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4年目の戸村、300万増の1800万で契約更改
昨日から始めた1軍選手の2013年成績まとめ。第1弾では
島内宏明を取り上げた。
第2弾の今回は自己最多の4勝を挙げた4年目・26歳の戸村健次をチェックしてみたい。
戸村は先日11/26球団事務所で契約更改を済ませ、300万増の年俸1800万でサインをしたことが報じられている。
■楽天 戸村健次の年俸推移2010年オフ・・・1500万
2011年オフ・・・1410万
2012年オフ・・・1500万
2013年オフ・・・1800万
今季は5月下旬から先発ローテに定着すると抹消となった8月下旬まで12試合で登板(全て先発)、4勝2敗、防御率3.33の数字を残した。シーズン最後まで投げ抜くことはできなかったものの、試合数、勝利数、防御率、投球回はいずれもキャリアハイの成績を残した。
契約更改を終えた戸村は記者陣に、悔しさと来季へのさらなる決意を合わせてこのように語ったという。
「(先発登板などの)チャンスをもらいながら結果を残せず、悔しいシーズンになった。見返してやりたいという気持ちがある。来季はチームの戦力になりたい。期待していただいているということが伝わってきました。今年は1年を通して活躍することができませんでしたし、ポストシーズンでも投げることができませんでした。来年は1年間、1軍にいること。そしてローテーションに入れるよう頑張りたいです」と語った。
8月下旬には第一子となる長女が誕生した。2014年はその子のためにも、先発ローテへの定着が望まれている。
それでは、下記でざっくり今季を振り返ってみたい。
(下記へ続く)
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にほんブログ村■楽天 戸村健次 年度別 投手成績
キャリアハイの4年目。ピッチングスタイルを探し当てた光明のシーズンに
大卒ドラ1ということを考えれば、33試合7勝8敗、防御率4.00という通算成績は、確かに物足りない数字かもしれない。多くのファンはこの成績に不満顔だろう。今季、則本が新人で15勝挙げたことを考えると、戸村のここまでの不甲斐なさが、より際立ってしまうとも言える。
もっともっと活躍してもらわなければ困るというのが本音だが、しかし、今シーズン、ようやく今後へ向けての光明を見出したと言えそうだ。前述したように、試合数、勝利数、防御率、投球回、WHIP等でキャリアハイの数字を残した。
下記に掲げたリーグ平均値との比較表を見ても、戸村が自身のピッチングスタイルを見つけ出したことは明らかだ。
防御率は2012年までリーグ平均より悪かったところ、今季は平均より良い数字を残した。奪三振率が年々減少している点。投手本来の力量を表すとされるFIPが4.61とリーグ平均より悪化した点などを考えると、戸村がゴロで打たせて取るピッチング技術を目標に掲げ、今季はある程度それが実践でき、結果として防御率が改善されたことを示していると思うのだ。
FIPは打たせて取る投手には不利な数字が出てしまう指標である。前年3.33から今年4.61への悪化はスタイルの変化によるもので、文字通りの悪化ではない。
■リーグ平均値と比較する楽天・戸村の投手成績
磨き続けたシュートで、あのバレンティンのバットも粉砕させた
スライダー、フォークといった従来の球種に加え、今季からカットボールやシュートなど打者の手元で動く球を意識的に投げ分けるようになった戸村は、ゴロで打たせて取るピッチングに手応えをつかんだ。
昨年までの戸村は打者の芯をはずす球種がなかったのだ。スライダーも投手と打者の中間地点から徐々に曲がっていく、どちらかというとスラーブのような球種で、田中や則本、青山らのような打者側で鋭く変化するタイプではない。緩急をつけることはできるかもしれないが、打ち損じを誘発させるには物足りなかった。
しかし、今季は左打者には主にカットボールを、右打者の内角はシュートで攻めた。詰まらせて相手打者のバットをへし折る。そんなシーンもたびたび見かけることができた。6/5神宮・ヤクルト戦(●E5-9S)では本塁打記録を更新したあのバレンティンにバットを折らせての詰まった二飛に討ち取ったこともあった。手元の観戦メモを少し調べてみると、ミレッジ、ソフトバンクの本多、オリックスの李大浩のバットも折らせていたことが確認できる。
契約更改の会見上では本人も
「ゴロや併殺をいくつも取れた」とその成果を口にしたという。ようやく、戸村健次という投手がプロの世界でサバイバルしていくための「1つの型」を探り当てたような、そんな印象を抱くのだ。
いったい今季の戸村はどれだけゴロアウトピッチングができたのか?
