〔惜別〕楽天戦力外2012──ホセ・フェルナンデス。316試合で4番打者。杜の都で愛された「陽気なドミニカン」
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11月22日、東北楽天ゴールデンイーグルスは下記の外国人5選手と来季契約を結ばない旨を発表した。
ケルビン・ヒメネス
ホセ・フェルナンデス
ルイス・アルフォンソ・ガルシア
ブレッド・ハーパー
ルイス・エンリケ・テレーロ
長打力不足が楽天の主な敗因になった。ヒメネス除く4選手で合計11本(ガルシア7本、フェルナンデス3本、テレーロ1本)のホームランしかチームに供給できなかったことを考えれば、全員を構想外にし、新戦力で来季に臨むことを選択した球団の方針は、理解できるし、支持できるところである。
ただ、そんな中でも、どーしても、後ろ髪ひかれてしまうのが、ホセ・フェルナンデスの退団だ。これで2度目なのだ。
■ホセ・フェルナンデス 年度別 打撃成績
※ピンク網掛け行=楽天在籍年度

09年以降も楽天だったらと思わずにはいられない1度目の退団劇
1度目は最終戦でソフトバンクを降し5位で終えた2008年の退団劇だ。この年は7月に打率.198と苦しんだものの、トータルでは打率.301、OPS.843の数字を残した。本塁打は来日後最少の18本に止まったが、ニ塁打は40本とパリーグ最多本数を記録、十分な活躍だったと今なお思うのだ。
好成績にも関わらず構想外にしたのは、ホセが年俸交渉で銭闘の姿勢を見せたことも一因とされている。また、中日からFAした中村紀洋の獲得に目処がついたためとも言う。ホセよりローコストが見込めて守備でも計算が立つ中村で、置き換えが効くと判断したのだろう。(結果、ホセはオリックスで年俸1億円、中村も2年2億の契約のため、コストは変わらなかったのだが)
また、この年後半に戦列に加わりインパクト大の槍働きをみせたセギノールの存在も、構想外に一役買うことになった。指名打者は山崎武司。セギノールをファーストに据えると、ホセは守備難のサードということになってしまうからだ。06年07年と2年連続サード最多失策、この年も9個を記録していたこともネックになったにちがいない。
というような事情があって退団となったわけだが、もしこのとき、フェルナンデスと引き続き契約を結んでいたなら、少なくとも楽天の09年はもっと良い結果が、10年は最下位なんてことはなかったのでは?と想像せずにはいられない。
09年、オリックスでプレーしたホセは成績を落としたが、これは骨折など怪我の影響や環境の変化も大きかったはずだ。事実、西武に移籍した10年は再び成績をあげてみせ、昨年はライオンズの1毛差でのプレーオフ進出に貢献した。
■楽天イーグルス 4番スタメン起用数
※2012年シーズン終了時

球団史に名を刻んだ、山崎武司と並ぶ4番打者
上記表は楽天イーグルスの4番打者を網羅したものになる。スタメンで4番に据わった試合を年度別にまとめた表だ。
06年開幕戦で4番に起用された。楽天球団史上6代目の4番打者の誕生となった。以来、(12年終了時で)1136試合中27.8%に当たる316試合で大役を任された。1位が山崎で43.8%の498試合。この両人で71.7%を占める。3位のガルシアが81試合(7.1%)ということも併せて考えると、“陽気なドミニカン”の存在感の大きさに、今、改めて驚かされるのだ。
下記にホセの年度別OPS、IsoPの推移を折れ線グラフで表し、リーグ平均と比べてみた。06年以降、OPS、IsoPの両方でリーグ平均を下回ったのは、今シーズンのみ。それ以外は大きく上まわる年度が多い。助っ人らしく、所属チームに安定した長打力を供給してきた屈指の外国人打者だった。
長打力で思いだされるのは、やっぱり、07年4/1フルスタでのオリックス戦(○E10-1Bs)だろう。3回2死満塁、吉井理人相手にホセのバットから飛び出したのは左翼席への満塁ホームランだった。この後、さらに満塁の好機を作った楽天は、山崎武司にも一発が飛び出すことに。球団史に残る「1イニング2本のアベック・グランドスラム」はNPB史上でかなりの珍例のはずだ。(12年終了時、楽天は15本の満塁弾を記録しているが、そのうちホセは山崎と同数の4本を打っている)
サヨナラホームランの記録についても記しておきたい。楽天では2本記録した。06年5/20フルスタでの巨人戦、豊田清からの3点本塁打が、08年9/27Kスタでのオリックス戦、延長11回に山口和男からの2ランが、サヨナラになっている。
■OPS年度別推移、リーグ平均との比較

