粘りの90球
5回、打者24人、90球(1イニング18.00)、被安打6、被本塁打0、奪三振5、与四球2、与死球1、失点2、自責点2。
毎回走者の出塁を許し、2回以外は得点圏に走者を背負う粘投の90球になった。
初回、不安な立ち上がりになったが、岩隈らしさも目撃できる18球だった。
1番・デシールズを僅か2球で遊ゴに仕留めた後、好敵手の2番・秋信守との今季初対戦はすっぽ抜けの4シームが右足直撃。通算対戦打率.308と分が悪い3番・フィルダーにはボール先行後にフォアボールを与え、2,1塁と苦しい内容になる。しかし、ここからが岩隈の本領発揮。1死2,1塁で4番・ベルトレー、5番・モアランドと中軸を迎えたところで、いずれも内野ポップアウトで撃退した。ベルトレーには2球で、モアランドには3球で追い込んでいく岩隈。ピンチで逆にストライク先行できる所に、見どころを感じた。
女房役アイアネッタの先制打でマリナーズが1点を先制した直後の2回は、味方好守の支援を受け、ゼロに抑えている。
先頭の6番・デスモンドの当たりは三塁線、サード前方のボテボテ。この死んだ打球に対して軽快なチャージをみせ、流れるようなランニングスローで1塁送球アウトにした三塁手シーガー。そして、2死1塁で安打出塁したメジャー通算217盗塁の俊足アンドルースの二盗をアイアネッタが刺した。
先頭打者二塁打でピンチに立たされた3回は、なんとか後続を撃退した。中でも無死2塁で1番・デシールズから奪った今季初の三振(見三振)が素晴らしかった。インコースの良いところで打者に全く反応させずに3つ目のストライクを奪った。
4番・ベルトレーから始まる相手攻撃の4回、岩隈が崩れた。この表の回にクルーズの今季1号でリードが2点に広がった直後の2失点劇。ベルトレーこそ辛くも右直に退けたが、72マイルのカーブを弾き返した5番・モアランドの二塁打を起点に、1四球2安打。いずれも右打者の8番、9番の下位打線にシンカーを連続適時打にされた。(SEA2-2TEX)
5回は先頭の秋信守に四球。3番・フィルダーには徹底した低め変化球で空三振に退けたが、4番・ベルトレーには低めを上手くひろわれ左前へ運ばれ1死2,1塁。苦しい場面を迎えたが、5番・モアランドには本戦で恐らく最高の落ちを見せたスプリッターで空三振に退けると、6番・デズモンドとはフルカウント勝負を辛くも二飛に制し、危機脱出。5回を2失点にまとめる90球になった。
クオリティスタートを記録することできず、ビル・ジェームズ考案のGame Scoresでも49と低値。しかし、終盤に味方打線が元同僚のウィルヘルムセンを攻略し、終わってみれば10-2でマリナーズが大勝した。チームが勝利したことで、岩隈の粘りの90球も報われる形になっている。
本調子ではない中、一発回避の5回2失点
本調子ではなかった。
無駄な四死球を出さない岩隈が立ち上がり2死四球を含む3個を与えたこと。4シームの最速が88マイル(141.6km)に止まり、メジャー平均を約8kmほど下回る平均138.8kmしか出なかった点。元々、速球で空振りを多く奪うタイプではないとはいえ、速球33球を投げて空振りゼロに終わったこと。過去2年間は60%に迫る球数を低めに集めた岩隈が、本戦では当方計測52%と少なく、中段以高の球が目立ったこと等が挙げられる。
精彩を欠いた背景には、どんなにキャリアを積んだ選手であっても今季初出場は緊張をするという事実、開幕戦をキングで落としたため2戦目は負けることは許されないという重圧、敵地アーリントンが打者有利球場であること、それに加えてバッテリーを組むのが昨年岩隈を好リードしたスクレ(DL入り中)ではなく、新加入で捕手としての技能(特にフレーミング)に疑問符のつくアイアネッタだった点などが考えられる。(実際、4回以降にストライクゾーンぎりぎりの投球をボール判定されるシーンが多く観測され、また、試合中アイアネッタが2度マウンドに駆け寄るシーンも目撃された)
そんな逆風下であっても、一発回避しながら5回2失点とゲームをまとめることができた点は及第点の評価と言えそうだ。
スプリッターのシュート方向の変化量が大きかった
球種では4シームやシンカーといったスピードボールの制球が不安定だった。左打者の内角狙いが真中から外角へ、右打者の外角狙いも真中から内角へ。共にはずれていくケースが目立ち、その中の1球をアンドルースに適時打にされた。
スライダーでは3本の安打を浴びた。21球中15球を右打者に使用したが、打たれたヒット3本は全て右打者に浴びた。上手く打たれた場面もあったが、外角狙いが抜けるシーンも目立った。