そのことを確認する絶好の数字を下記に用意してみた。
■楽天 戸村健次 ゴロ率、内野割合 年度別推移
戸村進化の最大理由はゴロ率の大幅増だ
こちらは、対戦打者がフィールドに打ち返した打球のゴロ率、内野割合を調べた表である。
昨年は136打球のうちゴロは56本。全体の41.2%がゴロだった。しかし、今年はその割合が53.8%まで上昇した。前年12.6%増だ。
ゴロ率の増加が、打者の打球を内野止まりにさせた。内野割合は昨年の46.3%から55.2%へ上昇した。こちらは8.9%増である。
下記リンクにあるように、一般にゴロはフライ・ライナーと比べてアウトになる確率が高く、長打リスクが少ないのだ。
◎各打球の結果内訳:データで派各すると、フライ・ライナーと比べ、ゴロの方がアウトになる割合が高い (Sportsnavi)過去2年と比較してボールが飛ぶようになった2013年。リーグ平均では前年からOPSは5分、打率は1分上昇した。投手にとっては逆風になったそんな状況下で、戸村は逆に改善させることに成功した。被OPSは.767から.717へ5分減、被打率も.329から.261へ約7分減。これはゴロ率の増加が大きい。ゴロを打たせたことがキャリアハイの成績を残した原動力になった。
さて、下記で試合別の成績を確認してみよう。
(下記へ続く)

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■楽天 戸村健次 2013年 試合別 投手成績
■1軍登録抹消履歴5/20登録、8/21抹消、日本シリーズ出場資格者名簿に搭載(も登板なし)
今季初登板で指揮官も認める100点満点投球
開幕前のオープン戦、打たせて取るピッチングにそれなりの成果を得ていた戸村は、塩見や辛島が怪我で離脱したことも相まって、実は開幕ローテションメンバーの一角を任せられるはずだった。予定されていた今季1軍初マウンドは4/3Kスタでのオリックス戦。しかし雨天中止で流れてしまう。直後、水ぼうそうに罹ってしまったこと等もあり、1軍初登場は5月下旬にまでズレ込んだ。
5/20Kスタでのスワローズ戦(○E3-1S)がその舞台になった。立ち上がりに長短打を浴びて1点の先制を許したが、直後にAJの犠飛であっさり同点に追い着いてもらった戸村は2回以降、強気の投球で相手打線をねじ伏せていく。8回まで僅か散発3安打。奪ったゴロアウトは併殺・犠打含む13個。獲得アウト24個中、内野で奪ったのが20個という好内容をみせた。試合は同点犠飛のAJが中盤に決勝ソロ弾。終盤、女房役・嶋のタイムリーが飛び出し、初めて8回を投げての白星になった。
「開幕1軍メンバーに入れたのですが、雨で流れてしまったり、病気をしてしまったり……、正直「持ってないな」と思ったのですが、チャンスは必ず巡ってくると信じていました。そしてそのチャンスをモノにできて嬉しいです!」お立ち台に上がった戸村はそう語り、指揮官は「100点満点」の高評価。翌日の河北新報には『東北楽天・戸村初勝利、進化の証し』の見出しが躍った。