■IsoP年度別推移、リーグ平均との比較

本塁打僅か3本。CS逃す敗因の戦犯と同時に
勝負強い打撃で球団初の前半Aクラスターンに貢献
4年ぶりの楽天復帰となった今シーズンは、昨年オフに退団した山崎武司の穴を埋めることを期待されていた。今季の中日での山崎の成績とホセのそれを比べると、その穴を埋めることはできたと言えるのかもしれない。
しかし、同時に球団が期待していた最低二桁の本塁打は僅か3本に終わった。球団は少なくとも打率.250、二桁本塁打を見込んでいたはずで、その点で大きく計算が狂い、出戻り1年で退団という結末になってしまった。
前年の17本から本塁打が3本に激減したのは、「加齢からくる肉体的な衰え」「意識の変化」「環境の差異」の3つがあるように思う。
3番目の「環境の差異」はあまり語られていないが、かなり大きかったのでは?と感じる。ホームランが出にくい球場のKスタが、統一球でさらに一発が出にくくなった点は、10年11年と打者有利球場を本拠地にする球団でプレーしてきたホセにとって、大きなマイナス要因になったはずだ。
本人は前年と同じパフォーマンスをしているつもりでいる⇒Kスタの特性で入るものも入らなくなってしまう⇒本塁打の本数が伸びない⇒自分の肉体的な衰えや打撃フォームに疑心暗鬼を抱く⇒球をしっかり見ようとして、ひきつけてからおっつける打撃が多くなる⇒差し込まれるケースが増える・・・という悪循環に陥っていたように思う。
悩みすぎてしまったということもあるかと思う。9/7Kスタでの西武戦では1点リードの8回無死1塁の場面では、プロ人生で1度も記録されていないバントの構えを1球(見逃し)、2球(バントファウル)とみせたこともあるほど、悩みは深かったように思う。7月下旬から8月頭にかけて打撃不振でファーム落ちも味わった。(←大久保コーチが打席に入る前、声をかけており、この時のはベンチサインなのかもしれないが)
◎関連エントリ>〔検証〕今季まだ3本。楽天のホセ・フェルナンデスはなぜホームランが打てなくなってしまったのか?(2012.9.1)
厳しい表現を使えば、今季のA級戦犯の1人である。
それでも、私は、1軍選手のプレーに採点をつける「犬鷲通信簿2012」企画に倣って、ホセに点数をつけるとすると、合格点の75点には及ばないものの、少なくとも及第点の65点以上はつけたい。にくめない愛されるキャラも偲ばれて、どーしても、そんな気持ちになってくる。
そんな気持ちにさせるのは、主な打撃成績はいまひとつなかたちになってしまったものの、随所で魅せてくれた勝負強いバッティングに、どーしても名残惜しさを感じてしまうからなのかもしれない。
得点圏での打撃成績は、116打数40安打46打点、13三振、19四球、3犠飛、7ニ塁打、打率.345、出塁率.428、長打率.405、OPS.833の数字を残した。得点圏打率はパリーグ規定打席到達者内で堂々の2位をマークした。
シーズン成績が打率.243、出塁率.313、長打率.311、OPS.624であることを考えれば、その差異は一目瞭然だ。このような極端な個性を持った選手、私は嫌いではない・・・というか、やっぱり、好きなのだ。
■2012年 得点圏 月別 打撃成績