そして、スプリッターだ。上記表では上々の機能を発揮しているように見えるが、実際は左打者のアウトコース、右打者のインコースに大きく逸れるケースが目立った。その結果は、fangraphsに掲載されているPITHCf/xの変化量でも確認できる。(下記図参照)

例年、岩隈のマネーピッチは赤線で囲った部分への変化量をプロットすることが多い。しかし、本戦では赤線枠内の左上にはずれるプロットが目立っている。普段よりもシュート回転での変化量が大きかったことを示している。
逆風下でのゲームメイクこそ、経験値のなせる業
阿吽の呼吸とはいかないアイアネッタとの共同作業だ。昨年スクレが多用していた高め釣り球も、本戦ではアイアネッタが高めにミットを構えたのは5回モアランドの2球目、同デズモンドの5球目、この2球のみだった。前述したようにアイアネッタのフレーミング技術の拙さか、ストライクゾーンギリギリの場所を攻めた投球もボール判定されるケースも目立った。(「フィールディングバイブル」によると、アイアネッタは2014年に54個のストライクをボールにしたという)
組み立ても思うようにはいかなかったと思うのだが、様々な逆風下で準クオリティスタートの内容にまとめ、チームも勝利した点は大きかったと思う。
次回は本拠地開幕カードのアスレチックス戦。因縁の相手に好投し、今季初勝利を手にしたい。【終】
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メジャー5年目の岩隈、開幕2戦目の敵地レンジャーズ戦に先発
今年4月12日で35歳を迎える岩隈のメジャー5年目の挑戦が始まった。
今年は新戦力に同期の青木宣親も加わった。所属チームに同胞が在籍していたのはイチロー、川崎と共に過ごしたメジャー1年目以来。NPBで4年間在籍し、片言の日本語なら意思疎通もできる李大浩も40人枠に残ったことも岩隈の励みになりそうだし、なによりもチームにすっかり溶け込んでいる。(4回にはカノが窮地に立たされた岩隈に声をかけにきてくれたシーンもあった)
オープン戦の防御率6.00。数字だけみれば心配になるが、怪我なく開幕を迎えることができたのが、なにより朗報。今季は200イニングを目標に掲げる岩隈が、開幕ローテに名を連ねることができたのは2013年、2015年に続く3度目になる。
その岩隈は開幕2戦目、敵地レンジャーズ3連戦の第2戦、気温27度のナイトゲームに今季初登板した。
(下記に続く)
両軍のスタメン
マリナーズ=1番・青木(左)、2番・マルテ(遊)、3番・カノ(二)、4番・クルーズ(指)、5番・シーガー(三)、6番・グティエレス(右)、7番・アイアネッタ(捕)、8番・李大浩(一)、9番・マーティン(中)、先発・岩隈(右投)
レンジャーズ=1番・デシールズ(中)、2番・秋信守(右)、3番・フィルダー(指)、
4番・ベルトレー(三)、5番・モアランド(一)、6番・デスモンド(左)、7番・オドール(二)、8番・アンドルース(遊)、9番・チリノス(捕)、先発・ペレス(左投)
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その後のチーム勝利の可能性を演出した粘りの90球
5回、打者24人、90球(1イニング18.00)、被安打6、被本塁打0、奪三振5、与四球2、与死球1、失点2、自責点2。
毎回走者の出塁を許し、2回以外は得点圏に走者を背負う粘投の90球になった。
初回、不安な立ち上がりになったが、岩隈らしさも目撃できる18球だった。
1番・デシールズを僅か2球で遊ゴに仕留めた後、好敵手の2番・秋信守との今季初対戦はすっぽ抜けの4シームが右足直撃。通算対戦打率.308と分が悪い3番・フィルダーにはボール先行後にフォアボールを与え、2,1塁と苦しい内容になる。しかし、ここからが岩隈の本領発揮。1死2,1塁で4番・ベルトレー、5番・モアランドと中軸を迎えたところで、いずれも内野ポップアウトで撃退した。ベルトレーには2球で、モアランドには3球で追い込んでいく岩隈。ピンチで逆にストライク先行できる所に、見どころを感じた。
女房役アイアネッタの先制打でマリナーズが1点を先制した直後の2回は、味方好守の支援を受け、ゼロに抑えている。
先頭の6番・デスモンドの当たりは三塁線、サード前方のボテボテ。この死んだ打球に対して軽快なチャージをみせ、流れるようなランニングスローで1塁送球アウトにした三塁手シーガー。そして、2死1塁で安打出塁したメジャー通算217盗塁の俊足アンドルースの二盗をアイアネッタが刺した。