■苦しい中でも粘りの投球 戸村、打たせて取るピッチング 2013.05.20 E-S初登板は無四球ピッチングだったが、2登板目に当たる5/29甲子園での阪神戦(○E2-0T)では一転、制球に苦しんだ。3万を超える完全アウェーの雰囲気に呑まれたか、8四死球の大乱調。
立ち上がりの1回、中盤の4回にそれぞれ3四死球を許して満塁のピンチを背負ったものの、嶋のリード、味方野手陣にも支えられ、要所で踏ん張り、満塁の危機でいずれも相手にゴロを打たせる投球を貫くことができていた。終わってみれば6回無失点で2勝目を手中にした。昨年までと違い、投球に粘りが出てきた点も、今季の戸村の特徴と言えそうだ。
ゴロ率の上下が成績に直結
初黒星は交流戦明け6/22Kスタでのホークス戦。7回途中6失点だったが、7回にピンチを招いて片山にスイッチ。その片山も押し出し等で燃えてしまったがための6失点だった。翌週の6/29敵地オリックス戦ではその悔しさを晴らすかのように7回3安打無失点で3勝目。ヒーローインタビューにも呼ばれている。
この後、戸村は球宴を挟んで8月下旬までローテで投げた。1軍最終登板は8/20山形での日本ハム戦。3回途中4失点で降板、翌日抹消されている。
今季4勝を挙げた戸村だったが、上の試合別成績表が示すように、5月6月で3勝1敗の防御率2.29、7月8月で1勝1敗の防御率4.76と明暗分かれる結果になった。
これもゴロ率が関係していて、5月6月のゴロ率が57.6%だったのに対し、7月8月は49.0%と落ち込んでいた。ゴロ率の上下と比例して成績も悪化していたことが確認できるのだ。
7月以降のゴロ率の低下に伴う成績悪化は、一言で言ってしまえば疲労ということになるのだろうと考えている。
戸村は1軍での登板こそ5月下旬からだったが、4月上旬からファームのローテに入っていた。4月上旬から8月下旬まで先発として投げたということになる。
これだけ長い期間、投げ続けたことは恐らく初めてのことだろうし、夏本番を迎えてスタミナも落ちてきたとみるのが妥当だろう。ということで、疲労さえ回復できれば・・・という所だったかと思う。実際、オールスターブレイクで登板間隔が空いた7/27ロッテ戦では8回1失点で4勝目を手にしている。来季へ向けて1年間戦うことができる身体作りも、継続課題の1つと言えそうだ。
さて、これより下では幾つかのデータを確認することで、今後の課題点を探っていこう。
■楽天 戸村健次 2013年 左右打者別 投手成績
ピンチで併殺打を奪うことができた
戸村の投手成績を対戦打者の左右別で眺めてみる。すると、特に際立って改善されたのは、左打者対戦時だったことが分かるのだ。上記表には掲載していないので、昨年の数字を書き出してみると、昨年の被打率は左打者.435、右打者.258だった。左打者被打率は.185改善させることに成功したと言えるのだ。
なぜ打たれていた左打者を抑えることができたのだろう?