ホセが打点を記録した試合の勝率.750
上記に得点圏の月別打撃成績表を掲載したが、7月こそ.077と悪い結果となっているものの、他は好成績が並んでいる。8月.222、9月.212と低迷した月でも、得点圏では結果を残していたことが伺えるのだ。
先制打、同点打、逆転打、勝ち越し打、決勝打など殊勲打が非常に多かったのも、今シーズンのホセの特徴だ。
ホセが打点をあげた試合ではチームの勝率がすこぶる高かった。(勝率.750、35試合24勝8敗3分)
今季は聖澤の盗塁後の本塁生還率が高かった。前年の34.6%から46.3%に上昇し、盗塁王・聖澤の足がしっかり得点に絡むことになったわけだが、これもホセあってのもの。勝負強い打撃でよく聖澤をホームへ迎え入れていた。
得点圏にランナーを置いた時のホセは、今季も、頼もしいクラッチヒッターだったのだ。後半戦あと1歩でプレーオフを逃した戦犯の1人でもあるが、と同時に前半戦初のAクラスターンを決めることができたのも、ホセの働きがあってこそだった。
チャンスで凡打に倒れたときでも快飛球が多かったのも印象に残っている。相手のスーパーキャッチに阻まれたものの、並みの野手なら抜けていたというヒット性の当たりも、得点圏で目立った。6/9ナゴヤドームでの中日戦での3回1死3,2塁の右飛は藤井に、7/18QVCでのロッテ戦8回2死3,1塁の中飛は岡田に、8/17敵地での西武戦6回無死2,1塁の右飛は熊代に、いずれもフェンスぎりぎりウォーニングゾーン付近まで飛ばす快飛球だったが、ファインプレーに阻まれ、天を仰いだホセの表情が何度か見受けられた。(8/17は三重殺)
さて、最後に、今季のホセといえば、タイムリーなどを放った時の、ポエムや人生訓、語録風の談話が話題を集めた。
そのコメントを、相田みつを風にしてみた(笑)
これで、振り返って、惜別のエントリとしたい。楽天での通算4シーズン、お疲れ様でした。
楽天での通算成績>OPS.801、打率.281、1915打数538安打317打点、314三振、199四球、17死球、18犠飛、107ニ塁打、2三塁打、71本塁打
ホセのポエム語録を相田みつをで振り返ってみる
その苦悩が語録からも垣間見ることができる。
■4/19ロッテ戦(QVC、○E6-3M)
3-3の同点で迎えた7回裏2死3,1塁で、中前へ詰まりながらも運んでみせる勝ち越し打。なおこの試合、5回表2死3,2塁で左前へ鋭い当たりの2点逆転打も放つなど今季初の3打点の活躍をみせ、お立ち台へ。

■5/2西武戦(西武ドーム、○E12-2L)
1回表、聖澤、高須の1,2番コンビの連打で3,1塁の好機。松井が倒れて1死3,1塁で、聖澤をホームへ呼び込む左前へ先制打。なお、9回にも満塁の場面でダメ押しともいえる2点適時打を打ち、この日3打点。

■6/6阪神戦(Kスタ、○E8-3T)
3-2の1点リードで迎えた5回裏、安打出塁した銀次を塁上に置いた無死1塁で左中間へ2ランホームラン!

■6/26日本ハム戦(東京ドーム、○E2-1F)
1回表2死2塁、武田勝が投じたアウトローのチェンジアップを叩き、追う金子誠の先、三遊間をしぶとく抜いていく左前への先制打

■8/8オリックス戦(Kスタ、○E14-1Bs)
楽天が大勝で連敗を8で止めたメモリアルゲーム。ファームから復帰後のホセも3安打猛打賞。1回裏2死2塁、おっつける打撃で右中間へ当たりを飛ばし、好走塁でニ塁を陥れる先制ツーベースでチームを波に乗せていく。

■8/12ソフトバンク戦(ヤフードーム、△E3-3H)
相手先発は武田翔太。0-1と1点を追う4回表、無死2,1塁のチャンスで痛烈な右打ち。ダイビングする一塁手の先を右前へ抜けていく同点打。

■9/5日本ハム戦(東京ドーム、○E10-5F)
2-5と3点を追いかけていた6回。藤田の適時打で1点を返し、なおも1死3塁、ホセのバットから1点差に迫るウォーニングゾーン内まで飛んだ中犠飛が生まれた。

■9/8西武戦(Kスタ、○E6-5L)
2点を追う1回裏、ガルシアの適時打で1点を返してなおも無死満塁、石井一久を打ち砕き、一ニ塁間を破る当たりが逆転の2点タイムリーに。今季、満塁での成績は6打数4安打9打点の打率.667だった。

■9/18ロッテ戦(Kスタ、○E11-6M)
8-5と3点リードの終盤7回。2死3塁でロッテを突き離すダメ押しの右前タイムリー。

■9/29ソフトバンク戦(ヤフードーム、○E8-4H)
5-4と1点リードの7回、試合を決める3点劇の3点目を叩き出す。2死1塁から柳瀬の甘い変化球をとらえ、右中間をワンバウンドでフェンス到達するタイムリーツーベース。