先頭打者二塁打でピンチに立たされた3回は、なんとか後続を撃退した。中でも無死2塁で1番・デシールズから奪った今季初の三振(見三振)が素晴らしかった。インコースの良いところで打者に全く反応させずに3つ目のストライクを奪った。
4番・ベルトレーから始まる相手攻撃の4回、岩隈が崩れた。この表の回にクルーズの今季1号でリードが2点に広がった直後の2失点劇。ベルトレーこそ辛くも右直に退けたが、72マイルのカーブを弾き返した5番・モアランドの二塁打を起点に、1四球2安打。いずれも右打者の8番、9番の下位打線にシンカーを連続適時打にされた。(SEA2-2TEX)
5回は先頭の秋信守に四球。3番・フィルダーには徹底した低め変化球で空三振に退けたが、4番・ベルトレーには低めを上手くひろわれ左前へ運ばれ1死2,1塁。苦しい場面を迎えたが、5番・モアランドには本戦で恐らく最高の落ちを見せたスプリッターで空三振に退けると、6番・デズモンドとはフルカウント勝負を辛くも二飛に制し、危機脱出。5回を2失点にまとめる90球になった。
クオリティスタートを記録することできず、ビル・ジェームズ考案のGame Scoresでも49と低値。しかし、終盤に味方打線が元同僚のウィルヘルムセンを攻略し、終わってみれば10-2でマリナーズが大勝した。チームが勝利したことで、岩隈の粘りの90球も報われる形になっている。
本調子ではない中、一発回避の5回2失点
本調子ではなかった。
無駄な四死球を出さない岩隈が立ち上がり2死四球を含む3個を与えたこと。4シームの最速が88マイル(141.6km)に止まり、メジャー平均を約8kmほど下回る平均138.8kmしか出なかった点。元々、速球で空振りを多く奪うタイプではないとはいえ、速球33球を投げて空振りゼロに終わったこと。過去2年間は60%に迫る球数を低めに集めた岩隈が、本戦では当方計測52%と少なく、中段以高の球が目立ったこと等が挙げられる。
精彩を欠いた背景には、どんなにキャリアを積んだ選手であっても今季初出場は緊張をするという事実、開幕戦をキングで落としたため2戦目は負けることは許されないという重圧、敵地アーリントンが打者有利球場であること、それに加えてバッテリーを組むのが昨年岩隈を好リードしたスクレ(DL入り中)ではなく、新加入で捕手としての技能(特にフレーミング)に疑問符のつくアイアネッタだった点などが考えられる。(実際、4回以降にストライクゾーンぎりぎりの投球をボール判定されるシーンが多く観測され、また、試合中アイアネッタが2度マウンドに駆け寄るシーンも目撃された)
そんな逆風下であっても、一発回避しながら5回2失点とゲームをまとめることができた点は及第点の評価と言えそうだ。
スプリッターのシュート方向の変化量が大きかった
球種では4シームやシンカーといったスピードボールの制球が不安定だった。左打者の内角狙いが真中から外角へ、右打者の外角狙いも真中から内角へ。共にはずれていくケースが目立ち、その中の1球をアンドルースに適時打にされた。
スライダーでは3本の安打を浴びた。21球中15球を右打者に使用したが、打たれたヒット3本は全て右打者に浴びた。上手く打たれた場面もあったが、外角狙いが抜けるシーンも目立った。
そして、スプリッターだ。上記表では上々の機能を発揮しているように見えるが、実際は左打者のアウトコース、右打者のインコースに大きく逸れるケースが目立った。その結果は、fangraphsに掲載されているPITHCf/xの変化量でも確認できる。(下記図参照)

例年、岩隈のマネーピッチは赤線で囲った部分への変化量をプロットすることが多い。しかし、本戦では赤線枠内の左上にはずれるプロットが目立っている。普段よりもシュート回転での変化量が大きかったことを示している。
逆風下でのゲームメイクこそ、経験値のなせる業
阿吽の呼吸とはいかないアイアネッタとの共同作業だ。昨年スクレが多用していた高め釣り球も、本戦ではアイアネッタが高めにミットを構えたのは5回モアランドの2球目、同デズモンドの5球目、この2球のみだった。前述したようにアイアネッタのフレーミング技術の拙さか、ストライクゾーンギリギリの場所を攻めた投球もボール判定されるケースも目立った。(「フィールディングバイブル」によると、アイアネッタは2014年に54個のストライクをボールにしたという)
組み立ても思うようにはいかなかったと思うのだが、様々な逆風下で準クオリティスタートの内容にまとめ、チームも勝利した点は大きかったと思う。
次回は本拠地開幕カードのアスレチックス戦。因縁の相手に好投し、今季初勝利を手にしたい。【終】
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