これもゴロ率が関わっている。左打者ゴロ率、昨年は31.6%しかなかったのが、今年は60.8%、約倍増していたことが大きいのだ。一方、右打者被打率が.258から.270へとあまり変わらなかったのも、ゴロ率が48.1%から48.4%へとほとんど動かなかったことが大きい。
ただ、トータルではゴロ率に変化がなかった右打者との対戦でも、ゴロが欲しい時にゴロを打たせることはできていたと言える。
その証が併殺打だ。昨年は右打者から2本しか併殺打を奪うことができなかった戸村だが、今年は6本に増えている。6/5敵地・ヤクルト戦(●E5-9S)、3点リードで迎えた2回、連打を浴びて抱えた無死2,1塁のピンチでは川島慶三に内角をシュートで攻めてバッテリー思惑どおりの5-4-3ゲッツーゴロで一気に2アウトを取るなどピンチを切り抜けている。
9イニング当たりの獲得併殺打の数でみても、昨年0.71本だったのに対し、今年は0.93本とほぼ1試合に1本でゲッツーを奪うことができていた。この成長は大きいと言える。
■楽天 戸村健次 2013年 塁状況別 投手成績
走者を出してからの投球も継続課題。許盗塁も多い
今度はその成績は塁状況別で確認してみよう。
走者無の被打率.248は走者有では.281へ、被OPSも.701から.740へと上昇している。特に走者1塁時の被OPS・被打率がかんばしくないようだ。(ほぼ)回先頭打者との対戦成績と言える無死走者無しでは被打率.231と上々の戦果を残すことができたものの、ひとたび走者を塁上に置いてしまうと、ピッチングレベルが落ちてしまっていたと言えそうだ。
走者有での投球ということで言えば、もう1つ、指摘しておきたいことがある。許盗塁だ。
今季の戸村は67回2/3を投げて、相手走者に13回の盗塁企図を許した。そのうち7回は女房役・嶋のおかげで2塁送球で刺すことができたわけだけれど、9イニング当たりに許した盗塁企図数1.73は、明らかに多いと判断ができる。昨年、50イニング以上投げたパリーグ投手対象によるデータで9イニング当たりの最多許盗塁企図数を記録したのは当時オリックスの寺原隼人だった。その数値は1.64。今季の戸村はそれを上まわっているのだ。
クイック、牽制球の技術をもっと高めていかなければならない。
今季、当ブログは投手の牽制球もなるべく出来る範囲で記録をつけるようにしてきた。私の観戦メモに残されている戸村の牽制球は31球だった。(実際はもっとあるはずで、あくまでも私が記録をつけたものである)。そのうち2球連続して牽制を入れたのは僅かに2度だけだった。本当に走られたくない場面なら、牽制球を3球以上続けても良いと思うのだ。3球以上の牽制が1度もないと、相手にその傾向を悟られてしまい、悠々スタートを切られてしまう恐れもあるので、ワンパターン化しないよう、メリハリが必要だと感じている。
戸村健次の犬鷲通信簿2013、合格ラインを超える80点としたい
さて、最後にここまでを総括し、来季への課題点を挙げておきたい。
ゴロアウト投球の「型」を維持すること、シュート、カットボールにさらに磨きをかけることを大前提として・・・
◎1年間投げることができる身体作り◎立ち上がり失点過多の改善・・・イニング別失点で診ると1回の7失点が最多
◎制球力の向上・・・リーグ平均より悪い与四球率の改善。対戦打者の22.2%が3ボール以上カウントだった
◎クイック、牽制球の技術向上・・・許盗塁企図数が多い←嶋の強肩に救われた
◎本人が課題に挙げていた落ちる球の完全習得・・・岩隈を見ていれば分かるようにフォークは奪空振り以上にゴロを打たせる球種にもなりうる。
以上の5項目がざっと挙げることができると思う。
及第点60点、合格点75点の100点満点で採点すれば、2013年の戸村健次は、来季への期待料を込めて80点としたい。
【終】
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◎◎◎関連記事◎◎◎・
【試合評】 2010年4/21(水) ●楽天イーグルス0-6千葉ロッテ~戸村健次 プロ初登板初先発 全61球の詳細・
【記録】楽天イーグルス 戸村健次 2013年 2軍 投手成績 (試合別、左右打者別、対戦打者ランク別) ※5/19データ《当ブログのコメントルール》御感想のある方は下記コメント欄でどうぞ。ただし、感情に流された御意見・誹謗・中傷・悪意の類、プロ野球や楽天と関係のないもの、名無しや通りすがりなどハンドルネームがいい加減と私が判断したものは、内容に関わらず、御遠慮申し上げております。頂いても削除の対象となります。なお、管理人の都合により、返信が遅れる場合、またはできない場合がございます。
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