■10/8ロッテ戦(QVC、○E6-0M)
シーズン最終戦。田中が8回無失点で10勝目。1回表2死3塁でサード方向へのボテボテの当たりが渡辺俊介の処理のもたつきを誘う内野安打に。3塁から聖澤がホームインする先制打。

◎◎◎関連記事◎◎◎
・中村真人──Crazy bad ball hitter 杜の都を湧かせた稀代のトリックスター
◎草野大輔──夢を諦めない。天才バットマンが挑戦した三十路からのプロ野球人生
◎下柳剛──夢、成らず・・・ パリーグ最年長投手、楽天を退団
◎本西厚博──イーグルスの外野守備を、より一段上へ引き上げた功労者
◎山村宏樹──「燻し銀」というフレーズが似合うベテラン右腕でした
◎川岸強──杜の都で輝きを放った「雑草魂」
◎有銘兼久──私の中ではスーパーリリーフサウスポーでした
◎岩村明憲──それでも私が岩村に淡い期待を寄せてしまうその理由
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また、この年後半に戦列に加わりインパクト大の槍働きをみせたセギノールの存在も、構想外に一役買うことになった。指名打者は山崎武司。セギノールをファーストに据えると、ホセは守備難のサードということになってしまうからだ。06年07年と2年連続サード最多失策、この年も9個を記録していたこともネックになったにちがいない。
というような事情があって退団となったわけだが、もしこのとき、フェルナンデスと引き続き契約を結んでいたなら、少なくとも楽天の09年はもっと良い結果が、10年は最下位なんてことはなかったのでは?と想像せずにはいられない。
09年、オリックスでプレーしたホセは成績を落としたが、これは骨折など怪我の影響や環境の変化も大きかったはずだ。事実、西武に移籍した10年は再び成績をあげてみせ、昨年はライオンズの1毛差でのプレーオフ進出に貢献した。
■楽天イーグルス 4番スタメン起用数
※2012年シーズン終了時

球団史に名を刻んだ、山崎武司と並ぶ4番打者
上記表は楽天イーグルスの4番打者を網羅したものになる。スタメンで4番に据わった試合を年度別にまとめた表だ。
06年開幕戦で4番に起用された。楽天球団史上6代目の4番打者の誕生となった。以来、(12年終了時で)1136試合中27.8%に当たる316試合で大役を任された。1位が山崎で43.8%の498試合。この両人で71.7%を占める。3位のガルシアが81試合(7.1%)ということも併せて考えると、“陽気なドミニカン”の存在感の大きさに、今、改めて驚かされるのだ。
下記にホセの年度別OPS、IsoPの推移を折れ線グラフで表し、リーグ平均と比べてみた。06年以降、OPS、IsoPの両方でリーグ平均を下回ったのは、今シーズンのみ。それ以外は大きく上まわる年度が多い。助っ人らしく、所属チームに安定した長打力を供給してきた屈指の外国人打者だった。
長打力で思いだされるのは、やっぱり、07年4/1フルスタでのオリックス戦(○E10-1Bs)だろう。3回2死満塁、吉井理人相手にホセのバットから飛び出したのは左翼席への満塁ホームランだった。この後、さらに満塁の好機を作った楽天は、山崎武司にも一発が飛び出すことに。球団史に残る「1イニング2本のアベック・グランドスラム」はNPB史上でかなりの珍例のはずだ。(12年終了時、楽天は15本の満塁弾を記録しているが、そのうちホセは山崎と同数の4本を打っている)
サヨナラホームランの記録についても記しておきたい。楽天では2本記録した。06年5/20フルスタでの巨人戦、豊田清からの3点本塁打が、08年9/27Kスタでのオリックス戦、延長11回に山口和男からの2ランが、サヨナラになっている。
■OPS年度別推移、リーグ平均との比較

