初の開幕1軍を目指せ！下妻貴寛、5年目の挑戦

初の開幕1軍を目指す下妻貴寛、ただいま1軍で奮闘中

「パリーグの頭脳」細川亨の入団で、1軍捕手戦力争いも激しさを増す今シーズン。
今年で高卒5年目･23歳を迎える下妻貴寛が、現在1軍で奮闘している。

地元東北の山形出身、2012年のドラフト4位。
ソフトバンク･長谷川勇也らを輩出する酒田南高校から楽天入りした。
プロ2年目の2014年に1軍初出場、翌2015年は地元･山形開催のオリックス戦で錦を飾った。
しかし、2016年は1軍に招集されたものの、出場機会なく僅か1日で登録抹消の憂き目に遭う。(これ、本当に意味不明で、昨年の梨田采配のワースト3に入れてもいいぐらい)
プロ通算4年間での1軍成績は、通算4試合、マスクをかぶって8イニング。
打席はなし、1軍登録日数も36日にとどまっている。

同じ高卒捕手といえば、3コ上に小関翔太の存在が。
正直、このままでは、小関翔太にも劣るプロキャリアになってしまうのだ。

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というのは、小関の5年目は2014年。
当時、53試合(スタメン32試合)に出場、正捕手･嶋基宏に次ぐ二番手捕手としてプレーした。
翌2015年も40試合(スタメン24試合)でプレーし、怪我で戦線離脱した嶋の代役を務め上げた。

今年、下妻が1軍でまとまった出場機会を得ることができなければ、小関の5年目と比べても、かなり見劣りするプロキャリアになるというワケなのだ。

対外戦でバッテリーを組んだ投手陣が好成績

このことは本人もよくわきまえていて、だからこそ、今、必死なのだろう。
その懸命さがよく表れているのでは？という数字がある。

マスクをかぶったときの対戦被打率だ。

1軍帯同中の現在、対外戦には3試合に出場した。
新人･高梨雄平、テスト入団した久保裕也ら9人の投手とバッテリーを組み、全178球の球を受け、相手打者43人と対戦。
合計13イニングでマスクをかぶった。
その成績は、41打数3安打、13三振、2四球、対戦被打率.073！
抜群の成績を挙げているのだ！
許したヒット3本も、内野安打2本を含む全て単打。
13イニングで許した失点もゼロ！である。

2月16日ハンファ戦では、2塁走者の三盗を好送球で阻止した。
バットでは対外戦5打席で1安打ながらも、2月14日ハンファ戦の6回無死2塁では、1-2の追い込まれた状態から右方向へしっかりゴロを打ち返し、2塁走者を3塁に送り込む進塁打の二ゴの仕事をしている。

現在、1軍の捕手人員は、嶋を始め、伊志嶺忠、足立祐一、そして下妻。
2軍には細川、堀内が控えている。
(小関は仙台で手術明けの療養/リハビリ中。石原は久米島2軍もキャンプ初日から「コンディショニング指示」の別メニュー)

23日には侍ジャパン合宿が始まるため、嶋が1軍から一時離脱。
2軍も来月7日からは春季教育リーグが始まる。
このタイミングで、1、2軍間の再配置が実施されるはず。
おそらく1軍合流する細川と入れ替わりで、伊志嶺、足立、下妻のいずれか1人がファームに行くことになるだろう。

そのときまでに、下妻がどこまでアピールできるか？

今までの実績や技量を一切考慮せず、今対外戦の成績だけをみれば、下記表のとおり、下妻は伊志嶺、足立より一歩リードしている。

今年、1軍で「下妻物語」をスタートさせることができるのか？できないのか？
下妻の5年目の挑戦が始まっている。【終】

2/21追記 : 20日、梨田監督は1軍と2軍の入れ替えを実施。2軍から細川、阿部が合流、1軍から下妻、島井、村林が2軍行きになった。梨田監督「下妻も置いておきたかったけど、細川も上がってくるから」とのこと。

■今対外戦での3捕手の成績
※2017年2月19日中日戦までのデータ

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【記録】楽天イーグルス下妻貴寛 2013年 2軍打撃成績詳細 (シーズン終了時データ)

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地元･山形の星、下妻貴寛のルーキーイヤーを振り返る

球団オフィシャルサイトのファーム情報で公開されているボックススコア。ここで得られる記録を中心に2軍選手の今季成績を振りあえってみる一連シリーズ。ここまで北川倫太郎、中川大志、榎本葵、森雄大、武藤好貴、小関翔太、島井寛仁、柿澤貴裕を振り返ってきた。

今回は昨秋ドラフト4位、山形の酒田南高校から楽天入りした下妻貴寛のルーキーイヤーを確認してみたい。

どうやら攻守両面でプロの壁を痛感するシーズンになったようだ。まずは打撃成績から見てみよう。

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■楽天イーグルス下妻貴寛 2013年 2軍左右投手別打撃成績
楽天下妻貴寛2013年左右投手別打撃成績

