〔感想文〕映画「マネーボール」を観てきました。レビュー、批評とは決して呼べない感想文
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※ネタバレ注意!
本日公開となった映画「マネーボール」を観てきました。
結論から言ってしまえば、僅か1,300円(前売券で観ました)で2時間と少しの“ひととき”を楽しむことができるには「十分」、費用対効果の面からも「十分」の映画だった。
原作では1980年晩春のある日、ビリーがメジャー複数球団合同の入団テストを受けるところから始まるが、映画は2001年オフからスタートしている。
ジェイソン・イスリングハウゼン、ジョニー・デイモン、ジェイソン・ジオンビーというチームの立役者がFAでチームを去り、この3人の穴、特にジェイソン・ジオンビーの後継をどうするか?という所から物語は幕を開けるのだ。
球界を牛耳ってきたベテラン・スカウト達とビリーが一室に集まって、あいつはどうだ?などとやりとりするところから始まり、その後、ビリーがオーナーに予算をもう少し上げてくれと談判する。
限られた予算でチーム編成するようにと告げられたビリーは、クリーブランド・インディアンズでデータ分析を担当していたイェール大学・経済学専攻のピーター・ブランド(予告編にも出てくる小太りというより大太りのメガネ男)という若者が述べたマネーボール理論にインスパイアされ、彼を片腕にするべく引き抜く。ここから、劇中のオークランド・アスレチックスのマネーボール理論によるチーム再建がスタートする。
ピーター・ブランドは、お察しの通り、原作ではポール・デポデスタだ。劇中では2001年オフにビリーの片腕になったことになっているが、実際は1999年シーズン前である。それに、ビリーがセイバーメトリクスに最初に触れたのは、原作では前GMサンディ・アルダーソンからだった。
舞台は再び球場内のとある一室。ジェイソン・ジオンビーらの穴をどうするか?、ビリーと旧態然としたスカウト連中が頭を突き合わせるシーン。ポールならぬピーターのパソコンが弾き出した、ジェレミー・ジオンビー、エリック・ジャスティス、スコット・ハッテバーグの名をビリーが告げる。
その後は原作とほぼ同じストーリーを辿る。前半戦不振に陥るも、後半に入りアメリカンリーグ記録となる20連勝を打ち立てるまでの2002年オークランドアスレチックスの軌跡・輝跡・奇跡が綴られ、合間に若かりし頃のビリー選手の苦悩が挿入されていく。
男・男・男の物語のため、登場人物と呼べる女性は、ビリーの秘書(電話番)のおばちゃんスザンヌと、ビリーの愛娘、スコット・ハッテバーグの奥さん、この3人ぐらいだ。そんな中、むさくるしい(?)映画で、唯一の「潤い」を与えてくれるのが、予告編にも出てくる可愛いいビリーの愛娘さんだ(なんていう名前の女優さんだろう?)。
実際の話では、ビリーの娘さんは20連勝にも興味がなくアメリカ版スター誕生の「アメリカン・アイドル」を観ていたのだが、劇中では球場を抜け出し郊外へと車で走るビリーに、球場に戻るよう諭す等、大切な役目で出てくる。お父さん、もっと野球を楽しんで、と。
20連勝を決めるスコット・ハッテバーグの歴史的なホームラン、ジェレミー・ブラウンの1Aでの一発、レッドソックスのGM就任の話を断って一転、アスレチックスに止まることを決めたビリー。ビリーのマネーボール理論は、ビル・ジェイムズを雇ったレッドソックスが数年後ワールドシリーズを制したことで証明された、というところで映画はエンドロールを迎える。
ざっと、こんなあらすじになっていた。
原作では読みどころの1つにもなっている、欠陥品とされてきた埋もれた新人を出塁率という光で照らし、次々に指名していくドラフトのシーン、第5章の「ジェレミー・ブラウン狂騒曲」は全てカットされている。
(原作ではこの年のドラフトは大成功とされているが、実際は成功とは言えない「その後」を辿ったため大人の事情として触れられなかったのか?それともジオンビーの穴と二兎を追うかたちになりピントがずれるのを回避する狙いがあったのか?はわからない。しかし、とにかく出てこない)
また、セイバーメトリクスの祖、ビル・ジェイムズについては、ごくごく簡潔にあっさりと触れられただけであった。ものの1分もないはずだ。
というのは、マネーボール理論、セイバーメトリクスを参照にチーム編成をしているのは現在メジャーで約半数の球団ということから、恐らくアメリカで一定の市民権を得ているはずだ。ビル・ジェイムズのくだりや出塁率がいかに大切か?という認識は、既に劇中で説明されなくても、観る側に(その多寡は違えど)共通理解として既に存在するため、ごくあっさりした扱いになったのかもしれない。
一方、アメリカほどセイバーメトリクスが広く一般的な視点になっていない日本では、どうかな?と思った。例えば、映画好き、ブラッド・ピッド・ファンでプロ野球の結果はニュースや新聞で耳や目に飛び込んでくるのを拾うだけ、試合を中継で実際に観るのは年間ごく数試合という一般的な日本人にとってみれば、1度鑑賞しただけでは少し理解できないものだったかもしれない。
とにもかくにも、原作「マネーボール」を読んで、少なからず感動した方には、お薦めできる。
最後に書いておくと、僕は、原作と映画は違って当然と考えるヒトだ。原作どおり忠実にスクリーンに再現することを頑なに望むファンには「マネーボール」「も」お薦めできない。【終】