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本塁打僅か3本。CS逃す敗因の戦犯と同時に
勝負強い打撃で球団初の前半Aクラスターンに貢献
4年ぶりの楽天復帰となった今シーズンは、昨年オフに退団した山崎武司の穴を埋めることを期待されていた。今季の中日での山崎の成績とホセのそれを比べると、その穴を埋めることはできたと言えるのかもしれない。
しかし、同時に球団が期待していた最低二桁の本塁打は僅か3本に終わった。球団は少なくとも打率.250、二桁本塁打を見込んでいたはずで、その点で大きく計算が狂い、出戻り1年で退団という結末になってしまった。
前年の17本から本塁打が3本に激減したのは、「加齢からくる肉体的な衰え」「意識の変化」「環境の差異」の3つがあるように思う。
3番目の「環境の差異」はあまり語られていないが、かなり大きかったのでは?と感じる。ホームランが出にくい球場のKスタが、統一球でさらに一発が出にくくなった点は、10年11年と打者有利球場を本拠地にする球団でプレーしてきたホセにとって、大きなマイナス要因になったはずだ。
本人は前年と同じパフォーマンスをしているつもりでいる⇒Kスタの特性で入るものも入らなくなってしまう⇒本塁打の本数が伸びない⇒自分の肉体的な衰えや打撃フォームに疑心暗鬼を抱く⇒球をしっかり見ようとして、ひきつけてからおっつける打撃が多くなる⇒差し込まれるケースが増える・・・という悪循環に陥っていたように思う。
悩みすぎてしまったということもあるかと思う。9/7Kスタでの西武戦では1点リードの8回無死1塁の場面では、プロ人生で1度も記録されていないバントの構えを1球(見逃し)、2球(バントファウル)とみせたこともあるほど、悩みは深かったように思う。7月下旬から8月頭にかけて打撃不振でファーム落ちも味わった。(←大久保コーチが打席に入る前、声をかけており、この時のはベンチサインなのかもしれないが)
◎関連エントリ>〔検証〕今季まだ3本。楽天のホセ・フェルナンデスはなぜホームランが打てなくなってしまったのか?(2012.9.1)
厳しい表現を使えば、今季のA級戦犯の1人である。
それでも、私は、1軍選手のプレーに採点をつける「犬鷲通信簿2012」企画に倣って、ホセに点数をつけるとすると、合格点の75点には及ばないものの、少なくとも及第点の65点以上はつけたい。にくめない愛されるキャラも偲ばれて、どーしても、そんな気持ちになってくる。
そんな気持ちにさせるのは、主な打撃成績はいまひとつなかたちになってしまったものの、随所で魅せてくれた勝負強いバッティングに、どーしても名残惜しさを感じてしまうからなのかもしれない。
得点圏での打撃成績は、116打数40安打46打点、13三振、19四球、3犠飛、7ニ塁打、打率.345、出塁率.428、長打率.405、OPS.833の数字を残した。得点圏打率はパリーグ規定打席到達者内で堂々の2位をマークした。
シーズン成績が打率.243、出塁率.313、長打率.311、OPS.624であることを考えれば、その差異は一目瞭然だ。このような極端な個性を持った選手、私は嫌いではない・・・というか、やっぱり、好きなのだ。
■2012年 得点圏 月別 打撃成績

ホセが打点を記録した試合の勝率.750
上記に得点圏の月別打撃成績表を掲載したが、7月こそ.077と悪い結果となっているものの、他は好成績が並んでいる。8月.222、9月.212と低迷した月でも、得点圏では結果を残していたことが伺えるのだ。
先制打、同点打、逆転打、勝ち越し打、決勝打など殊勲打が非常に多かったのも、今シーズンのホセの特徴だ。
ホセが打点をあげた試合ではチームの勝率がすこぶる高かった。(勝率.750、35試合24勝8敗3分)
今季は聖澤の盗塁後の本塁生還率が高かった。前年の34.6%から46.3%に上昇し、盗塁王・聖澤の足がしっかり得点に絡むことになったわけだが、これもホセあってのもの。勝負強い打撃でよく聖澤をホームへ迎え入れていた。
得点圏にランナーを置いた時のホセは、今季も、頼もしいクラッチヒッターだったのだ。後半戦あと1歩でプレーオフを逃した戦犯の1人でもあるが、と同時に前半戦初のAクラスターンを決めることができたのも、ホセの働きがあってこそだった。
チャンスで凡打に倒れたときでも快飛球が多かったのも印象に残っている。相手のスーパーキャッチに阻まれたものの、並みの野手なら抜けていたというヒット性の当たりも、得点圏で目立った。6/9ナゴヤドームでの中日戦での3回1死3,2塁の右飛は藤井に、7/18QVCでのロッテ戦8回2死3,1塁の中飛は岡田に、8/17敵地での西武戦6回無死2,1塁の右飛は熊代に、いずれもフェンスぎりぎりウォーニングゾーン付近まで飛ばす快飛球だったが、ファインプレーに阻まれ、天を仰いだホセの表情が何度か見受けられた。(8/17は三重殺)
さて、最後に、今季のホセといえば、タイムリーなどを放った時の、ポエムや人生訓、語録風の談話が話題を集めた。
そのコメントを、相田みつを風にしてみた(笑)
これで、振り返って、惜別のエントリとしたい。楽天での通算4シーズン、お疲れ様でした。
楽天での通算成績>OPS.801、打率.281、1915打数538安打317打点、314三振、199四球、17死球、18犠飛、107ニ塁打、2三塁打、71本塁打
ホセのポエム語録を相田みつをで振り返ってみる
その苦悩が語録からも垣間見ることができる。
■4/19ロッテ戦(QVC、○E6-3M)
3-3の同点で迎えた7回裏2死3,1塁で、中前へ詰まりながらも運んでみせる勝ち越し打。なおこの試合、5回表2死3,2塁で左前へ鋭い当たりの2点逆転打も放つなど今季初の3打点の活躍をみせ、お立ち台へ。