打撃練習でEウィング一番乗りも、実戦長打は二塁打1本

打率.169、OPS.353はイースタンリーグ平均(.265、.712)、同捕手平均(.264、.693)いずれも著しく下まわる結果になった。高卒1年目なので、当然といえば当然だろう。しかも、捕手としてもやらなければならないことだらけの中、なかなか打撃練習に割く時間やバッティングに意識を向けることも難しかったのかもしれない。

打撃成績を左右投手別で見ても、どちらも悪いという状況になっている。

“プロ初打席”は最終9回表から初出場となった開幕2戦目、3/20巨人戦でのこと。マスクをかぶった直後の9回裏、プロ初打席のバッターボックスに立った。相手投手は2年目右腕･土田瑞起。結果はショートフライだった。

“プロ初安打”は地元山形、荘内銀行･日新製薬スタジアムで行われた6/2西武戦でのこと。相手投手は川崎雄介。かつてパリーグ最優秀中継ぎ投手にも選ばれたことのあるベテラン左腕から「左安」を記録した。

“プロ初打点”は7/12敵地･日本ハム戦。大塚豊から打った犠牲フライが初打点で今季唯一の打点となった。

目立つのは61打席バッターボックスに立ちながら、フォアボールがゼロに終わったこと。アマより狭いストライクゾーンの差異だったり、プロならではの制球力、変化球のキレ等に戸惑った結果と言えるのかもしれない。

長打は二塁打1本だけにとどまった。3/16、2軍練習がKスタで行われた際、アーリーワークの打撃練習でできたてホヤホヤのEウィングに一番乗りの飛球を叩き入れたが、ファーム公式戦では遂に1本出ずに終わっている。

昨年の12月、サンケイスポーツに掲載されたインタビュー記事では課題に打撃を挙げ「（バットが）金属と木製では全然違う。打てないと試合にも出られないし、ミート中心に打率を残さないといけない」と語っていた下妻。1年終わった段階でも、まだまだ木製バットへの対応に遅れをとっているということなのかもしれない。

(下記へ続く)

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■楽天イーグルス下妻貴寛 2013年 2軍試合別打撃成績
楽天下妻貴寛2013年打撃成績

スタメンマスクは28試合中15試合

1年目の今季は28試合に出場した。初出場は前述のとおり開幕2戦目の3/20巨人戦でのこと。以降、5月まで途中出場でのプレーが続いたが、初スタメンがまわってきたのは6/1のこと。故郷･酒田市のお隣、山形･鶴岡でおこなわれたライオンズ戦だった。9番･捕手としてマスクを被った下妻は同じルーキーの先発･森以下、福山、高堀、武藤の球を受け、最後までマスクをかぶり続けた。最終9回裏にはラストバッターとして三振に倒れ、試合は1-6で敗れたものの、恐らく親族･友人が大勢つめかけただろうこの試合は、思い出深いものになったに違いない。

スタメンマスクをかぶったのは、この試合を入れて15試合を数えている。チームの勝敗でみると5勝10敗。5失点以上が10試合と多かった所を見て、もちろん全てが下妻の責任ではないけれども、配球面の課題も大きく浮かび上がったとみてよさそうだ。しかし、山形･天童での9/18ロッテ戦では永井、加藤大、星野の球を最後まで受け続け、チームは4-0で零封勝利している。

捕手として当事者になった珍記録が発生しているので、メモしておきたい。8/6の荘銀日新スタジアムでのロッテ戦でのこと。3回、どういう事情でそうなったか？は分からないものの、翔太の打席結果が捕手妨害として記録されている。投手は同じ新人の大塚だった。この守備妨害は今季楽天2軍戦で唯一記録されたものになっている。

来季は新人の内田靖人との競争だ

下妻は11/22、仙台市内の球団事務所で初の契約更改に臨み、現状維持の年俸600万でサインを終えている。その会見上、「（日本シリーズＭＶＰの）美馬（学）さんと何度かバッテリーを組めたのは貴重な財産になった」と語った下妻。何度かという話だが、2軍公式戦では7/12日本ハム戦(○E13-6F)の1試合だけ、スタメンバッテリーを組んで打線の爆発もあり、チームを勝利に導いている。(確認していないのだが、春季教育リーグなどでバッテリーを組む機会があったのかもしれない)

球団は今秋のドラフトで、ドラフト2位で常総学院の内田靖人を指名した。内田といえば、改めて書くまでもないが「プロでクリーンアップが望める捕手は10年に1度」(「野球太郎」7号より)と評されるほど、打力に高い評価が与えられている大型新人だ。国際大会では木製バットにもしっかり対応して結果を残してもいる。下妻にしてみれば、1つ下に手強いライバルが入ってきたということになる。

ポスト嶋の座を巡って、先行する小関を追いかけるべく、内田と共に切磋琢磨しながら技術の研鑽に励んでもらいたいと思う。

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