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本日公開となった映画「マネーボール」を観てきました。
結論から言ってしまえば、僅か1,300円(前売券で観ました)で2時間と少しの“ひととき”を楽しむことができるには「十分」、費用対効果の面からも「十分」の映画だった。
原作では1980年晩春のある日、ビリーがメジャー複数球団合同の入団テストを受けるところから始まるが、映画は2001年オフからスタートしている。
ジェイソン・イスリングハウゼン、ジョニー・デイモン、ジェイソン・ジオンビーというチームの立役者がFAでチームを去り、この3人の穴、特にジェイソン・ジオンビーの後継をどうするか?という所から物語は幕を開けるのだ。
球界を牛耳ってきたベテラン・スカウト達とビリーが一室に集まって、あいつはどうだ?などとやりとりするところから始まり、その後、ビリーがオーナーに予算をもう少し上げてくれと談判する。
限られた予算でチーム編成するようにと告げられたビリーは、クリーブランド・インディアンズでデータ分析を担当していたイェール大学・経済学専攻のピーター・ブランド(予告編にも出てくる小太りというより大太りのメガネ男)という若者が述べたマネーボール理論にインスパイアされ、彼を片腕にするべく引き抜く。ここから、劇中のオークランド・アスレチックスのマネーボール理論によるチーム再建がスタートする。
ピーター・ブランドは、お察しの通り、原作ではポール・デポデスタだ。劇中では2001年オフにビリーの片腕になったことになっているが、実際は1999年シーズン前である。それに、ビリーがセイバーメトリクスに最初に触れたのは、原作では前GMサンディ・アルダーソンからだった。
舞台は再び球場内のとある一室。ジェイソン・ジオンビーらの穴をどうするか?、ビリーと旧態然としたスカウト連中が頭を突き合わせるシーン。ポールならぬピーターのパソコンが弾き出した、ジェレミー・ジオンビー、エリック・ジャスティス、スコット・ハッテバーグの名をビリーが告げる。
その後は原作とほぼ同じストーリーを辿る。前半戦不振に陥るも、後半に入りアメリカンリーグ記録となる20連勝を打ち立てるまでの2002年オークランドアスレチックスの軌跡・輝跡・奇跡が綴られ、合間に若かりし頃のビリー選手の苦悩が挿入されていく。
男・男・男の物語のため、登場人物と呼べる女性は、ビリーの秘書(電話番)のおばちゃんスザンヌと、ビリーの愛娘、スコット・ハッテバーグの奥さん、この3人ぐらいだ。そんな中、むさくるしい(?)映画で、唯一の「潤い」を与えてくれるのが、予告編にも出てくる可愛いいビリーの愛娘さんだ(なんていう名前の女優さんだろう?)。
実際の話では、ビリーの娘さんは20連勝にも興味がなくアメリカ版スター誕生の「アメリカン・アイドル」を観ていたのだが、劇中では球場を抜け出し郊外へと車で走るビリーに、球場に戻るよう諭す等、大切な役目で出てくる。お父さん、もっと野球を楽しんで、と。
20連勝を決めるスコット・ハッテバーグの歴史的なホームラン、ジェレミー・ブラウンの1Aでの一発、レッドソックスのGM就任の話を断って一転、アスレチックスに止まることを決めたビリー。ビリーのマネーボール理論は、ビル・ジェイムズを雇ったレッドソックスが数年後ワールドシリーズを制したことで証明された、というところで映画はエンドロールを迎える。
ざっと、こんなあらすじになっていた。
原作では読みどころの1つにもなっている、欠陥品とされてきた埋もれた新人を出塁率という光で照らし、次々に指名していくドラフトのシーン、第5章の「ジェレミー・ブラウン狂騒曲」は全てカットされている。
(原作ではこの年のドラフトは大成功とされているが、実際は成功とは言えない「その後」を辿ったため大人の事情として触れられなかったのか?それともジオンビーの穴と二兎を追うかたちになりピントがずれるのを回避する狙いがあったのか?はわからない。しかし、とにかく出てこない)
また、セイバーメトリクスの祖、ビル・ジェイムズについては、ごくごく簡潔にあっさりと触れられただけであった。ものの1分もないはずだ。
というのは、マネーボール理論、セイバーメトリクスを参照にチーム編成をしているのは現在メジャーで約半数の球団ということから、恐らくアメリカで一定の市民権を得ているはずだ。ビル・ジェイムズのくだりや出塁率がいかに大切か?という認識は、既に劇中で説明されなくても、観る側に(その多寡は違えど)共通理解として既に存在するため、ごくあっさりした扱いになったのかもしれない。
一方、アメリカほどセイバーメトリクスが広く一般的な視点になっていない日本では、どうかな?と思った。例えば、映画好き、ブラッド・ピッド・ファンでプロ野球の結果はニュースや新聞で耳や目に飛び込んでくるのを拾うだけ、試合を中継で実際に観るのは年間ごく数試合という一般的な日本人にとってみれば、1度鑑賞しただけでは少し理解できないものだったかもしれない。
とにもかくにも、原作「マネーボール」を読んで、少なからず感動した方には、お薦めできる。
最後に書いておくと、僕は、原作と映画は違って当然と考えるヒトだ。原作どおり忠実にスクリーンに再現することを頑なに望むファンには「マネーボール」「も」お薦めできない。【終】
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