■5/2西武戦(西武ドーム、○E12-2L)
1回表、聖澤、高須の1,2番コンビの連打で3,1塁の好機。松井が倒れて1死3,1塁で、聖澤をホームへ呼び込む左前へ先制打。なお、9回にも満塁の場面でダメ押しともいえる2点適時打を打ち、この日3打点。

■6/6阪神戦(Kスタ、○E8-3T)
3-2の1点リードで迎えた5回裏、安打出塁した銀次を塁上に置いた無死1塁で左中間へ2ランホームラン!

■6/26日本ハム戦(東京ドーム、○E2-1F)
1回表2死2塁、武田勝が投じたアウトローのチェンジアップを叩き、追う金子誠の先、三遊間をしぶとく抜いていく左前への先制打

■8/8オリックス戦(Kスタ、○E14-1Bs)
楽天が大勝で連敗を8で止めたメモリアルゲーム。ファームから復帰後のホセも3安打猛打賞。1回裏2死2塁、おっつける打撃で右中間へ当たりを飛ばし、好走塁でニ塁を陥れる先制ツーベースでチームを波に乗せていく。

■8/12ソフトバンク戦(ヤフードーム、△E3-3H)
相手先発は武田翔太。0-1と1点を追う4回表、無死2,1塁のチャンスで痛烈な右打ち。ダイビングする一塁手の先を右前へ抜けていく同点打。

■9/5日本ハム戦(東京ドーム、○E10-5F)
2-5と3点を追いかけていた6回。藤田の適時打で1点を返し、なおも1死3塁、ホセのバットから1点差に迫るウォーニングゾーン内まで飛んだ中犠飛が生まれた。

■9/8西武戦(Kスタ、○E6-5L)
2点を追う1回裏、ガルシアの適時打で1点を返してなおも無死満塁、石井一久を打ち砕き、一ニ塁間を破る当たりが逆転の2点タイムリーに。今季、満塁での成績は6打数4安打9打点の打率.667だった。

■9/18ロッテ戦(Kスタ、○E11-6M)
8-5と3点リードの終盤7回。2死3塁でロッテを突き離すダメ押しの右前タイムリー。

■9/29ソフトバンク戦(ヤフードーム、○E8-4H)
5-4と1点リードの7回、試合を決める3点劇の3点目を叩き出す。2死1塁から柳瀬の甘い変化球をとらえ、右中間をワンバウンドでフェンス到達するタイムリーツーベース。

■10/8ロッテ戦(QVC、○E6-0M)
シーズン最終戦。田中が8回無失点で10勝目。1回表2死3塁でサード方向へのボテボテの当たりが渡辺俊介の処理のもたつきを誘う内野安打に。3塁から聖澤がホームインする先制打。

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◎草野大輔──夢を諦めない。天才バットマンが挑戦した三十路からのプロ野球人生
◎下柳剛──夢、成らず・・・ パリーグ最年長投手、楽天を退団
◎本西厚博──イーグルスの外野守備を、より一段上へ引き上げた功労者
◎山村宏樹──「燻し銀」というフレーズが似合うベテラン右腕でした
◎川岸強──杜の都で輝きを放った「雑草魂」
◎有銘兼久──私の中ではスーパーリリーフサウスポーでした
◎岩村明憲──それでも私が岩村に淡い期待を寄せてしまうその理由
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読書感想文を書きました>『セイバーメトリクス・マガジン1』
“考える野球好き”は今オフ必読の1冊です。コチラで読書感想文を紹介しております
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